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魔石狩を試してみるフィッシャーズ

朝行くとサイクロプス達がリポップしていたのでシーバス達が狩ってみることに。


「ツバス、俺達がヤバそうならそこから援護を頼む」


「どれからやるの?」


「トロールかサイクロプスからだ。先ずは俺とチーヌが両足を切って転ばせるからダーツが目を突いてくれ。ガッシーは俺達のガード。セイ、ツバス達を頼む」


「了解」


坑道出口で魔寄せの鈴を鳴らしておびき寄せる。トロールかサイクロプスならシーバス達が。三つ目ならぬーちゃんがとりあえず噛んで毒殺することに。


一番初めに出てきたのはトロール。


シーバスとチーヌがトロールの足を斬る。トロールから振り下ろされた棒はガッシーが大剣でガード。いい連携だ。


トロールがコケて顔が下がった所にダーツが眉間を貫いた。おー、ピンポイントだ。カッチョいい。


「次来るぞ」


次に来たのはサイクロプス。トロールより速いがこれも同じように成功する。


これが何度か続いた後にようやく三つ目が来た。ダーツとシーバスの役割を変更してシーバスが首を落とすつもりみたいだ。しかし、やはりサイクロプスよりスピードが早いため一撃では仕留められず。ツバスの援護が入って離脱してから仕切り直し。これを繰り返した後にパールフが支援魔法を掛けてシーバスは三つ目の首を落とした。


「おお、本当に首を落とせたら一撃だな」


「慣れたら単体だと楽勝だね」


「しかし、コイツらの首はかなり硬ぇな」


「お前の剣筋じゃとそう感じるじゃろうな」


と、フィッシャーズ達の戦いぶりを見ていたクラマが言う。


「あっ、クラーケンの時の斬り方をしたらいいのか。クラマ、ちょっと手本を見せてくれねぇか?」


「構わんぞ。見るのも修行じゃ」


チリリリンと鈴を鳴らすとまた三つ目だ。クラマはシーバス達が目で追えるぐらいのスピードに落として首を斬り落とした。


「おお、すげぇ」


「お前は叩き斬る剣筋が染み付いておるからなかなか剣筋を変えるのは難しいかもしれん。今から剣筋を矯正するよりもっと斬れる剣に変えるのがいいじゃろうな。チーヌは剣が短い分、切れ味とスピード重視の剣筋じゃからワシらの剣筋にしていくのは可能じゃろ。ガッシーはそのままでも構わんが、よりスピードの速い敵が来たらガードが間に合わんぞ。もう少し軽い剣に変えて攻撃を受け流す型を身に付けた方がええの。軽いものにすると今の受け方をすると吹っ飛ばされるされる恐れがあるでの」


クラマからの具体的なアドバイスをふんふんと3人は聞いている。


「俺は?俺は何かないのかよ?」


「ダーツのレイピアというのはワシは知らんでの。突き主体ならもっともっとスピードを上げねばならんのではないか?ピンポイントで急所を狙える腕は見事じゃが、三つ目のように同時に狙わねばならんときは3つ同時に攻撃出来るぐらいのスピードじゃな。突くスピードも重要じゃが、引くスピードも重要になってくるんではないか?」


「なるほど。引くスピードか」


ダーツはその場でしゃっしゃっと素振りをするがやはり突くスピードより引くスピードが落ちるのか何度も繰り返していた。


「セイ、お前の剣での戦い方はどんなのだ?」


「基本はクラマと同じだよ。クラマが師匠だからね。でもこの剣のタイプはシーバスと同じタイプだから本来の使い方じゃないのかもしれないね。多分シーバスの剣筋がこのタイプの剣の正しい使い方なんだよ」


「ちょっとやって見せてくれねぇか?」


というのでチリリリンと鳴らして呼んだのはサイクロプスだった。


セイは足を斬らずにサイクロプスの膝を蹴って上に飛び上がりながら首を落とした。


「なんだよそれ・・・」


「こうしないと届かないじゃん」


「一人でやれんのかよ。俺達はサイクロプスに3人ががりなんだぞ」


「俺の剣は軽いし、斬れ味もいいからね」


「それ、力を込めたらもっと斬れるんだよな?」


「そうだね」


「それもやって見せてくれ」


「じゃ、ちょっと位置変えるよ。危ないから俺の後ろに下がってて」


チリリリンと鈴を鳴らして出てきたのは三つ目だ。坑道からもう少しおびき出して、後ろが森になるように回り込む。


ゴッ


セイは離れたところから妖力を込めた剣を振ると三つ目は一刀両断にされ、後ろの木々もバサバサと斬れていった。


「なんだよそれはっ」×フィッシャーズ


「力が刃物みたいになって飛ぶんだよ。だから危ないし、周りも斬れるから対空用って感じかな。援護にも使えないから使い勝手は悪いね」


「ちょっと持たせてくれ」


あっ



興奮したシーバスはメラウスの剣を掴んだ。


「グッ・・・こいつは」


「はい、終わり終わり。倒れるぞ」


とシーバスから剣を取り上げた。普通の人なら持った瞬間に倒れるがシーバスは耐えたようだ。これはもう少し強くなったら扱えるようになるんじゃなかろうか?


「確かに力を吸い取られるような感じだな」


「そう。メラウスより力が強くなれば吸い取られる事もなくなると思うよ」


ダーツ達も試させてくれと剣を持つがダメだった。そしてツバスが持ってみる。


「ふぬぬぬぬぬぬっ」


「惜しいね。魔力を吸われたんじゃない?」


「こんなのすぐに空っぽになるわよっ」


でもシーバスと同じぐらい耐えたよな。


「じゃ、私も」


と、パールフも挑戦。意外や意外、一番耐えたのはパールフだった。


「これ、魔法使いの方が向いているのかもね。パールフの方がツバスより魔力量って多い?」


「うんそうかも。威力は私の方が上だけど魔力量はパールフの方が上かな」


「なるほどね。メラウスの杖にして、ヘスティアに模様かなんか少しだけ焼入れして貰ったら威力が増大するかもね」


「本当っ?」


「杖の仕組みがわかんないんだけど、こっちのナイフを杖代わりにやってみる?」


と、ツバスに渡して試させる。



チリリリン。


出て来たのはサイクロプスだ。


ガッシーがガードしている間に詠唱をして、目を目掛けてファイアボールを撃った。


ボウウウゥンっ


サイクロプスは目どころか頭が吹っ飛び一撃でやっつけられた。


「あ、空っぽになっちゃった」


と、魔力切れになってその場で倒れ込んだツバスをシーバスが抱き抱える。


「もう今日は終わりだね。早いけど下に降りて晩飯にしようか」


またぬーちゃんに往復して貰って下に降りて野営をすることに。採石場からはそこそこ離れた。もう後は採石場とギルドとの話し合いにしてもらう事にしたからだ。ガイアの事はガイアでなんとかしてもらおう。


「ツバス、大丈夫か?」


魔力が空になると動けないらしい。


シーバスがマットレスにツバスを寝かせて心配そうにしている。


「ポーション飲んでみる?効くかどうかはわからいけど毒にはならないと思うから」


と、ポーションを飲ませると復活した。


「何これ?マジックポーションの効果もあるの?」


「みたいだね。新発見だよ」


「すっごーい。めっちゃ体が軽くなった」


まさに万能薬だ。


晩御飯は寒いのでお鍋。冬野菜と黒豚だ。


ほらヘスティア、こっちのは冷ましてあるからな。


「ヘヘッ、サンキュー。ウェンディに全部食われるところだったぜ」


「セイ、何か魚はある?」


とアーパスが聞くので砂婆は鯛を切り身にしてくれた。


「うん、ポン酢と魚美味しい」


「へぇ、鯛とか豪勢だね。わたしにも頂戴」


とツバスも鯛を食べる。


「うん、皮ぎしがぷるぷるで美味しい」


「売れる魚は食べられないんだっけ」


「そう。小さいのは食べるけど大きいのは食べさせてもらえない」


「漁村の人が思うように魚を食べられないとか皮肉だよね」


「何言ってやがる。肉だってそうだろ?普通は食える魔物を狩っても食わずに売るんだからな。売らずにブラックオークを食ってるやつなんてどれぐらいいると思ってやがんだよ」


「まぁ、確かに。俺はただで旨い肉が食べれていい仕事だなぁとか思ってたけど普通はそうだよね」


セイもここに来たばかりの時は借金返済の為に狩って売っていたのだ。


「冒険者が食う肉は鹿とかイノシシぐらいだろ」


ダーツもこんな肉をホイホイ食えないと言いたげだ。


「あれはあれで旨いけど、血抜きとかの処理がもう面倒かな。魔物は肉に変わってくれるから楽でいいよ」


「確かに。魔物って不思議だよな」


と皆も同意する。恐らくこの世界を作った大神は人間の資源や食料として魔物を作ったのだろう。人間の強さに合わせて強く、より良いアイテムに進化させるのもそのせいだと思う。しかし、時に魔物が人間の成長を超えて強くなりすぎてしまう。それの調整役がウェンディ達なのだと思う。


お鍋の〆はうどんにした。


「ほらウェンディ。器に入れてやったからこれを食べろ。いちいちキーキー怒るな」


フォークからつるんつるんと逃げるうどんに発狂しかけたウェンディが鍋をひっくり返さないうちに取り分けてやる。ヘスティアもアチチしているので同じく取分け、アーパスもすねないように取り分けた。


(またお父さんしてるわ)

(聞こえるぞ)


聞こえてんだよ。


サカキ達のガハハハハ笑いのする中、セイはシーバスとツバスにヒソヒソ話をされていたのであった。




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