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デイスラルと対面

総統が乗っているであろう戦艦にウェンディと共に乗り込んだセイ。ぬーちゃんは首に巻き付いておいてもらった。


出てくるガーミウルス軍は捕縛して無効化していく。


そして捕まえた奴を脅して総統のいる司令室にはいったのであった。


「お前が総統か?」


「我が船を無残な姿にしてくれたのは君かね?」


「そうだ。攻め込んで来るとは馬鹿な真似をしたもんだね」


「フッフッフッ。私はデイスラル。君の名前は?」


「セイだ」


「無敵と思っていた船がいとも簡単に破壊されようとはすごい魔法使いがいたものだ」


この船で世界を取れると思っていたデイスラルはいとも簡単に破れて全てを諦めていた。


「船を無効化したのは魔法じゃない。神の力を借りただけだ」


「神などいないのだよ」


「確かに神を信じない者にはいない。しかし、信じるものにはいるんだよ」


「そうかね。では神の力とやらでこれは防げるかな?」


デイスラルがそういうと館内に赤ランプが灯り、警告音が鳴り響いた。


「艦内の乗組員は直ちに避難してください」


警告音と共にそうアナウンスが流れ出した。


「チッ、お前は味方まで巻き添えにするつもりかっ」


「30分あるから君も逃げ給え」


「お前も逃げろ」


「敗北したものに明日はないのだよ」


「総統っ」


司令室にいるガーミウルス兵が総統に駆け寄る。


「敗北者に構う必要はない。これは命令だ皆退避せよ」


騒然となる艦内。


「解除」


捕縛したものも逃げられるように術を解除した。


「どうした。君も早く逃げ給え」


「お前も来るんだよ。聞きたいことが山程あるからな」


「何も話す事はない。君の言う通り本当に神がいるならこれは防げるのではないのかね?」


デイスラルと話しているうちにこの船に乗っている者が退避していく。逃げろという声も聞こえなくなって言ったので全員退避できたのかもしれない。


「神の力はそんなに都合のいいもんじゃないんだよ。ま、防げはしないけどこういうことは出来る」


ゴウゥゥゥッ


セイはメラウスの剣を抜き、上に向けてヘスティアの加護の炎で天井を溶かして脱出口を開けた。


「さ、行くぞ」


「見事なものだね。ではお別れだセイくん」


「お前も逃げろってんだよ」


「この船の敗北はガーミウルスの滅びを意味する。ここに辿り着いた者は出来れば生かしておいてくれたまえ」


「滅び?」


「早くしないともう時間がないのではないのかな?」


一分前 59・58・57・・・


「チッ。ぬーちゃん痺れ毒」


セイはカウントダウンが始まった事によりデイスラルの説得を諦めて捕縛しぬーちゃんに毒を吐かせた。自分も息を止めウェンディの口も塞ぐ。


手でぬーちゃんに合図を送り、開けた穴から脱出。捕縛したデイスラルはぶら下げて連れていった。


あの魔導砲のエネルギーを自爆に使っているとしたら蜘蛛の子を散らすように逃げている者たちも巻き込む。


「むぐぐぐっ むぐぐぐっ」


「あ、ごめん」


「ぷはっ。殺すつもりっ」


セイはウェンディの口を抑えたままだったのだ。


「セイっ、どうしたのっ」


「フェンリル、全速力で離脱しろ」


ギルマスとグリンディルを乗せたフェンリルが近くに来たので離れるように命令し、セイはメラウスの剣を抜いた。

 

ありったけの妖力を込めたメラウスの剣は光輝いていく。その光はアネモス中を照らし出すほどの輝きを放った。


「消失しろっ」


ヘスティアの加護の力を込めて戦艦へと放つ。


ボシュゥッ


爆発寸前の戦艦はこの世から消失したのであった。


ザッパァーーん


周りの土地ごと消失した所に海水が押し寄せる。


ギィー ガコン ドォォン


水路に泊めてあった他の戦艦にその波が押し寄せては引いていくのに巻き込まれて水路でぶつかりあい、その場で傾いて船体を半分ほど沈んだのであった。



「な、何なのだね今のは」


「神の力を借りたんだよ。さ、下で話そうか。怪我人もいるだろうから手当が先だな」


すべての戦艦が航行不能になったこととグリンディル達が水攻めと風攻めをしたことでガーミウルス兵達は壊滅状態。手分けしてポーションを飲ませて回復させていく。


「なんだねそのポーションは」


「ウェンディの慈悲だ。ここにいる女の子はお前が信じていない神様。アネモスを庇護する風の神様ウェンディだ」


「まさか・・・」


「説明は後だ。お前はガーミウルス軍に無駄な抵抗をしないように命令しろ」



ー神無し領地ー


領主たちが痛め付けられるのを見計らってガーミウルス軍を討伐したサカキ達。怪我をしたガーミウルス軍にタマモがポーションを飲ませていく」


「たっ、助けてくれ。なぜ敵から助けるっ」


傷だらけの領主がサカキ達に叫ぶ。タマモは氷つくような冷たい目で領主を見る。


「聞こえないねぇ。こいつはウェンディの慈悲だよ。セイは敵を戦闘不能にしろとあたし達に言ったのさ。あんたらは助けろとは言われてないさね。それにお前達はセイやウェンディの力は不要だと言ったじゃないか」


「た、頼むっ。助けてくれ」


「ごめんだね。あんたらはもう不要なんだよ。セイがアネモス王はなったからね」


タマモは領主達にポーションは渡さなかった。怪我の具合からみて死にはしないと判断したからだった。


「さ、ガーミウルスの者は付いて来な。逃げたり抵抗したら次は命はないからね」


タマモはサカキ達とガーミウルス兵を引き連れて王都へと向かったのであった。



デイスラル総統がセイに捕縛されている姿、自分達の戦艦全てが無効化されたことでガーミウルス兵達は無駄な抵抗を止めていた。




「さて、この敗北でガーミウルスが滅びるとはどういうことだ?」


「君達には関係のないことなのだよ」


「あるね。あの戦艦を考えたのはお前らが召喚したやつだろ?何人いる?」


「・・・一人だ」


「一人であれを作ったというのか?」


「ガーミウルスには科学者が大勢いるのだよ。召喚は類稀なる才能を持っている者が召喚されることが多い。かの者は古代語をいとも簡単に解読し、飛躍的に研究が進んだのだよ。これで我ら神無し国も豊かに暮らせるのだと確信したのだがね」


「ガーミウルスは食料が少ないのか?」


「ガイヤとは比べ物にならないのだよ。金や銀はたくさんあるがね」


ガイヤが交易しているとか言ってたな。


「わかった、ガーミウルスを見に行くわ。デイスラル、お前だけ連れて行く。ギルマスあとは任せておいていい?向こうに着いたら連絡をするから」


「おいおい、ガーミウルス兵を達はどうすんだよ」


「食料出していくから全員王都で待機させて勝手に食べさせて。処遇はあとから考えるよ」


そこへタマモ達がぞろぞろとガーミウルス兵を連れてきたので合流させた。


「ウェンディを頼む。ちょっとガーミウルスに行ってくる」


「何言ってんのよ。わたしも行くわよ」


「快速空場は二人乗りだろうが」


「一緒に乗ればいいじゃない。運命を共にするんでしょっ」


「あのなぁ、運命を共にするってのは四六時中一緒にいるってことじゃないぞ」


「行くのっ」


もう言うことを聞かないのでデイスラルを後ろに乗せて操縦席に二人乗る。めっちゃ狭いし前が見にくい。


「ちょっとぉっ、変なところを触んないでっ」


「お前が無理矢理乗るからだろうがっ。膝の上じゃなしに足の間に座れ」


敵の総統が後ろにいるというのに日常のようにじゃれ合う二人。


デイスラルは神とはなんとも人間臭い者だと思って二人をみていた。快速空馬は暴れるウェンディのせいで不安定な飛行をしながらガーミウルスへと向かったのであった。





「こんなものまであるなら世界を支配するのも可能ではないのかね」


快速空馬で旋回しながらガーミウルスがどんな所か上空から見ているとデイスラルがそう言い出した。こんなものとは快速空馬のことだ。


「支配してどうすんだよ?」


「国民を飢えさせずに済むのだよ」


「支配なんてしなくてもなんとかなるだろうが。全員でガイヤにでも引っ越せばよかったんだよ。あんな凄い戦艦を作れるなら輸送船なんて簡単に作れるだろうが」


「どこの国が国民まるごと引き受けるというのかね」


「頼んでみたか?」


「・・・・」


「下らない意地やプライドで頭を下げられなかったんだろ?」


「我がガーミウルスの民、約100万人もの人を頭を下げたからといってどこが引き受けてくれるのかねっ」


ずっと冷静だったデイスラルが声を荒げる。


「アネモスが引き受けてやる」


「なん・・だと・・・・」


「土地はある。開拓は必要だが自分達で街を作れるなら移住してこい。輸送船もあるんだろ?」


「そのような重大な事を勝手に決めて良いのかね」


「今のアネモスの王は俺だからな。ここをなんとかするよりアネモス周辺に移住したほうが早い。お前は国民にどうするか決めさせろ」



セイはデイスラルにそう言ってガーミウルスに入国していったのであった。











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