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職人は職人を知る

「ビビデ、バビデ、もういいかな?話しが進まないんだけど」


と拝みから元に戻す。


「いやぁ、お美しいとはヘスティア様の為にあるような言葉です」


「やめろよぉ」


ビビデとバビデに褒められ倒して熱を発していくヘスティア。


「ヘスティア、抑えろ。服が焦げてんじゃないのか?焦げ臭いぞ」


「あ、やべえっ」


「あーあーあー、もうこの服ダメじゃんかよ、今日おろしたてなのに」


「悪ぃな」


「ほら、バンザイしろ」


と、ヘスティアの服を脱がすとビビデとバビデが目をまんまるにして見ている。


「エロい目で見てたら目潰し食らうぞ」


と言うと慌てて後ろを向いた。


「言っとくけど、コレがいつものヘスティアの服だからな。俺がおいたしてるわけじゃないぞ。ほら、かわりにこれを着とけ」


と、代わりの服を出して着せる。スカートは自分ではいてくれ。


「もういいぜ」


「セイはいつもこんなことをしているのか?」


こんなこととはヘスティアを着替えさせていることだ。


「こいつは普通の服を着なれてないから時間がかかるんだよ。バビデ、前に作ってもらったマントのウロコを外してくんない?あのウロコはヘスティアの力を使って布みたいになってるから、力の補充が追いつかなくてダメなんだよ」


「そうなのか。あんなに硬い物が布みたいになるんだから相当力を吸うんだな」


「そう。ヘスティアとアーパスはウロコに力を吸い取らせて人間に近づいたからみんなから見えるようになったんだよ。このマント気に入ってるみたいだからお願いね」


「今着ている素材はなんだ?」


「これもドラゴンの皮。アンジェラが染めてくれたんだよ」


「ほう、こんな色に染められるんだな」


「うむ、染色の技術で良ければ教えよう。その代わりにこのマントの縫い方とかを教えては貰えぬだろうか」


「いいぞ。お互いに得意分野を教えるか。国が違えば商売敵にもならんしな」


「ビビデ、アンジェラの針とハサミを見てやってくんない?アクアの職人に作ってもらったんだけどビビデほどの切れ味じゃないんだよ」


「ん?ほう、中々ではあるが噛み合わせが甘いな。メラウスは加工が難しいからの」


「生涯をかけて扱えるようになると燃えてたよ」


「そうか。ならこれはこのまま持っとれ。新しいのを作ってやる。他の職人に手直しするのは作ったやつに悪いからの。これはこれで悪くない出来じゃ。ドラゴンの皮以外なら十分に使えるじゃろ」


職人は職人を知るというやつかな。他人が作ったのを手直しするのは失礼になるのか。言われてみればそうかもしれん。


「すまん、もうメラウスの素材が無いのだ」


「セイから貰った奴があるから大丈夫じゃ。バビデが素直に認めた職人なら問題なかろう」


後は任せておこう。


「俺はティンクルの所に行ってくるよ。渡すものが大量にあるんだ」


「おぅ、なら風呂くらい入れと言っておけ。行き詰まったらここに飲みに来るようになっとるんじゃが女臭くてかなわん」


また風呂に入ってないのか。


と、言ってるしりからティンクルがやってきた。


「おっ、もう帰って来たのか」


「お前また風呂にはいってないんだろ?」


「冬だから問題ないだろ?」 


「ビビデが女臭いってさ」


スンスン


「私には解らんぞ」


確かに風呂に入ってない割には人間臭くはないな。しかし女臭いというのはよく解らん。


「ウンディーネ、この人を綺麗にしてやってくれるかな?」


うぼぼぼぼほっ


頭も顔も洗濯機の中に突っ込まれたようにして洗われるティンクル。


「ありがとうね」


「なんだったんだ今のは?」


「アーパスの眷属、ウンディーネが洗ってくれたんだよ。スッキリしたろ?」


「おおっ、本当だ」

 

「ティンクルにも紹介しとくよ」


と、全員に紹介をする。


「へっ、ヘスティア様、お願いがございますっ。私にも何卒お力をお与え下さいませっ」


「ポーション作りに高熱を出す必要あんのか?」


「い、いえ・・・」


「ならいらねぇだろ」


と、すげなく断られたティンクル。


「ヘスティアの力を貰って何するつもりだったんだよ?」


「ヘスティア様のお力を借りれば私にも万能薬が作れるかもしれないと想ったのだ」


「そんなのなくても作れるぞ」


「何?製法は知らんと言っていたではないかっ」


しまった。鑑定の道具で成分分析が出たから思わず口が滑った。


「まぁ、それはいいとして頼まれていた素材は集めて来たよ。他にもあるからここで渡そうか?」


「フッフッフッ、私の研究室でもらおうじゃないか」


と、背伸びをして肩を組もうとするティンクル。俺にぶら下がっているようにしか見えんぞ。


「じゃ、ちょっと渡しに行ってくるよ」


と、言うことで研究室に移動した。


どんどんっと頼まれていた素材を渡す。


「こんなにあるのか」


「腐るもんでもないからいいだろ?」


「いや、金が足らん」


「いいよ別に。全部あげるから」


「本当かっ」


「あと他にもあってね、これは毒予防ポーションのレシピ」


「予防?」


「うん、虫使いって奴がいてね、そいつのオリジナルレシピ。説明されてもよく分からなかったからレシピを書いてもらったんだよ」


「オリジナルレシピを貰っただと?」


「そう。ちょっと訳ありでね。人の為に役立てて欲しいと言うことで貰った」


「何処の国のやつだ?」


「ウラウドって国」


「知らん国だな」


「神なし国だし小さいからね」


「わかった。これは作ってみて効果が確認出来たらポーションにそいつの名前を付けよう。なんて言う名前だ?」


「あ、虫使いとしか呼んでなかったから知らないわ」


「ちっ、それならウラウドの虫使いとしか名付けられんじゃないか」


「それでわかるからいいと思うよ」


「それならいいが」


「あと、マンドラゴラと一幻獣の角だろ、これはホタルノヒカリ。日に当てると光らなくなるそうだから箱から出さないでね。他の虫の素材もあるからイラストと名前を確認して使えそうなら使って」


「マンドラゴラと一角幻獣の角だと?」


「そう。買うと高いらしいよ。一角幻獣の角は一本で金貨200枚の買い取りだったから」


「それをくれるのか?」


「何にも使えないなら他の人にあげるけど。まだあるから欲しいならあげるよ」


「よし、そんなの貴重な物をただでもらうわけにはいかん。私の初めてを・・・」


「いらないってば」


「私を嫁にもらう気はないか?」


「無いよ。ティンクルは美人だから貰い手いくらでもあるだろ?」


「私はやはり美人か?」


「可愛いいか美人かのどちらだと言われたら難しいけど、モテる顔立ちではあると思うよ」


「うむ、照れずによくそのような事が言えるな」


「俺にとって別にどうでもいいからね」


「うむ、お前は容姿にはこだわらんのか?美しく可愛らしい女神を侍らかしておいて」


誰が侍らかせてんだ。


「女神ズは子守と変わらんよ。皆寂しがり屋なだけなんだよ」


「私も寂しがり屋なのだがな」


「嘘つけ。一人で研究に没頭したいタイプだろ?」


「うむ、私の事をよく理解しているではないか。良き夫婦になれると思うのだがな」


「お前、俺がいたら便利だなぐらいにしか思ってないだろ?」


「そうだ。マメに世話を焼いてくれて、欲しい物をさらっと捕ってくる。まさに理想の旦那だ」


正直にぬけぬけというティンクル。これはこれで嫌いではないがじゃあ結婚しようとはならないだろそれ?


「とりあえず、欲しい物は全部あげるから好きに使って」


今渡した素材の組み合わせで万能薬が作れるのだ。効果の高さを左右するのは調合するときの魔力量。魔力を大量につぎ込んで作れば同じのを作れるみたいだけど、人間には無理かもしれん。エルフならいけるのだろうか?


「フッフッフッ。この素材達に秘密があるとみた」


「俺はポーションの事を知らないから自分で研究してね」


ティンクルは勘が鋭い。そのうち本当に作り出すだろう。それは自分で成し遂げてくれ。



前祝いだと言われてビビデ達の所で飲もうと言われた。ティンクルは自分勝手だけど結構好きではある。いい人見つかればいいな。


ビビデはフィッシャーズ達の使ってる剣や杖を確認してどういったものを作りたいかを話し合っていて、バビデはアンジェラとヘスティアのマントをバラして説明していた。皆面白い仕事を見付けたようで真剣だ。


「ウェンディ、アーパス、暇だろ?宝石屋に行くけど一緒に来るか?」


「行くっ」


宝石屋でダイヤモンドのカットとアーパスのアクセサリーを頼みに行くことにしたのであった。



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