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アクアに戻る

翌日、マンドラゴラを大量に狩り尽くしてアクアへ戻る。帰りの道は順調で何事もなく戻ったのであった。



「ギルマス、商人達の犯人だとは確証は掴めなかったが一角幻獣は討伐したぜ。と言ってもやったのはセイたちだけどな」


「本当かっ」


「セイ、イラストを見せてやってくれ」


セイはイラストを出し、シーバス達はマンドラゴラと一角幻獣の角を出して見せた後に換金した。シーバス達に角はいらないと言われたが共闘だからと言って渡した。それでも1本しか受け取ってくれなかったのだ。マンドラゴラは半分よこしたけど。


「お、お前らなんだこのマンドラゴラの数は」


「一角幻獣がでた所がマンドラゴラの群生地帯になっててな、これだけ大量に採ってこれたわけだ。引き抜くときの叫び声を聞いたら死ぬというのは嘘だな。引き抜こうと近付くと精神的苦痛ダメージを受けるというのが正解だ」


「そうなのか。一角幻獣はどんな攻撃をしてくるんだ?」


「それはセイから説明してくれ」


「まず霧が出る。その霧は幻惑の霧みたいな感じでね、視界を奪い魔物の気配を消す効果と近くにいる人を敵と認識させるような効果があるみたい。過去の幸せな時の夢を見させてそれを奪う夢だね。近くにいる人が奪った敵と認識して攻撃をしてしまう。強い衝撃を与えてもその夢から冷めないからバンパイアのチャームより厄介だよ」


「一角幻獣そのものの強さはどうなんだ?」


「かなり速い。そして気配も消せるみたいで近くに来られてもまったく分からなかった。それで俺も角にやられたんだけどね。はっきり言って苦戦したよ」


「そいつはまずいな。フィッシャーズとお前達のパーティで苦戦するような魔物だと他の奴らならまず敵わんだろ」


「一角幻獣が出る巣穴はヘスティアとアーパスに浄化してもらったからこの近くには何十年かは出ないと思うよ」


「浄化?」


「そう。神の加護って奴だね。魔物を生む穴は資源にもなるから潰す事はほとんどしてないんだけど、一角幻獣はヤバそうだから浄化しておいてもらったんだよ」


「魔物を生む穴ってなんだ?」


「魔物を生む空気っていうのかな?そういうのが濃く出る場所があるんだよ。恐らく魔物の系統は決まってる。アネモスだと、ゴブリン→オーク系→ミノタウロス系→オーガという順番で強い魔物が生まれる。ボッケーノにはワイバーンが生まれる穴があってね、そのうちそこはドラゴンが生まれるんだと思うよ」


「ゴブリンの巣穴みたいなやつか?」


「そうそう。アネモスはウェンディの加護が無くなって10年近く経つらしいから、俺が出発するときに異常に早く強い魔物に変わっていったから確認出来たんだ。アクアは虫の魔物が出る巣穴が多いんだろうね。虫の魔物の系統が分かれば次に出す魔物の予測は付くと思う」


「ゴブリンの巣穴が育つとオークに変わるのか?」


「アネモスと同じならね。だからそういう所は浄化せずに肉が取れる場所としておいてある。オーガが出たしたら俺たちで少し浄化してミノタウロスが出るくらいに戻したりとか」


「お前も浄化が出来るのか?」


「仲間がやってくれるんだよ。魔物が出るところも見付てくれるし」


「はぁーっ、やっぱり神様をパーティにする奴は出来る事が人間離れしてやがんな」


「神聖魔法だっけ?それを使える人なら出来るかもしれない。どれだけの強さの魔法が必要かまではわかんないけど」


「そうか、浄化とは神聖魔法のことなんだな?」


「多分。俺たちが使ってる術は魔法とは違うから確証はないけど、効果は似ているからね」


「わかった。それは総本部にも報告するのか?」


「アネモスのギルドには伝えてあるから報告は上がってると思うよ。情報が正しいかどうか検証し終わったら連絡来るんじゃないかな?」


「そうか。やはりお前たちは特別ランクなだけの事はあるな。そいうのに報酬は出てないだろ?」


「貰ってないね。調査依頼とかも出てないし勝手にやってることだから」


「ギルドも魔物の情報提供にもっと予算を割いてくれりゃこういうことも調査出来たり冒険者共から報告が上がってくるんだがな」


「だね。フィッシャーズ達の情報もすごく役にたったよ。図鑑に載ってない事ばっかりだったから」


「そうだな。その地域では当たり前の情報でも他の地域じゃ知らんてこともあるだろうからな」


「今度ガイアの総本部に図鑑の情報を渡す時にその事を伝えてみるよ。上がってきた情報を検証出来るかどうか難しいかもしれないけど」


「そうか。宜しく頼む。いちギルマスが意見するより、お前達から意見してもらったほうがいいだろうからな」


と言うことでギルドへの報告は終わり。


「このあとどうすんだ?」


「ちょっと休みたいから、3日後ぐらいに待ち合わせしようか。それからシーバス達の村に連れてってよ」


「了解した。じゃ、3日後に教会前の噴水に朝集合な」


「じゃ、皆もゆっくり休んでねぇ」


と、シーバス達と別れてタダで泊めてくれるといった宿に行く。



「今日から3日間泊まりたいんだけど空いてるかな?」


「はいっ。お部屋をご用意させて頂きます」


と案内されたのは一番上等な部屋だった。ご飯もデザートも部屋に運んでくれるらしい。


「これはまた凄い部屋だね」


前に泊まった部屋よりも広く、王様が泊まるような部屋じゃないかというぐらい豪華だ。


「ウェンディ、頼むから物を壊すなよ」


「わたしをなんだと思ってるのよっ」


「疫病神だ」


「キィーーーーっ」


部屋は寝室が2つ。それぞれに大きなダブルベッドが2つずつ入っている。これはツインベッドと言うべきなのだろうか?


「どう寝る?」


「いつもみたいにみんな同じでいいだろ?」


ソウデスカ。ウェンディには毎晩妖力を流しながら寝ているのでたまには一人でゆっくり寝たいなと思った目論見も崩れてしまう。


飯の前に風呂に入ることにして、女神ズに先に入らせた。一角幻獣との戦いの時からウンディーネは来ていない。今日も来ないのかな?


皆が風呂から上がって来たので入れ替わりに入り、ゆっくりと疲れを癒やした。ゴボゴボはないけど誰にも邪魔されずに浸かる湯もいいな。



風呂から出るとすぐに食事のご用意が出来ましたと運ばれてくる。バスローブでゆっくりするつもりだったが一応着替えて食べる。デザートはケーキがホールのままとフルーツを持ってきてくれた。


給仕のメイドさんがそれを切り分けてくれたので皆に好きに食べてもらったのであった。


そして、食後ののんびりタイムに甘口のシャンパンを飲んでみる。


「はぁ、落ち着くね」


「こっちのシャンパンの方がスッキリしてるよな」


ヘスティアは辛口のシャンパンを飲んでいる。


「明日から何もすることないけどどうする?」


「防具を買いに行こうぜ。またセイになんかあったらと思うと嫌なんだよ」


ヘスティアは俺が怪我したのは自分達が俺のマントとシャツを着ていたせいだと悔やんでいるようだ。


「そうか。アーパスにもなんかあったほうがいいからそうするか。とりあえずマントというかローブみたいなのを作って貰おうか」


「おう、ドラゴンの皮はまだあんだろ?」


「いっぱいあるよ。じゃそれで作ってもらおう」


ドラゴンの皮は外に出すなと言われていたけど、女神ズの防具を作らないとダメだから仕方がない。明日は防具屋に行ってみようとなった。


女神ズと違うベッドで寝てみたが案の定朝には上に乗られていたのであった。



受付の人に防具屋がどこにあるか聞いてみる。素材は最高のものがあるからセンスの良い所を教えて貰った。



そこを訪ねてみる。


「すいませーん」


「はいよっ。ん?ここは服屋じゃねーぞ」


と対応してくれたのは威勢の良いおねーさん。


「防具屋だよねここ?」


「そうだ。わかってて来たなら話は聞いてやるよ」


「ここは素材持ち込みでこういうの作ってくれる?女の子用だからデザインとかセンスのいいヤツをお願いしたいんだけど。あと明後日までに仕上がったりする?」


「はあっ?明後日だと?」


「そう。もう出発しなきゃなんないんだけど」


「お前ら余所者かよ?」


「そうアネモスから来てて、明後日から漁村経由でガイアに行くんだよ。無理そう?」


「まぁ、特急料金をくれるってんならローブぐらいはなんとか出来るかもな。で、素材はなんだ?」


「ウェンディ、アーパス、何色のが着たい?」


「わたしはピンク」


「私は薄いブルー」


「じゃ、ピンクのでいいか。おねーさん、これって色付けられるかな?」


「なんだこの素材は?」


「ピンクドラゴンの皮」


「は?」


「ピンクドラゴンの皮。それとファイアドラゴンの皮。ピンクのをより可愛いピンクにするのと薄いブルーにしてくれたら嬉しい。ファイアドラゴンのは赤の発色よくしてもらえる?」


「待て待て待て待て」


「あとはブラックドラゴンとノーマルドラゴンの皮があるんだけど色が付きにくいのかなって。もし皮の色を問わないんであればピンクじゃなくてブラックでお願いしたいんだけど」


防具屋のおねーさんはポカンとしてドラゴンの皮を見ていたのであった。



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