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試練を受けてたフィッシャーズ

ーヘスティア試練の間ー


「ガッシー前に出てガード頼むっ」


「ふんっーー!」


ドゴンっ


サラマンダーの突撃をウロコの盾で弾き返すガッシー。


「パールフっ、おまえは常にサラマンダーの側面に周り込むように動けっ!正面にいるなっ」


フィッシャーズ達はサラマンダーと死闘を繰り広げていた。パールフは支援特化し、ツバスがガードするといういつもとは違ったパターン。ガッシーがシーバス達の盾に徹しているからだ。ツバスの炎の攻撃は効かないが炎を目眩ましに使って逃げ続けるというのを繰り返す。パールフの支援魔法がなければ全てが終わるのだ。


「こんなのにセイの野郎達は勝ちやがったのかよ。熱くて飛び込めんしガードするのか精一杯だぜ」


ぶつくさ言うダーツ。パールフが無事か気になるがツバスを信じるしかない。こちらもガッシーの盾が無ければどうしようもないからだ。


「チーヌ、ダーツ、足を狙うしかねぇ。ガッシーが盾を持って突っ込み、その後ろに俺達。ガッシーが攻撃を弾いた後に全員で両方の前足を狙う。これを続けてこかせるしかねぇぞ」


色々と試した結果、それしか方法がないと結論付けてシーバスは指示をした。


「付いてこいっ。ウォぉぉぉっ」


ガッシーがウロコの盾を前に構えて突っ込んで行き、その後ろに皆が付いていく。炎が吐かれたのを盾でガードした。


ドゴンっ


「ぐうァァァァつ」


炎をガードしているところをサラマンダーはグルンっと回転して尻尾で皆をなぎ倒した。


「きゃあぁぁぁっ ダーツっ」


「来るなっ。お前らはお前らで成すべことをしろっ」


パールフが皆のカバーに入ろうとするがダーツがそれを止める。


シーバス達はポーションを飲んで回復し、今の攻撃を頭に入れてまたもや突っ込んでいく。


しかし、炎の息を吐かれているときにはそれをガードするしかなく、横から前足の攻撃や尻尾の攻撃を同時にガードするのは無理なのだ。何度も繰り返しては吹っ飛ばされポーションを飲んでいく。パールフも思いっきり支援魔法を掛けているのでポーションを飲みながら戦っていた。


それを見ているイフリート。通常ならもう合格なのだが、ヘスティアよりサラマンダーが倒される寸前まで合格にするなと言われていた。


「ヘスティア様も酷な条件を出されたものだ。セイ様達ならいざしらず普通の人間がそこまでやれるものなのか?」


ヘスティアはウロコの盾とポーションがあるから条件を厳しめにしたのではあるが、フィッシャーズ達ならやり遂げるだろと信頼しての条件でもあった。



「はぁっ、はぁっ シーバスダメじゃねーかよっ。他に作戦ねーのか」


「ならお前が考えろチーヌ」


「シーバス、盾をチーヌに持たせろ。俺はもう一枚の盾がとして大剣でガードする。シーバスとターツはワイバーンの時と同じ攻撃だ。シーバスが斬りつけて傷ができたらターツが刺せ」


「足も斬れなかっただろうが」


「狙うのは腹だ。セイがウェンディを守るのにこの盾を亀の甲羅みたいにしていただろうが。あんなに感じでウロコを甲羅みたいにして腹に潜り込め。俺は横からの攻撃は防いでみせる」


「お前、死ぬぞ」


「ポーションがあるから大丈夫だ。予め口の中に入れておく」


ガッシーはチーヌにウロコの盾を渡して大剣を抜いた。


そして先頭になって走ってサラマンダーに向かった。炎を吐かれたのを横っ飛びで回避すると後ろからウロコの盾を亀の甲羅のようにして炎の中を突っ切るシーバス達。サラマンダーは右利きなのか、横からの攻撃は右手でしてくることが多かった。ガッシーはそれを読んでサラマンダーの右手側に飛んでいた。


ガンッ


「ぬぉぉぉぉっ」


ガッシーが渾身の力を込めてその攻撃を食い止めている間にシーバス達は腹に滑り込む。


ドゴンっ


「ぐあぁぁぁぁっ」


右手の攻撃を食い止めたガッシーの背中を左手の攻撃が襲った。飛び散る鮮血と共に吹っ飛ばされたガッシー。


「くっそぉぉぉっ」


シーバスは滑り込んだ腹に攻撃を仕掛けた。


ギィんっ


シーバスの叩き付けるような剣筋はサラマンダーの腹には効かず逆に剣が折れた。そしてダーツもレイピアをそこに突き刺そうとしたがこれも折れた。


チーヌも玉砕覚悟で短剣を斬りつけるが傷ひとつ付かないサラマンダー。


シーバス達は死を覚悟した。



が、サラマンダーはそこから攻撃をしてこずに動きを止めて、口からゴトンゴトンと何かを吐き出して消えて行ったのである。



皆はその場でヘナヘナと腰を抜かして座り込んだ。


「シーバスっ」

「ダーツっ」


女性二人はヤバかったシーバスとダーツに抱き付きにいく。初めに吹っ飛ばされたガッシーも万能薬を口に含んでいた事で復活していたからだ。


「ふぅー、こいつをくれたって事は合格ってことかよ?」


チーヌがシーバス達にそう聞いた。


「そうかもな」


皆はもう一度万能薬を飲んだが、しばらく立ち上がれなかったようだった。



「ヘスティア様、あの者たちはクリア致しました」


「お前、合格を甘くしたんじゃねぇだろうな?」


「いえ、最後に剣が折れていなければサラマンダーは致命傷を負っていたでしょう」


「そうか。ならいいか」


「はい。ではセイ様にもお伝えして参ります」


「別に知らせる必要ねぇよ。セイは少しも心配してやがらねぇからな。あいつらがメラウスを持って来ると始めっから思ってんだろ」


「そうですか。流石にございます」


ゲスっ


「俺様は流石じゃねぇみてぇと言いてぇのかよ?」


イフリートはヘスティアに蹴飛ばされる。


「いっ、いえ。ヘスティア様はお優しいのでご心配されていたので、あの、その・・・」


人間に近付いたヘスティアの蹴りはいつもより痛くはないが精神ダメージには代わりはなかった。


「ではっ」


スッと消えるイフリート。今のヘスティアには追いかける事が出来ないので逃げても問題はないのであった。




「じゃ、それらが製品になった頃に次の魔導具オークションするね。たくさん稼いでお金貯めておいてねぇ」  


魔導具オークションが終わったセイ。


「儲かったのかよ?」


「結構ね」


「なら祝杯あげようぜ。サカキ飲むぞっ」


なんか上機嫌のヘスティアは宴会でもご機嫌だった。



ーアネモスの山ー


「結構水溜まってるけど思ってたより少ないね。こんなもんなの?」


セイはアネモスの持ち山に来ていた。川を堰き止めたダムみたいなものに水は溜まっているが半分にも満たない。


「相当雨が少ないのじゃろ。山も乾いておるしな」


とクラマ。


「雨降らせようか」


アーパスがここだけに雨を降らせようかと聞いてくれる。


「この山だけ雨が降ってるの見られてもよくないしねぇ。ウンディーネ、この水をこっちとそっちの山に行き渡らせる事は出来る?」


「ちょっと時間掛かるけど出来るわよ。一度にジャパッてやるよりゆっくりとやらないとダメなのよね?」


「そうそう。ゆっくりと中まで染み込むようにして撒いて」


ウンディーネに妖力を注いでこの溜まった水を山に撒いてもらうことに。その間に肉狩りだけどもうオーガが増えている。ユキメに出て来てもらってオーガは氷漬けに。角有りと黒豚はぬーちゃんが狩って来てくれるのでユキメとセットでやって貰った。角なしやノーマルオークも氷漬けだ。ダンジョンにコカトリスと交換してもらおう。


それを3日ほど掛けてやり、巣穴はクラマに軽く浄化してもらう。これである程度リセットされたはずだ。



ユキメが暴走する前にタマモが連れて帰った。ここで氷漬けしてくれてる間はベタベタされまくっていたのでウェンディとヘスティアの機嫌が悪い。


「ユキメがあんなのは初めっからだろ?なんでそんなに機嫌が悪くなるんだよっ」


「機嫌悪くなんてなってないわよっ」


ウェンディはプリプリと怒り、ヘスティアには抱きつかれて足で挟まれてぎゅうぎゅうと締付けられている。


「言っておくけどな、お前らがいつもガツガツ食ってる肉や魚を保存管理してくれてるのユキメなんだぞ。怒るより感謝しやがれ」


「だって」


「だってもへったくれもない。お前らも自分のやっていたことを何も理解されず感謝もされなかったら嫌だろうが」


「そうね」


「だからたまに出て来た時ぐらい多めに見ろ。やり過ぎかけたらタマモが連れて帰るから」


セイにそう怒られてぐうの音も出ない女神ズ。それにユキメがベタベタしてきたからとお前らが怒る意味がわからない。


サカキ、女神ズを護衛しててくれ。クラマはオルティアの指導を頼む。

山で肉狩りさせようと思ってたけどクラマにやめとけと言われたので、山での作業中は走り込みだけをさせていた。今日からは砂浜で走り込みだ。もう走るのは嫌ですというオルティアにクラマは寒中水泳とどちらが良いか選ばせていた。



「セイはどこかに行くのかよ?」


「木工ギルドのヨーサクに合ってくる。山の状況と魔導具生産している所の事を聞きに行ってくるよ」


ヘスティアは面白くなさそうだからオルティアの稽古に付き合うらしい。



「お菓子買ってきてよね」


とウェンディにお使いを頼まれて出発。


ヨーサクを久ぶりに訪ねて、山の水の事を報告した。


「そうか。ならお前の山は大丈夫そうだな」


「他の山は?」


「木が枯れん間に材木になりそうな木を切っとる。お前に貰った斧が大活躍じゃ」


「そこまでやばいの?」


「畑は魔法使いに水を出させておるから飢饉にまではなってないがの。山までは手が回っておらん。このままじゃと枯れて薪にしかならんから今のうちに確保しておる」


「国も対策打たないみたいだね」


「ああ。せっかく堰も作ってもらったが無駄じゃったの」


「そのうち井戸も枯れそうだね」


「国はどうするつもりなんじゃろうの。もうワシ等に出来ることは自分で備えることだけじゃ」


と、ヨーサクは諦めた感じで言った。


「アネモスって魔導具の版権とかは店がもってるの?」


「そういうのは商工会がもっておる」


と、魔導具の事を話すと担当を紹介してくれた。



「では、こちらが銀貨65枚、これ35枚・・・」


「あ、もういいです。売るのやめておきます」


「そうですか」


話にならんので売るのはやめておこう。


セイはアネモスという国から心が離れていく。帰りにリーゼロイ家にどんな様子なのか聞きにいくことにしたのであった。




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