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セイカレー

「さて、どういうスケジュールで行こうか。年末年始は村で過ごす?」


「そっかぁ。もう少ししたら今年も終わるんだな」


「あー、また私は歳を取るのね」


と、ツバスはチラッとシーバスを見たがなぜ見られたかわかっていないようだ。こちらの女性は20歳前後で結婚する人が多いみたいだからな。


「なら、年末近くまで魔石狩をして、年末年始は村で過ごしたら。そこで宿の話をすればいいじゃん」


「そうね、そんな年越しもいいかもね」


とツバスが合意したから皆もそうすることに。


「セイ達も来るだろ?」


「いや、俺達はアクア王都で過ごそうかな。酒とかまた買わないとダメだしね。皆は家族水入らずで過ごしなよ」


「そうか。まぁ、誰かの家に泊まってたら気を使うか」


「そういうこと。じゃ、明日から魔石たくさん取って貯めようか。今日は飲み物とかお菓子とか買い込むよ。ウェンディ達は魔石狩している間暇だろうしね」


「魔石はそんなに必要か?」


「宿やるなら今のうちから貯めておいたほうがいいと思うよ。魔導具だらけの宿にするなら尚更だよ」


「あっ、そうか」


「たくさんあっても困るもんじゃないしね」


「よし、なら狩りまくるか」


「りょーかーい」


となり、今日は別れてそれぞれが見たいものを観光や買い物をする事になった。

 


「服屋に行きたい」


「却下」


「なんでよーっ」


「アクアに行った時に買えばいいだろ?」


「ここでも見たいのーーーーっ」


はぁー・・・。誰かウェンディ達の護衛しててくれんかな。


渋々服屋に行くことになってしまいまた机のあるところで座って待つことに。


魔物図鑑のイラストも渡してしまったのですることがない。ここは衣料全般とか色々と売っているから俺もなんか見てみるか。おっ、寝具コーナなんてあるじゃん。


羽毛布団発見。これは買わねばならぬ。一番軽くて暖かいのどれ?と聞いて持ってきてもらった。これはいい。


それぞれがシングルでいいけど夜中に剥ぎ取られそうだな。ダブル2枚とシングル1枚買うか。ついでに敷き布団も良いのを買ってしまおう。これはダブル2つでいいな。お、もこもこパジャマじゃん。ウェンディに買ってやろう。薄いピンクと水色とヘスティアは着るかなぁ?まぁないと拗ねそうだから赤いのも買うか。子供用だけどちょうど良さそうだ。


ピリリリリっ


わっ。あ、電話か。


「もしもし」


「どこにいるの?」


電話はアーパスからだった。


「寝具売場だよ。もう終わったの?」


「うん。お金払って」


「すぐに行くよ」


店の人は驚いていたけど代金を払ってアイテムボックスに収納した。


「随分と早かったね」


「あんまり可愛いのなーい」


なら、その量は何なのだ?


取り敢えずお金を払う。


「セイは何を買ったの?」


「布団だよ。こっちは寒いから今までのより暖かいのを買ったんだよ」


「私達のも?」


「そうだよ」


「ありがと」


「どういたしまして」


アーパスはちゃんとお礼が言える子だな。



お昼はカフェで死ぬほどケーキとか食べたあとにイマイチねだと?


そして酒屋巡りをして酒を買い込んで行く。アクアで買えるものはアクアで買おう。飲み食いするものは向こうの方が旨いからな。しかしスパイスは別だ。香気が飛びそうだけど大量に買っていく。


「兄ちゃん、ここで仕入れて他所で売るのか?」


「いや、なんで?」


「あんまり大量に買ってくれるもんでよ。この前もたくさん買って行っただろ?」


「うちは結構大所帯でね、それによく食うからすぐになくなるんだよ」


「へぇ。このスープ用の奴にターメリックを入れたら旨いのか?」


「スープというよりもっとドロッとさせて食べるんだけどね」


「良かったら作り方教えてくんねぇか?」


「ここで料理出すの?」


「いや、スパイス屋も競争が激しくてな。単品だと値段勝負になっちまって儲けが少ねぇからよ、皆独自で調合してんだよ。こうやって食うとうちの調合スパイスは旨いだろ?って寸法だ」


「別に良いけど」


「おっ、さすが気前いいぜ。その代わり良い事を教えてやるからよ」


「何?」


「それは後のお楽しみってやつだ」


砂婆を呼んでスパイス屋の厨房で実演。


「ほうほう、小麦粉を入れるのか」


「これは好き嫌いがあるからどっちでもええぞ。肝は塩と出汁じゃな」


と、昆布と鶏ガラで出汁を取る。


「なんだそれは?」


「昆布じゃよ。こいつで出汁を取ると味に深みが出るのじゃ」


「どこで売ってるんだ?」


「セイ、こいつは貰ったんじゃったの?」


「そう。マーメイが遠くまで行って取って来てくれたんだよ。アクアにもあるかなぁ?後で聞いておくよ」


「これは海のもんか?」


「そう。海藻っていうものの一種だね。それを干しておいてこうやって使うんだよ」


「へぇー」


そして玉ねぎ人参じゃがいもショウガ少々に塩を加えて味見をする砂婆。


「スパイスを買うのは旦那か?それとも嫁さんのどちらが多いんじゃ?」


「男の方が多いな」


「なら新規客向けに売るほうが良いじゃろ。少し甘くするぞい」


と、りんごとハチミツを入れて煮込んだ。


「ほれ完成じゃ。お主らはスパイスに慣れとるから物足りんかもしれんが、日頃使い慣れてない者にはこれぐらいの方がええじゃろ」


「おっ、マイルドだがめちゃくちゃ旨ぇな」


「辛くするには唐辛子を加えればええ。ちょっとその辺にいるおなごに声掛けて試食させてやれ」


と、砂婆が言うので店主は女性メインに声を掛けて試食させた。


「なんだいこれ?美味しいじゃないか」


「兄ちゃん、これなんて言う料理だ?」


「カレーだよ」


「兄ちゃんの名前は?」


「セイ」


「奥さん、これはセイカレーって奴だ。うちの調合スパイスで作ったんだ。今ならレシピ教えるよ」


勝手にそんな名前付けないで欲しい。


そしていつの間にか試食する人達で行列が出来て調合スパイスはたくさん売れていくのであった。


「やぁ、お陰様でたくさん売れたよ」


「良かったね」


「じゃあ良いことを教えてやるよ。ここの店に行ってうちの紹介だと言ってくれ。そうしたらスパイスボックスというのかな?スパイスの香気が抜けない魔導具を売ってくれるから」


「そんなのあるの?」


「しっ。そこの親父は気難しくてな。気に入らない奴には売らないんだよ。だからうちのはずっと新鮮なまま売れるんだよ」


「他の店は?」


「ほんの数件しか使ってない。スパイスボックスを作ってる親父は道楽で魔導具を作っててな。他にもおもしれぇ物があるかもしれんぞ。それとうちからは調合スパイスを何種類かレシピ代の代わりに用意しておくから」


「わぁ、いい情報ありがとう。早速行ってみるよ」



と、裏通りを入った怪しげな店にいく。知らなかったら絶対にこんな店入らんぞ。


「すいませーん」


「ここは女子供を連れてくるような店じゃねーぞ」


「いや、あそこのスパイス屋から紹介されて来たんだよ。スパイスボックスってのを作ってると聞いてね」


「あいつ、人に教えやがったのか。お前ら商売人か?」


「いや、アネモスの冒険者だよ」


「アネモスー?」


「そう。総本部に用事があってね、ここまで旅してきたんだよ」


「そりゃご苦労なこったな。スパイスボックスなんか個人で使うのか?」


「そう。アネモスにはここみたいにスパイスが揃ってなくてね。たくさん買ったけど香気が抜けそうだなと思ってたんだよ」


「はーん、それで帰ったら高くで売るつもりか?」


「いや、全部食べるよ。仲間が多くてね」


「個人消費か。しょーがねぇな。ちょっと時間をくれ」


「どれくらい?」


「一週間くらいだな」


「わかったよ。なんか他にも面白いのある?」


「お前の面白いもんなんかわかるか」


「そりゃそうだね。なんか遊びに使える物とかある?」


「遊びか・・・」


ピリリリリ


「もしもし。シーバスどうした?あー、飯か、今ちょっと買い物してて長引きそうだから別々で食べようか。うん、うん。分かった。じゃ、明日ね」


ピッ


「そいつぁなんだ?」


「電話。離れた所にいる人と話せるんだよ」


「アネモスにはそんな魔導具があるのか?」


「いや、ガイアのダンジョンでって来たんだよ」


「なんだと?まだ新しい魔導具が残ってたのか」


「まぁね」


「見せてくれ」


と言われたので渡して使い方を説明する。


「古代語で表示されてるのか。お前、よく使い方わかったな」


「まぁ、そんなに複雑な機能はないからね。ギルドにも手紙を送る魔導具とかあるから仕組みは同じじゃない?」


「いや、こんなに小さな奴は今ならまでに出てないぞ。お前、これはまだあるか?」


「あるよ」


「売ってくれることは可能か?」


「良いけど、他に使える人がいないと使い道ないよ」


「いや、仕組みを調べてみたい」


「了解。相場がわかんないから値段決めて」


「は?お前人に値付けさせるのか?」


「適正価格とかわかんないからね。スパイスボックスと交換でも良いけど。これに充電というから魔力充填装置ってのかな?それもセットにしとくよ」


「魔力充填?」


「そう。多分、これの中にも小さい魔石が入ってると思うんだけど、いちいち取り替えるの面倒だから違う機械に大きめの魔石を入れておいて魔力を移すんだと思うよ」


と、充電器の使い方を教える。


「魔石に魔力をまた込めれるのか」


「そうみたい。古代文明では魔石に魔力を充填してくれる施設があったみたいだしね」


「なぜそんなことを知っている?」


「あのダンジョンにいた幽霊に聞いたんだよ。あのダンジョンはダンジョンではなくて古代の魔導具販売店だったんだよ」


「お前、ちょっとこっちの部屋に来い」


と、セイは怪しげな店の奥へと連れて行かれるのであった。



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