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調査結果

翌朝二日酔いのマモンとリタ。


「ハイ、これ飲んで」


と二人にプチッと噛ませる。


「あっ、治りました」


「サカキに聞いたが万能薬を大量に持ってるんだってな」


「そうそう。初めの奴よりグレードアップしてるからいくつか渡しておくよ。アクアで流行り病があってね、それも治ったんだよ」


「騒ぎになったろうが?」


「ちょっとね。手遅れになってた子供がいてね、たまたまその子と同じ宿でそれがわかってお礼を言われたよ。上級貴族らしくて騎士団をまとめている家柄なんだって」


「なんだと?」


「騎士団を統括してるって言ってたよ」


「お前、そいつは恐らくアクアの中枢の貴族だぞ」


「騎士団ってそんなに偉いの?」


「国が違うから確かじゃねぇがな」


「まぁ、いい人達だったよ。その人にはこれをアーパスの慈悲ということにしておいた」


「なるほど、神の慈悲か。それなら理解されるな。しかしセイも信仰対象になるんじゃねーか」


「アクアではぬーちゃんも拝まれてたよ」


「はぁ、もう好きにしろ。なんかあっても神の力だといえばいいだろ」


「そうする」


マモン達にもそれぞれ10粒ぐらい渡しておく。


「今日はどうするんだ?」


「ボッケーノに行くよ。やることがあってね。じゃあ次は2/10に迎えに来るから屋敷に来といて。鍵も渡しておくから」


「わかった」


「あと生活魔導具いる?」


「たくさん取ってきたんだったな。うちは別に間に合ってるからいいぞ。リタはどうする?貰うか」


「じゃあ洗濯するやつあります?」


「グリンディル、アイテムボックスに入れてやって。これは全自動乾燥機能付きの奴だよ。文字がわかんないだろうから訳した紙がこれね。電子レンジとか掃除機とかいる?」


「なんですかそれ?」


「電子レンジは物を温めたりするもの。掃除機は床のゴミとか吸ってくれるやつだよ。何年後かにボッケーノで販売されると思うよ」


「ボッケーノで生産するのか?」


「これ版権付きで売れるそうでね、今度生産出来る店でオークションするんだよ」


「えらく高く売れそうだな」


「かもね。でもこの売上はフィッシャーズ達に渡して新しく作る宿の運転資金にするつもりなんだよ」


「アネモスでは売らんのか?」


「生産してるところある?」


「あるぞ」


「ならオークションにかけるよ」


「おう、そうしろ」


グリンディルは今の説明を聞いてリタにあげるものと同じ物を希望したので渡しておく。


リタを連れてギルマス達は出勤していったのでセイ達も出発してカントハウスに魚介類を持って行った。


「セイくんありがとうね」


「また来ますね」


と、本当に届けただけでボッケーノへ移動したのであった。


そしてタマモが戻って来る日になり情報をもらう。


「どうだった?」


「王妃が怪しいさね」


「どういうこと?」


「本当は自分が女王になりたいと思っているのさ。でもそれは無理だから息子を王にして自分が実権を握るつもりなんだろうよ」


「それなら別に呪いかけなくてもそうなるじゃん」


「王位は現王が死なないと継承されないんだよ」


「ということは?」


「現王も狙われてるんじゃないかねぇ。それと第一王子」


「旦那と息子まで?」


「王妃は操りやすい第二王子を王にしたいのさ。若くして息子が王になったらどう思う?」


「サポートが必要になる」


「そう。まずは第一王子が亡くなり、心労で王が倒れて亡くなる。で第二王子が王になる。そういう筋書きさね」


「それ本当に姫様の母親なんだよね?」


「そうだよ」


母親に命を狙われる息子・・・


セイは自分ごとのように考えてしまう。怯えた目で見られるより酷いじゃないか。


フリーズするセイ


「セイ、こういうことは元の世界でもあったさね。珍しいことじゃないんだよ。今のことを報告してどうするは向こうに決めさせな。あんたが悩むことじゃないさね」


「そうだね。ありがとうタマモ。よくこんな短い期間調べてくれたね」


「この国に来たときにある程度調べてあったからね」


タマモはそういうことを調べていたのか。


「アネモスも調べてあんの?」


「首を突っ込むかい?」


「いや・・・」


「なら必要な時には聞きに来な」


「うん、ありがとうね」


セイが想像していたよりもっと嫌な情報だった。


セイは夜に式神を爺に飛ばす。至急会いたいとメッセージを出したら今晩の0時にまた教会裏で会うことになった。


「ウェンディ、今日も人に合ってくる。姫様の執事だ。ボッケーノで不穏な動きがあってな。それを調べていた報告なんだ」


「なんでわたしにそんな説明すんのよ?」


「また機嫌悪くなるだろうが」


「悪くなってなんかないわよっ」


「もう寝とけよ」


「セイ」


「なんだよ?」


「どうしてそんな顔してんのよ?」


「ん?」


「物凄く怖い顔してるじゃない」


「あぁ、ごめん。ウェンディに対してじゃないんだよ。嫌な報告をしないといけなくてね」


ふーっ


「やめろよっ」


息を耳に吹きかけて来たウェンディ。


「ふんっ」


ん?なんとなく心が軽く・・・


あ、今の癒やしてくれたのか。


素直にお礼を言うのが照れくさくなったセイは頭をクシャクシャとしておいた。




ー教会裏ー


「そうですか・・・」


「あまり驚かないんだね」


「こちらの調査と内容が一致致しました」


爺は爺で調べていたのか。


「呪いを掛けている人は王城の外れにある庭に地下へ降りる階段が隠されている場所にいる。階段の扉は植え込みで隠されているから庭師とかも絡んでるかも」


「庭師が絡んでおりますか。情報誠にありがとうございます」


「どうするつもり?」


「セイ様にこれ以上ご迷惑をお掛けするわけには参りません。あとはこちらでなんとか致します」


「呪いを掛けている間に術者を殺すと呪いが解けなくなる可能性があるよ。祓うなら祓うけど」


「それは王妃様にも跳ね返るのでございますよね?」


「うん」


「ならばこちらで内々で処理致します」


「そう・・・。なら二日ほど待って。お土産を持って行くから」


「お土産ですか?」


「そう。だから二日待ってて」


「かしこまりました。では二日後にお待ちしております」


「朝一で行くよ」


と、爺と別れたセイは宝石ダンジョンへと向かった。


「よぉ、ちょっと欲しい物があるんだよ。水晶って出せる?」

 

ゴトンゴトンゴトン


「いや、こんなに大きくなくていいんだよ。これぐらいのが欲しい」


ザララララララララ


「もういいもういいっ。ありがとうな。今から妖力を注ぐけど大きくなるなよ。知り合いがお前の中に入ってるから階層を増やすのはやめておいてくれ」


と、お願いしてから妖力を注ぐとゴっと軽く揺れて耐えた。


「よーし、いい子だ。じゃ、またな」


翌朝女神ズとオルティア、クラマを置いて宝石店に。留守にしている間はオルティアの稽古をしてもらおう。



「こんにちはー」


「いらっしゃいませ」


「ちょっと中に入れてもらっていいかな?」


と、奥の部屋に行き貴金属をゴトンゴトンと渡していく。


「足りる?」


「もちろんでございます」


「あと今日中に作りたい物があってね、協力してくれない?」


「何をお作りになられるのですか?」


「腕輪を5つ」


マリー姫とモリーナ、爺、王様、第一王子の分だ。


姫様はピンクゴールド、モリーナはプラチナ、王様と王子は金。爺は銀でいいか。格を下げてないとまずいだろうしな。


腕輪に水晶を仕込んで貰い、腕輪の裏に結界の術を書いていく。姫様と爺のは呪いを跳ね除ける結界術を、すでに呪いを受けているモリーナや王様達のは呪いを代わりに受け止める術を仕込む。


「何をされているのですか?」


「水晶って魔を祓ってくれる力があってね、それを増幅させる術を仕込んでるんだよ。だからこれはアクセサリーというよりお守りだね。この術式をコーティングとかで隠せる?」


「はい。それは可能でございます。それと水晶にそのような力があるのでございますか」


「そうだよ。水晶いっぱいあるからいる?他の宝石ほど価値がないと思うから庶民向けのアクセサリーにはいいよね?」


「ハイ、とは言ってもセイ様のお持ちになられた水晶はくすみが全くございませんので一般的な品質の宝石に近い価値がございます」


「まぁ、庶民でも買えるような値段で提供してあげてもいいんじゃない」


「ハイ、頑張らせて頂きます」


そこそこ細かい術式なので夕方近くまで掛かってしまった。


バビデの家に戻ると稽古で倒れたオルティアがティンクルのポーション実験体として重宝がられていたのであった。



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