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ウラウドで加護の雨

ウラウドに到着すると前の門番が居た。


「いらっしゃいませっ」


「久しぶり。寒いのに大変だね」


「いやぁ、大丈夫っすよ。お連れ様が増えましたね」


「アクアのSランク冒険者だよ」


「えっ?ど、どうぞ皆様お通り下さいませ」


「身分証見せなくていいの?」


「特別ランクのお連れ様なので問題無しです」


「ありがとうね。買い物したらすぐに出発するから」


「はい。よろしくお願いします」


何がよろしくかわからんけどすんなり中に入れてもらった。


前に泊まった宿にチェックイン。今のシーズンは商人も少ないのでガラガラだ。


「ここで何買うんだ?」


「トウモロコシの酒。前にたくさん買ってあったんだけどサカキが全部飲んじゃったんだよ。それの仕入れだよ」


「しかし、こんな所にも国があったんだな」


と、フィッシャーズ達は珍しそうだ。残念ながら前に来たときのトウモロコシ屋台はないのでタコスを食べにいく。



「これ、面白い食べ物ね」


アンジェラがタコスを食べてウンウンと言っている。あのワインの店で出すのにぴったりらしい。


「セイ、買い物した後はどうするんだ?」


「シーバス達は散策する?俺は酒を買ったらギルドに顔出してくるよ」


「ここで依頼を受けた事があるのか?」


「ちょっとね。ギルマスに帰りに寄ったら顔出せと言われていたから」


「そうか。ここは散策するのにオススメはあるか?」


「無いよ。観光地でもないからね。普通にのんびりと暮らしている国で、トウモロコシが名産なんだけど今はオフシーズンで屋台もないから」


「なら俺達もギルドに行こうか。他国のギルドはガイヤぐらいしかしらねぇからな」 


「ここは一番上のランクの冒険者でもBランクだからそんなに強くないよ」


「そうなのか?ならオルティアをここに置いていくか。ちょうどいいんじゃねぇんか?」


「捨てて行かないで下さいっ」


「冗談だバカ。お前はまだ何にも出来ねぇだろうが」


「チーヌ、オルティアに短剣の使い方教えてやれば?」


「俺がか?」


「うん。短剣使いはチーヌしかいないし、オルティアは剣もあまり使えないみたいだからね」


「こいつ、駆け出しとはいえよく死ななかったよな。お前を捨てたパーティも強くなかったろ?」


「はい。というか皆さんから比べたら皆強くありません」


「セイ、ポーション使わないとダメなくらい追い込んだ方がいいんだよな?」


「そうだね。オルティアのもう無理ですは嘘だからね」


「嘘なんて付いてませんっ」


「それは俺が決める。覚悟しておけよ」


オルティアは今度はチーヌに可愛がられる事が決まった。



買物前にギルドに全員で向かうことに。


「すいません、セイと言いますがギルマスはいますか?」


「あっ、あの時の」


と、受付の人も覚えていてくれたようですぐに呼びに行ってくれた。



「よおっ、随分と予定より早いじゃないか?」


「やることが早くに終わってね。あ、紹介しておくよ。アクアのSランク冒険者のフィッシャーズ」


と、皆を紹介していく。


「ウラウドギルドのバットだ。よく来てくれたな」


「悪いが立ち寄っただけだ。明日には出る」


「そうか。まぁ、ここはSが受けるような依頼もないからな」


「虫使いはどうしてるの?」


「おう、頑張ってるぞ。畑を飛び回っててな。今は食堂や屋敷から引っ張りだこだ」


「よかったね」


「おう、生きる道を見付けたみたいだな。セイの見立ては正しかったんだな」 


「凄い能力だからね。アクアで生まれていたらSになっててもおかしくなかったと思うよ」


「かもな。セイ、いつまでここにいる?」


「顔見せに来たのと酒を買うだけだから明日には出るよ」


「なら、晩飯を一緒に食うか?」


「そうだね。トウモロコシ名物の店って冬場は何が出るの?」


「保存してあるトウモロコシがあるからメニューは変わらんぞ」


「ならそこの店にする。皆も名産の料理がいいよね?」


「おう、もちろんだ」


「セイ、あと気になる事があるんだが、Sメンバー以外の女の子達はだれだ?」


「あー、そうだった。この娘はアーパス」


「そっちの半裸美人は?」


「そうか、前に来たときは見えてなかったんだった。こっちはヘスティアだよ」


「皆神様の名前なんだな。まさかお前の女神か?」


「俺のというか女神だよ」


「そうか・・・・。まさか本当に皆女神様なのか?」


「前にも言ったろ?ヘスティアもアーパスも力を落として人間に近付けてたんだよ。だからギルマスにも見えるんだよ」


「前に来たときの話は本当だったのか・・・」


ギルマスは半分くらいはまさかなと思っていたらしい。


セイは酒を買いに回るのでフィッシャーズ達と別行動にしておいた。見るものはないだろうけど見ておくらしい。


酒屋巡りをして樽ごと買い込んでいく。嫌がられるかと思ったけど皆喜んで売ってくれた。ヘスティアの半裸効果かもしれん。



晩にはハバロイもやってきた。


「お久しぶりです」


「シーバス、ウラウドのBランク冒険者のハバロイだよ」


と、皆をハバロイに紹介していく。


しかし、ハバロイはヘスティアに目が釘付けだ。


「なんだよ?」


「いっ、いえっ、あのっ、その」


「ヘスティア、お前の半裸姿をエロい目で見てんだよ」


と、教えてやるとコートでバッと前を隠した。


「そんな目で見やがるならバチ当てんぞこらぁっ」


「ハバロイ、ヘスティアにバチ当てられたら股間か目ん玉燃やされるからな。ガイヤの犯罪者は股間無くなったからな」


「ヒィィィっ」


「ヘスティア、お前も服を着とけよ」


「わかったよ」


と、着替えを渡してやるとそれを着る。大きめのシャツで、下はそのままホットパンツ姿もなのでエロさは変わらない。


じーっとそれを見ていたハバロイはヘスティアに指で目潰しを食らった。


「目がぁ〜 目がぁ〜」


ここが天空ならそのセリフ似合ってたのに。


サカキ達も出てきて酒を飲み、アクアやガイヤの話と、テルウスのバチの話をしておいた。


帰るときにハバロイにポーションを渡して飲ませておく。失明とかしてたら可哀想だしな。



またもや女神ズに集られて宿に帰るセイ。ここではやはり奇異の目で見られたが明日出発だから問題無しだ。


「ここの宿は大浴場だから好きに入って来なよ。ツバス、パールフ、ウェンディ達を宜しくね。ウェンディ、ちゃんと着替えを持って行けよ。あと寝るなよ」


「わかってるわよ。なんでいつもいつもわたしにだけそんな小言をいうのよっ」


「それは自分の胸に聞け」


胸に聞いても無いから忘れるのかもしれん。と、いらぬことを心に思うセイ。


そして男連中で大浴場に浸かると


「また会いましたね」


「あ、ご無沙汰しております」


「仲間が増えられたようで」


「今臨時パーティというか一緒に行動してるんですよ」


「そうでしたか。いつまでウラウドに?」


「明日出発します。またここにも時々来ますよ」


「そうですか。この後いっぱいいかがですかな?」


「わかりました」


その約束をするとウラウドは風呂から上がっていった。俺がウラウドに入ったのを知っていて会いにきたのだろう。


「今の誰だ?」


とシーバスが聞いてくる。


「ここの王様、ウラウドだよ」


「はーっ?」


「内緒ね。ウラウドは少し変わった国でね。国民は誰が王様かしらないんだよ。だからさっきの人が王様だというのは内緒ね。後でラウンジで飲む約束をしたから一緒に来る?」


「いや、遠慮しとくわ。何を話していいかわからん」


部屋に戻るとウェンディとヘスティアは寝ていた。


「アーパス、俺は人と会って来るからもう寝てろ」


「一緒に行く」


アーパスが付いて来ると言うのでぬーちゃんにウェンディとヘスティアの護衛をしてもらってラウンジへ。



「おや、可愛らしいお嬢さんをお連れですな」


「付いて来ると言ったものですいません。アーパスと言います。こちらはウラウドさんだよ」


「初めましてアーパス様。お国を離れられて問題ないのですか?」


「問題ない」


ウラウドはアーパスが神だとわかっていたようだ。


トマトジュースを飲みながらアクアにバンパイアが居て、バンパイア召喚をする物を炙り出していることを教える。


「そうですか。中々に面白い同胞ですね」


「ここのトマトジュースの作り方を教えたら気に入ってましたよ」


「この味はバンパイアが好む味ですからね。それは良かったです」


そしてウラウドの状況を聞くと魔物が少し強くなり数も増えてきていると教えてくれる。人間はいつもより多いなという感じでしか気付いていないようだとも。


「ここはBランクが一番上だからね。あまり強くなると不安だね」


「そうなのです。みなのんびりとしていますので少々不安ですね」


「セイ、後で力を頂戴」


「ここに加護の雨を降らすのか?」


「そう。ここは神無し国。このトマトジュースが美味しかったからお返ししてあげる。コーンクリームコロッケもコーンスープも美味しかった」


「アーパス様、御慈悲を感謝申し上げます」


「私の力は弱いからちょうどいい」


話も終わり部屋に戻るとアーパスが抱っこと言う。


「夜の間に降らせるから力を流してて」


アーパスはセイの妖力を加護の雨に変換して一晩中振らせたのであった。それは雪となり、朝は一面雪景色となったのであった。




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