領主街ギルドで女神ズを紹介
「オルティア、お前も試練を一緒に受けに行くか?」
「チーヌ、やめとけ。お前たちと一緒に居たらダンジョン内はなんとかなるかもしれんが、サラマンダーとの戦いには邪魔になるぞ。お前らだけでも苦戦というかあっさり負ける可能性もあるからな」
「嫌な事を言うなよ」
「フィッシャーズが弱いと言っているわけじゃないよ。サラマンダーとの相性が悪いんだよ。俺もユキメがいなかったら勝てなかったかもしれんしな」
「マジか?」
「遠距離攻撃出来んのツバスとパールフだけだろ?しかもパールフは支援特化になるはずだからツバスのみ。しかも相手は火属性だ。ツバスの魔法攻撃は効かないと思っておいたほうがいいぞ」
「そうか。水か氷結魔法が使えねぇと厳しいんだな」
「そういうこと。ガッシーにはウロコの盾を貸しといてやるよ」
「セイ、ズリぃぞそれ」
「ヘスティア、別にズルくないだろ?俺たちが手伝う訳じゃないし。シーバス、俺のマントを貸しといてやろうか?」
「いや、ウロコの盾だけ借りておく。装備は自分の手で手に入れた奴を使いたい」
「そっか。ならポーションはたくさん持っていけよ」
と、ザラザラと渡しておく。
「悪りぃな」
「それよかちゃんと帰って来いよ。遅れたら本当に温泉にはおいて行くからな」
「おう、メラウス鉱石を取れなくてもそれまでには帰って来るわ」
お前らカニ鍋温泉の為にボッケーノに来たんじゃないだろうが。まぁ、冗談だろうけど。
シーバス達に鉱山ギルドの場所を教えるとそのまま出発していったのであった。
「バビデ、ボッケーノに魔導具ギルドとかある?」
「いや、ねぇぞ」
ということなので手紙を書く。同じ内容の物が3通。ビッグ、ヨドーバシ、キホーテ宛だ。販売するのはタイマー付オーブントースター、掃除機、電子レンジの3つ。空気清浄機とかは売れそうな気がしない。この世界は空気が綺麗だし花粉症とかも聞いたことがないのだ。昔は空気が汚れていたのだろうか?デジカメ、プリンター、モニターとかもある。これは次の機会にだな。モニターは鑑定機とかに使われているものがあるから版権はないかもしれん。ラジオはこれだけあっても放送局がないと無駄だ。
3店舗を回ってお知らせは終わり。各店とも予算を確保して絶対に行きますとのこと。場所はバビデの家の裏庭だ。各店とも電子レンジはちょー欲しいらしいからかなりの値段になるかもしれん。まだ何台もあるから爺に一つあげようかな。お酒をチンしたり出来るし。
「明日どっかに行くのか?」
明日からちょっとま居ないよと伝えたらバビデにそう聞かれる。
「そう、領主街に行ってくるよ。アンジェラも行く?」
「いや、ここに居られる時間は限られている。バビデと少しでも話しをしていたいからな」
「了解」
と、話しをしていると
「飯を食わせてくれ」
と、ティンクルがやってきた。
「ティンクル、女臭いぞ。また風呂に入っておらんじゃろうが」
と、ビビデに突っ込まれる。
「男やもめにはいい匂いだろう」
「うるさい。先に風呂に入ってこんか」
「セイ、頼めるか?」
俺に風呂に入れろというわけじゃないだろうな?
「ウンディーネ、頼むわ」
ウボボボボボボ
「おう、なんかよく見えるぞ」
眼鏡も一緒にウォッシュしてくれたようだ。
「セイ、ウンディーネってどんな姿なんだ?」
「水そのものだからどんな姿にも変えられるよ。ウンディーネ、一緒に飯食ってく?」
「たまには食べよっかな」
と言うので力を注いで皆に見えるようにした。女型かロッキューのどちらがいい?と言われたので女型にしておいた。
「おー、水の女神様みたいだな」
どことなくテルウスっぽいウンディーネ。
「バビデ、水の神様はここにいるだろうが」
「どうせ私はチンチクリン」
「それは私に対する当てつけか?」
アーパスより小柄なティンクル。ビビデとバビデもガチムチだけど身長は低い。イッツァスモールワールドって感じだ。
セイの頭のなかでララランラン♪と音楽が再生される。
「セイ、精霊とはいえお前いつもこの美女と風呂に入っているのか?」
とビビデが聞く。
「最近は風呂の時には人型にはなってないよ。ゴボゴボと泡風呂にしてくれるだけで」
「本当か?」
と、疑われるのでロッキュー姿に変わってもらう。
「こんな時もあるぞ」
「こ、これはある意味ダメだな」
「そ、ウンディーネは水そのものだから姿を気にする必要はないの」
「セイは美女になってもウェンディになっても喜んでくれないのよね」
「勝手にわたしの姿にならないでよねっ。エッチな想像されたら困るじゃないっ」
誰がウェンディにエッチな想像をするのだ?
「お前の姿になってもそんな想像するわけないだろうが。もしウェンディと風呂に入ったとしてもラーラと風呂に入ってるのと変わらんぞ」
「キィーーーーっ」
翌日オルティアも連れて領主街に行く。
「よおっ」
冬場で暇なのか領主街ギルドのAランクパーティが昼間っから酒を飲んでいた。
「あーっ、セイだっ。そのマントをくれに来たのっ」
魔法使いのサマンサは相変わらずだ。
「セイ、女の子が増えたな。えれぇべっぴんさんと可愛らしい嬢ちゃんと普通の娘だな」
そう言ったのは盾役のタンクだ。オルティアだけ普通の娘とかなんか可哀想だ。結構可愛いいのに。
「えれぇべっぴんさんがヘスティア。可愛らしい嬢ちゃんがアーパス。普通の娘がオルティアだよ」
「ヘスティア・・・?アーパス・・・?」
「そう、ウェンディと合わせて女神ズだ。オルティアは冒険者でいま事情があって一緒に行動している」
「セイの女神ズ・・・。やっだぁ、セイのエッチ」
サマンサ、何がエッチなのかわからんぞ。
「あの・・・」
と、タンクが立ち上がる。
「なんだよ?お前らには前にも会った事があるだろうがよ」
「本当にヘスティア様ですか」
「そうだ。って前は見えてなかったんだな。忘れてたぜ」
タンクはその場で跪いてお祈りを捧げる。
「ヘスティア様、いつも加護を下さりありがとうございます。アーパス様におかれましてもお目にかかれて光栄にございます」
ウェンディもそこに入れてやれよ。
「えっ?セイの女神ズってあっちの意味じゃないの?」
「サマンサっ、それにシャーク達も他の野郎共も跪いて祈りを捧げろ。本当の女神様達だ」
「えっ?えっ?えっ?」
と、信じられずにボーッと立っている皆を怒鳴り飛ばしたタンク。そして皆も跪いて祈りを捧げた。
「もうやめろよ。今は何もしてねぇし。堅苦しいのは嫌いなんだよ」
ヘスティアがそう言うと皆は立ち上がって頭を下げた。
「タンク、もういいって。ヘスティア達は普通に皆と話したり食べたり飲んだりしたくて人間に近付ける為に力を落としたんだよ。だから普通にしてくれ」
「いっ、いいのかよ?」
「良いって言ってんだろうが」
と、ヘスティアに蹴飛ばされるタンク。なぜちょっと嬉しそうなのだ?
そこにギルマスのカントがやってきて跪いたところをヘスティアに蹴飛ばされた。やめたれ。
「ヘスティア、ギルマスには飯も酒も寝床も世話になってるだろうが。蹴飛ばすとかやめろよ」
「だってよぉ、やめろって言ってんのにやるからだろ?」
「ギルマスは今のやり取り見てなかっただろうが。ちゃんとごめんなさいしろ」
「ちぇっ。悪かったよ」
「いえ、とんでもございません」
「ギルマス、いいからいいから。もう普通の女の子だと思って。こちらはアーパス、アクアの水の神様。こっちはオルティア、駆け出し冒険者だよ」
「初めましてアーパス様。ようこそギルドへ」
「私にも普通にして。だって私は普通のセイの女」
「は?セイの・・・」
「アーパス、それやめろって」
それから皆でギルドの酒場で飲むことに。
女神ズは皆からチヤホヤされまくっている。何故オルティアまでがチヤホヤされているのかわからんがご機嫌なのでスルーしておこう。
「どうだった?」
と、ギルマスのカントに聞かれる。
「総本部の総長と総務部長、あとはファーブって人と会って来たよ。魔物図鑑のアップデートと魔物の情報提供への報酬と調査依頼の予算アップしてくれるって。今アクアのフィッシャーズというSランク冒険者と一緒に行動してるんだけどね、フィッシャーズが知っていた虫系の魔物とかの情報提供に対して結構な報酬出してたよ。その地域では当たり前の情報でも他国では貴重な情報だからって」
「それは連絡が来たな。魔物図鑑はまだだが、それが来たら大々的に通達することになっているぞ」
「マジか?魔物情報って売れるのか?」
と、他の冒険者達から聞かれる。
「特殊な魔物程高値になると思うよ。秘匿するやつが多いからって。情報の査定と調査があるから報酬を貰えるのは少し遅くなるだろうけどね。大々的に発表されたら各地から似たような情報が集まるだろうからより詳細に報告したほうがいいと思う。買ってくれる情報は魔物図鑑に乗っていないものだよ」
と、アドバイスしておく。
「セイは何か珍しい魔物の情報提供したのか?」
とタンクに聞かれた。
「今回は一角幻獣かな。図鑑には載るけど、万が一それが出たらまず逃げて」
「そんなにやべーのかよ?」
「かなりね。いきなり霧に包まれて何も見えなくなったら幻惑にかけられてて同士討ちにさせられる。本体も空を飛ぶしめちゃくちゃ素早いから対策の立てようがないんだよ。仲間同士で争って死んだりする事件があって理由がわからないなら疑った方がいいね」
「そんなの倒したのかよ?」
「俺には神様が付いてるからね」
正しくは憑いてるだ。
そう言ったら、さすがヘスティア様っと皆から褒めちぎられてハニーフラッシュしやがった。半裸になったヘスティアをエロい目で見た男共は目潰しのバチを食らったのであった。