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バンパイア討伐の後

「そうか、そんな一瞬で魅了されるのか」


「セイの野郎があっさりかかりやがってよ。俺の腕を斬り落としやがったんだぜ。なんだよあの剣。セイが妖力流してなくてもあんなに切れやがんのかよ」


「おー、サカキの腕も切り落とせたか。そいつは自慢できるのぅ」


ビビデもそれを聞いてご機嫌だ。


飯の途中でバビデがウェンディの靴を持ってきた。


「多分ピッタリだとは思うが履いてみてくれ」


ふわふわ白毛の可愛い靴だ。こう見えても防具らしく耐汚性、耐久性、耐寒性、耐衝撃性に優れているとのこと。耐火性もまずまずらしい。


「どうだ?」


「ピッタリ。それに足先が冷たくない」


「そりゃよかったな。ついでにマントも作っておいたぞ。それだと寒いだろ?」


靴とお揃いのポンチョタイプのマントだ。フワフワで可愛い。


「ふふっ ふふふっ」


「どうした?」


「可愛い?ねぇ可愛いと思ったんでしょ?」


「まぁな。小学生みたいで可愛いぞ」


「小学生ってなに?」


「気にするな」


子供が長靴をはいてるみたいに見えたセイだった。



「俺様のは?」


いきなり現れたヘスティア。


「もうブーツ履いてるし、こんなの着たら暑いんだろ?。それにイラッときて熱を出したら燃えるだろうが」


「ウェンディだけズルいぞーーっ」


「諦めろ。服とかは無理だ」


そういうとめっちゃ拗ねて消えていった。



そのまま朝までサカキ達は飲み続けたみたいだが翌朝にはちゃんと起きてビビデの工房に移動する。


「ナイフ、包丁2本、剣が一本、木こり用の斧が1本だ」


どれも鈍い光を放つメラウスの逸品だ。


「これいく・・・」


「いらん」


金額を聞こうと思ったらそう言われる。


「じゃ、これはビビデ、これはバビデ。足りなかったら言って」


それぞれ金貨100枚入った袋だ。


「不要だったら孤児院に寄付して。というかちゃんと請求して。次から頼みにくくなるし」


「こっちは幻のメラウス鉱を貰ってるんじゃぞ」


「あれはヘスティアからのご褒美。いつも一生懸命に祈ってたのが届いたと思って」


そういうとお金を受け取ったビビデ。


「いつの間にこんなに稼いだんじゃ?」


「ダンジョンの宝石を買い取ってもらったんだよ。次も買い取ってもらう予定にしているからもう金には困らない。だからなんかお願いしたらちゃんと請求して」


「解った。じゃ今回はありがたく受け取っておくわい。その代わりこれを持ってけ」


とまた大量に酒をもらったのであった。


さて、領主街に移動してバンパイアがどうなったかの報告したら帰れるな。


ビビデ達にまた来年来るよと挨拶をして出発。半日ほどで領主街のギルドに到着だ。


「もう用事はすんだか?」


「終わった」


「あのバンパイアはどうなった?」 


「ボッケーノのダンジョンに吸収させた」


「は?」


「ダンジョンってより強いものを欲してお宝を出すらしくてね、でも自分が倒せない程強い相手と認識したら諦めてしまってお宝を出さなくなるんだよ」


「聞いた事があるな」


「うちはサカキがダンジョンに無茶するからお宝出してくれくなったというか入れてくれないんだよ」


ブーッと吹き出すギルマス。


「で、どうした?」


「これは秘密だけど、前にちょっと宝石が入用になったからダンジョンと交渉して宝石もらったんだよ。そしたらめっちゃ出してきたからお礼にバンパイアをダンジョンの餌にした」


「はあっ?なんじゃそりゃ?」


「普通は生きてたら吸収しないんだけど食って良いよっていったら吸収したよ」


口をパクパクするギルマス。


「宝石いる?」


「は?」


という顔をしたので奥さんにご馳走になったお礼にピンクの宝石をフルセット分渡した。加工賃は自分で払ってね。


「え、あ、え、あ、すまん」


「また来たら奥さんにサカキと飲むの付き合ってもらえると嬉しいと伝えといて」


「わ、解った」


「じゃあねーっ」


しまったなぁ。アネモスをこんなに長く留守にするつもりはなかったのだ。ラームの両親への手紙を渡さないとダメだから早く帰らないと。


ぬーちゃんにごめんと行って休憩無しでアネモスへ帰国したセイなのであった。

 


ーその頃のボッケーノギルドのギルマスー


「ビビデっ、ここにセイの野郎は来てねぇかっ」


「もう帰ったぞ」


「くっそぉ、逃げられたか」


「なんじゃ?セイが何かやらかしたのか?」


「ダンジョンがっ」


「ダンジョンがどうしたんじゃ」


「階層が増えてやがんだよっ。中に入ってたやつらもてんてこ舞いになってやがる。絶対にあいつが絡んでるに違いねぇ」




ー領主街のギルドー


「あの、ギルマス」


「なんだ?」


「あの人達の報酬は隣国の領主様直々に進呈すると言われてましたけどまた戻ってくるんですか?」


「あっ」


「招待状預かってましたよね」


「早く言えーーーっ」


自分のミスを部下に八つ当たりするギルマスのカントであった。



ーダンジョン最奥の部屋ー


「ヘスティア様。やはりそのアクセサリーは大変お似合いで」


ドコンっ


悶絶するイフリート


さっき来た時は超ご機嫌だったヘスティア。が、今は最悪のご機嫌だ。


散々可愛がり(八つ当たり)された後にセイが服を買ってくれなかったことを聞く。


セイがケチで言ったのではなくヘスティア様の特性上無理だと瞬時に理解したイフリート。


「ヘスティア様。ゴフッ ゴフッ」


「まだ可愛がってほしいのかよ」


「い、いえ、ゴフッ セイ様のゴフッ 装備であればか、可能かと」


「あっ、そういえばお前の攻撃にも耐えてたよな。よしっでかした」


あのマントや服をならイケるじゃねーかよっ。


一気に機嫌が直ったヘスティアはセイの元に向かったのであった。



アネモスに戻ったセイは事前にタマモにもうすぐ到着すると式神を飛ばしていた。


「随分と遅かったね」


「そうなんだよ。ちょっとトラブルに巻き込まれてね。ヒョウエ達のことどうなってる?」 


「二人の服代が金貨15枚ってとこだね。セイの服も必要だろ?明日作りに行くよ」


「え?これじゃだめ?」


「ラームの親は貴族だろ?人間のセイぐらいは正装で出るもんさね」


「じゃあわたしのもっ」


「タマモの話し聞いてた?人間のセイと言ったろ。お前人間じゃないじゃないか」


「キィーーーーっ」


結局癇癪を起こしたウェンディの服も買うことになってしまった。


それからちょっと時間が遅いけどラームの実家に訪ねた。


「夜分遅く申し訳ありません。冒険者のセイと申しますが奥様おられますか。お手紙を届ける依頼を受けました」


と門番に伝える。


「ならこちらで預かる」


「いえ、直接届けて欲しいとの依頼なのです。奥様にとっても重要な内容だと思いますのでどうされるか聞いて頂いていいですか?奥様に直接無理であれば執事さんにお伝え願います」


「うるさい。お前のような怪しい者の言うことが聞けるか。さっさと立ち去れ」


ふーん。


「アンタ、クビになっても知らないからね」


「何をっ」


「いいから執事さんにぐらい伝えろ。セイが重要な手紙を持ってきたと。これを伝えないとお前一生後悔するぞ」


丁寧な言葉使いから一転して乱暴に話したセイ。


門番の一人が執事に伝えに言ったようだ。



「ようこそセイ様。どうぞ中へお入りくださいませ」


執事が出迎えてくれた。


「良かったなクビにならなくて」


そう門番に伝えて中に入った。


「ようこそセイさん」


「遅くに申し訳ありません。この手紙を半月以上前に預かってたのですがトラブルに巻き込まれて遅くなってしまいました」


奥様は手紙を読んでまぁっ!と嬉しそうだ。


「ここと作法が異なると思いますが、ぜひご両親に来て頂きたいとラームさんがおっしゃってました」


「主人はまだ怒ってるのよ」


「直接お話をさせて頂くことは可能ですか?」


と呼んで来てもらった。


「何の用だ」


「ラームさんの結婚式の招待状を持って参りました」


「うちの家の娘は魔物に殺されたのだっ」


結婚式と聞くなり激昂するご主人。


「では言葉を変えます。それはオーガ島への招待状です。奥様とぜひバケーションにお越しください。護衛は私達ウェンディーズが致します」


「だっ、誰がそんな所にっ」


「親不孝をしてしまいましたが幸せだと言うことを見て頂きたいのです」


「なっ、なんだそれはっ」


「独り言です。もしかしてご主人はオーガ島が怖いのですか?」


「だっ、誰が怖いなど」


「見知らぬ世界を知るのもたまにはいいと思いますが、もしや奥様とご一緒だと嫌だとか・・・」


「そんな訳あるかっ。よ、よ、余計な事を抜かすなっ」


「これは失礼致しました。奥様はすっかり乗り気でいらしたので」


「あなた、服を急いで新調しましょ。私にも(・・・)新しい服をプレゼントして下さいましね」


「えっ?あっ?わ、解った。早速明日服屋を呼ぼう」


あー、愛人には服を買ってやってたのもバレてんのか。さすがだよこの奥さん。


結婚式の正式な日取りは改めて連絡すると約束して、その日の朝に屋敷に来てもらうことで決着が付いたのであった。







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