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ボッケーノでやることがたくさん

翌朝、前王妃と謁見。


「セイー、妾のお婆様なのじゃー」 


「初めましてセイ様、ビスクマリーがお世話になっていますわね。このような姿でごめんなさい」


「モリーナ様、セイと申します。この度はお目にかかれて光栄にございます」


「ホホホ、堅苦しい挨拶は宜しいわよ」


フィッシャーズと女神ズは置いてきた。ウェンディが何かやらかしそうなのと、シーバス達は緊張して無理だと言ったからだ。前王妃のモリーナはセイと会いたいとのこだったので問題はない。セイの他にはぬーちゃんが首に巻き付いているだけである。


姫様は前王妃似なのかな。血縁者というのがすぐにわかる。


「体調が優れないと伺っておりましたがもう大丈夫なのですか?」


(セイ様が下さったポーションを毎月飲んでおりますの。ですから大丈夫ですわ)


爺からはポーションで復調したことは内密になっていると聞かされていたが毎月飲んでいるだと?


あっ・・・


「まだ車椅子なのは寝たきり生活が長くて筋肉が衰えてますの。歳は取りたくないものね。リハビリをしても全然筋肉が戻って来ませんわ」


「リハビリに焦りは禁物ですよ。お湯などで温めながら関節をよく動かすと良いと聞いたことがありますから、上手く動かなくてもお付きの人に足の指先から足首膝と動かしてもらうといいですよ」


「あら、何事もよくご存知ですのね。宜しかったら色々と話を聞かせてくださらないかしら?マリーが好きな冒険譚とか」


ならフィッシャーズを連れて来たら良かったな。と思いつつ、ウラウドの虫使い、アクアそばでの虫の魔物狩り、ガイアでの三つ目なんかの話をしながら部屋の中を見回してみる。あれだな。


「随分ときれいなグラスですね。銀製ですか?」


「そうなのよ。息子、今の王なんですけどね婚約したときに主人とペアで贈ってくれたものなのよ。もう主人は亡くなりましたけど、とても気に入ってましたの。こうして2つ並べていると主人も一緒にこのグラスで飲んでいるような気がして」


「そうでしたか。前王様は早くに亡くなられたのですね」


「ええ、残念ながら。でも息子が立派に継いでくれてますので思い残すことはありませんの。セイ様にお会いするのが楽しみで少し長生きさせて頂きましたわ」


そこから少し話をして謁見は終了した。



「お世話になりました」


「セイ、次はいつにくるのじゃ?」


「うーん、あちこち飛び回るから面白いものを見つけたら持ってくるね。あと、ドラゴンの涙はかっこいいペンダントになったね」


「じゃろ?おなご向きのデザインではないがこれを身に着けているとセイに守って貰っているような気になるのじゃ」


姫様のドラゴンの涙はドラコンが咥えているようなデザインになっている。確かに男向けのデザインだな。


「じゃあ今度来るときにお守りを作ってきてあげるよ」


「本当かっ」


「もちろん。楽しみにしててね」


と、約束をして姫様邸をあとにする。


見送りに来てくれた爺に隠蔽した式神を飛ばした。近いから小さくても大丈夫。


(爺、これは俺の能力を使って話しかけているから表情を変えないで)


と、耳打ちのようにして話す。爺はまたお待ちしていますと何事もなくにこやかに送り出したので、セイも表情を変えずにそのまま話し続ける。


(なるべく早いうちに相談ごとがあります。誰にも気付かれずに会えますか?誰もいないところで耳の後ろに付いている人の形をした紙にメッセージを吹き込んで、最後にセイの所へと言ってくれれば自分に飛んで来ます)


小声でそう話して王城から出たのであった。



「セイ様、今宵0時に教会の裏で」


と爺からメッセージが飛んで来た。何かあるとすぐに理解してくれたようだ。



街中をぞろぞろ歩くとやはり目立つな。いつもはぬーちゃんで走るけど全員乗れるわけじゃないからな。


そして教会前を通り過ぎようとすると孤児たちに見つかった。


「あー、肉の兄ちゃんだっ」


なぜ俺は食べ物でしか認識してもらえないのだろうか?


「よおっ、元気そうだな。肉の差し入れは続いてるか?」


「うんっ。兄ちゃんが肉をもってきてくれてから、他の冒険者も持ってきてくれるようになったんだ」


「そうか、そりゃ良かったな。魚も食うか?」


「なんの魚?」


「アジの一夜干しがたくさんあるから神官さんにでも焼いてもらえ。お前らだけじゃ持てないだろうから誰か呼んで来いよ」


「うんっ」


と、元気に走っていった後にぞろぞろと連れてきたのでアジやサバの一夜干しを渡していく。


「これは海の魚?」


「そうだぞ。骨あるから気を付けて食えよ」


「ありがとうっ。また遊びに来てねーっ」

 


「セイ、ここでもなんかやってんのか?」


「孤児院から肉の採集依頼が出てるんだけどさ、銅貨数枚とかだからあまり持ってく奴がいないんだよ。だから前に受けた報酬で常駐依頼を出してあるんだ。孤児院からの依頼だとポイントは割増で貰えるみたいだけど、やっぱり金もいるだろ?」


「お前、アクアでもそんなことをしてたよな」


「物が食えないって辛いからね。何もしてやれないけど、なんか食えるようにはしてやりたいじゃん」


「確かにひもじいと悪さするようにもなるからな。村じゃ悪さも出来んが都会ならかっぱらいとかしかねんからな」


「よくいうよ。あんたら売る魚盗んで折檻されてたでしょ」


「自分ちのだろうが」


「それでも泥棒は泥棒よ」


と、シーバスはパールフに突っ込まれていた。男連中は皆同じような事をしていたみたいだ。



「ギルドに顔出す?」


「ん?なんか用があるのか?」


「いや、ギルマスにお土産渡すぐらいだからあとからでいいや。なんか面倒臭くなりそうだし」


「あー、セイの野郎がいたぞっ」


しまった。見つかってしまった。名前は知らないけどボッケーノの冒険者だ。


「なんだよ?」


「ちょっと来てくれよ」


「行くところあんだよ。お客さんを案内中だ」


「頼むからっ。ワイバーンが何匹か逃げたんだっ」


「は?穴の中で討伐隊組んでやってんだろ?」


「一度に何匹も出てきて倒せなかったんだよ」


「いつの話だ?」


「年末だよ。それから一度に出る時が増えてやられるやつも出てきてんだよ。いいからギルマスと話してくれ」


昼間に移動したの失敗だったな。


仕方がなくフィッシャーズ達とギルドに行く。



「よーし、よく来た。予定より随分と早かったのはこのためだろ?」


「違うわ。で、冬なのにワイバーンがそんなに出てんの?」


「あの穴は年中暖かいからな」


確かに。


「でも逃げたワイバーンなんて今更追っかけられんぞ」


「いや、それはもうどうしようも出来んのはわかってる。それより今いる討伐隊の奴らに狩り方の手本を見せてやってくれんか?」


「俺のは仲間がやるから参考にならないよ。根本的に戦い方も使ってる剣も違うから」


「そうか・・・。いいアイデアだと思ったんだがな」


「シーバス達手本を見せてやる?」


「ワイバーンなんて討伐したことねーぞ」


「三つ目を討伐したときのような連携を見せてやってほしいんだよ」


「セイ、そいつら誰だ?」


「アクアのSランクパーティのフィッシャーズ。ここに依頼を受けにきたわけじゃないんだけどね」


「おー、Sランクなんて連れてきてくれたのか」


とりあえずお互いに紹介しておく。


「すまねぇっ。Sの力を貸してくれ。指名依頼で金貨5枚払うからよ」


「6人パーティだから6枚にしてやって。ここに仕事をしにきたわけじゃないんだから」


「ん?7人じゃねーのか?」


「一人は駆け出し。仲間だけどパーティメンバーじゃないよ」


「なんかよくわからんが6枚なら受けてくれるんだな?」


「いいわよ」


と、シーバスが返事をする前にパールフが返事をする。一人金貨1枚の依頼はアクアでは中々ないからな。


明日にワイバーンの穴に直接行くと約束してビビデ達の所にいく。


「早かったな。そいつらは誰だ?」


「バビデの所に行こう。そこでまとめて紹介するよ」


と、勿体つける。ギルドではあえて女神ズを紹介しなかったけど、ビビデ達には紹介しないとな。


バビデの所に到着してフィッシャーズ達から紹介する。


「ほう、Sか。まさかメラウスを捕りに来たのか?」


「そうだ。俺たちが捕ってきたら武器を作って欲しいんだ。その為にアクアから来た」


「おう、その心意気かってやるわい。メラウスを持ってきたら作ってやる。セイが連れて来たんだ、勝算あるやつらなんだろ?」


「苦戦するとは思うけどね」


次はバビデに紹介する。


「こちらはアンジェラ。アクアの防具職人でね、バビデに会いたくてここまで来たんだよ。女性陣の防具はアンジェラ作だよ」


「ほう、ローブもきれいだし、ウェンディと達の防具も綺麗だな。で、その二人は?」


「この娘はアーパス。アクアの神様」


「え?」


「で、こっちは初対面じゃないよ。ヘスティアだ」


「ま、ま、ま、まさかっ」


「バビデ、お前が作ってくれたマントをちょいと作り直してくれよ。セイに取り上げられちまってんだよ」


「本当にヘスティア様でいらっしゃるのですかっ」


「何度も一緒に酒も飲んでたろうが」


「ははぁーーーーっ」


しばらくビビデバビデはヘスティアを拝み倒すのであった。




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