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また増える

「向うに帰ろうか・・・」


もう安住の場は無い。どこにいても誰かが来るのだ。それならば気を使わない向の世界の方がまだ楽だ。


晩御飯をアマテラス達と食べて屋敷に戻った。


「へぇ、ここに住んではるんや。ええとこやね」


「アマちゃんとウズメは好きな部屋を使って。こっちに寝に来ないでね」


「なんやイチャイチャすんの邪魔されたないん?」


「してません」


「セイ、なんか他のゲームは無いのかよ?」


「狩りのゲームをみんなでしたら?」


「なんやのそれ?」


アマテラスとウズメにゲームのやり方を教える。ウェンディとヘスティアには説明書を見ながらアイテムはこうでとか横で説明だ。


「いやぁぁぁっ、この子強いやんっ」


「アマテラス様、危ないっ」


ヘスティアとウズメは上手かった。ウェンディとアマテラスは下手だった。共同の狩りでだんだんと邪魔になるウェンディとアマテラス。


「ウチ、甘いもん食べたい」


「わたしはポテト」


下手くそ二人はゲームに飽きて食い気に走る。狩りのゲームはヘスティアとウズメでやることでスムーズに進みだした。


ポテトと甘いものか。この前タマモがさつまいもを揚げて飴に絡めたやつと言っていたな。


「砂婆、作れる?」


「大学芋じゃな」


あれをなぜ大学芋と言うのだろうか?



砂婆が大学芋を作ってくれているのでタマモも出てきた。


「なぁ、セイは知ってるん?」


「何が?」


「これ元々は大睦のお菓子やねん」


「そうなの?」


「そうさね」


「へぇ」


「調理方法や食材は異国から来た奴も多いんだよ。独自に進化していっているからもうどこの料理かわかりにくいさね」


「そうやねぇ。美味しいもんはどんどん増えていったけど食べたことがないもん多いからどんなんやろなぁって思うててん」


「ん?食べたことがない?」


「そうやで。お供えもんはようけしてくれはるけど、生のもんが多いやろ?ウチら調理方法も昔のしか知らんし」


なるほど。


「それで付き纏ってんの?」


「そんな言い方せんといてぇな。そら全く食べたことないわけではないんやで。毎月違った種類のあんこ巻いた餅とか供えてくれはったり料理も供えてくれはるけどな」 


神事の料理は昔ながらのが多いからな。


出来たての大学芋はアチチなので少し待てと砂婆に言われる。


「もう大丈夫じゃろ」


「うん、焼き芋も美味しいけどこれも美味しいやん。めっちゃ甘いわぁ」


ウェンディはポテトは?というので冷凍してあったのを揚げていく。これをあてに甘口のシャンパンを飲むらしい。


「なんなんそれ?」


「シャンパンっていう葡萄から出来たお酒だよ。飲んでみる?」


「いやぁー、これめっちゃ美味しいやん♪」


アマテラスはシャンパンをぐびくび飲みだした。ジュース感覚なのだろう。


「あーーっ、ずりぃぞっ。俺様にもくれよ」


「何飲む?」


「ハイボール。ウズメは何を飲むんだよ?」


「同じ物を頂きます」


なんか意気投合したなこの二人。ゲームの共同作業が功を奏したか?


「なぁ、ウェンディはセイのお嫁さんなん?」


「そっ、そっ、そっ、そうよっ」


真っ赤になるウェンディ。お嫁さんとはちょっと違うけどまぁいいか。


「ほならウチとも親戚や言う事になるんやねぇ」


「えっ?」


「ほら、セイにはウチらとおんなじもんが混じっとる言うたやろ?そやからそのお嫁さんやったら親戚言うてもおかしないやん。それに神さん同士やし」


「なら俺様とも親戚ってことかよ?」


「そうやねぇ」


ヘスティアは仲間意識が強い。親戚=身内みたいな捉え方をしたのか普通にアマテラスと話すようになっていく。ウェンディもアマテラスがセイにちょっかいをかけるのではないと理解したのか打ち解けていった。


「セイ、アマテラスまで面倒を見る気かい?」


「面倒見るとかじゃないけど・・・」


「そうそう、なんでウェンディとセイは知りおうたん?違う世界に住んでたのに?」


アマテラスに今までの事を離した。


「へぇ、神から落ちこぼれはったんやねぇ」


「うっさいわねっ」


「ほならウチも落ちこぼれたんと変わらんねぇ。なぁウズメ」


「口惜しいけどそうですね」


「二人共ちゃんと祀られているだろ?」


「そやけど本気でウチらの事を信じている人なんかもうおらんやん?困った時にはなんや強う願わはるみたいやけど。それにもうやることないからおらんでも一緒やんか」


酔いが回って来たのか少し愚痴りだすアマテラス。


「お前、他の神もたくさんいるから寂しくないって言ってたじゃねーかよ」


「そうやねんけど、みんなウチやツクヨミには気ぃ使わはるやろ?」


確かに神の中でも二柱は最高クラスだからな。


「高天原に戻ればいいんじゃないの?」


「あそこはあそこで面倒やから嫌やねん」


「いつもいるのは伊勢か?」


「そうやねぇ。あそこにいることが多いけど各地の神事にも行ったりするで」


ウズメはアマテラスの暇つぶしに踊って見せたり世話を焼いているらしくずっと一緒にいるとのこと。


「二人でずっと一緒におると話すことものうなっていくやろ?それにすることもないし」


ウェンディとヘスティアはアマテラスの気持ちが理解出来る。自分たちもそうだったからだ。


「なぁ、ここにおったらあかんやろか?」


セイはウェンディとヘスティアを見る。


「神事がある時はちゃんと帰れよ」


「ほならええのん?」


「しょうがないわねっ。セイにちょっかいをかけないでよねっ」


「そんなんせぇへんって。おおきになぁ」


はぁ、まさかアマテラス達まで面倒を見ることになるとは思わなかったな。と言っても飯を食わせるぐらいだが。


ヘスティアとウズメはゲームの続きをやりに行ったので風呂に入りに行くことに。


「ウチと一緒に入るん?」


「入りません。アマテラスはウェンディ達と露天風呂に入って来たら?俺は中の風呂に入るから」


「別に一緒に入ったらええやん?」


「あのなぁ・・・」


「同じもん混じってるどうしやねんから見られても恥ずかしないで」


「俺は一人で入りたい派なの」


「ふーん、ほならウチら中の風呂に行こ。この世界の人はウチの事が見えんねやろ?外やったら恥ずかしいやんか」


ということでセイが露天風呂、皆は内風呂に入りにいく。アマテラスがいるのを他の神もわかるのか誰も勝手に屋敷に入って来ない。アマテラスは神避けとして優秀だな。



はぁ〜と風呂で一息付いていると騒がしい声が近付いてくる。ヘスティアとウズメだ。


「入ってくんな。俺が入ってるからっ」


中から大声で叫ぶ。


「だから、なんであそこで罠を仕掛けねえんだよっ」


「まだ弱りきっていなかったではないかっ」


「もう絶対捕まえられたって」


「なぜあと2〜3撃が我慢出来ぬのだっ」


「死んじまったらどうすんだよっ」


ゲームの事でヒートアップする二人にはセイの声が聞こえない。


ガラッ


セイは後ろを向いていた。大声で呼びかけても返事がなかったので入ってくると確信していたのだ。


「変わってやるからもうちょっと待て」


ヘスティアはセイの姿を確認して瞬時に神服を装着。ウズメは平気なのかそのまま入ってきやがった。


「待てと言っただろうが」


後ろを向いたままそう二人に言うセイ。


「神服を着てんよっ」


「セイはアマテラス様と繋がりのあるお方。お背中を流しましょう」


「ウズメ、俺にはそんなことをしなくていい。出るからちょっと待てと言っただろうが」


「見られても気にしませぬ」


「俺がするんだよっ。ヘスティアも止めろよな」


「あっ、そういやそうだな。あまりにもこいつが堂々としているもんでよ。ほら、あっち向いとけ」


はぁ、全く。どういう感覚してんだウズメは?



風呂から出たセイはぐったりとしてウェンディ達を待たずに寝た。ヘスティアはあのままゲームを再開するだろうしウェンディもタマモがいるから風呂で寝ても大丈夫だろう。


これは男が俺一人と言うのが問題なのかもしれん。明日、クラマと毘沙門を連れて虹のまちに行こう。アマテラスもいればウカノのもタマモと喧嘩しないだろ。


セイが寝ている横に寝たウェンディを運んで来たタマモ。二人を隣同士に寝かせてひょうたんへと帰って行ったのであった。

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