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テルウスも見えるように

「ヘスティア、話がある」


「なんだよ改まって?」


「テルウスと交渉したいんだ」


「交渉?」


「そう。テルウスも力を落として皆から見られたいって言ってるだろ?」


「そんな事はさせねーけどな」


「ウェンディを神に戻す為の情報を持っているらしいんだ。その情報と交換で力を落とす方法を教えたい」


「マジかよ」


「うん、ウェンディに力を注いでるけど、今の感じじゃ一生掛かっても元に戻してやれないかもしれない」


「もう別にいいじゃんかよこのままで

。それよりお前が死なない情報があれば交渉に乗ってもいいぞ」


「あのなぁ。人間が死なないとか不幸だろうが。もし肉体がそうなっても精神が耐えられんぞきっと」


「俺様が癒やしてやるから大丈夫だ」


その根拠のない自信はどこから?というか癒やされた記憶はないのだが?


「情報を聞いて神に戻るかどうかは最終的にウェンディが決めればいいけど、戻りたいのに戻してやれないのは違うと思うんだよ」


「お前は本当にウェンディに甘いよな。そんなのウェンディが見付け出して自分で戻る努力をする。セイはその手助けをするのが筋だろうが。全部お前がやってんじゃねーよ」


確かにヘスティアの言うことは一理ある。


「そうか。なら、ヘスティアも自分の事は自分でやれよ。飯とか」


「なっ、なんでそうなんだよっ」


「食材の確保とかは手伝ってやるぞ」


「セイ」


「なんだよ?」


「俺様にも優しくしろよ」


と、ぐすっとなるヘスティア。


「優しくしてんだろうが」


「違ぇっよ。いっつもウェンディを最優先してんだろうが」


「しょうがないだろ?あいつはなんにも出来ないんだから」


「なら俺様もなんにも出来なくなれば一番にしてくれんのかよっ」


「なんでそうなるんだよ?」


「だってズリぃぞ。ウェンディより俺様の方がセイに取って役立ってるだろうが」


「そりゃヘスティアにはたくさん助けてもらってるよ」


「もうこれ以上セイが面倒を見るやつが増えたらもっとかまってくれなくなるだろうが」


甘えたモード発動か。


「テルウスは皆から見られたいだけなんじゃないのか?」


「そんなのわかんねーだろ。そのうちしれっと混ざってセイを独り占めしようとしやがんだよ。あいつはそういうやつなんだ」


「あのなぁ。俺を独り占めってなんだよ?俺がテルウスに惚れるとか思ってんのか?。言っとくけど俺には誰にも恋愛感情なんてないぞ」


「ラーラを嫁にとか言われて満更でもなさそうだったじゃねーか」


「ラーラは子供だろうが。あんなのは冗談なんだよ。本気じゃないわバカ」


「本当かよ?」


「マジだ。それにお前らの面倒見なきゃならんのに他の奴らと結婚なんか出来るもんか」


「ずっと俺様達の面倒見るつもりかよ?」


「俺以外に誰がお前らの面倒見れんだよ?エネルギーの注入も俺しか出来んだろうが」


「そりゃそうだけどよ・・・」


「ヘスティア。俺は別にいやいやお前等の面倒を見てるわけじゃない。やらされてるわけでもない」


「じゃあなんで面倒見てくれてんだよ?ウェンディのついでか?」


「俺も嬉しいからだ」


「えっ?」


「お前らと一緒にいるのが嬉しいからだ。何回も言わせんな恥ずかしい」


「ほっ、本当かよ」


「あぁ」


「俺様といるのは嬉しいのかよ?」


「あぁ」


「本当だな?」


「くどいぞ」


とここまで言うとヘスティアは抱き着いてきた。


「す、少しこうしてろよ。セイも嬉しいんだろ?」


「恥ずかしいけどな。でもこうしてくっついて来てくれるのは元の世界ではなかったことだ。俺は寂しかったからな」


「俺様もだ・・・」


暫くくっついてたヘスティアはテルウスに教えてもいいぞといった。



この話はヘスティアを呼び出して海岸でしていた。もう春なのに肌寒い夜の海岸でヘスティアは暖かった。



「キィーーーっ。わたしの下僕に何してんのよっ」


「ヘスティアは甘えん坊だから仕方がない」


その様子をこっそりと見ていたウェンディとアーパス。みな自分達もヘスティアと同じく寂しいという気持ちが同じなのは伝わって来ていたのでそのまま声をかけなかったのである。



屋敷に戻りウェンディとアーパスにテルウスに力を落とす方法を教える代わりにウェンディを神に戻す方法を教えることを話す。


「わたしの為に教えるってこと?」


「そうだ。エネルギーを注入したら神に戻るのはヘスティアとアーパスで実証済。ウェンディも同じはずなんだけどエネルギーを注入出来る量が全く違う。これが解決されなければウェンディを元に戻してやれない」


「どれぐらい違うの?」


と、アーパス。


「ヘスティアを抱きしめてエネルギー注入し続けたら3日くらいで戻る。アーパスなら1日もかからないかもしれない。ウェンディの元の力がヘスティアと同じぐらいだと仮定しても最低3000日。約8年間だ。その間に寝たり飯食ったりとか色々とするから10年は掛かる。俺とウェンディが四六時中抱き合って10年間とか無理だろ?これですら俺の感覚値だからな。実際にはもっと差があったら俺は一生ウェンディを抱き締め続けても無理かもしれないんだよ」


「じゃあどうすんのよっ」


「だからテルウスに情報を聞くんだろ」


「なんでテルウスがそんなの知ってるのよ」


「大神から情報を聞いたのはテルウス、アーパスの情報はテルウスから入って、ヘスティアはアーパスから、ウェンディはヘスティアから入っているらしい。だから抜けたり漏れたりしていてもおかしくないらしいぞ」


「そういうことだったの。てっきり大神から直接情報が伝わったのだと思ってた」


「ヘスティアとウェンディよりアーパスの方がよく知ってるだろ?そういうことだったんだよ」


「なるほど、理解した。私はテルウスに教えるの問題ない」


「俺様もセイがそこまでいうなら構わなぇ」


「しょっ、しょうがないわねっ」


ということでテルウスに力を落とす方法を教えることになった。



「テルウス、みんなの了承を得たぞ」


と言うと現れた。


「ふふふっ、間に合うかしら?」


「力を落とすにはこれを使う。ドラゴンの鱗だ。これを身に着けていると力を吸われて力が落ちていく。初めは天界に帰れなくなり、瞬間移動が無理になって浮けなくなる。そこぐらいまで落ちたら人から見えるようになるぞ」


「へぇっ。そうやって力を落としたんだ」


「ただな、時間が掛かるから結婚式には間に合わないかもしれん」


「えーーっ」


「手っ取り早いのは神の加護を使うことだ。お前の場合は地震だから人里離れた所で地震をバンバン起こしてからウロコで調整するのがいいと思うぞ」


「どこか遠くで地震起こしてそこで人に見えるまで力が落ちたらどうなるのよ?」


「そこから動けなくなるだろうな」


「そんなの嫌よっ。あなたも一緒に来て。だったら連れて帰れるでしょ」


マジか。地震の影響が出ない所を探さないと・・・・。あ、あの蛇の島に行けばいいか。あそこは誰も住んでないしな。


翌日、シーバス達に遠征してくると伝えて出発。確かこっちの方角だったよなと記憶を頼りに飛び、半日程で発見する。


「セイ、ちと蛇を捕まえてくるから待っておれ」


と、クラマが出て来て蛇酒用に捕まえに行った。そして白蛇が2匹おるぞと言われたのでサカキと手分けして狩る。女神ズは空馬の中で待機だ。またウェンディが蛇を見て暴れるだろうからな。


白蛇は肉と皮になったのでテルウスに地震を起こさせる。


「オーホッホッホ。アースクエイクっ アースクエイクっ アースクエイクっ」


島が地震で無くなってしまうんじゃなかろうか?


地震を連発させたことで天界に帰れなくなったようだ。平らだった島はグズグズに崩れ、見るも無惨な姿に変わり果てた。


「テルウス、もう一発軽めのを出した方がいい。それで浮けなくなったら帰ろう」


という事で最後の地震で島は浸水し始め、小さな島々に別れたのだった。空馬で浮いていたからよくわからなかったけど、他の陸地に影響が出ていないことを祈る。


屋敷に戻ったのは夜中だ。


「静かにな。フィッシャーズたちはもう寝ているから」


女神ズは露天風呂へ、セイは内風呂に入って寝床へ。


「なんだよ、テルウスもここで寝るのかよ」


「そうよ。私はここね」


「ちっげーよ、お前は一番端だっ」 


寝る並びはヘスティア、セイ、ウェンディ、アーパス、テルウスの並びになった。ぶーたれたテルウスに俺の隣で寝たら赤ちゃんできるかもよと脅して納得させた。横で寝てそんなの出来たら今頃俺は子沢山だ。


寝る時から両方に女神がいるので寝返りすら打てなくなったセイは久々に身体がバッキバキになったのだった。


翌朝、シーバス達にテルウスが見えるか確認するとまだ見えなかったのでウロコを持たせる。暫くするとわっと驚いたのでここで終了した。こちらの約束は果たしたのでウェンディを元に戻す方法を教えてもらおうじゃないか。


さぁ、その方法はいかに?




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