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仕入れ

「ヒムロ、ユキメほら身分証明書」


「おっ、こんな簡単にくれるんかいな。こんなん持ったん初めてやわ」


「ここの王様とは仲良しだからな」


「おう、えらいべっぴんさんの王様やったな」


ヒムロがそう言うとユキメから吹雪が出てくる。


「ちゃっ、ちゃう。ユキメが一番べっぴんさんや。今のはお世辞やがな」


もう尻に敷かれたかヒムロよ。


「お前らはオーガ島に住むのか?」


「おう、鬼ってええ奴っちゃな。ワイらの家も作ってくれる言うとんねん」


「そうか。ヒョウエ達は気がいいからな」


皆仲良くなっているようで何よりだ。



セイはオーガ島のウェンディ神社から元の世界へと向かう。ウェンディとヘスティアが付いて来た。


「セイ、金のインゴットを出しな」


「こんな大量の金塊をどこで換金するんだ?」


「こっちの政治にも首を突っ込むのかい?」


「い、いや。そんな気はないけど」


「なら黙って任せておきな。相場より安値にはなるだろうけどね」


タマモに追加で買ったアイテムバッグを渡してそこに金のインゴットを入れて渡した。10Kg×10本。100Kgだ。


タマモはそれを受け取って消えていった。次の待ち合わせは一週間後だ。


「セイ、ゲームしたい」


「ならゲームセンターにでも行くか」


と、メインストリートにあるゲームセンターに行ってみる。


クレーンゲームで全く取れない3人。ウェンディがキーキー怒るのでやめ。お金も湯水の用に飛んでいく。メダルコーナーではヘスティアが燃えまくり、本当に燃える様に熱くなっていく。


「ヘスティア、抑えろっ。こんな所でハニーフラッシュしたらどうなるかわかってんのかよっ」


「だってよぉっ、おかしいじゃねーかよっ。あとちょっとの所で毎回俺様の馬が負けんだぞ」


やってるのはメダルを賭ける馬のゲーム。育成系の奴はとんでもない量のメダルが必要になるみたいだし今日だけ遊ぶにはもったいない。これは馬の人形が走るやつだ。ヘスティアが賭けた馬がダントツ先頭で走っでいるのにゴール近くになると歩いてる?という感じで抜かされしまうのだ。


「しょうがないだろ」


「だってよぉ」


「ほら、もうメダル使い切ったろ?」


「メダル買ってくれよぉ。次は絶対に勝つからよぉ」


腕を組んでおねだりしてくるヘスティア。こっちの服を着ていても胸元がエロいし、赤い髪が人目を引く。ウェンディも横でキーキー怒って台を叩いているので店員からも注意を受けてしまった。


「移動しようか」


と、バスに乗ってショッピングモールのゲームセンターへ。


「アイツラは何をやってんだ?」


「さぁ?カードゲームってやつじゃないか?」


「おもしれぇのかよ?」


「俺はやったことないからルールを知らないんだよね」


カードバトルってやつだろう。やっている人が全員同じ顔に見えるのは気のせいだろうか?


ヘスティアはメガネの人の後ろに近付きじーっと見ている。


ビクッ


知らない女の子に近寄られて挙動不審になるメガネくん。


「せっ、拙者に何用でござるか?」


「セイ、こいつなんて言ったんだ?」


「ごめんね、こいつ日本語分からないから。ほらヘスティア、邪魔だから離れろ」


そしてヘスティアとウェンディに気付いたカードゲームをしている人達がにわかにざわ付きだす。


「ニムたんとムムたんだ」


ウェンディとヘスティアは美少女アニメから飛び出して来たような感じがするのはわかる。そしてなんかのキャラクターに似ているらしい。


「むむっ、ニムたんですと?」


カシャシャシャャャャっ


スマホで一斉に撮影を始める人達。


「な、何だよあれ?」


「いいから離れるぞ」


なんかスマホを向けながらジリジリ近寄って来る人達に恐怖を覚えたのでセイは二人の手を引いてその場を走りさったのだった。



「まだゲームしてねぇじゃねーかよ」


「あそこにあのままいたら大騒ぎになるだろうが。それより飯を食おうか」


と、フードコートに行きラーメンを食べる事に。


あれ?フォークとスプーンが一緒になった奴があるラーメン屋が無くなってる。


何杯も食べるだろうから安くて旨いラーメン屋があると思って来たのに違う店になっていた。


仕方がないので違う店のラーメンを食べた。


「これ旨ぇな」


ヘスティアとウェンディはチャーシュー麺にしておいた。


まだ食べたいというので、次はハンバーガーセット、クレープ、ソフトクリーム、ドーナツとフードコートを制覇していく。見ているだけで気持ちが悪い。


一通り満足したようなので店の中を見ていき、家電コーナーを覗いてみる。


「ここ魔導具売り場かよ?」


「まぁ、そんな所だね」


これは何だ?これは何?とかウェンディとヘスティアに聞かれるので説明書きを見ながら教えていく。


「メ、メイアイヘルプユー?」


「自分は日本語話せますよ」


カタコト英語は日本語として認識されるのか英語で話しかけられたのが分かった。


「あー、良かったです。ちょっとドキドキしちゃいました」


新人さんだろうか?若い女の子の店員さんだ。見知らぬ女が近付いて来たとウェンディがセイにガッシリと腕を組む。


「お前なんだよ?」


「ヘスティア、威嚇すんな。ここの店の人が何か探してるのかと聞いて来たんだよ」


「そうかよ」


「ごめんね、何があるかなって見てただけなんだよ」


「そうですか。こちら、最新式の炊飯器でございまして」


と、見ているだけと言っているのに説明をマニュアル通りに始める店員さん。


「ごめんね、俺達は観光で来ててさ。こいつらの家は田舎で電気が通ってないんだよ」


「なら、太陽光パネルの自家発電設備もございまして。最新のは発電効率もよくなっておりまして、ペラペラペラペラ」


なかなか商魂のある娘だな。しかし、太陽光パネルか。それなら持って帰ったら家電使えるかもな。


「それ見せてくれる?」


ここには実物はないようでカタログを使って説明してくれた。


「ねー、何の話してんの?暇なんだけどぉ」


「ちょっと待てよ。この機械を買えば屋敷でゲーム出来るようになるかもしれないんだぞ」


「ほんとっ?なら買って。早く買ってっ」


「待て、値段を聞いてからだ」


説明を聞いていくと、発電用パネルと蓄電システムの工事費用を入れて200〜300万円ぐらい。規模の小さなものだと半額ぐらいになるのか。工事は自分でやるとなるとさらに安くなるから100万円もあればなんとかなりそうだな。


「色々とありがとうね。どうするかはまた相談してから来ます」


「はい、ぜひともお願い致します」


タマモが金塊をどれくらいの値段で換金してくれるかによるよな。


「ねー、屋敷でゲーム出来るようになんの?」


「まだ決まったわけじゃないからな。ちょっとおもちゃ屋を見に行くか」


と、おもちゃ売り場でゲーム機本体の値段やソフトの価格を見ていく。難しいのより簡単な奴の方がいいよな。


そして電気の要らないボードゲームやトランプやカードゲームを買っておいた。これならどこでも遊べるしな。


晩ごはんは食べ放題の焼肉屋で食べて、寝床はぬーちゃんに乗って山奥でテントを張る事に。こんな所に誰も来ないだろう。


「キィーーーっ。毎回毎回貧乏農場ってなんなのよーっ」


ルーレットを回していつも最終的に農場に行くウェンディ。ヘスティアは毎回子沢山だ。


テントの中でやるボードゲームは楽しいはずなのに殺伐とするウェンディ。


「こんなゲームじゃなしに前に泊まった所のゲームがやりたいのっ」


レトロなシューティングゲームを気に入っているウェンディはそう言うけどあのホテルはなぁ・・・



翌日、あんまり騒ぐもんだからあのホテルに泊まる事になってしまった。


「セイ、ここの風呂はソッチから丸見えじゃねーかよっ」


「見ないからさっさと入れよ」


「なんだよこれっ。いつまでもヌルヌルしてんぞっ」


「それは石鹸でもシャンプーでもない、使うな」


「じゃあ、なんに使うんだよ?」


「知らんっ」


風呂場からいちいち話しかけてくるヘスティア。そっちを向いて欲しいのか?


風呂から出た二人は対戦ゲームでも熱くなっていく。技も何もなしにただ殴って蹴るだけのバトルでよくそこまで盛り上がれるものだ。


ふとセイはここで無料ワイファイに繋げられる事に気付く。スマホの充電も出来るみたいなので充電してから前に会ったフランス人夫婦にメールを送ってみた。


連絡が遅くなりごめんなさい。あれから旅は楽しめましたか?


と、前置きから始め、写真のお礼を書いて送った。貰ったあの写真は結構気に入ってたのだ。



ピロン



すぐに返事が返って来た。どうやらもう国に帰っていて向こうは朝のようだった。


向こうからもお礼と写真のデータを保存してあるアドレスが送られて来て、データは好きにダウンロードしてくれと書かれていた。


くれた写真以外にもたくさん撮ってくれていたようで、ウェンディが鹿に噛みまくられている姿とかもあった。すべてをダウンロードして保存して、明日どこかでプリントアウトしよう。



そして残金が心もとなくなったのでまた宝石を売り、ゲームセンター三昧。大穴を当てたヘスティアはまた燃え上がろうとしていた。



「なんだよ?それ」


貰ったデータをプリントアウトしているとヘスティアが聞いてくる。


「前に知り合った人が写真撮ってくれたんだよ」


「ウェンディの絵ばっかりじゃねーかよ。ずりぃぞ」


「なら一緒に撮るか?」


さっきクレーンゲームでやっと取れた自撮り棒というもので顔を近付けて写真を撮るセイ。それにプリクラとかもやってみた。普通の学生がするような経験をしてこなったセイは異世界の女神と共にそれを取り戻すかのように青春を謳歌しているようだった。


朝はファストフード、昼はカフェ、夜は居酒屋でご機嫌に飲み、あちこちで自撮りしていく。


そんな生活が一週間程続いた後にタマモが戻って来た。


「相場より安いけどこれだけあればしばらく困んないだろうさ」


と、アイテムバッグからトランクをどんどんと出す。


「これ、いくらあんの?」


「7億だったかねぇ」


「え?」


「相場より少し安いから向こうも儲かったさね。気にすることは無いよ」


相場だと8億円以上になるらしく、また金が必要になれば換金してくれるとのこと。ヤバい所と取引したんじゃないよね?


翌日、太陽光発電装置類とゲーム類、炊飯器とかを購入。お届け先は元の家を指定しておいた。配達日にまた戻ればいいだろう。


そしてセイはチョコを大量に買って異世界へと戻ったのであった。



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