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責任取ってよね

ツバスとパールフはフィッシャーズ達と寝るらしいので、シーバス達に風呂に入れと命令していた。


「ここで寝ていいんですか?」


「いいよ」


オルティアにシングルの掛け布団を渡して、ヘスティアとアーパス、セイとウェンディでそれぞれダブルの掛け布団を使う。


「わぁ、フワッフワです」 


と呟いたかと思ったらすぐに寝息をたてた。寒くてまともに寝てなかったのかましれない。飯をちゃんと食えなかったらよけいに寒いしな。


「なに怒ってんだよ?」 


「別に」


まだ機嫌の悪いウェンディはもそもそとヘスティア達の布団に寝に行った。


広々として寝やすいがいつもよりこの布団暖かくないなと思いながら寝たのであった。


朝一番に起きるのはいつものごとくパールフと俺の二人だ。


「あの娘はどう?」


とパールフは聞く。


「よく寝てるよ。パーティから捨てられてテントもお金も無くてまともに寝てなかったんじゃないかな?」


「そうかもね。その割には悲壮感がなかったから貧乏に慣れているのかもしれないわ」


「なるほどね」


「でもね、贅沢に慣れるのはあっという間なの」


「なんかあったの?」


「もう、最近あの布団で寝てたから私達の毛布が寒くて寒くて」


「じゃあ、布団買いなよ」


「うん、そうする。いくらぐらいしたの?」


「あれ一番いいやつだから、3枚で金貨2枚くらい払ったよ」


「げっ、高っかぁ」


「ダーツに買って貰って一緒に寝たらいいじゃん」


「みんないるからねぇ。今までと同じメンバーなのにそれもどうかと思うのよ」


「そうかもね。今後家とかどうすんの?」


「みんなはどうするかまだわからないけど、村に家を建てようかってダーツと話してたの。嫌で飛び出した村だけどやっぱり故郷だし、お母さんも歳取るからね。私達が帰ればシーラも出て行きやすくなるんじゃないかしら」


「まぁ、もう少し先の話になるのかな?」


「そうね。戻って宿の話が本当に進むならそこに住み込みでもいいかも」


「シーバス達はどうすんのかな?」


「あー、もどかしいでしょあの二人」


「だね」


「でも口出しされたくないだろうから見てるしかないのよ。あの二人がちゃんとくっついてくれたらいいのにね」


「ちょっとぉ、なに勝手に人の行末決めてくれてんのよ」


ツバスが起きてきて話が聞こえたようだ。


「寒かったのか?」


「そう。セイが私達に贅沢を教えたせいよ。責任とってよね」


責任取ってとか言われたくないセリフの上位に入る言葉だ。


「パールフが今日布団を買いに行こうだって」


「高いんでしょあれ?」


「セイのは3枚で金貨2枚だって」


「高っかぁー。寝るだけの物にそんなお金払ってんの?」


「快眠は身体のため。投資だよ投資」


「えー、パールフどうすんの?」


「私は買うわよ。あとセイが持ってるマットレスも。あれで寝たら身体が全然痛くならないし」


「みんなあれにしたらアイテムバッグに入らないんじゃない?」


「私専用のアイテムバッグを買うわよ」


「ゲッ、一番お金に細かいパールフが成金になった」


「そんなこと言わないでよっ。専用のがあったら服とかも増やせるし。でもお風呂は無理だろうなぁ。それに拡張テントも欲しいのよね」


「あんたそんなにお金使うつもり?」


「ダーツと半分ずつ払うから大丈夫」


「うわっ、ずっるぅー」


「ふふん、これが人妻になった権利よ」


「そうだよねぇ。セイと一緒に冒険する時間も限られてるし、別々になったらお風呂もご飯も布団も元通りなのよねぇ」


「そういうこと。硬い敷物に薄い毛布、美味しくない鍋に寝る時は馬が寝に来るのよ」


「うわっ、そんな想像させないでよ。私もパールフと同じの買おう。もう前の生活に戻れそうにないわ。セイどうしてくれんのよ?」


「今回、莫大な金が手に入っただろ?それぐらい買えよ。いま作って貰ってる防具のお金を払っても十分過ぎるぐらい余るだろうが。売ってない魔導具もたくさん残ってるからまだ金は入って来るぞ」


「あ、魔導具もあったわよね。忘れてた」


「それにボッケーノに来るだろ?ついでにアネモスにも連れて行くからそこで未調査ダンジョンの依頼を受けたら?」


「なんか良いことあんの?」


「それは秘密」


「セイは受けなかったの?」


「俺はアネモスとボッケーノのダンジョンに入れないんだよ。お宝を出さなくなるからね。でもダンジョンにはツバス達の挑戦を受けるように言ってやるから」


「は?」


「ま、俺は一緒に中に入らないけどみんなで頑張ってお宝ゲットしたらいいよ。アクアよりずっと稼げると思うから」


「本当に稼げるのね?」 


「死ななければね」


「縁起でもない事言わないでよっ」


まぁ、みんな強いし、万能薬を渡しておいたら大丈夫だろう。


皆が起きて来たので飯を食うが、ウェンディとオルティアは起きて来なかった。


「ごめん、ウェンディ達の面倒を見てて貰っていい?俺はギルドに帰ると報告しに行ってくるよ」


「分かった。ここで待ってるわ」


「俺達も留守番かよ?」


「ヘスティアとアーパスもギルドに行きたい?」


「いや、別に行きたきゃねーけどよ」


「だろ?挨拶だけだから昼前には戻ってくるよ」


付いてきても何も楽しい事はないからな。



そしてギルドに行き、まずはマッケンジーと話をすることに。


「そうか、もう帰っちまうのか」


「フィッシャーズ達の村に寄ってからアクアで年越しして帰るよ」


「採石場の話は聞いたか?」


「報告はあった?」


「まだ速報で詳しくは今日の昼頃に入る予定だ。なんか知ってるのか?」


「総長はいるかな?いれば一緒に聞いておいてもらったほうがいいんだけど」


「分かった。移動しようか」


と、総長室でお話。



「あの地震がテルウス様の天罰だと?」


「そう。あの被害者達をケアしたのはフィッシャーズなんだけど、癒やしたのはウェンディなんだよ。その時に被害者達の壊れかけた心の痛みに共感したみたいでテルウスにもそれが伝わったんだ。神を悲しませた罰だと言っていたよ」


「そうか・・・天罰が下ったのか」


「あと、採石場の鉱夫達は罪人が多いんだってね」


「鉱山送りより軽い罪のやつらだな」


「テルウスはそれもわかってた。家とか全部崩れたけど別に善人じゃないからいいでしょってね。今まで強い魔物を浄化するために地震をおこしてたけど、今後悪いやつが増えたらそれを浄化しようとするかもしれないから気をつけてね。他の人も巻き込まれるから」


「本当かそれは?」


「わかんない。神は気まぐれだから。テルウス達は女神だから女性に悪さするやつとか捕まえたら王都から離れた所に隔離した方がいいかも。ある程度ピンポイントで地震を出せるみたいだから採石場ぐらいまで離しておくとここも揺れるだろうけど被害が出るまでにはいかないと思うよ」


「分かった。衛兵の責任者に相談しておこう」


「バチの話も広めておいてね。被害が出てから罰するより被害を出さない方が大切だから」


「了解した」


「あと、教えて欲しい事があるんだけど、魔法ってどうやったら教えられるかわかる?」


「ツバスとパールフはもう使えるのだろう?」


「二人は独学で覚えたみたいだから人に教えられないみたいなんだよ。実は駆け出しの冒険者を拾ったというか保護というか連れて行くことになってね、魔法適性がありそうだから教えてやりたいんだよ」


「そうか。本来であれば師匠について教えて貰うのが良いのだが・・・。ちなみに何魔法が使えそうなのだ?」


「火と風。あとパールフが聖魔法がつかえそうなんだ」


「よし、王族秘蔵の魔導書をセイの色々な活躍の報酬として渡そう。但しこれは入手先を秘匿及び他の所に譲渡は禁止する」


「そんなの貰ってもいいの?」


「私の所有物だ。残念ながら私も魔法使いに憧れていたのだが才能が無かったようでね。いつまでも未練がましく持っていても仕方がないものだ」


「王族の物なんでしょ?」


「まぁ、こうして庶民として生活と仕事をする特典としてもらったものだから構わん。同じものが王家にもあるからな」


貧乏くじを引く代りに貰ったものか。


「では有り難く頂戴します。総長は奥さんとかいます?」


「もちろんだ」


「好きな色とかわかります?」


「緑が好きだな。よく緑の服を着ているぞ。それがどうした?」


アイテムボックスの中を覗き込んで緑の宝石をフルセット分掴んで出す。


「生で申し訳ないけど、奥さんへのプレゼントにどうぞ。加工は総長がしてね」


「こ、こんな見事な宝石を?」


「ボッケーノのダンジョンで取れた物だから気にしないで受け取って下さい。王族関係なら王様に献上しろとか言われないでしょ?」


「そ、それは大丈夫だ。本当にいいのかね?」


「ウェンディ達はもう持ってますしね。俺には使い道がないし、売ると騒ぎになるからボッケーノの宝石屋にしか卸してないんですよ。後はアクアの宝石屋に少しと、アーパス認定宿に少し渡しただけで。マッケンジーさんもいる?」


「俺にもか?」


「奥さんの好きな色は?」


「確か、黄色いのが・・・」


「じゃ、はいこれ。ヘスティアが身に付けているのと同じ物ですよ。ボッケーノの姫様も同じものを持っています。お揃いですね」


「神と姫様とお揃いだと」


「奥様と会うことはないでしょうから大丈夫ですよね?あっ、同じのしてるとかならないと思いますんで」


「この緑のは誰かとお揃いなのか?」


「緑は・・・。アーパスがいくつか選んだ中に入ってますね。彼女は複数の色を組み合わせていましたから」


「ちなみにテルウス様はどのような物を?」


「テルウスにはあげてませんね。出会ったのも最近ですし、欲しいとも言われてないので」


「欲しいって言ったらくれるのかしら?」


「わぁァァっ。脅かすなよ。テルウスも欲しいの?」


「透明なのがいいわ」


「なら、ちょっと待て。ボッケーノで新しいカットというのをやってもらうから。より輝きが増すらしいよ」


「あら?私までハーレムに加えるつもりかしら?」


誰がハーレムなんて作っているのだ。人聞きの悪い。


「くだらん事を言うな。ヘスティアの庇護下の国だけど来ても問題ないだろ?お前なら一瞬で来れるだろうが」


「そうね。ならあなた達が到着したら行くわ」


「了解」



「今まさか・・・」


「今テルウスがここに来たんですよ。透明の宝石、ダイヤモンドがいいって催促して帰りました」


と言うと明後日の方向に二人は拝んでいた。もう帰ったぞ。


魔導書は明日取りに来てほしいと言われたので今日はここで終わり。帰る前に寄ってからガイアを出よう。




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