プロローグ 計画書の書き方
世界のしくみを、変えてしまった───。
“計画書”を書くにあたって最も重要なことは構想や道筋を発見することだ。そしてそれは最も重要であると同時に一番気持ち良い瞬間でもある。この構想や道筋を思いつくまでには、モノにもよるが大抵2、3年はかかる。
しかし道筋さえわかってしまえばあとはその道筋が正しいのかを地雷探索のごとく叩いて、いや敲いて証明する単純作業に入るわけだが、これがまぁなかなか骨の折れる作業で、たまに本当に骨が折れることがあるから正直、労働災害も良いところだ。だから実際に“計画書”が完成したときは達成感というよりも疲労感からの解放に対する喜びが大きい。なにせこの証明作業には5、6年かかるのだから。
300年もの間、誰も見つけることのできなかった構想を齢12歳にして発見し、紛れもなく天才児であった僕もいつのまにか18歳である。人生において最も時間価値の高い期間、いわゆる“青春”とか言うやつを僕は一度も経験せずに大人になってしまったわけだが、そんなことはオトナからしちゃあどうでも良いほどこの“計画書”の価値は凄まじい。先ほど労災という言葉を使ったけれど、時給換算すれば1時間20万円である。さらにこれは僕が“計画”に取り組んでいない時間にも発生するから、この完成までに要した9年間で164億円稼いだことなる(厳密には最初の構想を思いつくまでの3年は無給であったが)。つまりこの計画書の完成にはそれほどの価値があると同時に製作するのにそれほどの責任が伴うわけだ。しかもこの164億は製作支援金のようなもので、この“計画書”を販売するとなると300兆円ほどになるという話だ。日本の国家予算のおよそ3倍である。
さて、その“計画書”とはなんなのかという話だけれど、ズバリ言おう、こいつは「宇宙滅亡の計画書」に他ならない。
読んでいただいてありがとうございます。週に何度か更新する予定ですのでどうぞよろしくお願いいたします。