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各国が儲かるように

「よし、ミナモトくん、これで使えるか試してみてくれ」


太陽光パネルの設置は沖田に頼んだ。魔力と電力の差はあれど配線とかの仕組は似ているようだ。


「うん、発電始まったから使えそうだよ」


モニターには蓄電量や今発電されている状態が表示され始めた。


「しかし、あっちとこっちを自由に行き来出来るとか信じられんな」


「お土産に缶ビール買ってきたけど飲む?」


「おー、飲む飲む」


懐かしいだろうと沖田に缶ビールを買ってきたのだ。


「今飲むとあっさりしてるというか軽いビールだったんだな」


「こっちのビールの方が炭酸弱いけど味は濃いよね。俺は軽いビールの方が好きだけど」


「セイ、異世界にはこんな仕組みまであるんだな」


と、手伝ってくれたヘンリーも缶ビールを飲みながら太陽光発電に驚いている。


「ヘンリー、ここの魔導具も元は俺達のいた世界の奴らが作った奴だそうだからな。これも作れるようになるかもしれんぞ。そうなれば魔石の消費量もぐっと抑えられる」


そして沖田に今度向うに行ったら科学系の本を買ってきてくれと頼まれた。それを魔導具作りの参考にしてみるらしい。



ビスクマリーにお土産としてチョコレートを持っていく。他にもお菓子類もたくさんだ。


「旨いのじゃーーっ」


「良かったね。他にもあるから一気に食べちゃだめだけどいつまでもおいてたらダメだよ」


「これはここでは作れぬのか?」


「チョコは材料も作り方もねぇ・・・」


作り方は本をみればわかるかな?材料はこの世界でも調べてみるか。というかダンジョンに食わせたら出せるかな?



ビスクマリーと相談してアネモス城の地下にダンジョンを作った。お菓子が出なくても生ゴミ捨て場として使えばいいしな。


そしてチョコを食わせてみるとちゃんと出しやがった。他のお菓子も食べさせるとどれも出す。素晴らしい。一つずつ名前を教えて食べさせて一覧表をマリーに渡しておいた。


「セイよ、スライムがダンジョンになると言うのは皆知っておるのか?」


「いや、ごく一部の人だけだから秘密にね。ダンジョンは生ゴミは食うけどそれ以外は食わないから、ダンジョン内に残ったゴミは取り出して他に捨ててね」


「わかったのじゃ。チョコはアネモスの名産として良いのか?」


「そうだね。鉱石とかボッケーノから輸入する物の方が多いし、魚以外も輸出出来るものがあったほうがいいよね」


「うむ、助かるのじゃ。これで国庫も潤うというものじゃ」


「それとお菓子のレシピを翻訳しておいた。これで料理人達を特訓して王宮の料理人が覚えて街の料理人達にも広げてね」


「わかったのじゃっ」


アネモスは最先端のお菓子の街になっていくかもしれんな。


「セイ、ボッケーノにもなんかしてやってくれよ」


と、ヘスティア。


「温泉って街の近くにも出るのか?」


「どこでも出ると思うぞ」


ということなので火山近くの広場を試しにテルウスの力で掘っていく。


ブッシャーーーっ


「あっつぅぅ」


勢いよく吹き出した温泉。慌てて土を固めて止める。


「これどうすんだ?」


「ここに温泉宿を作ればいいんじゃない?ボッケーノの王様に話を持って行くよ」


と、王様に面会の予約をしに行くとそのまま通された。


「ようこそ、ヘスティア様、セイ様、ウェンディ様」


「王様、お願いがあるんだけどね」


と、温泉が出る話をしていく。


「なんとっ!わが国にも観光地を作って下さるのか」


「いや、自分たちで作ってね。温泉街は人を呼べると思うし、温泉は俺が掘ってあげるから」


「かしこまりましたぞ。早速手配致しましょう」


源泉はヘスティア好みのアチアチ温泉だから適温になる工夫は職人に任せておこう。施設が出来たら温泉を掘ると約束しておいた。


「ねぇ、ガイヤだけ何もしてくれないのかしら?」


突然表れてセイの顎を優しく撫でてそういうテルウス。ウェンディはガルルモードだ。


確かにガイヤには何もしてないな。


「何がいいんだよ?」


「それはセイが考えて」


ガイヤって何でもあるっちゃあるし、何にもないっちゃないんだよな。あるのはスパイスと重厚な建物。しかしこの世界の人達は重厚な建物の魅力とかまだ感じないみたいだしな。


「ど派手なテルウスの教会でも作る?」


「いいわねぇそれ♪」



ガイヤに移動してギルド本部の総長と相談。


「テルウス様の教会か。どんな教会を想定している?それと今の教会はどうなる?」


「作るのは観光客向けの教会だよ。黄金張りの教会で、見るからにゴージャスな奴。見学料を取ればいいと思うよ」


「そんなの相当な金が必要になるだろが」


「金やプラチナとかは俺が用意するから教会はガイヤが建てて。これは人を呼び込む為の物だから神官とかいらないよ」


「金とプラチナは用意してくれるのか。ならば王に報告しておこう」


金やプラチナはいくら使っても構わない。流通させないのであれば貨幣価値に影響しないだろうからな。



次は虹のまちに移動してシーバス達と話をする。


「へぇ、ガイヤには金ピカの教会が出来るのか。そりゃ一目見ようとするやつ増えそうだな」


「ゴンドラ利用する人も増えるだろうからここもお客さん増えるんじゃない?」


「というか、アーパス様がここにいるからかめちゃくちゃ客が来てんだよ」


それは恐らくすずちゃんがいるからだ。幸運が溜まって来ているに違いない。


「にゃはははは」


そして気まずそうな顔で笑うマダラ。


(ん?マダラ。お前もしかして手招きしたのか?)

(冬場でちょいと暇そうだっからにゃ。思ってたより効きすぎてしまったにゃ)

(皆には黙っとけ。お前に人を招く能力があるのは知られたくない)

(わかりましたにゃパパ様)


お前にパパ様と呼ばれる覚えはないぞ。まぁ、それはすずちゃんにもだけど。


「セイ、あの写真ってやつとプリクラって奴を出してくれよ」


と、ヘスティアが言うので皆に見せる。ヘスティアは向こうの世界自慢をしたいらしい。みんなチヤホヤされんの好きだよね。


「おー、すげぇ絵だ。魔物のイラストより鮮明じゃねーかよ」


皆も驚いている。写真というものを説明して向こうの世界の話をしていった。


「へぇ、ここだと鹿狩り放題じゃねーかよ。こんなに人に慣れてんのか?」


と、驚くダーツ。この世界は鹿=肉だからな。


「ここの鹿は神様の使いと言われてるから狩ったらダメなんだよ」 


「鹿が神様の使いなのか。しかし、ウェンディは神様の癖に使いに噛まれてんじゃねーかよっ」


と、鹿にガブガブされているウェンディの捨身を見てゲラゲラと笑うみんな。


「うっさいわねっ」


「わっ、こんなことしてるっ」


げっ


ツバスに見られたのはプリクラだ。ウェンディとヘスティアに両方からほっぺにチュってされてるやつなんか出してしまった。


「やーらしーっ。女神様にこんな事をさせるとか最低じゃない」


それを見てワナワナ震えるアーパス。


「セイ、私を置いていったくせにどういうこと?」


ウジ神アーパスが本領を発揮していきなりジメジメしてくる。


「ちっ、違うんだよ。ウェンディ達が勝手に・・・」


「私もする」


「なんでアーパスがすんのよっ。もう加護をあげ終わってるでしょっ」


これを撮り終わった時もウェンディはヘスティアにギャーギャー怒っていたのだ。


「ウェンディは黙れ」


そう凄むアーパスがめっちゃ怖い。


「ね、ね、セイ。ここでもこんなの出来るの?」


それを察したパールフが話をそらしてくれる。


「えっ、ああ。こうして写真にするのは向こうの世界でしか出来ないけどね。撮影は出来るよ」


ということでフィッシャーズ達と集合写真を撮る事になった。



「はい、もうちょっとみんな寄って」


自撮り棒はミニ三脚代わりにもなるのでスマホをセットして画面を覗きながら皆が写るように並ばせる。


タイマーをセットして急いで皆のところへ戻る。


「はいチーズ!」


あっ


私を置いていったと拗ねるアーパスとすずちゃんがセイの隣に座り、後ろにウェンディとヘスティア。シャッターが降りる瞬間にアーパスとすずちゃんがセイのほっぺにチュッとした。ヘスティアは後ろからセイに抱きつき、ウェンディはキーッとなっている写真だ。撮れた写真の隅にテルウスも写っていて、集合写真を撮る時に欠席した人みたいになっていた。


皆でスマホの画面を見ながら大笑い。皆が笑顔の中、ウェンディだけが怒っているのだ。


他にも何枚も写真を撮り今度向うに行くときには現像してくると約束した。


夜は久々にアクア王都のアーパスのお宿に移動して泊まる事に。


「これはこれはおめでとうございます。当宿を末永く宜しくお願い申し上げます」


俺とアーパスと手をつなぐすずちゃんを子供と認識した宿の窓口の人。こうして王都でもアーパスに子供が産まれたと広まり、すずちゃんも神格化していくことになることをセイは知らない。



「支配人、これお土産。こっちは皆の試食用。こっちは料理というかお菓子に使ってもらう奴ね」


「これは一体?」


「チョコレートというお菓子だよ。触ってると溶けるから早く食べてみて」


渡したのはミルクチョコレート。お菓子用の塊はブラックチョコだ。支配人は一口食べてすぐにパティシエを呼びに行った。


「セイ様、このような物を頂けるのでしょうか」


「いつもお世話になっているからね。料理用のはあまり甘くなくて苦いやつだから、いま食べたような味にしたければ生クリームとか少し混ぜてみて。あんまり撹ぜると固まらなくなるみたいだけど」


「溶かして混ぜるのですか?」


「そうみたい。50〜55℃のお湯で湯煎しながらゆっくりと溶かさなないとダメなんだって。レシピを翻訳してあるからこれ見てなんか作ってみて」


元の世界のお菓子と料理の本を買って翻訳しておいたのだ。マリーに渡したのも同じもの。


「これは定期的に手に入りますか?」


「今後アネモスの名産になるから輸出船が完成したら輸入出来るようになるけど、それまでは俺が持ってきてあげるよ」


「お代金はいかほどに?」


マリーが金と同じぐらいの値段にして価値を下げないと言ってたな。


「多分金と同じ価値になると思うけど俺が持ってくる分はお金いらないよ。部屋もずっとキープしてくれてるままだし」


「そっ、そんな訳にはっ」


「いいからいいから。あの部屋が稼働出来ない分これで儲けて」


「他では手に入らない調味料等も優先して頂いておりますのに」


と、恐縮する支配人。


「虹のまちの宿とここは姉妹みたいな関係だからね。それは気にしないで。あの宿の成功はここが手伝ってくれたからこそだし」


この宿とは持ちつ持たれつなのだ。依怙贔屓とか言われるかもしれないけどそれだけここは優遇してくれてからな。


「セイ様、アーパス様のお子様のお名前はなんとおっしゃるのでございましょうか?」


「支配人、この娘はアーパスと似ているけど子供じゃないんだよ。名前はすず。すずちゃんと呼んでやってくれ」


「そうでしたか。お顔立ちはアーパス様、髪色はセイ様と同じでいらっしゃったものですから」


あー、なるほど。俺とアーパスと両方の共通点があるからそう見えるんだな。



翌朝、またたくさんのケーキをお土産に貰い、リタのところへチョコレートと共におすそ分けしにいった。ギルマスがえらくチョコレートを気に入っていた。



次は久々にカントハウスへ行くことに。


「あらぁ、セイくん・・・。えっ?アーパス様に子供を産ませちゃったのっ?」


すずちゃんを見てわなわな震える奥さん。


「違う違う。この娘は娘じゃないよ。サカキ達の仲間なんだよ」


「じゃあ妖怪ってことかしら?」


「クラマと同じく神様に近いんだけどね」


家に入れてもらうなりサカキが出てきて飲もうかと言い出した。


「待てよ。皆揃ってからでいいだろ?」


ケビンは冒険者の仕事をしているらしい。まだ未成年のラーラはギルドの手伝いをしているとのこと。



そして駅前の開発具合とか聞いておいた。ラーラが木を倒して土地をたくさん確保したらしい。


「ごめんね、手伝うつもりだったんだけどバタバタしててね」


「大丈夫よぉ〜。お陰様でラーラの魔法も合格を出したぐらいだからぁ」


ハーフ魔族のラーラは順調に成長して、ポーションを飲みながら土魔法をたくさん使ったことで魔力の底上げが飛躍的に出来たそうだった。こそっともう人間なんて相手にならないわだって。初めから相手にならないぐらい魔力あったけど奥さんがそう言うなら凄いのだろう。


そしてギルマスと一緒に帰って来たケビンとラーラを見てセイは驚くのであった。



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