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組織編成

「オルティア、ズボンは別に汚してもいい。俺がパールフに新しいの買うから。それよりスボンを気にして守りがおろそかになる方が危ないぞ」


「は、はい。ありがとうございます」


「セイ、オルティアは討伐に参加させるのか?」


「チーヌ、それは無茶だ。いくら洞窟内とはいえさすがにワイバーンは危ないぞ。お前らも気を付けろよ。爪もくちばしも尻尾の毒もヤバいからな」


「お前らなら簡単なんだろ?」


「ぬーちゃんが洞窟内で即死毒出したら終わりだからね。剣ならクラマが首を落として終わり。シーバスは一撃で首を落とせないと思ってやったほうがいいぞ。結構硬い皮だからな」


と、少しアドバイス。メラウスの剣やクラマの妖刀ならすっぱりいくけどシーバス達の剣ならそうはいかんかもしれん。



ワイバーン専用出張ギルドにフィッシャーズを紹介する。


「本日は宜しくお願いします」


ここに稼ぎ場にしている冒険者達はフィッシャーズに付いて連携を中心に学ぶつもりとのこと。


「俺達もワイバーンは初めてだからヘマするかもしれんけどな、それも参考にしてくれ」


サカキとクラマをサポートにつけようか?と打診すると不要と言われた。連携云々じゃなくなるからだろう。


「ウェンディ、お前らはこれに隠れて見てろ。絶対にうろちょろすんなよ」


セイはウロコの盾を渡して、岩場を背中にして構えさせた。


セイは前に出て剣を抜いてスタンバイする。


「セイー、何もしないのー?」


「そうだよ。ぬーちゃんも手出ししたらだめだからね」


「暇だねー」


と、ぬーちゃんは首に巻き付いたのであった。



ーその頃のガイヤー


陸地から遠く離れた海上にて木造の帆船が鉄の蒸気船に近付き小舟に乗り換え乗り込んでいった。



「会いたかったよガイヤの諸君」


「デイスラル総統、お久しぶりにございます」


デイスラルは神なし国、ガーミウルス帝国皇帝である。


「そろそろいいガイヤも神を捨てる時が来たのではないのかね?」


デイスラルに会いに来たのはガイヤ王家の分家である。


「それが先日、不届き者共が神の怒りに触れ、神罰が下ったとの噂が出ており益々信仰が強くなりましてな」


「神罰か。愚かな事を信じるのだな」


「ガイヤは神の恵みで豊かであると信じられてきましたからな」


「まぁよい。貴君の働きが我がガーミウルス帝国の発展に寄与して貰ったのだ。時期王にふさわしいと我々は思っているよ」


「その節はよしなにお願い申し上げる」


「諸君達もアネモスのように神を捨てる時が来たら手を貸そう。その時を楽しみにしているよ」


ガーミウルスは魔導兵器をガイヤから調達し、それを元に新たな兵器を作り出して神が守護する魔法と剣の世界に新たなる世界を作り出そうとしていた。


分家の者が船から下船したあとデイスラルはワインを飲みながら高笑いをしていた。


「フハハハッ、あの船が間もなく完成するのだ。完成の暁には世界を統べるのは神ではなく我がガーミウルス帝国であると皆が思い知る事になるだろう」




ーワイバーンの巣穴ー


「ガッシー、尻尾のガードに専念しろっ。ツバス、お前は右の翼、チーヌは左だっ」


初めはワイバーンの攻撃パターンが読めずに苦戦していたフィッシャーズは攻撃箇所を担当制にすることでコツを掴んでいた。倒すのはシーバスが首を狙う攻撃。ダーツはシーバスの後ろでサポートをする。他のメンバーはワイバーンの攻撃を防ぐのを目的とした攻撃だ。シーバスの攻撃で首を落とせなかった時に出来た傷を狙ってそこをダーツが刺す戦法だ。セイからのアドバイスで一撃で倒せないと思えよというのが生きていた。



「ふぅ、俺が一撃で首を落とせたらもう少し楽に倒せるんだがな」


見事な連携でワイバーンを3体倒したフィッシャーズ達。


「流石ですね。これの報酬は誰の物になるんですか?今のは止めを刺したダーツさん?」


「は?何言ってんだお前?全員で倒したから全員で分けるに決まってるだろ。俺が倒したんじゃねぇ、フィッシャーズが倒したんだ」


と、止めを刺したダーツが見ていた冒険者に言う。


「まさかお前ら止めを刺した奴が報酬を総取りしてんのか?」


「そりゃ参加したメンバーにも分けますけど、一番多くの報酬を取るのは止めを刺した者が取りますよ」


「そんなことをしてっから皆止めを刺そうと連携がバラバラになるんじゃねぇかよ」


「しかし、討伐に対する貢献具合ってのも考慮しないと・・・」


「あのなぁ、それで討伐に時間掛かって危なくなったりしてたら意味ねぇだろ。それに貢献具合なんてどうやって判別すんだ?揉めるに決まってるだろうが」


ワイバーン討伐隊に来ている冒険者は金目当てだ。数が狩れるようになって皮や毒袋の買い取り金額も下がり報酬の取り分で揉める事が増えていたらしい。


「ここに来ている奴らはソロか?」 


「パーティ崩れや臨時パーティみたいにはなってますけど固定パーティじゃないやつの方が多いです」


「それなら俺達の連携なんぞ見ても参考にならんだろうが。セイ、次の奴をソロでやって見せてくれ」


「俺が?」


「ウェンディ達は俺たちが護衛してっから。パーティ組まずに倒せるにはこれぐらいの力が必要と見せてやってくれよ。俺にはまだ無理だ」


とシーバスから無茶振りをされる。


「ぬーちゃんかクラマにやってもらおうか?」


「ぬーちゃんと同じ能力使える人間がどこにいんだよ?クラマも飛べるから無しだ」


ということで見ているだけのはずが参戦することになってしまった。リポップするまで時間があるから飯にする。今日はカレーキャベツのホットドッグだ。


洞窟内に蔓延するカレー臭。他の冒険者達はパンと干し肉をかじっているので恨めしそうに見られるが仕方がない。高ランクパーティは羨ましがられなくてはならないのだ。


「オルティア、お前は本当はあいつらみたいにパンと干し肉食う立場なんだぞ」


「美味しく食べているのにそんなことを言わないで下さい」


チーヌにそう諭されるが平気でムグムグとホットドッグを美味そうに食うオルティア。


「はぁー、こいつ他のパーティに入ってやっていけんのかよ?セイが甘やかせて贅沢を覚えさせるからだぞ」


「一緒にいるのにオルティアだけ飯が別とか出来んだろうが」


「責任取ってやれよ」


なんの責任だ?最近責任取れ取れ言われまくってるのが解せん。


フィッシャーズ達が洞窟内にいるワイバーンをすべて狩ったのでリポップに時間がかかる。退屈なのでおもちゃでお菓子を賭けて遊ぶ事に。


他の冒険者達はワイバーンが出てくるのを警戒して緊張しているなか、女の子を交えてキャッキャ遊んでいるセイ達。


「セイ、ここもリポップする場所決まってんだよな?」


「そうだよ。だからあんな明後日の方向を警戒していても無駄なんだよね」


「教えてやらねぇのか?」


「毎日潜ってんだから気づかないのがおかしいんだよ。リポップする場所はちょっと入り組んだ場所ではあるけどね」


道はいくつかに分かれているけどリポップ場所は今の所は1つ。ワイバーンは中で違う道を通って来るのか色々な所から出て来るように思っているのだろう。ここは洞窟内で大きく開けた場所で戦いやすくはあるがそれはワイバーンにとっても同じ。もっと狭い所でワイバーンが攻撃しにくい場所てやればいいのにとセイは思っていた。


今は人形が飛び出すおもちゃで遊んでいる。誰かが棒を刺す時に一つクッキーがおかれていき、人形を飛ばした者がそれを総取りする。中々人形が飛び出さない方がお菓子が溜まっていくのだ。


そして残り穴は2つ、ウェンディかセイのどちらかがお菓子を総取りだ。


「ウェンディ、お前はどっちの穴に刺したい?」


「こっ、こっちよこっち!」


と、指を刺した穴に棒を刺す。ウェンディが選んだ方が外れだろうと思ったのだ。


ぷすっ


ばびょんっ


「あっ、飛んだ」


「キィーーーーっ。ズルいわよっ!わたしに教えさせておいてそこに刺すなんてーーっ」


ウェンディを勝たせてやろうと思ったのが裏目に出てしまった。


「こっ、これはわたしのなんだからねっ」


と、積まれたクッキーを抱え込むウェンディ。


「わかったよ。ウェンディにそれはやるよ」


「ずりぃぞ。なんでウェンディだけそんなに甘やかすんだよ。ゲームはゲームだろうが」


と、ヘスティアが拗ねる。面倒臭ぇ。


「来たぞっ」


警戒していた冒険者がアラームのように叫ぶ。ナイスタイミングだワイバーン!


「ウェンディ、それはヘスティアとアーパスと一緒に食べてろ」


と、言ってセイはワイバーンにむけて捕縛の式神を飛ばして動けなくしたあとに首を刎ねた。


「はい終わり。参考にならなかったでしょ」


「なんですか今のは?」


「オリジナル魔法の捕縛」


と、陰陽術の説明も面倒臭いので魔法ということにしておいた。


「教えてくださいっ」


「これは3〜4歳位からずっと修行を積んで来ないと使えないよ。だから教えるのは無理だね」


「そんな小さな頃から修行されてたのですか」


「そうだね。これと剣と体術と修行してきたよ。皆は今から新しい事を始めようとするより得意な事に集中して練度を高めて行くほうがいいんじゃないかな。自分に足りない物はメンバーにカバーして貰えばいい。フィッシャーズ達も自分の得意な事でカバーしあってるだろ?」


「はい・・・」


「外で活躍している冒険者は同じ事をしてるだろ?というかお前らもそうだったんじゃないのか?」


「確かにそうです」


「ざっと見た感じ、俺が俺がって奴が集まっているようだけどパーティメンバーで報酬や方針で揉めて弾かれた奴らの集まりだろ?そのうち死ぬぞお前ら」


「・・・・・」


「元のパーティには戻れんだろうけど、ここにいる奴らの能力を見て臨時でもいいからパーティを組むとかで連携をしっかり取れ。フィッシャーズ達が言ったように報酬も山分けの方がいいぞ。止めを刺す奴が一番多く報酬を貰えるようなやり方だと防御担当とか誰もやりたがらないだろうし」


それを聞いたガッシーもウンウンと頷いている。


そしてフィッシャーズが皆と立ち会いをして能力の判別をしていき、オススメのパーティを決めていた。


「俺は今日見ただけだから性格まではわからん。あくまでも能力というか得意な戦い方だけで分けただけだから後は自分たちで決めてくれ」


とシーバスが説明して、その後にリポップしたワイバーンの討伐を後ろから指導していた。5〜6人のパーティメンバーを2組同時に討伐に向かわせて、メインとバックアップに分ける。それを交代でやっていき、メインもバックアップも報酬を山分けすればいいんじゃないかとアドバイスしていた。


夜は外で野営する。明日は複数のワイバーンが出た時の対応策をやってみようとなり、メインとバックアップのパーティ、同じ組み合わせを警戒組にしてそれを交代していく。その日の報酬は警戒組も全員で山分けすることで自分が成すべき事をきちんと成す事になっていくのである。これはパーティというより新生ワイバーン討伐隊の誕生でもあった。


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