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ガイア王都に到着

「あれがガイア王都?でけぇっ」


遠くから見てもすぐに分かる大きさ。城壁がどこまで続いてるんだろう?と思うぐらいだ。


もう見えているのになかなか着かないし。それに城壁の前から既に街のようになっていて人がたくさんいる。


「おおきいねぇ」


「そうだろ。門がある場所は全部街になっているし、反対側は牧草地やら畑やらが延々とあるぞ」


王都だけでなく、領地もあちこちにあってどこも大きい街になっているそうだ。


ここに比べたらアネモスは国だけど地方都市だと言っても過言ではない。大国全部が一つの国だと見立てたら、ここは東京みたいなもんか。


余所者がバレバレの俺達は店の客引きに次々と声を掛けられる。アネモスでは見かけ無かった獣人族と呼ばれる人種も多いみたいで、マダラの人バージョンみたいな見た目の人もいる。それにテイマーも結構いるのか、ぬーちゃんを見ても驚きはしない。


「そこの珍しい髪色をしたお客さん、うちの飯食ってきなよ」


時間はちょうど昼飯時。


「シーバス、どうする?ここで食ってくか?」


「そうだな、別にどっちでもいいぞ」


「お姉さん商売上手だね。この店は何がおすすめ?」


「うちは魚料理がオススメだよ。アクアから仕入れてんだよ」


なら消費に貢献しておくか。



「今日のオススメは何?」


「灰干しサバのサンドだよ」


焼いたサバをサンドイッチにするのか。


「じゃ、俺はそれにする。ウェンディ達はどうする?」


「わたしはー、これとーこれとー」


ウェンディは魚の唐揚げ各種を頼んで行く。オコゼの唐揚げとかあるのか。ちょっともらおう。皆もサバサンドにするとのことで、人数分のサバサンドと各種唐揚げもたくさん注文しておいた。


「お客さん、いっぱい頼んでくれるのはいいけど、そんなに食べれんのかい?」


「余裕だから大丈夫。肉はなんかある?」


「オークならあるよ」


「ノーマル?」


「そうだよ」


「じゃ、その分のお金払うから手持ちの肉を焼いてくんない?」


「金払ってくれんならいいけど、なんの肉だい?」


「ブラックオーク」


「ブラックオーク?あんたら贅沢だね」


「まぁね」


ぬーちゃんが食べたいだけ塊から切り分ける。


「お客さん、もしかしてまだその肉持ってんのかい?」


「いっぱいあるよ」


「よかったらさ、今の残りを分けてくんない?さっきの注文タダにするからさ」


「いいけど、結構頼んだよ?」


「セイ、さっきの注文とブラックオークの肉なら追加で金貰わんと損するぞ」


「そうなの?ならいいよ別に。たくさんあるから」


「へへっ、お兄さん気前いいね」


この店のお姉さんは猫系の獣人族だ。なんかマダラみたいな気がしてしまったのだ。あいつオーガ島に置いてきたけど元気でやってるかな?


「セイはお人好し過ぎんぞ」


「まぁ、黒豚はタダで手に入るからね」


と、運ばれて来たサバサンドはホットドッグみたいなパンに大きなサバの片身が半分に切られて重ねて挟んであった。野菜はオニオンスライスだ。


ウェンディは絶対に具を落とすから4つに切り分けておく。


「なんでウェンディのだけなんだよ?」


「ならヘスティアとアーパスのも切ってやるよ」


「セイって、本当にお父さんみたいね」


「だろ?この歳で大きな娘が3人もいるみたいなもんだ」


「誰が子供なのよ?」


「お前だお前。ほら、手が魚の脂だらけだろうが」


このまま放置したら俺の服で手を拭きやがるからタオルを渡しておいた。


そしてようやく自分のサバサンドを食べる。


おっ、焼き魚には白飯と思ってだけど、パンにも合うんだな。


「どうだい?」


「美味しいよこれ」


唐揚げ各種を持ってきたマダラみたいなお姉さんに聞かれて旨いと答える。


「今の時期のサバは格別だからね。ハイ唐揚げ。残さずに食べておくれよ」


「もちろん」


皆で唐揚げをシェアしていく。まずはオコゼから。おー、旨い。身がふわふわだ。


女神ズがじーっと見ているので骨を取って食べやすくしていく。オコゼなんか簡単に身が取れるだろうが。


揚げ物大好きウェンディはガツガツと食べ、猫舌ヘスティアは出遅れるので、身を避けておいてやる。このままだとウェンディに食い尽くされるからな。


そしてぬーちゃんの黒豚も焼いて持ってきてくれたのでガツガツと食べ始めた。


「この魚は何?」


と、アーパスに聞かれるけどカレイかな?


「そいつぁ、カレイだな。細いから笹カレイを軽く干して唐揚げにしたんだろうよ」


代わりにチーヌが答えてくれた。


「へぇ、そっちのお兄さんは詳しいね」


「俺たちゃ漁村出身だからな。ま、売れる魚はほとんど食わせて貰えなかったけどよ」


アーパスはきれいに箸でカレイの身をほぐしていく。


「黒髪のお兄さんとそっちのお嬢ちゃんは棒切れを上手く使うわね。なんだいそれ?」


「箸といって俺の国の道具だよ。魚を食べるには向いてるよね」


「へぇ、そうなんだね。こんなに綺麗に食べてくれるお客さん初めてだよ。骨も揚げてあげようか?」


「お願いします」


「おいセイ、骨なんて食うのかよ?」


「骨せんべいっていってね、カリカリに揚げて貰ったら美味しいよ」


そして笹カレイの骨を揚げて貰った。


「本当だな。酒のつまみにも良さそうだ」


「だろ?」


「常連は骨を揚げてくれと言うけど、知らない人は怒るんだよ。食ってから怒れってんだよね」


「そうだろうね。さっきの黒豚は夜に出すつもり?」


「そう、こんな庶民向けの店でブラックオークなんてまず食べられないからね。常連向けに安くで出してやろうかと思ってさ」


「ネギマにするといいよ」


「ネギマ?」


「俺はそうやってよく食べるんだけどね、串に肉ネギ肉ネギって刺してやるんだよ。肉だけ食べるより旨いよ」


「じゃ、今晩の目玉はそいつだね」


と、お昼ご飯は満足のいく味だった。結構繁盛しているし、料理している人の腕もいいんだろうな。


ごちそうさまを言ってセイ達はガイアの王都に入って行ったのであった。



「総本部はどこか知ってる?」


「中央近くにあるから結構距離あんだよ。馬車に乗るか?」


道は石畳だけどちゃんと整備されている。街の中は貸し切り馬車と乗り合い馬車があるみたいで門の近くに馬車停があった。


「お、空いてるから乗り合いで行くか。これなら全員一台で行けるしな」


貸し切りでもいいけど、乗り合いの方が安いらしい。お金あるのに節約家だよなフィッシャーズ。


横乗りの椅子に座って出発を待つとどんどん人が乗り込んで来て満席になった。


ゴツゴツゴツゴツ。道が整備されているけど結構衝撃がお尻に伝わるのでウェンディは俺の膝の上に座りやがった。


「ウェンディだけズルい」


アーパスも膝の上に座りたかっみたいだが我慢していたようだ。


「わたしの下僕なんだから別にいいでしょ」


というか、人前で膝に乗るの恥ずかしくないのか?みんなこっち見てるじゃないか。


そして、次の馬車亭で降りる人乗る人と入れ替わり、立つ人も増えて来た。


そして次の所で子連れのお母さんが乗って来るけど座る場所が無い。


「お母さん、ここどうぞ」


「いえ、そんな」


席を譲る文化がないみたいで物凄く恐縮される。


「別に大丈夫ですから」


それに女の子を膝に乗せてる怪しい人とか思われたのかもしれない。


「ほら、ウェンディ。席を譲るから立て」


「えーっ」


「本当に大丈夫ですから」


「ウェンディ、おぶってやるら早く立て」


と言ったら立ったので席を譲った。


「本当にすいません」


「いやいや大丈夫ですよ。それにこいつは軽いんで」


周りからは何やってんだあいつ?みたいな顔で見られているけど、まぁ、旅の恥はかき捨てだ。


「セイ、ここ代わってやるから座れよ」


とシーバスが言ってくれるけど断っておいた。ウェンディに乗られてると尻への衝撃が結構来るのだ。


「いやいいよ。お尻痛いしこのままで」


そして又は人が増えて来た。やっぱり貸し切りにするべきだったよなと後悔しても今更だ。


セイはウェンディをおぶったまま2時間近く立ち続けた。


子供を連れたお母さんがペコペコ頭を下げて降りたが、ウェンディは寝ているのでこのまま立っておく。座ると抱っこしなければならないのだ。


ギルド総本部は終点の少し手前のようで、ようやく下車した。



「もう今日は宿に泊まって明日総本部に行こうか」


「そうだな。どこに泊まる?裏手に行くと比較的安い宿もあるぞ」


「ゆっくり寝たいからちょっと良いところに泊まろう。セキュリティ上の事もあるし」


安宿はずっと警戒をしていないとダメだからしんどいのだ。一人なら別にいいけど女神ズがいるからな。魔物より人の方が危ない。


一泊銀貨5枚程の宿に泊まる事にして、セイ達は一番広い部屋を取ったのだった。



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