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姫様とモリーナへの対策

「おせーぞっ」


「悪い。時間掛かった。ヘスティア、これにサインしてくれないか?」


「おっ、俺様へのプレゼントかよ」


とめっちゃ嬉しそうにする。


「違う。これは献上品だ。付いてる石は水晶だから献上品にするには価値が低い。だからヘスティアのサインが欲しいんだよ。お前の美しい直筆サインがあれば献上品にグレードアップされるからな」


「やめろよぉ〜」


「バビデ、これに名前を掘る道具はある?」


と道具を借りて名前を掘るようにして書いてもらった。なんかブランド名みたいになったな。


「で、俺様のは」


「ないよ」


「なんでだよっ」


「わかったよ。作ってやるからちょっと待て。水晶のでいいのか?」


「おう」


「私も欲しい」


「わたしには2つね」


まぁ、女神ズのは術式が見えても問題ないから腕輪だけ作ってもらって後から書くか。裏に書くのが面倒だから表に書いてもいいし。


フィッシャーズ達が帰って来るまであまりすることないし、予備も含めて作っておく事にしよう。



ー姫様邸ー


「これを妾にくれるのか?」


「そうだよ。ほらヘスティアの直筆サイン入りだ」


「凄いのじゃーっ」


「これはお守りだからしまっておいちゃダメだぞ。ずっと身に付けておいてくれ」


「フッフッフ。セイは妾を束縛したいのじゃな?」


「違うわバカ。お守りだと言ってんだろ」


「冗談じゃ。いつもありがとう」


と普通の女の子のように微笑むマリー。


爺の方をチラッと見ると別室に案内してくれたので爺の分も渡した。


「これはモリーナ様の分、これとこれは王様と第一王子様の分ね。こっちは王妃様達の分。王妃様達のは普通の腕輪だけど」


「普通の?」


「全部にヘスティアのサインが入っているけど、王妃様以外のは俺が術式を組んである。姫様と爺のは呪いを跳ね除ける術、モリーナ様たちのは呪いを吸収する術式を組んだ。これを身に付けていると腕輪が呪いの力を吸い取ってくれるから」


「これを作って下さったのですか」


「そう。これで内密に処理するのやりやすくなっただろ?しばらく時間を稼げるし、その間に対策練ってよ。呪いが効かないとなってくれば他の行動を取るかもしれないし、王妃を改心させられるかもしれない」


「そこまで考えて下さったのですか」


「王妃というより姫様には優しい母親でいて欲しいからね」


「セイ様、感謝申し上げるっ」


「爺、今度仲間と温泉旅行に行くんだけど姫様とモリーナ様をお忍びで連れて行こうか?」


「え?」


「2月11日出発で二泊三日の予定。視察かなんかで予定を組んでくれたら連れて行くよ。二人がいないほうが動きやすいだろ?」


そう言われた爺はハッとする。


「セイ様・・・いつからお気付きで?」


「結構最初の方かな?爺って歩くときに足音しないんだよ。初めは王室の作法かなと思ったんだけど他の人はそんなことないしね」


「アッハッハッハッ。これは参りました。ではお二人をお願いしても宜しいでしょうか」


「はい、おまかせ下さい。ヘスティアの秘密温泉なので他の護衛も不要です。俺が護衛しますので」


「それは心強い。ではお頼み申し上げます」


爺は姫様とモリーナのリハビリを兼ねて職人街の視察に訪れる予定を組むので朝に護衛として迎えに来て欲しいとなった。職人街なので大掛かりな護衛団より世界最高峰の冒険者に依頼するということで内部の了承を取るとのこと。姫様の事だけなら爺の采配でどうとでもなるらしいがモリーナの調整が難しいようだ。



ーヘスティアの試練の間に続く鉱石ダンジョンー


ゴガガガガがっ


「だから欲張んなって言っただろうがっ」


ガッシーに落石をガードしてもらったパールフが怒られている。


「だってセイの持っているような宝石が落ちてたんだもん」


「今回の目的はメラウスだ。宝石は全部罠だと思っておけ」


「あんな小さなのも罠なのね・・・」


とツバスが呟く。自分も捕りに行こうと思ってたのに先を越されたのだ。


パールフが岩陰に落ちていた宝石を何回か拾おうとして落石罠に掛かっていた。


「セイが貸してくれたこの盾は試練の時用なんだぞ。こんなところで使わせるな。こいつは攻撃を防御するだけでなく弾き返すんだ。危ねぇだろうが」


と、言いつつガッシーはこの盾を気に入っていた。大剣より圧倒的に軽く視界も遮らない。かつ衝撃がこちらに来ないのだ。


「しかし、セイが持ってる代物は国宝級どころじゃねーな。これは軍とかが欲しがるんじゃねーか?」


「だからセイは日頃使ってないんじゃねーか?女神様を守る時しか使ってねぇだろ?」


とシーバス。


「だな。パールフ、もう宝石が落ちてても見るな」


ダーツもパールフをたしなめた。


以前より広く深くなっているダンジョン内をフィッシャーズ達は休憩もろくにとらず、倒した魔物のアイテムも取らずに進んでいたのであった。セイの時と同じようにアイテム拾いをする鉱夫や冒険者達が罠にかかるのなるべく見ないようにするためでもあった。



セイは魔導具オークションの日までせっせと腕輪作り。女神ズにどっかに連れて行けと言われたのでポーションダンジョンにいくことに。


オルティアはクラマに山道ダッシュを延々とやらされているので置いてきた。


「ここは何?」


「ポーションをくれるダンジョン」


俺を見るなりザラザラと万能薬を出すから拾い集めるのが大変だ。


「今日はお土産を持ってきてやったぞ。中に入るからな」


と中に入り、入口付近に魔寄せの鈴をセットする。風鈴のように風を受けて動くようにした。



チリン チリン


うん、ちゃんと鳴るな。


「この音につられて魔物が入ってくると思うから食っていいぞ。冬の間は少ないだろうけど、春になったら食い放題だ」


もう用件が終わってしまったのでアチアチ温泉に移動する。ここは温かいのだ。


砂婆に蒸し料理を作ってもらって昼飯を食ったあと遊覧飛行をしたのであった。



晩飯の時に姫様と前王妃も来ることを伝える。


「おまっ、何やってくれてんだっ」


とビビデバビデ。


「俺が面倒見るからいいよ。どうせ姫様は俺から離れないだろうし、モリーナ様は車椅子だからおんぶするかぬーちゃんに乗って移動だね」


「面倒みるとかそんなこっちゃねぇだろうが。なんかやらかして不敬罪に問われたりもしものことがあったらどうすんだっ」


「ちゃんと護衛するってば。そのかわり俺になんかやらせたりすんなよ。自分の事は自分でやってくれよな。タマモ、風呂に入るときは頼むな」


「はいよ。足とかマッサージしてやればいいのかい?」


「できんの?」


「それなりにはね。砂婆と二人で面倒を見てやるよ」


「ありがとうね」


これでなんとかなりそうだな。



そして版権付の魔導具オークションの日になった。


「まずオーブントースターはいくらで」


「金貨100枚。これはタイマーの版権ということで宜しいか?」


「その辺はわからないけどそれ込みでいいよ」


「ならば120枚っ」


「150っ」


と値段が上がって行き、312枚でビッグが競り落とした。


次の掃除機は金貨17枚。版権が付かないらしい。これはヨドーバシ。


最後の電子レンジは意外な事にキホーテとヨドーバシの一騎打ちとなる。両者共に電子レンジを本命にしていたようだ。


最終的に競り落としたのはキホーテだった。金貨780枚。


「随分と頑張ったね」


「これは値段をギリギリまで落として売るつもりですよ。他の調理魔導具にとって変わるものだと思ってますからね」


なるほど。キホーテは食料品も売っている。電子レンジと共に冷凍食品とか作って相乗効果を狙っているのかもな。


冷凍チャーハンとか作ってくれたら買うかもしれん。


しかし金貨1000枚以上になったから宿の運営資金も少し楽になったから一安心だ。



これで2/10まで暇になったのでアネモスの山に肉を狩りにでもいくか。オルティアの実戦練習にもちょうどいいし。


角有りやオーガ相手に戦わされる事を知らないオルティアは晩飯をモリモリと食っているのであった。


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