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ガーミウルス軍を殲滅

「セイー、大丈夫ー?」


「ぬーちゃん。ウェンディは?」


「フェンリルに渡してきたー」


戻って来たぬーちゃんをよしよしする。


ピリリリリっ


ギルマス?こんな時に?


「もしも・・」


「セイッ、やべーもんが出てきやがった。すぐに来てくれっ」


「クックック、もう終わりだよお前ら。大人しく神無し国として下ってればいいものを」


「ぬーちゃん、死なない程度に噛んで」


ガーミウルスの兵士達を痺れさせ窓からぬーちゃんでギルマスの所に飛んでいく。



「なんだよあれ・・・」


セイは魔法陣から出て来たという戦艦を見て固まっていた。


「なんで一人で残ったのよっ」


ウェンディはぬーちゃんに乗り換えて固まっていいるセイをポカポカ叩いている。


「セイあの船はなんだ?船首の穴は何をするものだ?」


「・・・あの船は多分異世界人、俺がいた世界の奴が絡んでいる」


「なんだと?」


「他の船も似ていると思ってはいたんだ。単に世界は違っても戦艦はああいう形になるんだなと思ってたんだよ。でもあの魔法陣から出た船は明らかに俺がいた世界の物だ」


キュインキュインキュイン


その時に船首の穴が光り出す。その船首が向いているのは大型船に上陸されないようにと破壊された港だ。



ー戦艦内ー


「魔導砲発射準備」

「全エネルギー魔導砲へ」

「魔導砲、エネルギー充填80パーセント」

「セーフティロック解除」

「エネルギー充填100パーセント」

「目標へ軸線合わせー」

「ターゲットスコープオープン、電影クロスゲージ明度20」

「最終安全ロック解除」

「対ショック、対閃光防御」

「魔導砲、発射!」


ドオウンーーーーーーーーーーーー!



「グッ なんだこの光はっ」


船首から放たれた閃光は港や港街を焼き尽くし大きな水路のような物が出来ていた。そこに一気に流れ込む海水は大きな波を引き起こして他の海岸線にも波及していく。


今の衝撃は地震のように王城にも伝わっただろう。


波が落ち着いた後に他の戦艦達はその水路に向かって進みだした。今の閃光はこの船たちを接岸させる為に放たれたのだ。一撃で戦艦をすべて接岸させるだけの水路を作った閃光。あんなもの元の世界でもあるわけがない。



ー王城の謁見の間ー


「王、いや元王か。愚かな事をしたものだな。神無し国であれば国民は労働力として生かしておいたものを」


「なっ、何じゃ今の衝撃は」


「総統の船が来られたのだ。あの魔導砲があれば世界を統べる事が出来るのだ。あーはっはっはっ。神などいらぬ。我らガーミウルス帝国が世界を統べるのだっ」


使者は拘束されながらもそう大笑いをしていた。



「セイ、どうするんだ?アネモスが負けるまで見ているのか?」


「いや、今の王は俺だ。ガーミウルスは撃退する」


「は?」


「ウェンディ、フェンリルに乗れ」


「嫌よっ」


「お前がいたら危ないんだよっ」


「イヤっ」


ギューッとしがみついて離れないウェンディ。


「お前なぁ・・・」


「う、運命を共にするって言ったじゃないっ」


「あーっもうっ。ならこれを着とけっ」


セイは自分のマントをウェンディに着せた。ピンクのコートよりブラックドラゴンのマントの方が防御力が高いのだ。


「セイの方が危ないことするんでしょっ」


「俺よりお前の方が大切なんだ。だからこれを着とけ。俺はブラックドラゴンの服を着てるから大丈夫だ」


と、ついでにヘルムも被せておく。ゴソゴソだけどフードより安全だ。


セイに自分より大切だと言われたウェンディのヘルムの中の顔は真っ赤になっていた。


見るだけと言っていたグリンディルも乗りかかったフェンリルよ、とか訳のわからないことを言って付いてくる。


「グリンディル自分の身は自分で守ってくれよ」


「だーいじょうぶ。マモンも守ってあげるわね」


「うるせえっ。俺がお前を守ってやる」


ハイハイ。ここでチューしないでね。




セイは王城の中に戻ると元王にお前のせいじゃお前のせいじゃと泣き喚かれた。


「ぬーちゃん、噛んで」


元アネモスは泣き喚いてうるさいので痺れておいてもらう。先に痺れさせた使者達の毒は弱かったのかすぐに復活していたみたいだ。


「随分とすごい兵器を開発したもんだな」


「クックック、もう降伏しても遅いのだっ。我がデイスラル総統が世界を統べる時が来たのだ」


「その総統ってのはあの船に乗ってんのか?」


「そうだ。ここから伝説が始まるのだ」


「あれ作ったのは誰だ?」


「天才科学者だ。お前らが思いもよらぬ・・・」


「お前ら召喚の魔法陣使っただろ?」


「なにっ」


「悪魔召喚の魔法陣を広めてるのはガーミウルスか?」


「・・・貴様何を知っている?」


もうこの反応だけで十分だ。召喚の魔法陣を悪用しているのは間違いない。


「お前らバチを食らう資格十分あるわ。総統って奴には責任を負ってもらうよ。お前らの企みは全部潰す」


「何を貴様っ」


「サカキ、クラマ、殲滅作戦に移行する。コイツら何をしでかすかわからん」


「あらよっと。全員を殺すのか?」


「話ししだいではな。取り敢えず外にいる奴らは戦闘不能にしてくれ、反対側のは俺達がやるから」


王城を挟むようにして上陸部隊がいたので船が接岸したのと反対側をサカキ達に任せた。


「どら、わたしも行こうかね」


と、タマモが妖狐の姿で出てきた。


「ゲッ、タマモもやんのかよ」


と、サカキが嫌そうな顔をする。


「セイが王様になったんだろ?なら盛大に祝ってやらないとねぇ」


と、タマモは悪い顔で笑っていた。



「キャァァァっ」


ガーミウルス軍は降伏勧告の使者から通信魔道具で占領せよとの指示が入ったのか、セイ達が王城にいる間に侵攻を始めていた。王都より先に近くの領地を目指して侵攻を開始。上陸したボートは水陸両用であると気付いていなかったセイはその侵攻スピードを見誤っていた。



「クラマ、サカキ。アイツらが神無し領地に入るまで待ちな」


「そんなことをしたら死人がでるじゃろ」


「セイがこの国を治めるんだよ。やりやすくしておいてやるのが親心ってもんさね」


「出て来た時に悪い顔をしておると思ったワイ」



ドンドンっ


魔導兵器を撃ちながら領地に入り剣で対峙した衛兵達が撃たれ神無し領地は占領されていく。ここは最後までウェンディを罵った領地である。


「さ、領主邸が制圧されたから行くよっ」


タマモの合図でクラマはサカキを投下。占領部隊がいる街の真ん中に落とした。


「うわぁぁぁっ、魔物が降ってきたぞ。撃てっ 撃てっ」


ダンっダンっダンっダンっダンっ


「タマモ、サカキの奴、めっちゃくちゃ撃たれとるぞ」


「あんなので死にゃしないよ」


タマモは悪い顔で笑ってクラマにそう答えた。


「クソ痛ぇっ。タマモのやろう俺を生贄にしやがって。腹いせはお前らにしてやる」


サカキは恐怖を纏いグォォオッっと吠える。


「ヒィィィっ」


サカキはタマモのやり口にムカつき、八つ当たりでガーミウルス軍を半殺しにしていく。あれだけいたガーミウルス軍は魔導兵器が効かない恐ろしい魔物に逃げ出した。


「ほら、クラマ出番だよ。風で巻き上げてやんな」


ちりじりに逃げ出したガーミウルス軍をクラマが竜巻を起こしてまた街の中心に集めていく。


「ちっ、巻込まれんだろうがよっ」


サカキは竜巻から離れ、近くにいたガーミウルス兵士を竜巻の中にポイポイと投げ込んでいった。



ー王都の逆側の部隊ー


「洗い流してやるわっ」


反対側の部隊を攻撃するグリンディルはフェンリルに乗り上空から水魔法をぶっ放して水攻めにしていく。こちらはかなりの上空にいるために魔導兵器の射程外なのだ。


「グリンディルの魔法攻撃は見事なもんだねぇ」


「水魔法は上空から撃つのに向いてるのよ」


王都に侵攻を始めようとしたガーミウルス軍はグリンディルの水でザーッと戦艦の方へ押し流されていく。まるで洪水に飲み込まれるかのごとくだ。


と、その時に戦艦の艦砲が動くのが見えた。


「フェンリルっ、俺の後ろに回れっ」


セイはウロコの盾を出して艦砲に備える。


ドウンっドウンッドウンッ


戦艦の艦砲から閃光が乱れ飛んでくる。セイが構えたウロコの盾は攻撃をあちこちに跳ね返していった。


「ちっ、このままだとどこに跳ね返るかわからん」


いくつかは王都の街中に跳ね返り破壊をしているのだ。


その時に大きな音が聞こえ、王都の壁が破壊された。跳ね返りではなく別の戦艦が壁を狙って攻撃をしたのだ。


「艦砲で壁を破壊して部隊を送り込む予定だったのか。こっちも撃たれ続けたらヤバいな」


セイは大きく深呼吸をしてメラウスの剣を抜いた。


剣にヘスティアの加護を纏わせた火の玉を作り艦砲に向けて撃ち込んでいく。


ヘスティアの熱を食らった艦砲は熱でグニャリと熔けた。しかし、それに気付かない戦艦は撃ち続けすべての艦砲が爆発していくのであった。


「これでヤバい艦砲はもう大丈夫。敵が船から出て来て白兵戦になるよ。魔導兵器の射程外から攻撃お願いね」


グリンディルに出てくる奴らへの攻撃を任せる。各艦から大勢出てきて散らばられたらグリンディルの魔法だけでは追いつかないのでシルフィードには敵をひとかたまりになるよう風を吹かせろと命じておいた。


セイは本体の指揮者を捕縛しにいくことに。今なら最後尾にいる大型船を着岸させる水路を作った魔導砲は撃てない。が、後ろに下がられたらまた撃たれてしまうから先に仕留めるのだ。


セイはもう一度火の玉を出してもったいないなと思いながらロマンの欠片を積んだ戦艦の船首と船尾を撃ち抜いたのであった。



「なんなんだアイツらは・・・」


拘束されながらも王城の窓からその様子を見ていたガーミウルスの使者は無敵であると信じていた艦隊がいとも簡単に無効化されていくのを愕然としていたのであった。




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