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やりすぎ

「今日は黒豚と角有りだけ集中して狩るからな。この前と同じぐらい狩れたらほぼ借金を返せるはずだ」


サカキ達にそう伝えて出発。タマモはまた式神を連れて街に消えていった。


ダンジョンに到着するとゴミを大量に積んだ荷車を引いているみすぼらしい人が4人ダンジョンの脇へと入っていく。


「あれ何か知ってるか?」


「私が知るわけないじゃない」 

 

でしょうね。


帰りにギルドで何か聞いてみよう。


とりあえずコカトリスを晩飯用に数匹狩って黒豚の階へ。


何パーティか戦っている中に参戦。残ってる黒豚を速攻狩ってリポップを待つ。


「出て来ないね?」


前はすぐにリポップしたのに待てど暮せど出てこない。他の冒険者達もざわついている。


「時間もったいないから角有り狩りに行こうか」


と最上階へ行きこれも殲滅。前より数が少ないからあっという間だ。10匹程で終わり。そしてここでもリポップしない。


仕方が無いので下の階に降りると角無しすらいなくなってる。何かがおかしい。


「狩れたらいいがな」


バーベキューの時に言ったギルマスの言葉が気になる。


「一度出てギルドに行くぞ」


セイはギルドへと急いだ。


「あ、セイさん。この前はごちそうさまでした。お風呂も素敵でした」


そうにっこり笑うリタ。他の冒険者達の視線が痛い。若くて可愛いいリタはギルドのアイドルなのかもしれん。見知らぬ新人が何を馴れ馴れしくしてやがるってところかな?


「またなんかする時に誘うね。で、ギルマスいる?」


「なんかありました?」


「ちょっとダンジョンで聞きたいことがあるんだよ」


と呼んで来てもらおうとするとそのまま部屋に来いと言われた。


「ダンジョンがさぁ」


「リポップしなくなったか?」


「え?知ってるの?」


「まぁ、そうなるんじゃねーかとは思ってたがまさか1日でなるとはな」


「何がどうなってんの?」


「お前らはやりすぎたってところだな」


「やりすぎ?」


「ダンジョンは魔物の一種だと言ったろ?そこで死んだ動物や人間を糧にしてると」


「うん」


「動物や人間を呼び寄せる為にお宝や肉を出してるわけだ」


「うん」


「で、こいつは絶対に倒せないとダンジョンが思ったらどうなると思う?」


「もしかしてお宝を出さなくなる?」


「正解。ダンジョンからしたら奪われるばっかりだからな。もうお前たちには来てほしくないんだろうよ」


「まじで・・・」


「しかし参ったな。近くのダンジョンはどうやら何らかの連絡方法を持ってるみたいでな、もう一つのダンジョンもお前らが来たら何も出さんだろうな」


oh〜!なんてこったい。


「もしかして未調査のダンジョンも?」


「かもしれん。今のダンジョンと繋がってるかどうかはまだわからんが繋がってる可能性は高いな」


「ということは繋がってたら俺達が調査しても無駄?」


「そいうこったな」  


借金返済の目処が潰れてしまった。どーするよ俺。


「しかし、ダンジョンでそんなに人が死んでるわけ?」

 

「調査が進むと死人はガクンと減るな。魔物のパターンとかわかってりゃ対策も立てられるからな」


「それならダンジョンは取られるばっかじゃん」


「これは魔物研究所の仮説だがな、ダンジョンは魔物と戦う人間を育ててるんじゃないかと言われているんだ。強いやつほどダンジョンにとっては栄養になるからじゃないかと。だからどんどん魔物や宝を取られてもそいつが死んだら元が取れるって寸法だ。が、お前らみたいに強すぎたらダンジョンは倒すのを諦めたんだろうよ」


なるほどね。


「それなら初めに言っておいてくれたら良かったのに」


「ダンジョンが倒すの諦めるぐらい強いなんて思わないだろうが。過去にそういう事例があったのも1件だけだ」


後に特別ランクのSランクになるパーティが狩りまくって同じようにリポップしなくなった事があったらしい。それでも1年近く狩ってからのことだったみたいだが。


「どうしてくれんのさ?借金返せる目処が潰れたんだけど」


「そんな事を言ったってよ〜」


「買い取って」


「は?」


「今日狩った肉を買い取って。黒豚10、角有り10。これで借金から金貨8枚差し引いて」


そう強く押して無理矢理買い取らせた。


「後、未調査のダンジョンに案内して」


「俺も行くのかよ?」


「状態がよくわからないから見てよ。もう俺達を受け入れてくれないなら調べても無駄だから」


「今からか?」 


「そう。受け入れてくれそうならギルマスは帰っていいから」


そう伝えてギルマスに未調査ダンジョンへと案内させた。セイ、ウェンディ、ギルマスと3人がぬーちゃんに乗るのは厳しいのでギルマスは馬だ。



「ここだ・・・・」


「ただの岩じゃん」


「いや、お前らを中に入れたくないらしい。すでに入口を閉じてやがる」


「ほぅ、コイツはやる前から白旗あげてやがんのか」


それを聞いたサカキがひょうたんから出てきて指をぺきぺき鳴らしている。


「なにをするつもりだよ?」


「なに、入口閉じてんならこじ開けてやろうかと思ってよ」


「おいおい、ダンジョンは破壊不可能だぞ」


ギルマスがそう言うのも聞かず岩をぶん殴るサカキ。


が、ギルマスが破壊不可能と言った通りサカキのパンチでもダンジョンの入口はビクともしなかった。


「確かにこいつぁ普通の岩とは違うみてぇだな。硬くて柔らかいから衝撃を吸収しやがる」


硬くて柔らかいとか意味わからんけどサカキなりの理論なのだろう。


「セイ、妖力貸せ」


そう言われたセイはサカキに妖力を注いでいく。こいつに妖力注いでも底なしだからなぁ。


「もういいぞ。お前らちょっと離れてろ」


セイ達が少し離れるとサカキは腰を落としてハァーっと精神を集中し始めた。


「ゲッ。ヤバい、ヤバい。もっと離れてっ」


セイはウェンディの手を引っ張りグッと抱き寄せて庇うように抱きしめて岩陰に飛び込んだ。ギルマスはぬーちゃんが咥えて飛び、馬は異様な気配を察知して走って逃げた。


「ハァッーーーッ!」


ドッッッゴーーーーン


どぉんどぉんどぉんと地響きと共に音の余韻がセイ達を襲う。


「ちょっとぉっ、何してくれてんよっ。スケベっ」


「だっ、誰がスケベだっ。ヤバかったんだぞ。サカキ、発勁だすなら先に言えよっ」


「言わなくてもわかるだろが。見ろよこいつ耐えやがったぜ。が、効いてはいるみたいだな」


入口を塞いだダンジョンは変形しグワグワと揺れてた。


「さて、まだ抵抗するならもう一発お見舞いしてやるか」


サカキがそう言うと心無しダンジョンがビクッとしたような気がした。


そしてなんと・・・・・


少し隙間を開けたダンジョンからゴトンと金塊が出できた。


「カッカッカッカッ。こいつこれで勘弁してくれっていってやがんぜ」


サカキのやつ無茶苦茶だな。ダンジョンをカツアゲしやがった。


「ほらよ、こいつがありゃ借金返せんじゃねーのか」


ポイと投げて渡された金塊は想像よりはるかに重くて足元に落としてしまった。


「足が砕け散ったらどうすんだっ」


「それぐらい受け止めろよ」


無茶を言うな。何kgあるんだこれ?


「ギルマス、これお金になる?」


「あ、あぁ。お前、借金と税金は全部であとどれぐい残ってるんだ?」


「金貨35〜6枚ってとこかな」


「余裕で足りるわっ。それどころか一財産残るぐらいになる」


「マジで?サカキ、でかしたっ」


「カッカッカッカッ。ならそいつがこの前持ってきた酒をたんまり買ってくれ」


ぬーちゃんが逃げた馬を連れ戻してくれてギルドに戻って金塊を買い取って貰った。


「今、ギルドの手持ちでは払えんから一週間後に取りに来てくれ」


未調査のダンジョンからすごいお宝を持ち帰ったウェンディーズを見た他の冒険者達。その後、欲にかられた何パーティが行方不明になる事件が頻発するのであった。



「おいセイ。酒はどうした?」


「金をまだ受け取ってないから買ってないよ」


「ちっ、シケてやがるぜ。せっかく焼鳥で一杯やるつもりだったのによ」


帰ってコカトリスを焼鳥と唐揚げにして貰うとウェンディは延々と唐揚げを食うのであった。



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