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父親からのメール

「奥さん、冗談でもそんな事を言わないで下さいよ。本当に殺されるかと思ったじゃないですか」


「セイくんが本当に死なないか試そうかと思って、うふっ♪」


うふっ♪じゃねぇ。俺が歳を取らないかもしれないのはマーメイの血の影響かもしれない。そうだとすると不老であって不死ではない。肉を食ったわけじゃないからな。


「奥さん、殺されたらちゃんと死にますから」


「あらぁ、それなら避けてくれてよかったわぁ」


奥さんってこういう感覚が独特だよな。魔族ってこういうものなのだろうか?



その後、奥さんはカントにラーラの将来の事を話したらしく、翌朝にはラーラを頼むとカントからもお願いされたのだった。


食べそこね続けているチョコは奥さんにオヤツに食べてと渡してカントハウスを出発したのであった。



セイはオーガ島に移動する。


「よぉ、セイ。どっかに行くんか?」


「ちょっと向こうの世界にね」


「何しに行くん?」


「写真の現像だよ」


「見せてや」


と、ヒムロが言うのでスマホの画面を見せる。


「おっ、ええやん。俺らのも撮ってぇや」


と言うのでヒムロとユキメのツーショットを撮ってやる。ついでにヒョウエ達やマーメイ達も来ていたので皆も撮影しておいた。


元の世界に戻り、携帯ショップに行ってみる。ここだとスマホから直接プリントアウト出来るとコンビニ店員に教えてもらったのだ。


「いらっしゃいませぇ」


「この機械を使っていいですか?」


と、プリントアウトをしようとしていると店員さんからもう古いスマホなので買い替えはどうですか?と言われた。


「外国と行ったり来たりしているのでスマホ契約してないんですよ」


「でしたらこちらはどうですか?」


と、教えてくれたのがプリペイドのスマホシムだ。使いたい月にだけお金を払えばいいらしい。データ使用量は少ないけど無料Wi-Fiも使えるからちょうど良いですよだって。


スマホ本体は買い替えると結構高い。が、カメラ性能は持っているスマホより格段にいいみたいだし、家電量販店に行けば自分でプリントアウト出来るプリンターもあるそうだ。


カメラ性能の一番良いスマホとプリペイドシムを購入して写真データも移し替え。太陽光パネルを買った店に行ってプリンターやパソコンも購入しておいた。パソコンにデータを保存しておいた方がいいとおすすめされたのだ。


セイはウェンディ達とファストフード店でご飯を食べながら父親にメールを送ることにした。


ベースは向こうの世界で住むが、時々こっちにも帰って来れることを書いておく。メールはその時に受信出来るけど返事が遅くても心配しないでと。


ついでに写真も添付しておくか。


スマホではなくパソコンをパチパチしながらファストフード店の無料Wi-Fiを使って送信っと。


ここのWi-Fiは遅いのか結構時間が掛かるな。


そう思いながらポテトに手をやるともうない。


「ウェンディ、お前、俺の分まで食ったろ?」


「別にいいじゃない」


ポテトは単品で山程追加したのに全部食ったウェンディは俺の分まで食っていやがった。


ポテトぐらいで目くじらを立てるのもなんなので追加でポテトと期間限定パイを頼んで食べ終わる頃に送信が終わっていた。


「さ、帰るか」


「えーっ、ゲーセン行こうぜ」


「私も行ってみたい」


今回はアーパスも付いて来ている。アーパスには観光をさせてないのでゲーセンに行くことに。


「これなんだよ?」


「音楽に合わせて矢印の所を踏むんだよ」


「へぇっ、やってみようぜ」


お金を入れてスタート


ヘスティアはリズム感も運動神経もいいから上手いな。このゲームは言葉や文字が分からなくても大丈夫だしな。


ゲームをクリアするための難易度ではなく、ダンスを楽しむような難易度でやらせているのが良かったのか、本当に踊っているように見えるヘスティア。交代してウェンディとアーパスがやるけどもっと簡単なモードにしておこう。


思っていたより二人共上手く、アーパスのはダンスというより踊りって感じに見える。それにキーキー怒らずに楽しそうに踊るウェンディは綺麗な髪の毛が踊るたびにフワフワと揺れて人目を引いた。


「わぁー、可愛いっ!綺麗な髪の毛ーっ、パチパチ」


いつの間にかギャラリーが集まりスマホで撮影をされていた。


「どこの国の人ですか?」


女子高校らしき娘達に声をかけられるが面倒臭そうなのでセイは言葉が分からないふりをして逃げたのだった。



「なんで帰るんだよぉっ。あれもっとやろうぜ」


「この前買ったゲームでも出来るかもしれんから探してみようか」


と、ゲームショップに行って店員に聞くと専用コントローラーとソフトがあると言われて購入しておいた。


他にも沖田に頼まれていた科学用の本や機械や電車の仕組みが書かれた本を購入しておいたのだった。





「誰からだこのメール。迷惑メールじゃ・・・って、誠?」


セイの父親はやたら重いメールに不信感をいだきながら見てみると息子の誠からだった。


「ほぅ、異世界と行ったり来たり出来るようになったのか。こんなメールを人に見られたらまずい・・・というか誰も信じんか」


ブツブツと一人言を言いながらメールの添付を開く父親。メールがクソ重たい原因はセイが写真をフォルダごと送って来ていたからであった。


そのフォルダを開くと多くの画像データが入っている。


「ここはあそこの公園か。誠のやつまるでバカップルじゃないか。ん?他の少女にもほっぺにキスされている写真とか普通親に送るか?」


と、こっちの世界と向こうの世界であろう写真を見ていく父親。鬼や人魚とかが写っている加工データかと思うようなものまである。


「しかし、セイと仲良さそうな少女達は皆超絶に可愛いな。こりゃ、向こうの世界を選ぶわけだ」


「お父さん、何をコソコソと見ているのかしら?」


「ん?母さんも見てみるか?」


父親は何も言わずに画像データを母親に見せる。


「あら、誰の写真?それにCGかしら?」


「ほら、これなんかなかなか良い写真だろ?」


「わぁ、若いっていいわねぇ。とっても幸せそうなのが・・・・」


そこまで言って黙る母親。


「どうした?」


「あなた・・・ まさかこの子・・・」


「大きくなっただろ?」


ボロボロと泣き出す母親。


「誠っ、これは誠なのねっ」


「そうだ。幸せそうだろ?この娘さんは誠の嫁さんだそうだ。他の少女との関係はわからんけどな」


「いつ誠と会ったのっ」


「少し前に突然来たんだ。あいつ行方不明になっていてな心配していた所にひょっこりこの娘と来た」


「どうして黙ってたのよっ」


「誠もお前もスレ違ったままだったからな。このまま会った事は黙っておこうかと思ってたんだ。この写真を見てどう思う?」


ボロボロと泣きながら父親が指を指した写真はヒョウエとマーメイ達が写っていた。


「CGでしょ?こういう仕事をしているのかしら?」


「違う。恐らくこの鬼と人魚は実在しているんだ」


「え?」


「うちの爺さん達から誠は異形の者が見えるだけでなく祓い屋として相当力があると言われただろう」


「え、ええ」


「誠と一緒にいるこの娘は異世界の神様だそうだ」


「あ、あなた何を言っているの・・・」


「誠が行方不明になっていたと言っただろ?その時に神隠しにあって異世界に行っていたらしい。信じられん話ではあるが誠はそういう力があったから異世界に連れて行かれたんだろうな。そして一時的にこっちの世界に戻って来たときに会いに来たんだ。向こうの世界で住むからお別れを言いに来たんだろう」


「もしかしてあなたが泣いていた日・・・」


「そうだ。あの時は二度と戻って来れないと言っていたがどうやら異世界間を行き来する方法を見つけたようだ。それで向こうの写真を撮って送って来てくれたんだろうな」


「その話は本当・・・なの?」


「誠にお前に会いたいかと聞いたら怖いからやめておくと言われた」


「怖がったのは私の方なのに・・・」


「あいつはまた怖がれたらと思っているのだろう。お前は会いたいか?」


「誠が、誠が会ってくれるなら」


「わかった。返事を書いて送っておく」


「美幸にはこのことを・・・」


「美幸も異形の者が見えるらしい」


「えっ?」


「子供の頃に誠が遊んでいた妖怪と美幸も遊んでいたらしい。その妖怪から自分の事が見えている事を絶対に言うなと言われてずっと黙っていたそうだ」


「どうしてあなただけがそんな事を知っているのよっ」


「誠がこっちに来たときにその妖怪を連れて行った。その妖怪は誠の事をヌシ様と呼んで付いていってしまったようだ。美幸がしばらく落ち込んでいたのは突然その妖怪が出て行ってしまったからなんだよ。その時にタワーに行ったろ?」


「え、ええ」


「美幸はその時に誠が大勢の妖怪を引き連れて消えて行ったのを見たんだ。その時に誠の事を話した。美幸には俺から時期を見てお前に話すと口止めした」


「私だけが何も知らなかったって言う訳なのね・・・」


「見えない者にこんな話だけをしても信じられないだろ?でもこうして写真で見たら信じるかと思って今話した」


「・・・・・」


「誠がなんて言うかまだわからんが、お前が会いたいと言っている事を伝えていいか?」


「え、ええ。お願いするわ」


母親は自分だけ何も知らなかった事にショックを受けていたが、自分が捨てた子供に会えるのであればと思って返事を書いてもらったのだった。





「早く繋げろよっ」


「ちょっとぐらい待てよ」


セイは買ってきたダンスゲームのコントローラーを繋いでいた。少しの間も待てないヘスティアは早くしろの一点張りだ。


「ほらよ。ここを踏んで曲を選んでいけ。字が読めないだろうから上から順番にやっていけばいい。二人でやるならそっちも動かせ」


誰が初めにやるか揉める女神ズ。


女神ズを放置してセイはスマホを見てみる。


ここは圏外だよな。


当たり前の話だが帰り道の神社間を繋ぐ神道は圏内だったのだ。


屋敷の外に出て神社の中に入ると圏内になる。これ、ここでも使えるじゃん。神社の中に入らないとダメだがわざわざ元の世界に帰らなくてもスマホが使える事が判明した。



ピコン


その時にスマホにメールが入ったお知らせが来た。


「あ、父さんから返事だ」


セイは父親からのメールを読んでしばらくそのまま固まったのであった。




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