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小さいお姉ちゃん

宿に戻るとウェンディが起きる。というか起きてただろお前?


「お腹すいた」


「ほら、サンドイッチにしておいたからこれでも食っとけ」


不貞腐れたウェンディはムグムグと肉サンドを食べだした。


「もう今日は風呂に入って寝るぞ。ウェンディ、いつまでも不貞腐れてんな。明日は飛行機に乗せてやるからな」


「あの魔導具に乗るの?」


「そう。楽しみにしとけ」


すぐに機嫌を直したウェンディは皆と風呂に入りに行ったのであった。


「セイー、ウェンディがまた寝たぞ。下着とか持ってきてくれ」


「取りにきてくれよ。俺がウェンディの下着とか持って行けんだろうが」


そう叫ぶとアーパスがバスタオルを撒いて出てくる。


「アーパス、ちゃんと着替えてから出てきなさい。神服姿にもなれるだろ?」


「サービス」


「そんなサービスはいりません。あとこれ買っておいたからパジャマにしろ」


とモコモコパジャマと下着を渡した。


そして、3人ともモコモコ姿に着替えヘスティアはウェンディを抱いて出てくる。


「ほらよ。全くこいつはいつもいつも世話をかけさせやがって」


俺に渡さずにベッドに寝かせてくれればいいのに。


受け取ってしまったのでベッドに運ぶ。


「俺も風呂に入ってくるから先に寝ててくれ」


風呂に行くとウンディーネがゴボゴボしに来てくれた。


「リザードマン達はあれからどう?」


「頑張ってるわよ。シーバス達にお礼を言ってもらったのが嬉しかったみたい。ちゃんとわかってくれている人がいるっていいわよね」


「そうだね。アーパスの加護の事もそのうちみんなわかってくれるようになるよ」


「ふふふっ、そうね」


そしてベッドに寝に行くと、ヘスティアは暑いのかモコモコパジャマの上を脱いでいた。いつもの神服だけどなんかよろしくないので毛布をかけておいた。



翌朝シーバス達と人里離れた場所に移動する。


「こんなところに来て何するつもりだ?」


「魔石狩りには飛行機で行こうかと思って」


「えっ?あれに乗んのかよ」


「簡単だから大丈夫」


念の為、ぬーちゃんとタマモには元の姿に戻っておいてもらう。万が一落ちたら皆を救出してもらわないとダメなのだ。


「わたしここーっ」


「お前は後ろに乗ってろ。絶対にあちこち触るだろうが」


「触んないわよっ」


「いいや、信用できん。後ろに乗れ」


「嫌よっ」


「ぬーちゃん、ウェンディを噛んで。これは冗談ですまないから」


「わ、わかったわよ」


ぬーちゃんに噛めと行ったら渋々後ろに行ったウェンディ。代わりにヘスティアが来た。


「ヘスティアも後ろに座ってろよ」


「いいだろ?後ろはぬーちゃんとタマモでぎゅうぎゅうなんだよ」


操縦席の扉から後ろの座席を見たら確かにモフモフ天国になっている。


「じゃ、今から浮かせて上に向かって加速するからな」


各種スイッチを入れてスタンバイOK。


「セイ、行きまーす」


「なんだよそれ?」


「出撃の合図だ」


誰にも知られずに言ってみたいセリフを言えるのはなかなか宜しい。


フワッと浮くと後ろからキャアッとツバスとパールフの声が聞こえてくる。女神ズはぬーちゃんに乗り慣れているからそうでもないな。


上空に浮かんだら上に向けて加速だ。


ぬーちゃんが気を使って駆けるより加速するのが早いからGが結構かかる。ゆっくり飛んでやりたいが早く人目につかない上空まで上がらないといけないのだ。



「もう大丈夫だろ?」


かなり上まで飛んだ所で水平飛行に入る。


窓は翼を挟んで上下に付いているから下もそこそこ見えるようだ。


「見て!人がゴミのようだわ」


パールフ、言ってみたいセリフを奪うなよ。


魔石狩り場まではあっという間だ。そもそも飛行機で飛ぶ距離でもないからな。


そして広場に着陸。ぎりぎり大丈夫だった。



「さ、狩ろうか。シーバス達に任せておいていいかな?」


「分かった。そこで鈴を鳴らしてくれ」


セイは鈴係。ウェンディ達は昨日のガウ君でおやつの取合いをするようだ。きっとウェンディの一人負けだろうな。


「クラマ、ちょっとシーバス達の指導やってくれないか?」


と呼び出した。クラマは上空からシーバス達の戦い方を見てアドバイスをしていくようだ。


チリリン


と、鳴らした後はすることがなく退屈である。ツバスとパールフの守りをしないといけないがクラマがシーバス達に付いているのでそれすら不要だろう。


暇つぶしに鑑定機を出して他に機能がないか見てみる。


あっ、測定レベルって変えられるのか。この前計った時はデフォルト状態なのか。えーっと、測定値上限を最大にしてと。


後ろで遊んでいるアーパスをスキャンしても測定不能か。


「なに?」


「いや、ちょっと試しただけ。気にせず遊んでて」


アーパスの所にはお菓子が大量にあり、ウェンディはキーキー怒っている。ガウ君はウェンディには不向きだな。


「アーパス、こっちで遊べ。そのうちウェンディがガウ君を壊しそうだ」


「そうね。これはどうやるの?」


「穴がたくさんあいているだろ?ここに順番に棒を刺していくんだよ。どこかの穴が当たりになっててそこを刺したらこの人形が飛ぶから。それを当たりにしてもいいし、ハズレにしてもいい」


「じゃ当たりにする。お菓子を3つ置いて、当たったら一人占め」


「それでいいと思うよ」


アーパスはウェンディとヘスティアにルールを説明して遊び出した。

 


次は鑑定機で宝石を調べてみる。


物はダイアモンド、鑑定基準は重さ、品質、色、カットの項目がある。


カットはまだ3段階くらい上に上げることが出来るのか。品質は最高値。重さと色は物に寄って違うからな。


「タマモ、ちょっとこれ見てくんない?」


妖狐の姿のままでウェンディ達の遊びを見ていたタマモを呼ぶ。


「宝石のカットって、まだ上があるの?」


「好みではあるけど、ダイヤモンドならもっと光り輝くように細かく面を付けていくさね。見たことないかい?」


「円錐みたいな形?」


「そうそう。あれは技術の結晶で、どこまで輝かせられるかを突き詰めたものなんだよ。この世界にはそこまで拘るより大きさの方が分かりやすいんじゃないかね?削ると小さくなっちまうからね」


なるほど。


「タマモはどう思う?」


「そりゃあ、綺麗にカットした方がいいさね。宝石は装飾品だからねぇ」


「分かった。ボッケーノに行ったら宝石屋に相談してみるからタマモが説明してね」


「はいよ」


タマモとそんな話をしているとウェンディのキーキー怒る声が耳障りだ。


「何怒ってんだよ?」


「全然当たらないのっ」


アーパスの前にはたくさん。ヘスティアの前にもあるけど食べてるからどれぐらいあったのかわからんな。


「アーパス、ウェンディは一度も当たってないのか?」


「そう。可哀想だから1回に付き2本刺させているけど当たらない」


「じゃ、人形が飛んだらハズレにしてやって。初めにみんなお菓子を持っておいて、ハズレたら人に渡すってのでいいんじゃないか」


「分かった」


と、ルール変更をしたら一発目で人形を飛ばしたウェンディ。


「キィーーーーっ」


「ウェンディ、お前にはこれをやるから壊すなよ」


「いらないわよっ」


変なプライドが邪魔をするウェンディはことくごとく人形を飛ばしていた。



そして何体かシーバス達が魔物を倒した所で昼飯。


「ねぇ、女神様で達は何やってんの?」


「お菓子を賭けて遊んでる。ウェンディの一人負けが続いてるからイライラしてんだよ」


「へぇ、私達も混ぜて」


と、飯を食い終わったツバスとアーパスが参戦する。


「キャアっ」


ツバスが一発目で人形を飛ばしたのでウェンディは初めてお菓子をゲットしたのだった」


(アーパス、なんかした?)

(人形を回さずにセットしてツバスにそこを刺してもらった)


人形を回さずにセットすると当りの穴は変わらない。アーパスはウェンディにお菓子を与えてやったのか。


「哀れ」


そう粒いたアーパスは一番小さいのにお姉ちゃんをちゃんとしていたのであった。



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