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戦いに備えて

「セイ、闘いのシュミレーションをしても無駄だ」


「どうしてだよ?」


「向こうにも先読みの力があるとお前は言った。私もそう思う。これほど未来が細かく何度も変化していくのはそのせいだろう」


「読み合いでコロコロ変わっていくということ?」


「そうだ。相手は違う世界に住んでいるのだろうが既にこの世界と一部は繋がっていると思われる」


「どうしてわかるんだ?」


「先読みとは異なる世界の事まで見えるものではない。今のお前に元の世界の未来が見えるか?」


セイは月読に言われて意識を集中してみたが確かに何も見えない。


「見えないね」


「セイ、侵略者がやってくるまで元の世界にいろ」


「なんでだよ」


「そうすることでお前の事が相手に見えなくなる。すなわち向こうも対策を練る事が出来なくなるとは思わんか?」


「そうなのか?」


「相手が見ている未来からお前が消える。お前も相手の事が見えなくなるがな。読み合いしていても明確な勝ちが見えぬのならもう見ないほうがいい。見れば見るほど手の内を晒すのと同じだ」


確かにそうかもしれん。


「元の世界に戻ったらいつ侵略者が来るかわからんだろ?」


「パソコンとやらで通信が出来るのだろ?大神と意思疎通が出来るやつに連絡係を頼め」


パソコンを使える女神ズはヘスティアだけ。でも俺が向こうの世界に行くと言えば絶対に付いてくるだろう。テルウスに使い方を教えて頼むしかないな。



翌日テルウスに事情を話してパソコンの特訓をすることに。


「じゃ、もう一度送ってみて」


ピロン


「うん、ちゃんと来た。これで連絡を頼むね」


「一人で残ってるのも暇ね」


「俺たちの所にもほとんど遊びに来てなかったから一緒だろ?」


「それもそうね」


連絡係はテルウスに頼み、セイはオーガ島に行く。ケビン達を残したままだし、ヒムロはまだこっちに残っている。ユキメは鳥居を通じて元の世界に帰れないからだ。


先ずはケビン達の所へ。


「神様達はどこに行ったんだ?」


「元の世界に仕事をしに帰ったんだよ。とりあえずここでの修行は中断だ。虹のまちと実家のどっちかに送っていくけどどっちがいい?」


3人共虹のまちと行ったので送っていく。すずちゃんとマダラもひょうたんへ返しておいた。


すると何かに気付いたシーバス達。


「セイ、何かあったのか?」


飯の後にシーバスが代表してやってきた。


「ん、なんか俺の様子がおかしいか?」


「ずっと難しい顔をしてやがるしよ、すずちゃん達にも何も説明せずに帰しただろ?」


「うん」


「話せないような内容か?」


シーバス達には話しておくか。


「実はね、近々大きな戦いになる」


「何と戦うんだ?」


「悪魔」


「なんだと?」


「魔界から侵略してくる。負けたらこの世界の人間は滅びるかもしれない」


「マジかよ…、まさかお前がサカキ達を率いて戦うのか?」


「いや、サカキの力も通用しない程の相手なんだよ」


「なんだと…」


「俺とウェンディ達の親である大神、俺がいた世界の神樣であるアマテラスと月読でやるよ」


「つ、通用しねぇかもしれねぇけど、ドラゴンを狩った俺達も手伝うぜっ」


「気持ちだけもらっとく。やつらはドラゴン云々の相手じゃない。神の力を持ったものしか通用しなさそうなんだよね」


「そうなのかよ…。もし負けたらどうなるんだ?」


「俺達は消滅、人間達は滅びる。妖怪達だけでも避難させておこうと思って。皆を見捨てるようなやり方で申し訳ない」


「見捨てるってお前は皆の為に命懸けで戦うんだろうがっ。誰がそんな事を思うかよっ。逃げられるやつはどんどん逃してやれっ」


「ありがとう。俺はてっきり罵られるかと思ってたよ」


「あのなぁ、俺達を見損なうなよ。お前と付き合いのあるやつにはちゃんと状況を話しておけ。きっと理解してくれる。それに死ぬかもしれないなら覚悟する時間をやった方がいい」


「皆がパニックになるだろうが。勝てば何も気付かずに済むんだ」


「俺たちにまで黙ってたってことは勝てる見込みが薄いんだろ?」


「まぁ、そうかも」


「ならちゃんと言っておけ」


シーバスにそう言われたセイはアネモスのギルマスであるマモンの元へと向かった。



「そう、天魔対戦が始まるのね」


「うん」


「セイ、お前がもし負けたらあの世で会おう。なーに、人はいずれ死ぬ。それはお前のせいではないのだ」


そしてマモンは本当に勝てそうにないならお前達だけでも逃げろと言ってくれた。本当にいい人達だ。


マリーにも会いに行く。


「どうじゃ、しばらく来ぬ間にさらに美しくなったじゃろうが?」


「そうだね。本当に綺麗になったよ」


「じゃろ?この美しさが早くに散らしてしまうのはもったいないとは思わぬか?」


「思うよ」


「なら、ちゃんと守ってくれ。妾はセイを信じておる。もし負けたらあの世で嫁にしてもらうからな」


そう笑って送り出してくれた。


そして世話になった人達の所に次々と伝えて行った。



「セイ、終わったのなら元の世界に行くぞ。早い方がいい」


月読にそういわれたセイは元の世界に戻るのであった。



「じゃー次はねぇ、クレープっ」


「お前なぁ、呑気過ぎるぞ」


セイはウェンディ達に食べ歩きをさせられている。


「だってテルウスから連絡来るまですることないんでしょ?だったら別にいいじゃない。イチゴのやつとー、パイナップルのやつとー」


自分の世界が滅びるかもしれないやつの食い気かこれ?


オプションでイチゴ増量をよいしょー よいしょーとかイクラ丼のこぼれイクラみたいにイチゴを乗せてもらうウェンディ。もうスーパーでイチゴ買え。


両手にフルーツとクリームもりもりのクレープを頬張りながら食べるウェンディとヘスティア。アーパスは抹茶アイスあんこ乗せを食べていた。


連絡があったらすぐに戻れるようにヒムロの神社近くのホテルに泊まっているのでヒムロはユキメと夜になると遊びに来ていた。


「そやけど国中の神の加護持ちとか考えられへんな。氷の加護も付けたろか?」


「もういいよ。こっちの神も加護を付けられるとか知らなかったよ」


「ほんまは加護を付けたらあかんねん」


「どうして?」


「だいたい悪用するようになるやろ?人間とはそういうもんや。神の加護を貰った人間は周りも持て囃して祭り上げて行くから勘違いすんねんやろなぁ」


そうかもしれんな。


「セイは喜んどらんかったな?」


「俺は加護をなすりつけられたと思ってるからね。神の仕事を俺にさせようと思いやがって」


「それもあるけどな」


「なんか違う意味があるのか?」


「皆口には出さへんけど感謝してるんちゃうか?神が人間に感謝する言うのもおかしな話やけど、向こうの世界は楽しいやろ?そんな場を作ってくれた礼ちゃうかな。あそこは食いもんも豊かやし悪いもんも皆が自分らで倒せる。神はなんかしたりとうなってもなんもする必要あらへん。特にセイは力があるしな」


「俺は別になんかしてもらおうとは思ってないよ」


「せやからや。お前はなんも欲しがらへん。そこへ毘沙門が勝手に加護を付けよったやろ?誤解かもしれんけどそれをセイが喜んだと思うたんや。ほならワシもワシもとなったんやと思うで」


ヒムロの言う事が本当だとしたらあれは好意だったのか?


「本気でこっちで神樣の仕事をさせるつもりじゃないってこと?」


「そんなん一人で出来るわけないやん。まぁ、あわよくばちょっと代わりにやってきてとかの下心はあるやろけどな。そやからあんまり怒ったたらあかんで」


セイはヒムロにそう諭されたのであった。



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