モーニング限定のバターミルクと分厚いパンケーキ
8時開店の喫茶店にて一つ一つの背が高い型焼きパンケーキと餡子のたっぷり入ったバターミルクを2つ頼む。
店員さんが気を利かせて先にバターミルクと取り皿を持ってきてくれた。
「このゴツゴツした大きい陶器良いですね~フォトジェニックなのももちろん素敵ですけど冬はこういうTheあたたかなもので飲むのが美味しいんですよね。」
「分かる~ツルッとした陶器もいいけどさこのザラつきやつぶつぶの世界に一つしかない感じとか口に当てた時の特別感っていうのかな?たまんねぇわ」
香ばしいバターの香りと牛乳の表面に僅かに浮きでる黄色い油をそれぞれそっと口に含む。
そして図らずしも同じタイミングでミルクのそこにあるあんこを掬い口に運んだ。
「~っ美味しい!甘さだけじゃなくて豆のコクがしっかり生かされててミルクに会いますね」
「硬さも少し粒感が残ってて口に入れると解けるようになくなる。こしあんも混ざってんのかな。ん?そこし焦がしてるのかなキャラメリゼみたいな香りがする。」
2人であんこを掬っては食べ賞賛を語らう。
朝一番を狙ったからか貸切状態なので互いに遠慮なく考察を口にしていく。
「お待たせしました。それとこれは内緒のサービスです。バターミルクに使っているのと同じです。ごゆっくりお楽しみ下さいませ。」
店主は嬉しそうにティースプーンに乗せたあんこをそれぞれの向きにそっと置きウィンクをしながら下がっていった。
「じゃあ先にあんこをちょっとだけ。」
梅ちゃんがティースプーンのあんこをバターミルクに着いてきていたスプーンに少しとり口に運ぶ。
「んんっ祐さんこれは!ちょっと食べてみてください」
目をばあっと見開く梅ちゃんに促され祐さんも食べる。
「んんっこれ砂糖が少ない。」
同じく目をぱあっと開かせてバターミルクのあんこと食べ比べると確かに同じだが混ぜて飲むと甘さが引き立っている。
「あ、パンケーキ食べなきゃ」
バターミルクに夢中になっていた梅ちゃんが取り皿に大きなパンケーキを1枚とりナイフで切るとカリッカリッと香ばしい音と芳醇なバターの香りが2人を包む。
祐さんもその匂いにつられ残っている1枚にナイフを立てると表面の硬さに驚いた。
「祐さん、これ中はカリッカリなのに中はふわっとしてて噛むともっち持ちしてますよ」
「梅ちゃんこのシロップ バニラの香りがほんのりして上手いよ」
「このパンケーキのふわふわにあんこをつけるとやばいです」
「バターミルクとの相性抜群だな」
ひとくち食べるごとに互いに美味しい美味しいと語り夢中になっている2人を店主は幸せそうに見つめていた。