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総長に真剣に聞いてみる

朝に出発してガイアに到着したのは夜。また冒険者広場で泊まって翌日にギルドにいく事に。


この前買った肉用スパイスを試すのに今回手に入れた魔導具コンロ鉄板ってのを使ってみる。大きなホットプレートというか、屋台の焼きそば屋かお好み焼きと焼きそば屋にありそうな物だ。


ジュウゥゥゥゥ


引き脂が溶けた所にステーキ肉を乗せるといい音がする。スパイスと肉の脂の焦げる匂いがたまらん。ウェンディとヘスティアもヨダレ垂れてんぞ。


焼き肉とはまた違った旨そうな匂いは他の冒険者達を引き付ける。


「わたし達は赤ワインっ」


「俺達もだ」


フィッシャーズは赤ワインと言うので樽で出して好きに飲んで貰う。サカキ達は蒸留酒だ。女神ズと俺はシャンパン。


「お肉と他の材料、調味料おいとくから次からは自分で焼いて食べてね」


もう一つ魔導具コンロ鉄板を出して勝手に食べてもらおう。


ヘスティアの分は切り分けて皿に乗せておいてやる。そうしないとウェンディに食い尽くされる。


「かぁーっ!旨んめぇっ」


フィッシャーズ達は物欲しそうな他の冒険者達の視線は気にならないようだ。


セイはタマモに式神を飛ばす。


「一段落着いてたら飯を食いに戻ってきたら?」


そう吹き込んで飛ばしておいた。


「セイ、もっと焼いてくれよ」


「はいはい」


「私は魚が食べたい」


「はいはい」


「うふぁいふぁもっほぉおひくおひく」


「何言ってるかさっぱりわからん。そこにあるやつ好きに焼いて食え」


肉とシャンパンは堪能したからキノコでも食べよ。


砂婆にシイタケを貰ってショウガ醤油で食べる。うまーい。毒キノコのバター炒めも旨いけど、シイタケの旨さはまた別だよな。


「わたしにも頂戴」


「アーパス、ショウガは付け過ぎると辛いからな。これぐらいにしとけ。物足りなかったら足したらいいぞ」


「セイ、肉は他の味付けねぇのかよ?」


「王道はガーリックバター醤油だ。ニンニクをこうバターでカリカリにしてだな、そこに醤油をちょいちょいだ」


「おー、旨ぇぞ」


「がっつくなよ。火傷すんぞ」


「セイ、ワシにもシイタケをくれ」


「勝手に持ってて。ショウガもあるから」


クラマはもう肉よりこいうのが食べたいらしい。


「おや、賑やかだねぇ」


「タマモお疲れ様。何飲む?」


「じゃ、セイと同じものもらおうかね」


タマモにもシャンパンを注いで焼けた肉を皿に乗せていく。それを食べたあと、


「砂婆、揚げ出し豆腐はあるかい?」


「待っとれ。揚げならすぐに出せるぞい」


「なら揚げでいいよ」


揚げを鉄板で焼いてショウガとキザミネギ、醤油を掛けてやる。


「これにはこいつだねぇ」


「何その酒?」


「どぶろくだよ。日本酒の元さね。飲んでみるかい?」


と、タマモのおちょこを渡されたのを飲んでみる。


「あ、これ旨いね」


「ちょっと甘口のやつだからね。揚げとこいつを飲むとなんか懐かしいさねぇ」


かなり昔は酒とつまみってのはこんな感じだったらしい。


アーパスも飲みたいというから揚げとどぶろくを渡してやる。


「うん、これ好き。魚とも美味しい」


「あんたはこっちの神だけど、私達と味の好みが似てるだねぇ。不思議なもんだよ」


ウェンディとヘスティアも飲んでみるけど悪くねぇなという感じだった。フィッシャーズたちも試してみてツバスとパールフは気に入ったようだった。少しこれ甘いからな。


周りは粗末な冒険者鍋を食ってる横で豪華な食事をする俺達。俺を唐揚げさんと呼ぶオルティアはいないようだ。いたら指を咥えて見に来ているはずだからな。


そして腹も落ち着いて一段落したころに


「セイ、ちょっといいかい?」


と、呼ばれて今回の報告を聞いた。



「随分とキナ臭いことに首を突っ込んじまったね」


「やっぱり?」


タマモの話の内容は王室絡みで、現王の血筋が現在は本流、で分家となっている血筋が本流と入れ替わる為の画策が進んでいるそうだ。


「セイの祓い屋の国版さね」


「面倒臭いね。後どうするかはガイアの人達に決めて貰うよ。ここにはもうほとんど用事が残ってないし、後は魔石を大量に仕入れるだけだから」


「じゃあ、これ以上調べなくてもいいかい?」


「ありがとうね。いつも助かるよ」


「本当にセイは大きく立派になったねぇ」


と、いきなりタマモにぎゅうとされた。


「どうしたの?」


「さっきどぶろく飲んでちょっとあんたの小さい頃を思い出しただけさね。さ、まだ夜は長いよ。仕事が終わったから飲むさね」 


と、タマモに手を引かれて皆の所に戻り宴会を楽しんだのであった。



朝起きると鉄板とかそのままだ。片付けるのが面倒なので式神にやらせる。


まだお腹いっぱいなので朝ごはんは味噌汁のみ。砂婆が作ってきてくれたシジミの味噌汁が冷えた朝の空気に旨い。


「もう起きてんの?」


いつも一番先に起きてくるのはパールフだ。


「スープはもう出来てるよ。朝ごはんは食べる?」


「まだここにお肉がいるわよ」


と、喉を指さす。


「相当お腹いっぱいってことだね」


「あんまりにも美味しくてさぁ。食べ過ぎちゃった」


「これ、宿でも鉄板焼やったらいいかもね」


「あー、そうかも」


「海鮮も鉄板で焼くと旨いから、鉄板焼き、炭火焼きと鍋とか分けたらいいかも。連泊する人も出てくるだろうし」


「いいねぇそれ。魔導具コンロ鉄板はまだあったっけ?」


「このサイズのも業務用のもあるよ。パールフは宿やる気になってるの?」


「やっぱり冒険者家業もいつまでも出来るわけじゃないしねー。それにこんな贅沢覚えちゃったらもう昔の生活に戻れないよ」


「あの金貨があったら働かなくても贅沢に食べていけるよ」


「私とダーツだけならそうね。でもなんにもしない生活なんてつまんないわ」


「なら、村の観光化は必要だろうね。魚を卸すより、自分たちで高値で売れるように工夫するほうが儲かるしね」


「うん、みんな前向きに考えだしたよ。セイの投資を受けるかどうかを迷ってたけど今回の収入で自分達のお金で出来そうだし」


「俺もなんか協力するよ」


「もちろん。手伝わせる気満々よ」


昨日異世界人だと話したけど、何事もなかったように普通に接してくれるパールフ。フィッシャーズ達と出会えただけでアクアに来たかいがあったというものだ。


皆ゾロゾロと起きてきて味噌汁を飲んでいく。ちょっと二日酔いのようで誰も飯とは言わなかった。



「シーバス、ウェンディ達のお守り頼んでいい?」


「総本部に行くのか?」


「そう。一応、あの金庫のお金も報告するけど取り上げられたりしないよね?」


「大丈夫だ。そんなことをしたら誰もダンジョンに行かなくなるからな」


と確認だけをしておいて総本部に向かう。



「えーっと」


「ご案内致します」


と用件を伝える前に総長室へと案内された。


「もう終わったのかね?」


「一応終わりました」


「地下には何があったのだ?」


「あそこは古代の魔導具販売店でした。地下はその在庫を保管しておく場所でしたよ」


「ということは?」


「魔導具を大量に回収しました。ほとんどが家庭用魔導具と業務用魔導具です。売ろうかと思ったのですが、現在のものとほとんど変わりませんのでガイアでは売りません」


「大量に出回ったら今の魔導具店が困るからか?」


「そうです。ボッケーノやアネモスにはガイアほど魔導具が売られてないのでそちらで売ろうと思います」


「それは有りだな。ここで売るより高く売れるだろうし、買う側は安くで手に入るからな」


「後、魔導兵器もありました。こちらがそうです」


「随分とあったものだな」


「これは古代の自衛用として売られていたもので、大型と呼ばれたのはこいつでしょうね」


と、バズーカみたいな物を見せる。


「これは所有するのか?」


「はい。保管しておきます。あと総長」


「なんだ?」


「今回、飛行機、空を飛ぶ魔道具を手に入れました。が、これは売りませんし見せません」


「空を飛ぶ魔導具だと」


「はい。あの遺跡のオーナーか責任者かわかりませんがトップにいた人が移動するのに使っていたものです」


「なぜ見せることもしない?」


「戦争に使用されると大きな影響を与えるからです。魔法が届かない上空から攻撃をされるとどこの国も太刀打ち出来ませんから」


「それは所有しておくのか」


「もちろん。売ることもしません。総長には報告をしましたが心の中に秘めておいてください」


「わかった」


「あとは調査団が調べてくれていますがもうめぼしいものはほとんど無いと思います。崩れた所にたまたま埋まってたのが残っているぐらいでしょう。16階より上は事務所ですので魔導具はありませんでした。書類関係も設計図とかはありません」


「どうやって入った?」


「上からですよ。15階より上に上がる所は崩れていましたので最上階から入って下ったのです。あそこは販売店と申し上げた通り、生産はしていなかったので今出ているものより進展はないでしょうね」


「そうか。調査団が戻ってきたらあそこにはもう価値が無いということがはっきりするな」


「はい。16階より上も確認したいのなら止めませんが下手に掘り起こすと全体が崩れるかもしれませんのでオススメはしません」


「わかった。忠告は受け入れよう」


「最後に俺から確認したいことがあります」


「ん?そうか。なら場所を移すか」


と真剣な顔をすると、総長とセイを連れて外に出て自宅へと招かれたのであった。



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