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影響

虹の町に戻ったセイはケビン達にオーガ島で修行をすることを提案した。


「え?鬼や神様相手に修行をすんの?」


「そうだ。相手は人知を超えた力を持っているからいい修行になると思うぞ。サカキ達もいるからしごいてもらえ」


「おにーちゃん、私達強くなれる?」


「多分な」


「いっ、嫌ですっ。どんな目に合わさせるか想像が付きますっ」


「オルティアの意見は聞いてない。お前は強制だ」


「なんでなんですかっ」 


「お前はそういう環境に置かないとやらないからだ」


ケビンとラーラは行きますと言ったがオルティアは逃げ出そうとしたので捕縛してオーガ島に連れて行く。


オーガ島では相変わらず相撲で勝負して酒を飲んで騒いでいるサカキ達。よく飽きないものだ。


「おっ、セイじゃねーか。相撲しにきたのか?」


「違う。ケビン達の稽古をつけてもらおうと思ってね」


サカキとクラマにヘスティアの試練の事を話す。


「カッカッカッ、いいぜ。相撲にも飽き飽きしてきたところだ」


嘘つけ。ノリノリでやってたじゃねーか。


「セイーっ、僕も一緒にやるー」


「えっ?ぬーちゃんもやるの?」


「最近ひまーっ」


そうだよな。ぬーちゃんもひょうたんの中でゴロゴロしてるだけみたいだし。


「ぬーちゃん、即死毒は出しちゃダメだぞ」


「うーん」


大怪我とかするだろうからポーションを大量に渡しておいた。サカキ達にはくれぐれも即死させるなよと言い聞かせておく。サカキやクラマはそのへんの事を理解しているだろうが神々の中には手加減を忘れるやつもいるだろうからな。


しかし、いつの間にか見知らぬ神が増えてやがる。異形の神もいるから魔物や妖怪と見分けがつかんな。


「この子ら鍛えたったらええのん?」


「は?アマテラスもやる気?」


「ヘスティアの試練って熱いのに耐えなあかんねやろ?ほならウチが手伝った方がええやん?」


「そりゃそうかもしれないけどやり過ぎないでね」


「わかってるって」


アマテラスも参戦するようだ。


ケビンとラーラは皆に宜しくお願いしますと挨拶をしたのでオルティアの捕縛を解いた。


ダッ


走って逃げるオルティア。オーガ島に逃げ場はないのに・・・


「まずは鬼ごっこか。自ら狩られ役をやるとはあっぱれな心意気」


あーあーあー、オルティアの奴アホだな。毘沙門達の狩猟本能に火を付けやがった。


「ケビン、ラーラ。お前らも早く逃げろ。ハンディとして100数えるまで追うのを待ってやる」


「えっ?」


「いーち、にー、さーん・・・」


サカキにカウントダウンされて訳も分からずオルティアの後を追うように走り出した二人。


健闘を祈る。


なんか向こうの方からオルティアの悲鳴が聞こえたけど聞こえなかった事にしよう。



「セイ、なんか美味しい物を食べたい」


「毎日食ってるだろうが」


「違うものが食べたいのっ」


と言われても俺が作るにしても砂婆に作ってもらうにしても違うものなんてもうないからな。


「あっちの世界に行く?」


もうほどぼりも冷めているだろうから帽子とか被っていたら大丈夫かな?


「ウェンディだけずりぃぞ」


「私も行く」


と、女神ズも付いてくるようだ。



ー元の世界ー


「やたら人が多いな」


確かに。別に普通の日のはずなんだけどヒムロを祀っている神社近くの鹿のいる公園にやたら人がいる。大半が外国人だ。


「これは観光客だね。他の国から遊びに来てんだよ」 


「何をして遊ぶんだ?」


「色々と見てるんじゃない?どこの店も人だらけだから違う所に移動しようか?」


駅まで歩いて電車に乗ることに。二階建て特急の下の席は貸し切りみたいに出来るのでそこのチケットを購入した。


移動中なんか食いたいというだろうから駅弁でも買うか。


「これなんで葉っぱに包んであるんだ?」


「殺菌とか風味付けとかじゃない?中身は魚を乗せた酢飯だよ」


「食ってみようぜ」


サバの方は苦手なんだよな。俺は鮭か鱒かわかんないけどこっちにしよう。女神ズは両方というので買い込んだ。駄菓子も大量だ。


電車に乗り込み出発する前に食べだすウェンディ。


「旨いか?」


「悪くはない」


好きな人はめちゃくちゃ好きなものだけどな。


葉っぱに包んだ寿司をムグムグと食った後はお菓子をガツガツ食う。


「そのお菓子は飲み込むなよ」


「なんでよ?」


「ガムといって味がなくなったら吐き出すんだよ」


そんなにたくさん口に入れてよく顎が疲れないよな、一粒ずつ食え。


女神ズは様々な味のガムを混ぜて口にいれ、この組み合わせはどうだ?とか遊んでいるうちに目的地に到着。駅から地上に上がるとここも観光客でいっぱいだ。


「はい」


と、ウェンディが手を出せと言うので手を出すとそこに噛んだガムを置きやがった。


「なにすんだよっ。紙に吐き出せっ」


「全部捨てたじゃない」


こいつは・・・


これを捨てようにもゴミ箱がない。仕方がなくコンビニに入り、トイレットペーパーで包んでゴミ箱に捨てた。


「おい、お前ら何そんなに持ってんだよっ」


ガムを捨てている間に山程お菓子やらパンやらを抱えてやがる。


「袋は必要ですか?」


「お願いします」


大量の買物で後ろの客にチッとか舌打ちされる。すまんね、コンビニでこんなに買い込んで。


袋をブラブラさせながらそこに手を突っ込み食べ散らかしていく女神ズ。


「何を食いに行くんだ?」


「さんざん食ってるだろうが」


「ちっげーよ。飯だよ飯」


はぁー、こいつら食いだしたら底なしだからな。


プラプラ歩くと豚まんが売っていたのでそれを購入。どこか座れる所は・・・と思っているうちに食い尽くしやがった。その後はお好み焼き、たこ焼き、ラーメン等を食べてから大盛りパフェだと。見てるだけで気持ち悪いわ。


しかし、どこも神様があっちの世界に行っているのに影響は出ていないみたいだな。神事の時には帰ってきているみたいだから大丈夫なのだろう。


キャーーっ


そんなことを思っていると女性の叫び声がした。


「なんだよ騒がしいなぁ」


ヘスティアはつんざくような悲鳴にしかめっ面をする。ここはナンパで有名な橋の近く。悲鳴は橋の方から聞こえた。


「見に行ってみよっ♪」


ウェンディが野次馬をしに行くので付いて行くことに。


そこには女の人の腕を掴んだ刃物を持った男がいた。警察官も駆けつけて来て対応をしているがあまりよくない状況だな。


「あの女はヤバいんじゃねーのか?なんとかしてやれよ」


とヘスティアが言う。


「あの男、悪霊に取り憑かれてるな。正気を保ってない」


あいつに縁のある悪霊かどうかは分からないが警察官の説得にも応じないだろう。


「キャッ」


その時に刃物を持った男が掴んでいた女性を振り払い、一目散にウェンディに向かって走り出した。


ヤバいっ。ウェンディはああいうのを引き寄せるんだった。


セイは式神を出すか迷った。ここで出すと人目がありすぎるのだ。


チッ


セイは式神を出さずにウェンディを身体で守る。


ズシャッ


「キャアァァァーっ」


刃物を振り下ろした男はセイの腕を斬った。そのことにより野次馬の女性が声を上げ、警察官が拳銃を構える。


「ヘスティアっ、ウェンディを頼むっ」


ウェンディをドンッとヘスティアの方へ突き飛ばし、セイは男の腹を殴って倒した。警察官がこっちに来る前に除霊を行う。悪霊を強制的に消滅させるのだ。


倒れた男の腕をひねり上げながら術を唱えて悪霊を消滅させた。


セイは警察官に男から引き剥がされて保護され、男は確保された。


「大丈夫かね君っ、すぐに救急車で病院へ」


「いや、かすり傷なのでお構いなく」


「しかし血が・・・」


「大丈夫ですって。じゃ、俺はここで」


「君は被害者なんだから一緒に警察まで来て下さい」


「被害届けも出しませんので大丈夫です」


「待ちたまえっ」


セイはウェンディ達を連れて人混みに逃げた。追いかけてくる警察官。逃げるセイ。悪いことをしていないのになぜ逃げなきゃならんのだ。しかし捕まると面倒臭いのはわかり切っている。ウェンディ達も一緒に警察へ同行させられたら身分証明が出来ない外国人として調べられるだろう。


セイは近くにある神社を思い出してそこから異世界に逃げたのだった。



屋敷に戻ったセイ。


「なんで逃げたんだよ?いいことをしたんだろ?」


「お前らが調べられたらまずいんだよ。パスポートがないから不法入国として捕まる」


「そうなのか?」 


「そうなんだよ」


セイは屋敷で今の騒動がネットに晒されてないか確認するともう動画がたくさんアップされていた。ウェンディ達はチラッとしか映っていないが自分はバッチリ晒されている。


正義のヒーローはどこへ消えた?とかタイトル付いてるし。


ん?


これに関連するカキコミがやたら多いな。


どうやら各地でこんな事件が増えているようだ。捕まった後に意味不明の言葉を発して病院送りになるケースが多く、薬物中毒が疑われるも何も検出されないことから新手の薬物か?とか言われているようだ。多分これらは悪霊の仕業なんじゃなかろうか?


後日、あのときのニュースを見てみるとセイが除霊した男はなぜ自分があのような事をしたのか何も覚えていないと供述したと書かれている。


これ各地で発生しているなら神が常駐していない影響なんじゃないか?



嫌な予感のするセイなのであった。


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