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明けましておめでとう

皆が飲み続けるなか、マットを出して入江で就寝するセイ。ぬーちゃんが側に来てくれてぬくぬくだ。寝入った頃にウェンディ、ヘスティアも寝に来た事を知らないセイ。こそっとリタも参戦。大きめのマットレスはぎゅうぎゅうだ。


人魚達は海坊主と一緒にいるようになってからは海坊主の中で寝ているらしい。襲撃される心配がないので物凄く安心して眠れるようだった。


セイは寒くなってふと目が冷めるとウェンディ達がマット中央に陣取り、リタはぬーちゃんに包まれ、セイはマットレスから半分押し出されていた。


街に帰ったらもう一つ自分専用マットレスを買おう・・・


目が覚めてしまったのでサカキ達の所へ。


「ずっと飲んでたの?」


「おう、グリンディルはやりやがるぜ」


ギルマスは酔い潰れている。けどグリンディルはサカキや鬼達と対等に飲んでいる。すげぇな。


「セイ、この島いいわねぇ」


と、ご機嫌のグリンディル。


「そうだね。他の人間がいないってのは気が楽かも」


「人間がそんな発言するかねぇ」


「ほら、俺はずっとそういう環境で育ってきたから」


自分で言ってて少し虚しくなる。


「おっ、そろそろ日の出じゃな。初日の出を拝まねばならん」


そう言い出したのはクラマだ。外は快晴。初日の出日和だ。


ウェンディとヘスティアは起こしても起きないので放置。


起きてる者で初日の出を拝む。人魚達も日の出前に起きて朝ごはんタイムとして魚を追い出した。


初日の出が出るキラキラとした水平線に人魚達が跳ねる光景。こんなのを見ることが出来るやつ少ないだろうな。


「今年も宜しくお願いします」


と太陽に拝んだセイなのであった。



太陽が登りきったあとに餅つき大会が始まる。


鬼の達のパワーは凄い。返し手無しの3本杵。


「よっさ ホイさ コラさ」


と掛け声を掛けてついていく。それを砂婆と式神が丸めていく。角餅じゃなく丸餅だ。大根卸し醤油、小豆、きな粉とか色々と好きな食べ方をしてもらう。


「それっておいしいわけ?」


「これ、マーメイ達の歯で上手く食べられるかなぁ?ちょっと待って」


と自分の式神を操作して団子サイズに小さくして小豆を乗せて食べさせてみる。


「甘いのね。でも」


餅は幾重にも重なったギザ歯の隙間に全部詰まるようだ。


「気持ち悪いわけっ」


取ってやろうにも指がスッパリいきそうで怖い。


どうしようかと思案して歯ブラシを持ってきてシャコシャコしてやることに。まるでサメの歯磨きをしているようだ。


「これ気持ちいいかも」


そうマーメイが言うもんだから皆並んでいく。歯ブラシは共通でも気にしないというのでシャコシャコし続けるセイ。ここはオーガ島マリンパークって所だな。


歯のシャコシャコが終わった所で昨日海坊主が取ってきた魚を口を開けてる人魚達にぽいぽいと食べさせていく。


「はい拍手っ」


パチパチ


「こんにちはー」


手を振る人魚。


「はいジャンプ」


ジャッパーン ジャッパーン


素晴らしい。芸をするたびに魚をあげるセイに若い人魚達は懐いていく。


その時にビッシャっとマーメイに水を掛けられた。


「何すんだよ?」


「マーメイはお義兄ちゃんが若い人魚だけ構うから拗ねたのよ」


妹のマーリンがそういうとマーメイは余計な事を言うなっと怒っていた。


君に芸を仕込んだらもっと怒るだろうが?


次は自分のお雑煮タイム。 


「砂婆、かまぼこなんてどうしたの?」


「魚から作るんじゃよ」


「へぇ、こんなのも作れるんだね」


「人魚たちには餅よりかまぼこの方がええじゃろ。たくさん作ったから持ってってやれ」


と砂婆に渡されたかまぼこを板からヘスティアナイフで剥ぎ取って食べさせていく。マーメイとマーリンには皿に乗せておいた。


まだブスッとむくれているマーメイ。


「ほら、口開けろ」


仕方がないのでマーメイにも食べさせたら満足したようだ。


「ほらジャンプっ」


「いやよっ」


マーメイは気難しい。芸を仕込むのは大変そうだ。


人魚達も一通り満足したようなので雑煮再開。旨いねぇ。焼いた餅もいいけどトロッとした餅が出汁と絡むのが最高に旨い。かまぼことほうれん草、そして伊達巻に三つ葉。料理上手の砂婆にバンザイだ。


クラマとサカキ、そして鬼達は味噌雑煮。ギルマスたちは俺と同じのを選んだのかと思ったら食べ比べしていた。餅を食べるのも初めてだそうだ。


「セイ、ヒョウエが餅米育てたいらしいぜ」


「砂婆、餅米の種籾ある?」


「おお、あるぞ。普通の米も育てるがええわ。作るときに手伝ってやるでの」


そうか、砂婆が田植えを手伝うとなるとドラゴン狩りはいつにするか。


「砂婆、田植えの準備しだすの何月?」


「ここの気候なら4月初めに苗代育てて末に田植えがええじゃろな」


「ヘスティア、ドラゴンを狩りに行くのその後でいいか?」


「えーっ、春って言ったじゃねーか」


その話を聞いてブッと餅を飛ばしたギルマス。ビタンと餅を食らったグリンディルはギルマスをビッタンビッタンしていた。


「ド、ド、ドラゴン狩りって何だそれは?」


「ヘスティアが服を欲しいってきかないんだよ。普通の服だと熱出した時にハニーフラッシュするだろ」


「やめろっ。他の奴らに想像させんじゃねーっ」


「ハニーフラッシュってなんだ?」


初めて聞く言葉だがなんとなく皆は想像が付いたが鈍感なギルマスは掘り下げて聞いてグリンディルに目潰しを食らった。


「あんたの前でハニーフラッシュしたらこうなるってことよ」


「ぐぉぉ 目が〜 目が〜」


有名なセリフだよそれ。


「砂婆、その期間ヒョウタンに帰れなくてもいい?」


「構わんぞ。そのときのセイの飯はどうするんじゃ?」


「肉かなんか食べるから大丈夫だよ。片道一ヶ月くらい掛かるみたいなんだよね」


「随分と遠いのぉ」


「ウェンディもその時ここで留守番してるか?多分危ないぞ」


「ヘスティアも行くんでしょ?わたしも行くわよ」


ならぬーちゃんにぶっ飛んで貰えないから時間短縮無理だな。


「セイ、どこまで行くつもりなの?」


グリンディルにざっくり説明する。


「わたしも付いてってやろうかな」


「は?」×セイとギルマス


「グ、グリンディル。セイ達に付いて行くってどういうことだっ。ドラゴン狩りなんて無理だろうがっ」


「セイ、あんた達に水魔法使える仲間はいるかしら?」


「濡らしたり雨降らしたりするぐらいなら」


「水魔法攻撃出来る仲間はいないんだね?」


「そうだね」


「ならやっぱりわたしを連れていきなさい。ドラゴンには色々と種類がいるから水魔法攻撃出来る奴がいたほうがいいわよ」


グリンディルは姉御口調と女らしい口調が混ざる。どちらが本当のグリンディルなのだろうか?


「ギルマス、どうする?」


「マモン、いいわよね。それにそれから帰って来たらきっとボン・キュッ・ボンに戻ってるわよ」


「セイ、グリンディルを頼んだ」


現金だなおい。


ドラゴン狩りは3月後半か4月初旬に出発、6月半ばに帰ってくる予定に決まった。



「セイ、話は変わるんだがな」


「うん」


「お前、あれから漁師ギルドに顔を出してないよな?」


「そうだね」


「街に帰るの明日の早朝だろ?その時にロスブスタの所に寄ってやってくれねぇか?俺も同行するからよ」


「なんかあるの?」


「いや、お前の目で一度確かめてくれ」


まぁ、なんかあるんだろな。気にはなっていたのでいい機会かもしれん。




砂婆はおせちを出してきて仕事終了だ。お疲れ様。


「砂婆、お屠蘇どうぞ」


「おや、セイの酌とはいいもんじゃな」


海山と書かれた箸袋から箸を出し、一種類ずつ取って砂婆の皿に盛り付けていく。セイもお屠蘇くらいは構わんじゃろと返盃してくれた。


「明けましておめでとうございます」


と改めて挨拶をしてから乾杯した。


あちこちにおせちがあるのにここに食べに来たウェンディとヘスティア。プスッとフォークで刺して直に行きやがった。まぁ、風習とか知らんから仕方がない。


そして一通り食べたあと、栗きんとんのみ全部食べて他のおせちからも栗きんとんのみ食い荒らしていった。


「あやつらは自由じゃの」


「本当に。神様ってあんな自由でワガママだっけ?」


「元の世界でもそうじゃ。ワガママでないと神様なんぞやっとれんじゃろ」

 

なるほどそういうもんなのかもしれないな。


そして砂婆は黒豆が好きなのかそればっかり食べていた。



夜に一人でアリマ温泉に海水を入れて冷まして入ってみる。うぉっ。しかし、下から熱いのがどんどん湧いて出てくる。あっちいわこれ。


油断すると尻がヤバい。あんな所を火傷してもウェンディに治癒して貰えんからな。


仕方がないので岩に座って足湯をする。桶で湯をすくってアチアチしながらかけ湯だけでも気持ちいいな。


足湯とかけ湯だけでもホコホコになったセイは入江に寝に行く。サカキ達は大晦日から延々と飲んでるけど大丈夫だろうか?


マットレスを敷いて寝転ぶとぬーちゃんがやってきてウェンディ、ヘスティア、リタと続く。


「リタ、泊まる所用意してくれてあるだろ?」


「なんか知らない場所なので緊張しちゃいまして。それに・・・」


あー、いびきがうるさいんだな。俺もそれが嫌でここに寝に来てるからな。


「うーさむさむっ」


「ウェンディ、そんなにくっついてくるなよ」


「あんた一人だけなんかしてきたでしょ。なんでこんなにホコホコしてんのよっ」


「アリマ温泉があるから入って来いよ。めちゃくちゃ熱いから絶対にドブンて飛び込むなよ。いいか、絶対だぞ」


とアリマ温泉の場所を教えると3人で入りに行った。



「おっ、こりゃ効くぜ」


まずヘスティアがジャブっと浸かって気持ちよさそうにしているのを見てセイが嘘を付いたと思ったウェンディ。


「エイッ」


ジャボん


「アヅーーーーっ」


リタはそれを見て、手でお湯を触って浸かるのを諦めた。桶で海水とお湯を混ぜてかけ湯だけで済ませたのであった。




なんかギャイギャイウェンディとヘスティアが言い合いしながら帰ってきた。面倒臭そうなので寝たふりをするセイ。


リタはセイが寝ていると思いぬくぬくとくっついてくる。ウェンディとヘスティアならまだしもリタにくっつかれるとなんか気まずいセイは身体を硬直させて微動だにせずに朝を迎えるのであった。



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