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第1話:ふたりの孤独



美咲は、教室の中心にいた。

笑顔を絶やさず、誰にでも優しく、先生にも信頼されている。

「美咲ちゃん、今日も可愛い〜!」

「ほんと、憧れるよね」

そんな言葉が飛び交う中、美咲は完璧な笑顔で応えていた。


でも、放課後。

家の玄関を開けた瞬間、空気が変わる。

「遅いんだよ、誰が飯作ると思ってんだ」

父親の怒鳴り声。

美咲は無言でエプロンをつけ、台所に向かう。

その背中は、学校で見せる姿とはまるで別人だった。


一方、遥は部屋の隅で膝を抱えていた。

カーテンは閉め切られ、スマホの画面だけが彼女の世界。

母親は、三ヶ月前に「ちょっと出かけてくる」と言ったきり帰ってこない。

冷蔵庫にはインスタント食品だけ。

学校からの連絡も、友達からのLINEも、すべて無視していた。


「誰も、私のことなんて気にしてない」

そう呟いた遥は、ふとスマホで検索を始める。

「死に方 苦しくない方法」

その指が震えていた。


同じ頃、美咲もまた、街をさまよっていた。

誰にも言えない痛みが、胸を締めつける。

気づけば、人気のない廃ビルの前に立っていた。

「ここなら、誰にも見られないかも」

そう思って階段を上がる。


そして夜。

ふたりは、偶然にも同じ廃ビルの屋上に足を踏み入れる。

互いに気づき、驚き、言葉を失う。


沈黙の中、風だけが吹いていた。


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