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拡散されてる

「セイ、酒だせよ」


「お前ここでも飲むのかよ?」


「当たり前だろ?お前の家族と飲んどかねぇとな」


サカキは父さん達に飲ますつもりか。ならドワーフの酒はヤバいな。アクアの上等なワインと蒸留酒にしておくか。


「父さんと母さんはワイン飲む?蒸留酒の方がいい?」


「酒持ち歩いてるのか?」


「肉とかも持ち歩いてるよ。ラーラの作ったベーコンとか食べてみる?」


父親は蒸留酒、母親と妹はワインを飲むと言ってグラスを持ってきた。サカキ達のも頼んでおいた。


「ベーコン焼いてこようか?」


「鉄板があるからここで焼こうか」


と家庭用鉄板を出し、サイン入りナイフで切っていく。


「異世界にもホットプレートとかあるんだね」


「家電じゃなしに魔導具って呼ばれてるんだよ」


蒸留酒組とワイン組に別れてもう一度乾杯する。


「おっ、このブランデー旨いな」


「こっちのワインも美味しいわ」


異世界の酒は口に合うようだ。


「えっ」×父母


酒を飲んで旨いと言った二人はフリーズした。


「父さん、母さんどうしたの?」


「みっ、見えるぞ。私にも妖怪が見えるっ」


「わ、私にも・・・」


え?異世界の酒ってそんな力があんの?


「カッカッカッ、そいつぁ好都合だ。ほらもっと飲めよ」


「お父さん達もみんなが見えたの?」


「えっ、ああ。皆さん、誠を育ててくれて心より感謝する」


「本当に。タマモさん誠をありがとう」


「タマモ、噛み殺すんじゃなかったのかよ?」


「ロクでもない母親だったらと言っただろ?こんな所で物騒な事を言うんじゃないよ」


「噛み殺す?」


「そうじゃ、タマモはセイを我が子のように可愛がっておったからの。お前がセイを捨てたまま謝りもせんかったら噛み殺されていたおった所じゃ」


クラマの説明を聞いて青くなるセイの家族。


ぬーちゃんは猫サイズでセイの首に巻き付き、すずちゃんは妹の膝に座っていた。


「誠、砂婆さんも呼んで頂戴」


母親がそういうので砂婆も呼び出した。母親は砂婆にも丁寧にお礼を言った。ソファには全員座れないので避けて絨毯に直座りする。


「このベーコンめっちゃ美味しい」


焼けたベーコンを先に食べた妹。そしてその匂いにつられて女神ズが起きる。


「よう、飲んでるなら起こせよ」


「あ、すずも出て来てる」


アーパスは妹とすずちゃんの方に行った。


妹とアーパスの会話はすずちゃんが通訳するようだ。ウェンディは素知らぬ顔で焼けたベーコンをひょいぱくしている。


サカキとクラマは父親と、タマモと砂婆は母親とセイが小さい頃から今までの話を朝までしたのであった。



少し仮眠して帰ることに。ウェンディとヘスティアは寝たままだ。


「お前、そんな格好で帰るつもりか?」


「いつもこんなんなんだよ。こいつら軽いから大丈夫」


ヘスティアを抱っこ紐、ウェンディをおんぶ紐でくくり、アーパスとは手を繋ぐ。


「軽いとかそういう問題じゃ・・・」


起きるまで待てと言われたが夕方とかになったらまたラッシュアワーに巻き込まれるから昼間の間に出発したいのだ。


「ご馳走様でした。また連絡するよ」


「お兄ちゃんまた来てね」


「うん、また来るよ」


「誠、元気でね」 


「うん、母さんも」


こうしてセイはジロジロ他の人に見られながら駅に向かって歩いて行ったのだった。



「異世界だと女の子を抱っこやおんぶするって普通なのかな?」


「わからん・・・」


「女神さん達、奥さんか子供かわからないわね」


「人間の結婚とは違うと言っていたからな。俺たちには理解出来ない世界なんだろう」


セイ達を見送った家族は頭が混乱したままで、まだ自分たちは酔っているのではないかと思ったのであった。



電車に乗るときに皆を起したセイ。新幹線の駅で降りてデパ地下へ行き、高級なお菓子やチョコを買っていく。買い物をしてはトイレに行きアイテムボックスに入れてを繰り返して大量に買っておいた。かなりの量を新幹線の中で女神ズに食べられてしまったが無事に屋敷に戻ったのであった。


神道の中にWi-Fiの機械を設置してアンテナを外に出すと屋敷の中でWi-Fiが使えたのでスマホもパソコンもネットに繋げられた。異世界でも向こうの情報が手に入るとは凄い。


げっ


チューブにアクセスすると人気の動画がアップされており、そこにはヘスティアやウェンディがダンスゲームをする姿があった。


盗撮したやつをネットで晒しやがるとは・・・


「うわぁぁぁっ」


「どうしたのよ?」


類似動画がパパパと表示された中に、ウェンディを背負い、ヘスティアを抱っこしてアーパスと手を繋いでいる自分の姿があった。


今日の今日だぞこれ?


「なんだよ?俺様達が映ってんじゃねーかよ」


そしてそれは他のSNSでも拡散され、何語?とかどうやったらこの髪色に出来る?とか色々な書き込みがある。再生回数も恐ろしい事に・・・



「もうしばらく向うに行けないぞこれ」


「えーっ」


「しょうがないだろっ。そのうちなんか調べられんぞこれ」


セイは元の世界に行くのをしばらくやめておこうと心に誓ったのであった。



マリーやアーパスのお宿に高級チョコをお土産兼サンプルとして渡しておく。そのうち似たような物がこの世界でも食べられるようになるだろう。


セイは大神の扉を使ってアネモスのチョコ、ビビデバビデの武器と防具、ティンクルのポーションの運び屋をしていく。運搬船も順調に造船されており、アネモスからボッケーノへの線路も着々と作られていた。


セイは妖怪達が住む場所を作るのにオーガ島を選んだ。ここならヒョウエ達もいるし魔物も魚も捕れる。他の人間にも干渉を受けにくいしちょうどいいだろう。



「島を広げる?」


「うん、いいかな?」


「出来るなら構わんが・・・」


セイはテルウスの力を使って毎日少しずつ海底を隆起させて島を広げることにした。一気にやると津波みたいなのが発生するかもしれんからな。


運び屋と妖怪達の住処作りをやる日々が続き、一年がすぎる頃にアネモスーボッケーノ間の線路が開通し、輸出用の船も完成した。船は全部で4隻作るらしく、毎月定期輸送をする体制にするとのこと。客室もあるので旅も可能だ。


「この船はどれぐらいでガイヤまで行けるの」


「一週間から10日ぐらいで行けると思うぞ」


「え?そんなに速いの?」


「こいつぁ、魔導船だからな。風が無くても問題ないし戦艦の技術を生かしてるから水の抵抗も少ない。あとは料金設定をどうするか問題だな」


「あー、魔導船なら動力無料だからね。まぁ、安価の方が皆が利用できていいんじゃない?そこはマリーと決めてよ」


「普通水力発電というか発魔力をするためのダムなんぞ作ろうと思ったら死ぬほど金が掛かるがそれをミナモトくんが作ったろ?その代金は請求せんのか?」


「そうだね。国庫のお金も俺が金を持ってきたやつが多いから貰う必要もないよ」


「まぁ、ミナモトくんは金なんかどうでもなるか。港はアネモス国が作り直しているから幾分かは金が掛かってるがそれも輸出入が始まったらすぐに回収出来るだろうからな。それから線路はその港まで繋げる」


「貨物線ということだね」


「そうだ。並行してスピードの出る客車を走らせたいんだが長いレールの方がいいだろうな」


「あれどうやって作るんだろうね?」


「多分溶接するとは思うが、魔道具の溶接設備は結構デカくてな。現場に持っていくのも苦労するんだ」


溶接かぁ


「それ、手伝おうか?」


「どうするつもりだ?」


「ヘスティアの加護の力で溶接出来る熱量出せると思うから職人と一緒にやるよ。レールを運んでおいてくれたらやるね」


「おー、なら速いやつを作らんといかんな」


アネモスーボッケーノ間の路線は単線だ。将来的に複線化を目指して土地は広めに作ってあるから複線化せずに貨物用と旅客用にすればいいか。列車の運行数が増えるようなら駅で対向させればいいし。


高速客車は一年後に工事開始として先にレールの作成や枕木とか設置していくとのこと。俺の出番はまだまだだな。


その間にオーガ島に新しく広がった土地を改良していく。


「セイ、釣り場を作らんか」


「釣り公園みたいなもの?」


「そうじゃ。釣り好きな妖怪は多いでの」


クラマの指示でここはこう、ここにはこんなのをとか言われた通りに作っていく。一応漁師たちが海が荒れた時に避難出来る港も作っておいた。


そのことを漁師ギルドに伝えに行く。



「そうか。それは助かる」


「鬼だけでなく異形の者が多く住むと思うから魔物と間違わないでね」


「おう。それでな、昔お前が買った船はどうなってる?」


「ちゃんと持ってるよ。数回は使ったけど」


「息子が漁師をやると決めたみたいでな、よかったらあの船を売ってやってくれんか」


「もちろん。そのために持ってたからね。値段は払えるだけでいいよ」


「いや、新品の値段と言う訳にはいかんが相場で売ってやってくれ。その為に頑張って金を貯めたみたいだからな」


ということで購入時の半額で売った。父親がいなくなって母と子供だけでお金を貯めるのは大変だったろう。


「綺麗なままで持っててくれてありがとう」


「事故に気を付けて乗れよ」


「わかってる。他の漁師の船を手伝って耳がタコになるぐらい言われてるからな」


「漁師を一人でやるの大変じゃないか?」


「まだ人を雇える程の腕も金もないし、仕方がないよ」


「なら釣り船でもするか?道具は仕入れてあるから客さえいればすぐに商売出来るぞ」


「釣り船?」


「アクアに虹のまちという漁村があってな、そこは観光客向けに釣り船も出てるんだよ。アネモスにはまだそんなのがないから流行れば儲かるぞ」


「釣り船かぁ」


「釣れるかどうかは船頭の腕しだいだからな。釣れるポイントを知っていれば他の奴らが参入しても勝てるんじゃないか?」


「わかった。人を雇う金が貯まるまで釣り船をやってみるよ」


「なら、就職祝として道具10セットやるよ。壊れたり追加がいるなら次からは買えよ。そのうち輸入されてくると思うから」


「いっ、いいのかよっ」


「母さんと妹を楽にさせてやるんだろ?しっかり頑張れよ」


「うんっ」


これでアネモスにも釣り文化が浸透していくかもしれんな。虹のまちの釣具職人も仕事が途切れずに入るようになるだろう。


こうしてセイは着々と各国の発展をさせるきっかけを作って行くのであった。


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