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ボッケーノのダンジョン

「何しに帰ってきたのよっ?」


帰ってきたセイを見てそうブスッと話すウェンディ。


「なにむくれてんだよ?」


「お嬢ちゃんはご機嫌斜めさね」


面倒臭いなもう。


「サカキ、ボッケーノのダンジョンに行くことになったから付いてきてくれ。タマモも来るだろ?」


「いいけど、この娘はどうするんだい?」


「ウェンディ、お前はどうする?」


「行きたくない。・・・・でも、どうしても一緒に来て欲しいなら行ってあげない事もないんだけどっ」


「なら留守番だな」


そう言うとべしべし殴られた。


「留守番が嫌なら一緒に来ればいいだろうが?」


「うるさいっ」


ほっぺを膨らませてプリプリ怒るウェンディ。どうしろっていうんだよ?


「セイ」


「なにタマモ?」


「一緒に来て欲しいと言ってやりなよ」


「なんで?」


「いいから」


「ウェンディ、いいから一緒に来い。こことは違う国も見ておけ」


「しっ、仕方がないわねっ。どうしてもっていうなら行ってあげなくもないわよ」


はぁ〜とタマモとサカキは顔を見合わせてヤレヤレと手を上げていた。


翌日、宝の山に行って角有りを全部狩り、アメフラシに雨を振らせてもらった。これでクラマは移動中アメフラシの遊び相手をすることになる。


オーガ島で大半の角有りの肉を渡し、代わりに鬼殺しを貰ってボッケーノへ。


「ここがボッケーノか。あの火山すげえな」


「あそこは鉱山にもなっててね、ダンジョンで鉱石を取りたいんだよ」


「鉱石なんて何に使うんだ?」


「なんか特別な鉱石らしくてさぁ、それで剣を作ってくれるってきかないんだよ」


「セイ、あやつの腕は確かじゃと思うぞ。お前が使える剣を作ってくれるならありがたいことじゃて」


「神通丸みたいに使えるってこと?」


「それはどうじゃろうな。それが打てるならやつも神クラスの腕前ということになるの」


クラマはビビデの腕を相当買っているようだ。俺にはよくわからんけど。


また列に並んでボッケーノに入国する。


「宿で飯にする?」


とギルド近くの宿で晩飯にしたらウェンディは相変わらずガツガツ食っていた。


「お前、他国に行きたがらなかったけどなんでだ?」


ほっぺたいっぱいに食べ物をほお張っているウェンディにそう聞いてみる。


ハッ


いきなりコソコソと机の下に隠れようとするウェンディ。


「この娘はここの神さんに馬鹿にされんのが嫌で来たくなかったのさ」


「神様ってずっと外界の事を見てのか?」


「見てないけど・・・」


皿で顔を隠すな。あちこちにタレ付いてんじゃねーか。


「まぁ、見付かってもどうってことないだろ?それともバチでも当てられんのか?」


「なんで私がバチなんて当てられないといけないのよっ」


「なら隠れんな。そのうち神に戻れるようにしてやるから」


セイがそういうと椅子に座ったウェンディ。


「セイ、あたしゃこの国も調べておくから式貸しておくれ」


ということでタマモはまたなんか調べにいくようだ。何を調べてんだろう?


翌日、鉱石ギルドでダンジョンに入る許可を貰いにいく。


「ここのダンジョンは初めてですか?」


「そうだよ」


「ツルハシとかの道具はお持ちでしょうか?」


「いや、持ってないけど大丈夫だと思う」


「は?」


「いや、自前のがあるから大丈夫です」


サカキが素手で掘るとか説明しても信じないだろうからな。


あと他の人が掘っている近くでは掘らないのがルールだと説明される。鉱石の横取り防止措置らしい。鉱石の他に宝石も出るらしく、鉱石・宝石の鑑定と買取もここでしてくれるらしい。


「お目当ての鉱石が出たら渡す約束をしてるんだけど」


「はい。それはご自由に。ただ騙されて安値で買い取られたりすることもあるのでご注意下さい」


坑道と坑道ダンジョンに入るにはお金が必要らしく一人銀貨10枚取られた。ぬーちゃんは無料なので銀貨40枚のお支払い。


ダンジョンに向かう前にビビデの所に寄る。


「ほぅ、それがフルメンバーか?」


「一人街に行ったけど冒険はこのメンバーで行くことが多いよ」


と、それぞれ紹介する。


「む?嬢ちゃんは風の神様と同じ名前か」


「そうよ。私が風の神ウェンディよ」


「そうか。頑張って来いよ」


ビビデは生暖かい目でウェンディに微笑んだ。


「ダンジョンに行く前にバビデの所で防具を受け取ってから行け。もう出来とるはずじゃ」


と言われてバビデの所で同じように皆を紹介し、同じように生暖かい目で微笑まれるウェンディ。


「ほら、ここで着替えていけ」


「あれ?ワイバーンって茶色っぽいグレーだったのに真っ黒なんだね」


「あぁ、ちょいと加工してある。耐炎性がかなり上がってるからあのダンジョンに行くにはちょうどいいと思うぞ」


「そうなんだ。ありがとうね」


「最奥の鉱石取ってこいよ。兄貴が楽しみにしてたからな」


了解と返事をしてその場で着替えた。


ワイバーンの上下服にブーツ、手袋、マントだ。見た目と違って恐ろしく軽い。蒸れるような感じもないし、かなりいいものなのだろう。店に飾られている鎧みたいな物だったらどうしようかと思ってたけど思い過ごしだった。


「どうだ?」


「ぴったりだし、動きやすいよ」


「まぁ、魔物やそのへんの剣では切られることはないが衝撃は鎧より吸収せんから打撃には気を付けろよ」


「ありがとう。じゃ行ってくるよ」


真っ黒になったセイはウェンディにカラスみたいと言われた。自分ではコウモリみたいだと思っていたから別に腹は立たない。


「ウェンディ、これ耐炎性が高いみたいだからマントを着ておくか?」


「そんな黒くて可愛くないのいらないわよ」


そうですか。


入山するときに許可証を見せ、とっととダンジョンへ向かった。


中に入ると人がたくさんいて鉱石を掘っている。こんな手前でもなんか出るんだな。



セイ達は最奥が目標なので先へと進む。


「セイ、掘らなくていいのか?」


「最奥にあるらしいからそれまで掘る必要ないよ。やりすぎてダンジョンが何も出さなくなったら嫌だし」


そう、目的の物を得るまではやりすぎてはダメなのだ。


時々魔物もでる。ゴブリンとか瞬殺だけど掘るのに夢中に鳴ってる人は後ろからいきなり攻撃を受けたりしている。幽霊もいるしこのダンジョンは結構人が死んでるんだろうな。


先に進んでも進んでも人が多い。時々やったーっと叫んでいる人がいるから宝石とか出てるのかもしれんな。


「よしっ、やった。見つけた。ついに見つけたぞ。ここは当たりだ。まだ他にも宝石があるっ」


5人で宝石が固まっているところを見付けたみたいで周りからもあそこだったかぁとな羨ましがられている。


「セイ、宝石掘ってよ」


「いらんだろあんなもの?金にはなるかもしれんけどそれ以外に役に立たな・・・」


「欲しいのっ」


宝石なんぞいらんと先に進もうとするウェンディがセイの腕に掴まり引き止めようとする。


無視して進もうとするセイ。力いっぱい引き止めようとするウェンディ。


ウェンディがふんぬーと顔を真っ赤にして腕にしがみしがつく。


「お前、さるぼぼみたいになってんぞ」


「さるぼぼって何?」


「猿の赤ちゃんだ」


「キィーーーっ。誰が猿なのよ・・・」


その時にガラガラガラガラっと大きな音がして先程宝石を見付けて喜んでいた人達が岩に飲まれた。


「・・・・あれ、ダンジョンの罠だったのかな?」


「かもな。助けちゃダメなんだろ?」


「え、あ、うん」


ダンジョンで助けていいのは仲間だけ。ここもそのルールは同じだ。それを証拠に他の人達も欲張るからだと見てみぬふりをしていた。


崩落したけど道は塞がれていない。あの人達だけを狙ったように崩れた天井。崩落はダンジョンの罠で間違いないだろう。恐ろしい場所だ。


「ウェンディ、お前ちょっと掘ってみろよ」


「い、嫌よっ」


潰された坑夫達を見てさるぼぼは宝石を欲しいと言わなくなったのであった。





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