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悪役転生…させんっ!  作者: とる
悪役令息転生
10/29

10. 攻略途中

申し訳ございません。諸事情により今日は12時30分の投稿になりました。

 ──ドスッと重い音を背中に聞いたゾンビソルジャーが魔石に受けた衝撃で昏倒する。崩れ落ちる身体を倒れる前に襟首を掴んで壁の裏に引きずり込み、次のターゲットに狙いを定める。

 この辺りは石を積み上げた小さめの砦になっていて、アンデッドの密度も高く、銃魔法ではサプレッサーをつけてても気付かれたため、サバイバルナイフ風短剣で一体ずつ始末していってる。歩哨のスケルトンソルジャーはサバイバルナイフだと無力化し難いので後回しだ。


 ゾンビアーチャーが砦の屋根の上から目を光らせているので、匍匐前進で砦の裏まで辿り着き。アーチャーの背後から屋根に登り、忍び寄って一突きして無力化した。


 屋上から飛び降り、砦の横の扉から内部に入る。ホテルの廊下のように左右に扉が並んでいて、手前左から内部を確認していく。朽ちかけの扉の隙間は内部を伺うことができ、4部屋のうち3部屋にゾンビとスケルトンが詰めこまれていたので、ゾンビ部屋から征圧していくことにした。


 一つ目の部屋の扉を開けて中に飛び込み、サプレッサー付き89式銃魔法をパスパスパスパスッと連続で6体のゾンビに撃ち込んでいく。二つ目のスケルトン部屋も7体いるスケルトンソルジャーに弾を撃ち込んでいく。


「ちっ、斃れるときにコップ落としやがった!」


 スケルトンソルジャーの一体が鉄製のコップをテーブルから落としながら倒れたせいで派手な音が鳴った。急いで最後の部屋に行って扉を開けようとしたところで後ろにバッと飛び退いた。その瞬間、バキャンと扉を打ち壊しながらメイスが顔を覗かせる。扉を壊して出てくるのはドゥームスケルトンソルジャー。通常のスケルトンの倍の膂力を持っている。完全に出るのを待つ気は無い。パスパス弾を撃ち込むが、ドゥームスケルトンは咄嗟にメイスで胸の魔石を守った。


 ドゥームスケルトンの後ろからスケルトンソルジャー×2やスケルトンメイジ×2が廊下に出てきた。本命に比べて小さな砦なので5体も廊下に出るとギチギチに手狭になる。逃げ場のない廊下は俺の89式銃魔法の格好の狩り場だ。バラバラと弾をばらまくとスケルトン達は骨を削られ倒れていく。ドゥームスケルトンも胸骨内の魔石は守っているが、それ以外の骨はヒビが入って今にも砕けそうになっている。このままじゃジリ貧とみたか、ドゥームスケルトンはメイスを盾にして体当たりを仕掛けてきた。俺は横の部屋に飛び込み体当たりを避けると、通り過ぎてしまったドゥームスケルトンの無防備な背中に弾をお見舞いする。古めかしい鎧に穴が次々と穿たれ、ドゥームスケルトンの身体がガクガクと揺れる。鎧に大穴を空けてやろうと撃ち続けていると、横合いから毒々しい色合いの野球ボール大の水弾が飛んできた。咄嗟に部屋に引っ込むと毒弾は木の扉に当たり、シューシューと毒々しい煙を上げながら扉を溶かしていった。スケルトンメイジのヴェノムオーブだ。

 スケルトンメイジがどうやって詠唱しているのか学術的興味もわくが、次のスケルトンメイジがヴェノムオーブを撃とうとしているので、89式銃魔法を先に撃ち込んでスケルトンメイジの魔石を砕いてやった。メイジ二体に対処している間に、ドゥームが最後のあがきとばかりにメイスを俺の脳天目がけて振り下ろしてくる。サバイバルナイフでは刃が砕けるので俺は掌でメイスを受け止める。振り下ろされたメイスは凄まじく重い。それでもドゥームが満身創痍だったこと。かつメイスが受けとめられた衝撃でボロボロだった腕の骨が崩れ折れたこと。それらの要因が重なって俺の頭はかち割られずにすんだ。メイスを受け止めた両掌は骨折したんじゃないかと思うような痛みを訴えてくるが、それに耐えてメイスを横に押しのけつつドゥームに回し蹴りを喰らわす。ドゥームは現界だったようで、蹴りの衝撃で全身がバラバラになって動きを止めた。


 外に残していた敵もさっくり始末して小さめの砦内で休憩をとる。やっぱり骨にヒビが入っていたようだ。上級ポーションで手を洗うかのようにして、ようやく痛みが引いた。

 学園の食堂で用意して貰ったハムとピクルスを挟んだパンを頬張りながら、手書きの地図を見て今後の進む道を考える。

 現在地は第二階層の中程、ゴールの砦が時計の12時の位置なら今は3時の位置にいることになる。ここからゴールまでの道は3つ用意されていて、何処を選んでもキツいことには変わりないが、銃魔法の相性が良いのは外周の道、このエリアだと高くそびえる崖沿いの道になる。

 主な敵は崖に棲息するボーンウィングヴァルチャーという翼長6mを越える大型の禿鷲だ。こいつらは上空から翼を振るってナイフのように硬質化した羽を飛ばして攻撃してくる。ゲームの時も遠距離攻撃が無いと倒せない上に、見つかると強制無双ルート化させられる鬱陶しい敵だった。だが銃魔法がある俺なら狙撃して倒していけばこの道を攻略できると思うのだ。耳が悪く煩い音が鳴っても見つかったことにならないのも都合が良い。サプレッサーをつけると命中率と飛距離が落ちるので狙撃には向かないのだ。


 小さめの砦を出て、右の方に進んでいくと起伏に富んだ岩場と壁のように聳える崖が迫ってくる。ちょうど枯れた樹の上で羽を休める一匹のボーンウィングヴァルチャーを見つけた。

 岩の上に腕を置き照準のブレを無くすように努める。サプレッサーは外してある。禿鷲との距離は100mぐらいなので十分射程圏内だ。

 深く呼吸した後、ゆっくりと息を吐いていく。照準が禿鷲の心臓に重なるようにイメージし、呼吸を自然と止め、ブレを可能な限り無くす。

 タンッという短い音の後に反響するように音が尾を引く。ボーンウィングヴァルチャーは後ろに押されたように止まり木から離れると、飛び立つことも無く下へと落ちていった。


 ボーンウィングヴァルチャーの胸を穿った弾丸は当たり所良く魔石も砕いていた。翼を観察すると名前の由来となった白く硬質化した羽根が埋もれているのが見える。この羽根は投げナイフとして使えるので良い値で売れるのだが、俺は自分が使う分を確保したら残りは放置だ。


 第二層の空は外とは繋がっていないが、時間経過はリンクしている。まだ夕刻には遠いが帰りに掛かる時間を考えるともう撤収しようと思う。今日到達した地点を目に納め、きびすを返して来た道を戻っていく。ここでは敵を倒しきったエリアに他所の敵が異動してくるということがほとんど無い。来た道を逸れずに戻れば、ほぼ敵に会うこと無く帰れるということだ。俺は軽いジョギングのペースで第二層を走って戻って行く。


 第一層は敵がエリアに関係なく徘徊するのでエンカウント率は高いが、何度も通ってるうちに間引きできているので、今ではここもほとんど戦うこと無く帰られる。俺は身体強化魔法で引き上げた脚と体力でダンジョン入り口を目指して走った。



 学園地下遺跡から学園図書館のレベル3区画に戻ってきた。数時間のマラソンで乱れた息を整えるため本を適当に読みながら暫く休憩する。


 寮に戻るためにレベル2区画に上がってきたら、第三王女が帰るところに鉢合わせた。外は暗くなり始めている。随分遅くまでいるものだ。以前ここで正式に挨拶はしたし、お忍びとも言っていたので黙礼で済ませても非礼とはなるまい。俺が離れた処から黙礼して去ろうとしたところで第三王女が話し掛けてきた。


「ごきげんよう。ファルド卿」


「…ご機嫌麗しく。王女殿下。ご挨拶が遅れ申し訳ございません」


「かまいません。──学園をお休み中と聞きましたが、学園図書館に居られたのですね」


「ええ、少し調べ物がありまして、授業を休みこちらに通っております」


 立ち話も何だからと言う体で近くの休憩用テーブルに座らされてしまった。第三王女の侍女がいつの間に用意したのか自然にお茶を出してくる。第三王女が俺に何か用でもあるのだろうか?当たり障りの無い世間話を少しした後、第三王女が本題らしきモノを聞いてきた。


「黄クラスでは演習に向けて猛特訓中だと聞こえてきますが、ファルド卿は参加されないので?」


 そういえば、悪役令嬢が張り切っていたな。俺は授業に出ていないからその後を知らないが、公式行事と化した演習へと向けた特訓を、派閥を越えてクラス全体を巻き込み行っているらしい。なにか凄く疎外感があるな。自業自得だけど。


「私は演習をすることが決まった頃に授業を休み始めましたので、その後の状況を知らなかったのです。なにやら楽しそうなことになっているようですが、今からは参加しにくいですね」


「ふふっ、最初は色々と思惑もあったようですが、今は皆この演習を競技として楽しみにしているようですよ。赤クラスはもとより青クラスも特訓に熱を入れているようですし」


「青クラスまで入ったら三つ巴ですね。皆が様子見して勝負にならないのでは?」


「2回に分けるようですね。初めに赤と黄が戦って、赤と黄の連合軍と青が戦うとのことです」


「それはまた変則的な…」


 赤黄連合軍とか誰が考えたんだ?初戦後の勝者だけだと疲弊具合で不公平だからとはいえ、足を引っ張りあう未来しか見えない。当事者じゃ無ければ面白いかもしれんがな。


「…ファルド卿はクラス同士の争いには興味を持てませんか?」


 おっと、これはどういう意図の質問だ?各クラスの筆頭は赤が第三王女で中立派、黄が悪役令嬢で第二王子派、青が武闘派令嬢で第一王子派、クラス同士の競争が派閥争いという意味なら、俺の立ち振る舞いは第二王子派には見えないんだろうけど、表だっては動いていない第三王女派へ勧誘できるか探ってるのかね。


「そうですね。興味が無いわけでは無いです。どちらが勝つかを外野から見ている分には面白いかと。…私は非力で負けそうな方を応援したくなる性分ですがね」


「…あらあら、フフフ」


 少し直截すぎたか?俺が介入したせいでゲームのストーリーから外れてる可能性もあるが、最終的に第三王女が勝つ未来の確度が一番高いのは変わらない。王女殿下にいい顔を見せとくのは無駄にならないと思ってのリップサービスだが、どう受け取るかな。


「──少し遅くなりましたね。ファルド卿、お喋りにお付き合い頂きありがとうございます」


「いえ、王女殿下の無聊の慰めとなれば」


 学園図書館前の階段をエスコートして下りたところで第三王女とは別れた。彼女は女子寮を使っているそうで、その前まで送るのは人目に付きすぎて、お互い望ましくないので階段下までとなった。


 第三王女のお喋りに付き合っていたら、外は陽が落ち、すっかり暗くなってしまった。今から食べに出掛けるのも面倒なので、今日は買い置きのモノを適当に食べてすまそうと思う。


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