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オルティアとケビンとラーラ

土俵は各国に作られて行くことになり、各王に土地の提供をお願いする。公民館ぐらいの簡単な物をと思っていたが大国の王都に国技館みたいなものが建設されるという大掛かりな事になってしまった。


「で、春はアネモス場所、夏にボッケーノ場所、秋はアクア場所、冬にガイヤ場所でいいね」


「おお、いいぞ。各場所に神社も作ってくれ」


毘沙門のリクエストで神々が移動しやすいように移動ゲートとして神社をリクエスト。


格技場の建設は各国で、神社の建設はクラマの指導の元で作られる事になった。サカキと毘沙門は場所が開催されるときにはそこへ移動し、自陣の者を選んでサカキ組対毘沙門組に別れての対戦だそうだ。


「神社の御神体は何にするんじゃ?」


「ウェンディ達でいいだろ?他の神をこの世界で祀るわけにはいかないんだからさ」


「そうじゃの」


神社は元の神々が移動するためだけのもの。ウェンディ達を祀るのはちゃんと教会があるからな。しかし、他の世界の神を好き勝手させてるけど大神は何も言ってこない。問題はないのだろうか?


セイは建築関係は皆に任せて普段の生活に戻った。アーパスが虹のまちにいるので最近はアネモスより虹のまちにいることが多くなっていた。


「セイ、そろそろオルティアにヘスティア様の試練を受けさせようと思うんだけどよ」


「他のメンバーは?」


「いやぁ、育ってはいるがオルティア以外はちょっと無理だな」


「ならケビンとラーラと組ませるか?」


「確かボッケーノ領主街のギルマスの子どもたちだよな?強くなってんのか?」


「みたいだよ。もうAに上がったと言ってたから」


「ほう、随分と早く上がったんだな」


「兄妹であちこちの高難易度の依頼をこなしているからね」


チーヌはオルティアにヘスティアの試練をさせるらしい。ガッシーもリタと冒険者の店をやるようになってから実質一人で面倒を見ていたのもそろそろ終わりのようで、後はオルティアに任せるらしい。その最終試験だ。


「えーっ、他の人と組むんですかぁ。足で纏いですよぉ」


「オルティア、お前は自分が強くなったと思ってうぬぼれてんだろ?」


「当然です。今や私はアクアで最強の魔法使いなんですよ」


ふふんと胸を逸らすオルティア。確かに随分と強くなって他のメンバーより先にSに上がったのだ。


「まぁ、いいか。ヘスティアの試練は死にはしないと思うけど死ぬような思いはするからな」


「もうそんな事はありえませんっ。風と炎の魔法を極めた私に敵なんていないのですっ」


その両方ともヘスティアの試練には相性が悪いんだけどな。


「おう、楽しみにしてんぜ。セイ、イフリートも参戦させようぜ。オルティアの野郎敵無しみてぇだからよ」


「えっ?」


「大サービスってやつだ。なぁ、セイ。イフリートとやったのお前だけなんだからよ。他の奴らがどれぐらいやるか見てみてぇ」


「あ、あの、ヘスティア様・・・、大精霊を相手にするのはちょっと・・・」


「お前は追い込まれないと本気を出さねぇからな。楽しみにしてんぜっ」


いらぬことを言ったオルティアはヘスティアのSっ気に火を点けた。相変わらず馬鹿な奴だ。


リタの弟達はチーヌがまだ指導をするとの事でオルティアだけを連れてボッケーノへ移動。



「うわっ、なんですかこれ?」


「魔導列車だ。アネモスーガイヤの移動は1日で行けるようになったんだ。乗ってみたいか?」


「い、いえ、大丈夫です」


まずはボッケーノ王都の魔導列車乗り場に連れて行った。高速魔導列車は6両編成が2編成。両国から朝に出発して夕方着だ。途中駅は領主街とガーミウルス地区。駅で1時間ほど停車して駅前でご飯を食べたりお土産を買ったりする時間を設けてある。特別車両はゆったり座って快適だが一般車両は値段を落としてぎゅうぎゅう詰めだからな。


オルティアに特別車両に乗せてやろうと思ってたのに断られたのでドアで移動する。


まずは領主街のギルドへ。


「ギルマスいる?」


「はい。お待ち下さい」


夕方前なのでギルドは暇そうですぐにギルマスがやってきた。


「おう、久しぶりだな。どうした?」


「ケビンとラーラがヘスティアの試練を受けるかなと思って」


「まだ無理だろ?」


「そうかな?」


「当たり前だっ。あいつらパーティに入らんと二人でやっとるんだぞ。それに毎日毎日・・・」


とても渋い顔をするカント。どうやら毎日喧嘩しながら依頼をこなしているらしい。どっちが強いかで連携どころじゃなく個々の力技でやっているようだ。


「ケビンが邪魔だって言ってんのっ」


「お前が無茶な突っ込み方をして危なねぇからだろうがっ」


「あんなの私の魔法で瞬殺できるのわかってるでしょっ」


なんかギャーギャー言い合いをしながらギルドに入ってきたのはケビンとラーラだった。


「うるさいっ。大体いつもお前の勝手な・・・。ウェンディっ!」


「おにーちゃんっ」


険悪な顔からセイ達を見付けてすぐにパァッと明るくなったケビンとラーラ。


「ラーラに会いに来てくれたのっ」


とガバッと抱き着いてくるラーラ。


「ちょっとぉぉぉぉっ、離れなさいよっ」


「えーっ、ちょっとぐらいいいじゃないっ。ねー、おにーちゃんっ」


奥さん譲りの怪力になったラーラはウェンディがひっぺはがそうにも動じずに抱き着いている。


「ウェンディ、久しぶり」


真っ赤な顔でぐぬぬぬするウェンディを見つめるケビン。ウェンディ、返事ぐらいはしてやれ。


「なんだよっ、お前等俺様には挨拶なしかよ?」


「へ、ヘスティア様もお変わりなくお美しくて」


「けっ、今更そんなお世辞はいらねーよ。それよりラーラをセイから引き離せよ。バチ当てんぞっ」


「こらっ、ラーラ。ヘスティア様に挨拶しろよ」


「ヘスティア様、こんにちはっ」


「いいから離れろって言ってんだよっ。バチ当てられんぞっ」


「もうっ」



「とまあ、こんな感じだ」


はぁーっ、とため息をつきながら両手を広げるカント。


ケビンはまた大きくなってワイバーンマントもツンツンだし結構傷んでる。ラーラは普通の防具か。この装備でヘスティアの試練はちょいとしんどいな。イフリートも参戦することになってるし。


「なぁ、さっきからウチらの事をほったらかしやで」


あ、ギルマスにもアマテラスとウズメを紹介してなかったわ。


取り敢えずギルマスももう仕事をあがるとのことなので酒場で少し飲みながら話すことにして、アマテラス達をカント達に紹介する。


「よろしゅうな」


「は、はい。こちらこそ」


アマテラスに微笑まれたケビンは赤くなった。君、可愛い娘に弱いね。チャームとかめっちゃ効きそうだ。


「アマテラスさんも女神?」


「そうや。あんた美人やなぁ。モテモテやろ?」


「うふふふっ。おにーちゃんにお嫁さんにしてもらうのに頑張ったの」


「ラーラ、いい加減にしろ。セイが困っとるだろうが」


「そうよ。俺様のなんだからなっ」


「俺様のって何よっ。わたしのなんだからねっ」


あー、もう。俺は物じゃないぞ。


「はいはい、もうその話は終わり。ケビン、お前、もうその装備小さいし傷んでるな。他のに変えないのか?」


「そうなんだけどさぁ。これは軽いし着心地いいし炎なんてへっちゃらだから代わりになるものがないんだよね」


「その割には焦げてるじゃん。何と戦ったんだよ?」


「ラーラだよ」


「は?」


「ラーラ、お前ケビンに魔法攻撃したのか?」


「違うのっ。私が魔物に魔法攻撃するのにケビンが邪魔するのっ」


「俺がやると言ってるのにお前が後ろからぶっ放したんだろうがっ。にーちゃんがくれたこのマントがなかったら黒焦げになってたんだからなっ」


また兄妹喧嘩を始める二人。


「やめんかっ!」


カントに怒られてプクッとほっぺを膨らませるラーラ。ここは変わってないな。


「試練を受ける前に装備の素材を取りにいくか。オルティアとの連携も慣れておいたほうがいいからな」


「え?俺達オルティアと連携すんの?こう言っちゃなんだけど俺達Aランクなんだけど」


「私はSよ」


「えっ?昔は弱っちかったじゃん」


「青年、人は成長するものなのだよ」


ふふんと自分の方がランクが上だと自慢するオルティア。


「セイ、素材を取りに行くってどこに行くつもりだ?ワイバーン狩りってわけじゃねーだろう?」


「俺と同じ装備の素材だよ」


「えっ?マジで連れてってくれんの?」


「私もウェンディが前に来ていたコートみたいな装備が欲しいっ」


ギルド内なので大声でドラゴン討伐とは言えないが二人はすぐにわかったようだ。


「お前・・・、人の子供をそんな所に連れて行くつもりかっ」


「なんかあったらフォローするって。ギルマスも行く?」


「は?」


「ほら、父親参観みたいな感じで二人の活躍を見に来れば?行き帰りはすぐだから」


「マジかよ・・・」


続きの話は家に帰ってからということになりカントハウスに移動した。



「あらぁ、セイくん。いらっしゃぁい。また女の子連れて来たの?」


「アマテラスとウズメ、俺の居た国の最高神と踊りの神様ですよ」


「また女神様をたらしこんだのかしら?」


なんて人聞きの悪いことを言うのだ。


「違います。アマテラスは他の神々よりクラスがぐんと上なので皆が気を使うから付いてきてるだけです」


「あらぁ、ラーラのお母さんもべっぴんさんやわぁ。こんな大きな子供がいてはるなんて思えへんねぇ、なぁウズメ」


「はい。美しくもあり可愛らしくもあられます」


「うふふふっ、やぁえねぇ」


どすうッ ぐふっ


なぜ俺が肘鉄を食らわにゃならんのだ。


ごふごふと咳き込んだ後にご飯をお呼ばれに。


「え?駅前の土地で肉屋をやるんですか?」


「ほら、ケビンもラーラも手がかからくなって暇でしょ?だからお店をしようと思って」


奥さんの話では加工肉のお店をやるらしく、肉の仕入れはケビンやラーラが肉を狩って来させるらしい。それに伴い家も転居するとの事。


「いつ頃ですか?」


「来年よ。だから遊びに来るときは家を間違わないでね」


「ギルマスが出勤するの遠くなるね」


「まぁ、しれてるから構わん。それにそのうちギルドも引退するつもりだからな」


「もう引退するの?」


「子供が巣立ったからな。後はノンビリやるさ」


ギルマスも若く見えるけどもうそんな歳なのか。マモンとかどうすんのかな?


「で、ケビン達をドラゴン討伐に連れて行くんですって?」


「オルティアがヘスティアの試練を受ける事になってね、一人じゃなんだしケビン達と組んでチャレンジしたらどうかなって思って来たんだよ。で、装備がヤバそうだから先にドラゴンの素材を手に入れた方がいいかなって。まだ素材は持ってるからあげてもいいんだけど」


「俺はにーちゃんみたいに自分で狩った獲物の素材で作りてぇぜっ」


「私もウェンディみたいな奴を自分で狩りたーい」


「わっ、私は貰えたらそれでいいです」


「オルティアにはやらん」


「どうしてですかっ」


「お前は甘やかすとダメだからな」


「セイさんは私にだけいつも冷たいですっ」


「なら先に一人でヘスティアの試練を受けるか?」


「嫌ですっ」


オルティアも大人になったくせに全然変わらんな。



そしてカントも奥さんもドラゴン討伐を見にくことに決まったのだった。



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