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WANTED

ようやくメインイベントであった結婚式と披露宴が終わり、翌日屋敷へと戻る。


ラームのお母さんに宝石は2月中にお持ちすると約束をして別れた。


「セイ、お世話になったね」


と、グリンディルが荷物をまとめて来た。リタも荷物をまとめている。


「名残惜しいです・・・」


「そうだね。賑やかだったのが寂しくなるよ」


「はい」


リタはぐすっと泣きそうだ。別にこれでお別れではないのだが確かに寂しいな。


「俺達がアネモスにいるときはいつでも遊びに来てくれていいよ」


「はい、ありがとうございます」


「そうかい。ならこのままここに住もうかねぇ」


「それならわ・・・」


「帰るぞっ。何を言い出すんだ全く」


ギルマスはそれなら私もと言いかけたリタとグリンディルを連れて帰っていった。


いなくなったのは寂しくはあるが気も楽になるよな。とセイがだらけているとヘスティアがいつ温泉に行くんだ?と聞いてくる。


「そうだね。もう行かないと冬が終わっちゃうね」


「今から行こーぜ?」


「行くっ」


「おう、それでいいぜ」


即答するウェンディとヒョウタンから出てきたサカキがそう言い出す。


「まじかよお前ら? でもちょっと待て、海坊主に海鮮の仕入をしてもらわないとダメだ。肉も狩りに行かないと。ヒョウエ達の披露宴でほとんど使ったんだから」


海坊主を呼び出し、カニと他魚介類を頼む。


そしてセイ達は肉を狩りに行った。途中で見つけたゴブリンをユキメに氷漬けにしてもらい後でダンジョンへ持って行ってコカトリスと交換してもらうことに。


そして、角有りの山にオーガを発見する。この山は結界で囲まれているから外から入ってきた訳ではない。ここで発生したのだ。このままオーガに入れ替わってしまえば宝の山ではなくなってしまう。というよりオーガが出始めた事をギルドに言っておいた方がいいな。


「クラマ、少しだけ浄化してくれ・・・あ、まだやめとく」


「オーガなんていらんじゃろ?」


「オーガはダンジョンの餌にするよ。ユキメ、アイツらも氷漬けにして」


ユキメをすぐに帰らせると都合の良い女じゃないと拗ねるのでそのままいてもらって良かった。


ぬーちゃんとユキメでオーガを探索して凍漬けに。合計10匹ぐらいいたらしい。


そして黒豚の方には角なしが出始めていた。黒豚と角なしなら黒豚の方がいいんだよねと思うが両方狩り、角なしはダンジョン用にしよう。



川を堰き止めた池に水が溜まりだしている。


「セイー、魚がいるよー」


え?


「水が溜まり始めたばっかりだぞ?」


上流から下ろうとした魚もでもいたのだろうか?


「キュウタロウ、ちょっと来てくれ」


キュウタロウを呼び出して魚を捕まえて来てくれと頼む。


「ヌシ様、任せてくれでヤンス。トオゥッ」


ジャボン。


「キェェェェェっ」


すぐに叫んで水から出てきたキュウタロウ。


「どうした?まさか塩水か?」


「冷たいでヤンスっ 冷たいでヤンスっ」


こいつ・・・


「妖怪が寒がるな。さっさと捕ってこい」


セイは容赦なく池から上がってきたキュウタロウを池に戻した。


しばらくして魚を捕って来たキュウタロウは何も言わずにヒョウタンへ飛び込んでいった。


ったく、妖怪がこれしきで・・・。


あ、この池刺すように冷たいわ。悪かったなキュウタロウ。


捕って来てくれた魚は生命力が強いのか地上でも平気でぴちぴちしてて死なない。しかも口が大きくギザ歯で怖い。


「クラマ、こんな魚見たことがある?」


「いや知らんのぅ」


「ユキメ、こいつも凍らせて。ヨーサクの所に持っていくから」


凍らせてくれたあとヒョウタンに帰そうとすると拗ねるのでヨシヨシしてやった。ユキメは喜ぶんだな。


黒豚も角有りも手に入れたのでヨーサクの元へ。


「おう、今日はどうした?」


「堰き止めた池にこんなのがいたんだけど、知ってる?」


「こいつは魔魚だ。もう湧きよったのか?」


「みたいだね」


「まぁ、これぐらいの奴なら普通の魚と変わらん。迂闊に入ると齧られるがな」


ピラニアみたいじゃん。全然普通じゃない。


「ちょっとまずいかもね。出るの早すぎるよ。黒豚の山に角無し、角有の山にオーガも出だしたから」


「なんじゃと?」


「強い魔物が出だすスピードが上がってるのかもね。オーガの次が何になるか知らないけど他の山も気を付けて。今までよりランクの上がった魔物が出始めるよきっと」


「わ、わかった。注意勧告をする」


「冒険者ギルドには俺から報告をしておくから」


次はマモンのところに行き今の事を話す。


「マジかよ・・・」


「依頼の推奨ランク間違わないでね」


カントが行方不明調査の推奨ランクを見誤った事を物凄く後悔してたからな。


「あとさ、明日からボッケーノにしばらく行くから漁師ギルドとリーゼロイ家の橋渡しをお願い。それから帰って来て準備が整ったらドラゴン狩りに行くとディルに伝えておいて」


「ディル?」


「グリンディルさんがそう呼べって」


「人の妻を相性で呼ぶなぁーーっ。俺ですら外では呼んでねぇのにっ」


「じゃあギルマスがグリンディルさんに他のやつに相性で呼ばれるの嫌だと言えばいいじゃん。俺だけにしか呼ばせるなって」


「ば、バカ野郎。そんなこと言えるかよ」


いい歳して照れんな。見てるこっちが恥ずかしいわ。


「じゃ、魔物の事は報告したからね」


「わかった。冒険者達には今までと同じと油断するなと言っておく。お前はいつ頃帰って来るんだ?」


「何事もなければ2月中には帰ってくると思うよ」


「何事もなければか・・・」


嫌な言い方すんな。何かあるみたいじゃないか。



その後、未開発ダンジョンに行き、オーガ肉と交換でプラチナとピンクゴールドを大量に貰い、初心者向けの所はゴブリンとコカトリスを交換した。


翌朝、海坊主にどっちゃり海鮮を貰ってボッケーノに出発。途中の一泊でテントとマットを使用。ヘスティアストーブでテントの中が快適だ。


ボッケーノに到着してビビデ達の所にいく。


「お、来たか」


「今から温泉に行くんだけど良かったら一緒に行く?」


「温泉で何をするんじゃ?」


「カニ鍋とか海鮮料理を食べようかと思って。寒い時に温泉地でカニ鍋食べるの夢だったんだよね」


「ビビデ行くぜ。飲み勝負する相手がおらんとつまらん」


「ワシは構わんがバビデが行けるかの?ひっきりなしに注文入っててんてこ舞いしとるぞ」


「ビビデの所には注文入ってないの?」


「気に入ったやつにしか打たんからそうでもないわい」


それでも成り立つのだからすごいな。


「取りあえずバビデに声をかけてみるよ」


「そうだ。お前、冒険者ギルドに顔出したか?」


「いや、バンパイア討伐の後に顔だしたけどギルマスいなかったからそれきり。その後はアネモスにいたしね」


一度アクセサリー取りに来たけどここにも顔だしてないからな。


「ギルマスが血眼になって探してんぞ。ちょっと顔だしてやれ」


「そんなの聞いたら余計に顔だすのヤダよ。余計な事に巻き込まれるに決まってるんだから」


「ダンジョンの階層が増えたらしいからそれじゃと思うぞ。何かしたのか?あやつはお前が絡んでいるに違いないと言っておったからの」


「階層が増えた?いつ?」


「前に来た時じゃ。お前らが帰った後に来たからの」


もしかしてバンパイアを食わした事でダンジョンが成長したんじゃ・・・。そういやバンパイアを吸収したあと入り口を閉じて揺れたからな。アレがそうだったのかもしれん。


「な、ならカンケイナイカナ」


「嘘つけ、その顔は心当たりがあるんじゃろ。顔出してやれ」


バビデの所に行ってからギルドにいく前にダンジョンへ行ってみる。


ざらざらざらざら


「いいから、いいから、宝石出さなくていいから」


もう俺を見ただけで宝石を出すダンジョン。パブロフの犬みたいになってんじゃないだろうな?せっかく出してくれたから取り敢えず全部貰っておくけど。こんなにあったら宝石の価値暴落していくだろうな。このまま持ってよう。


「あのさ、この前バンパイア食った時にお前大きくなった?」


入り口が少し動く。やはりアレが原因か・・・。


「わかった。それが聞きたかっただけなんだ。これ食ってくれ」


と、残りのオーガ肉をあげる前に宝石は出さなくていいぞと言ってポイポイと入れておいた。


コトン


なんかの金属の塊を出したのでもらっておいた。何かしらんけどビビデかバビデにあげよう。かなり軽いから使えるかもしれん。


そして冒険者ギルドに恐る恐る顔を出してみる。俺の顔を見るなり受け付け嬢がバッと奥へと走り、他の冒険者達に取り囲まれた。


「なんだよ逃げないって。止めろよ犯罪者扱いすんの」


「お前の捜索依頼が出てるんだよ」


「ギルマスも大袈裟だなぁ。わざわざそんな事をするなよ」


「いや、王室からの手配だ。何をやったんだ貴様?」


は?



セイはボッケーノの王室から指名手配されていたのであった。



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