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祓い屋を始めたセイ、初仕事が異世界で落ちこぼれ女神の面倒を見ろですと?  作者: しゅーまつ


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近ぇーよっ

宿に戻って来たセイ。


帰るなりウェンディが泣きながらセイの事をポカポカ叩いてくる。


タマモは初めはくすくす笑って見ていたがいつまでも気付かず泣き出したウェンディに呆れていたのだ。


「私が初めに欲しいって言ったのにーーーーっ」


「な、なんのことだよ?」


「とぼけないでっ。あれよあれっ」


ウェンディが指さしたのはタマモがしているネックレスだった。


「何言ってんだお前は?」


「私が初めに欲しいって言ったのに取れなかったって噓付いたーーっ」


そう言ってワーッと泣き出すウェンディ。


「お前の首にも掛かってんだろ?」


「え?」


そこで初めて自分の首に青い宝石のネックレスがあることに気付いたウェンディ。


「いつの間に・・・」


「あんたの首には初めっからあったさね。いつ気付くのかと思って見てたけど鈍いにも程があるんじゃないのかねぇ?」


「お前、それで泣いてたのか?」


「タマモが皆の分をセイがプレゼントしたって言ってたのに私には・・・」


「お前、前に青い宝石のやつ欲しがってただろ?だからそれにしたんだよ。赤いのがよかったのか?」


「う、ううん。青いのが良かった」


「なら良かったじゃないか」


「なんでダンジョンで取れなかったって嘘つ付いたのよ」


「あそこは欲張ると岩が落ちてくるだろうが。お前がもっともっとタケモットとか言うかと思ったからだよ」


「たけもっと?」


「いや、こっちの話しだ。気に入ったのがひとつあればいいだろ?」


「うん」


「じゃあもう泣きやめ。飯にするぞ」


「あ、ありがと」


「どういたしまして」


最後の夜なので街の中心まで行き、スパイシー料理を食べる事にした。砂婆、ユキメも呼んでみんなで食べる。ユキメは辛い料理がダメだったみたいで辛くないのを特別に頼んだ。


辛い料理にはビールが合うらしく何回もお代わりをする面々。女性陣はみな綺麗な宝石のネックレスを付けていたので結構人目を引いていた。


酒でほてった身体に夜風が気持ちいいらしく、砂婆とユキメ以外はひょうたんに戻らずフラフラと歩いて帰る。サカキとクラマは結局ここの火酒を頼んで飲んだからな。しかも唐辛子を漬け込んだやつ。あんなものよく飲むわ。


「セイ、お客さんが付いて来るねぇ」


「客?」


酔いつぶれたウェンディをおぶって歩くセイはタマモの言うことがよくわからなかった。


「セイ、ちょっくら小便してくるわ」


あれ?サカキ達は排泄しないよね?何しに行くんだ?


「サカキが行ったのかい。なら気にせずに帰るかね」


まぁ、こいうのはよくあることだ。タマモが気にしなくていいと言うなら気にしないでおこう。



「よう、お前ら俺と遊びたいんだよな?」


「ヒッ」


サカキは暗がりに潜んでセイ達を付けて来た男達にそう声を掛けた。


男達はサカキに怯えながらも剣を構えた。


「いいねぇ。そう来ないと声を掛けた意味ねぇわな」


剣を抜いて襲い掛かってきた男達をサカキは頭が潰れる寸前まで掴んだ。目をひっくり返してお漏らしをして気絶した男達。


(殺すとセイがうるせえからな。これで勘弁してやるよ)


サカキはそう小声でつぶやき、ペッと唾を吐きかけてからその場を去ったのであった。


「どこ行ってたんだよ?」


「小便だって言ったろ?」


まぁ、いいけど。


ふぅ~


「うっひゃぁぁぁ! お前起きてるなら自分で歩けよっ」


「この方が楽だもーん。行けーっ下僕よっ」


「はぁ、まったくお前って奴は」


胸元に青い宝石が光るウェンディはセイの首にしがみつきとても機嫌が良いようだった。



翌朝、ボッケーノを出発したセイ達。


孤児院に肉を差し入れしてから帰ろうかと思ったけど、依頼をかけてあるから定期的に肉が届くだろうとやめておいた。この国の事はこの国の人達がした方がいいからな。


途中で一泊してようやく屋敷に帰ってきた。


「明日からどうするんだい?」


「角有りを山に狩りに行ってオーガ島に持って行くよ。生きたゴブリンを食べてるみたいだし」


「その後はまたどこかへ行くのかい?」


「そうだね。何も無ければ水の国か大地の国に行こうかと思ってるよ」


「なら、行く前に声をかけておくれ」


「またなんか調べに行くの?」


「女のすることにいちいち詮索するもんじゃないさね」


別に詮索してる訳じゃないんだけど。


サカキはひょうたんから出て来なかったのでクラマもタマモとひょうたんに帰った。


はぁ、やっと落ち着いた。風呂に入ろ。


露天風呂に湯を入れて準備しているとウェンディがここに入りたいと言い出しやがった。俺も露天風呂に入りたかったのに。ボッケーノの宿はシャワーしかなかったので湯船が恋しかったのだ。


仕方が無いので内風呂にも湯を溜める。


風呂で冷たい水を飲みたいので準備をして身体を洗っていざ湯船に。



はぁーーー気持ちいい。露天風呂ならもっと気持ち良かったのに。


湯船に浸かりながら冷たい水をゴッゴッゴと飲む。


「よおっ」


ブーーーっ


「ちょっ、ちょっ、ちょっとあんたなに人が風呂に入ってる時に来てんだよっ」


目の前に現れたのはヘスティアだった。


「別に良いじゃねーか。見られても減るもんじゃねぇし」


「よくないっ」


「はーん、そっか。なら俺様も一緒に入ってやろうか?」


「けっけっけっ結構ですっ。もう出るから外で待ってて」


慌てて着替えて風呂から出たセイ。テーブルに頬杖を付いて待ってるヘスティア。


「酒?水?」


「水でいいぜ」


二人分の水を入れるセイ。


「で、なんか用か?」


「別に。暇だったんだよ」


あの時あっさり帰ったのはまたすぐに来るつもりだったのか。



ーセイがアネモスに帰るとヘスティアに伝えた日ー


「ヘスティア様、いかがなさいました?」


うっすらと目に涙を溜めていたヘスティアにそう声を掛けるイフリート。


「うるせえっ」


「お寂しいのですか?」


「神である俺様が寂しいとか思うわけねーだろうが。下らないこと言ってんなっ」


ドガンッ


ヘスティアはイフリートを蹴り飛ばした。


「せ、僭越ながら ゴフッ ゴフッ」


「なんだ?」


「アネモスに遊びに行かれても良いのでは ゴフッ ゴフッ」


神の蹴りを腹にもろに食らったイフリートは大きなダメージを受けている。


「他の神が管轄してる国に行けねぇのはお前も知ってるだろうがっ」


「し、しかし。アネモスは今は神無し国。ウェンディ様もこちらに来られたぐらいですのでヘスティア様も行けるのではないかと・・・。ゴフッ」


「あっ、そうかっ」


「はい。恐らく大丈夫かと」


「でかしたイフリート!」


一気に機嫌が治ったヘスティアはイフリートに火の力を注いでダメージを回復してやった。


(ふぅ。これでセイ様にヘスティア様を押し付け、ゲフンゲフン。お任せしておけば安心です)




「ボッケーノを留守にして大丈夫なのか?」


「イフリートがいるから大丈夫だ」


ならいいか。


「火山の噴火はどのタイミングてやるんだ?」


「そうだな。ドラゴンが出だして人間が倒せないようなら噴火させるしかねぇな」


なるほどな。これはボッケーノのギルドに教えておいた方がいいな。


「ドラゴンって滅多にいないんだろ?」


「俺達が関わっている国にはな。そうじゃない所にはいるんじゃないか?しらんけど」


なんだよ、しらんけどって。


「ワイバーンってドラゴンの劣化種だったっけ?」


「まぁそうだがよ。別物だと思っとけ」


「あのイワトカゲとかは?あれがどんどん強くなるとサラマンダーになるのか?」


「サラマンダーはな、元々は小さな火を吹くトカゲみたいなやつだ。それが極稀にずっと生き残って強くなった果てにあれになるやつがいる。選ばれた存在ってやつだ。それに俺様が神力を与えて眷属にしたわけだ」


あのサラマンダーは唯一無二か。いまの話だと眷属じゃない大きなサラマンダーもいそうだな。


「イフリートは?」


「精霊は元々は大神の使いでもあったんだ。俺達より古くからいるぞ」


ん?


「ヘスティア達は精霊より後から生まれたの?」


「俺達が出来る前は大神が一人で管理してたんだ。そこに精霊が生まれ、人が増えたから大神が自分の力を4つに分けて出来たのが俺達だ」


生まれたんじゃなく出来たか・・・


「じゃ、ヘスティアとウェンディは姉妹?」


「なんて言うんだろうな。俺達は大神の力の一つだ。そういう意味じゃ姉妹って表現もあながち間違いでもないな」


「同時に生まれたの?」


「いや、最初は大地、次に水、それから俺様、最後がウェンディだ」


ウェンディは末っ子だったのか。なんかわかる気がするな。


「ウェンディってこういうこと何も知らないんだけど?」


「あいつも知ってるはずなんだがな。大神から直接記憶というか知識として与えられているはずなんだよ。ウェンディとかの事もそうやって伝わったからな」

 

ウェンディも知ってるはずなのか。まあ、あいつは記憶回路が断線してるからな。


「天界で神同士会ったこととかないの?」


「ねぇよ。今回初めて直接会った。まぁ、会わなくても顔とか全部知ってたけどな」


なんかとても不思議な会話だ。


「ウェンディが他国に行きたがらなかったのはそれかな?」


「俺達は他の奴が管轄している国には行けないんだよ」


「ここに来てるじゃん」


「あいつは落ちこぼれたからな。神無し国なら問題ねぇ」


「ちょっと、誰が落ちこぼれたのよ。人の家に勝手に来ていい加減な事を言わないでよ」


いや、いい加減なことではないぞ。落ちこぼれたのは事実だ。


そして無言でセイにコップをだすウェンディ。なんの疑問も持たず水を入れるセイ。


「なぁ、セイ」


「なに?」


「お前風呂好きなのか?」


「好きだよ」


「温泉ってのと風呂は別か?」


「いや、同じものというか温泉の方がいいよ」


「ボッケーノに温泉有ったろうが?」


「え?マジで」


「なんだよ知らねーのか。火山の熱で勝手に湧いてる所がいくつもあるぞ」


「教えてっ」


「ちっ、近ぇーよっ」


セイはヘスティアと顔がくっつくぐらい近づいて温泉に食いついた。


「いいから今度行ったら教えてっ。カニ持って行くから」


温泉にはカニ鍋と決まっているのだ。テレビで見て憧れていた温泉とカニ・・・


セイの頭の中で特急電車と温泉、そしてカニ鍋がぐるぐる回る。


「わかった。わかったっ!今度来たら案内してやるからっ。そんな近寄るなっ」


どんっとセイを突き飛ばして顔を真っ赤にするヘスティア。


「ごめん、興奮しすぎたわ」



ヘスティアは今日は泊まって行くらしいので好きな部屋を使えと言っておいた。ヘスティアが寝に行ったあとウェンディがめっちゃ顔を近付けてくる。


「なんだ?」


「別に」


意味のわからない事をしてウェンディも寝に行ったのであった。





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