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実は試験

翌日は野営地で待っててと言うとシーバス達も布団とマットレスを買うらしい。駆け出しのオルティアがマットレスと羽布団で寝て、Sの俺たちが硬い敷物と毛布て寝たのが解せぬらしい。


男性陣もツバスとパールフの布団を試させて貰って意識が変わったようだ。


「じゃ、俺は総本部に最後の挨拶をしてくるよ」


「わかったわ。神様達は私達と一緒に連れて行くから」


アーパスにお小遣いを渡しておく。買い食いでも好きに使ってくれ。オルティアの分もここから払うように言っておく。


総本部で総長とマッケンジー、ファーブとお別れをする。そしてアイテムボックスにそっと魔導書を入れて貰った。


「ではまた来るのを楽しみにしている」


「魔物図鑑のアップデートをお願いします」


「今度来る時は金鹿の角を頼む」


ファーブは希少な素材がまだ欲しいらしい。何を研究しているのか気になるから今度来たら聞いてみよう。


その後、ウェンディ達の所に合流するとツバスに


「はい、これそっちに入れといてね。私のアイテムボックスはセイのより容量が小さいんだから」


と、大量のお菓子を渡された。


「もしかして全部お菓子を買ったの?」


「宿で食べる」


まぁ、これだけあってもアクアを出発する前に食べきるだろうな。


そして帰ろうとなったときにシーバスがオルティアに告げる。


「オルティア、ずっと走りっぱなしで行くからな」


「え?」


「ちゃんと付いてこいよ」


「まっ、待ってくださーい」


いつもより断然スピードが遅い。が、パールフは支援魔法も使ってないようだ。オルティアの特訓て訳だな。


しかし、日頃トレーニングをしていないのにいきなり走らせたらどうなるか目に見えている。


すぐにヘトヘトになってるオルティア。


「ほら、根性みせろ。おいてかれるぞ」


「いっ、嫌ですっ」


魔法の事は体力付いてから教えるか。魔法使いも体力とスピードが無いと危ないからな。


「ほら、次の休憩ポイントに付いたら飯だぞ」


ぬーちゃんで並走するセイが声をかけるけど、もう返事をする気力もないらしい。ゼーゼー言いながら歩くスピードより遅いくらいだ。


昼飯が喉に通らないオルティア。


「おい、食っとかないと次の休憩ポイントまでもたんぞ」


「は、はひ・・・」


シーバス達はもりもり食っている。支援魔法なしだけど、フィッシャーズ達に取っては軽いランニング程度なんだろうな。


慣れない体にいきなり激しい運動をしたら物が食べられないのはわかる。ここ数日はちゃんと飯を食ってたとはいえそれまではまともな食事をしてなかったしな。


セイはお湯にハチミツと少々の塩とレモン汁を入れてオルティアに渡した。


「飯が食えないなら水分だけでも取っとけ」


「あ、ありがとうございますぅ」


「一気に飲むなよ。少しずつゆっくり飲めよ」


冷たいのを一気に飲みたいだろうけど、常温程度まで冷ましたぬるいやつだ。この方が体には良い。


「飴食べる?」


とアーパスがオルティアに食べさせた。


「ドリンクも飴もおいひいです」


こういうものはすぐにエネルギーになるから少し回復するのに役立つだろう。


オルティアが落ち着いたのを見計らって出発する。


スピードは遅いけど必死に付いていくオルティア。


「ほら、辛くても走りなさい。魔物に追われてたら死ぬわよ」


パールフにそう言われてスピードが上がる。確かに身体が悲鳴を上げていても走らないといけない時があるからな。


もう一度休憩を挟んで日が暮れた後に野営地に到着した。前に比べると野営している人はほとんど居ない。


「大丈夫か?」


「大丈夫じゃありませぇん」


仰向けに倒れているオルティアは疲労困憊という言葉がよく似合う。晩御飯は唐揚げにしてやろうかと思ったけど無理そうだからうどんにした。


「天ぷらは食えそうか?」


「今、油の臭いを嗅いだら吐きそうです」


と言うので溶き卵だけにしておいた。


ぬーちゃんは肉々しい肉うどん。


「ほら、寝るな。風呂に入れ」


「このまま寝たいですぅ」


「風呂に入らなかったら布団に入れてやらないからな」


そういうとお風呂に入りに行った。



「あの娘、全然ダメかと思ったけど結構根性有るわね」


と、パールフ。


「わざとやってたの?」


「そうよ。これぐらいで根を上げたら村かアクアに残そうと思ってたの。冒険者適性が無いならこのままやってても死ぬからね」


「で、合格?」


「まぁ、魔物に追われたら死ぬと言ったらちゃんとスピードを上げたし大丈夫じゃないかな。あそこで無理と言い出すかスピードも上げられなかったら失格だったの」


なるほどねぇ。


「じゃ、私達もお風呂に入って来るわ。男連中にも入らせてね」


と言われても男連中はサカキ達と天ぷらをつまみに飲んでるから入らんだろうな。


男風呂の用意もしているとツバスとパールフがオルティアを抱えて出て来た。


「寝ちゃったから、はい」


なぜ俺に渡すのだ?


仕方が無いのでお姫様抱っこをしてテントの中で寝かせる。テントに出した男風呂を入る前に片付けるハメになってしまった。


「ウェンディ、お前らももう寝てろ」


ツバスとパールフが出て来るのを待ってそっちに入ることに。冷めた湯はウンディーネが捨ててくれてゴボゴボしてくれる。


風呂から出てシーバス達に風呂に行けと言うと今日はいいやと言われたのバスタブを片付けてこのテント使っていいぞと言っておく。


そして寝に行くとツバスとパールフがいた。


「あれ?テント買ったんじゃないの?」


「出すの面倒だし。魔石も減るでしょ」


「魔石が減る?」


「拡張テントの魔石よ」


「そんなのあるの?」


「何言ってんのよ。ここに入ってるでしょ。って、いままでどうしてたの?このクラスのテントは結構魔石消費するはずなんだけど?」


「いや、魔石入ってるなんて知らなかったよ」


「え?ちょっと見るわよ。魔石がなくなったら縮んじゃうじゃない」


と、テントの上部のバーを開けて魔石を見る。


「あれ?満タンっぽいわね。これいつ交換したの?」


「これ買ってから一度も交換してないよ。というか魔石が必要なの知らなかったし」


「もしかしてアイテムボックスも?」


「あれも魔石入ってんの?」


パールフがアイテムボックスも確認してくれたが全然魔力が減ってないようだ」


「あんたなんかした?」


「いやしてないよ」


「おかしいわね?」 


「もしかしたらあれかなぁ?」


「あれ?」


「電話の中に入ってる魔石って充填機で魔力補充できるだろ?」


「なんかそう言ってたわね」


「多分それと同じだよ。俺の妖力って少しずつ垂れ流されてるから勝手に補充されてたのかもしれない」


「は?」


「減ってる魔石持ってる?」


「あるわよ」


と、ツバスが色の薄くなった魔石をアイテムバッグから出してくる。


「これに妖力を注ぐと」


ちゅいーーんと赤くなっていく。


「やっぱり俺は魔石の魔力を補充出来るわ」


「何なのよそれっ」


「ポーション作るときに魔力を注ぎながら作るらしいんだけど、俺はそれが出来たんだよね。ツバスとパールフも魔力を注ぐ事が出来たら同じ事が出来ると思うよ」


「マジ?」


「マジマジ。やってみなよ」


「魔力を注ぐなんてどうやるのよ?」


「え?説明すんの難しいなぁ。俺は昔から勝手に出来たからね。ほら、ぬーちゃんとかウェンディに妖力を注いでるだろ?それと同じなんだよ。こう、グッと力を込めるとかそんな感じ」


自分でも原理や仕組みを知らないから説明のしようがないのだ。二人共むむむむっとかやるけど無理だった。


「ポーションの研究している人が魔力を注げる人はそれだけで稼げると言っていたから特殊なことなのかもしれないね」


「私達も出来たら魔石取りに行くことも買うこともしなくていいのに。セイだけ色々出来てズルいっ」


ズルいと言われてもなぁ・・・


「落ち着いたら色々と研究してみよ。ボッケーノに行ってポーションの人に聞けば何かわかるかもしれないしね」


「そうね、もう寝ましょうか」


7人で寝るテントは結構いっぱいだ。布団もあるけどテントの中自体が人の体温でそこそこ暖かくなる。ウェンディの隣に潜り込むと布団の中はもっと暖かった。


朝起きるのはパールフとほぼ同時。俺とパールフは体内時計が似ているのかもしれない。


そして皆を起こして行くとオルティアが身体中が痛くて起きれないらしい。


「風呂出してやるからそこにしばらく浸かって身体をほぐせ。少しはマシになると思うぞ」


布団を片付けて痛タタタするオルティアに風呂に入らせている間に朝食の準備。外は寒いのでウェンディとアーパスがくっついてくる。


セイは二人をマントの横に入れたのであった。


「セイ、親鳥みたいになってんぞ」


そんな突っ込みをシーバス達に入れられながら朝ごはんを食べたのであった。


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