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アクアへの予告

「アクアから神がいなくなるのか?」


「アーパスは加護の雨を降らせ続けて来たけどもう虚しいんだって。誰も気付きもしないから」


「教会でもそんな教えはないからな」


「そうだね。作物の恵みの雨としか受け取ってないから。アーパスはそれは自分がしなくても降るからもういいのとか言い出してね。俺たちの旅に付いて来ると言ってるんだよ。眷族のウンディーネとね」


「お前は神を連れていくのか?」


「神様ってわがままで寂しがり屋でね。天界でずっと一人ではるか昔から加護を授け続けてきたんだよ。でも俺達と一緒にいると飯食ったり酒飲んだり遊んだり出来るから楽しいみたいだよ」


「お前は本当に神が見えてるのか?」


「そうだよ。そこで寝ているぬーちゃんも俺が元々いた国では見える人なんてほとんどいなかった。アネモスに出て来て皆がぬーちゃんの事を見えるから驚いたんだよ。俺は昔から人に見えないものが見えたから気味悪がられてね」


「こいつも所変われば見えなくなる存在なのか・・・」


「ぬーちゃんは神と同等クラスの力を持っているからね。アネモスからここに来るのも一ヶ月くらいで来れたから」


「なに?一ヶ月で来れた?」


「寄り道せずにすっ飛ばしたらもっと早いとは思うけどね」


「特別ランクになるだけの事はあるってことか」


「ま、そんなところ。神の加護の話はギルマスも広めていってくれたら嬉しいな。強い魔物が増えだしたら皆も信じるようになるだろうし。情報はギルドの現場が一番早く掴めるでしょ」


「わかった。それは必ずやっていく」


「じゃ、ギルドに送るよ」


と、二人はぬーちゃんに乗って戻ったのであった。


ギルドにはまだ他のギルマス達も残っていて、フィッシャーズ達もいた。本部長はお冠で何処かに行ったようだ。


「ようっ」


「オッス」


「虫の魔物の情報が欲しいんだよな?」


「そう。でも俺はさっき冒険者じゃなくなったから素材の依頼を受けているやつだけでいいや。ここで話す?」


「あぁ、いいぞ。お前の冒険者の身分に付いてはさっき聞いた。本当にいいのか?」


「ポーションの事も聞いた?」


「あぁ。ツバスにくれたやつだろ?」


「そう。あれの入手方法はある人と約束してるから教えられないから仕方が無いね」


「そんな重要な約束なのか?」


「俺の恩人との約束だからね。破る訳にはいかないよ。さ、教えてくれる?」



ギルドの酒場に座って、まだ捕れてない素材の魔物の事を聞いていくことにした。難しいのは蝉系の魔物だ。もう時期が遅いらしい。


「まだあそこになら残ってるんじゃない?」


魔法使いのツバスが言う。


「だな、もうそこしか可能性はないな。セイ、明日はどうするんだ?」


「もうアクアを出て、素材が集まったら帰ろうと思ってるよ。ガイヤにも寄ろうかとおもってたけどその必要もなくなったし」


「なら、時間はあるんだな?」


「まぁ、出てくるときに1年ぐらいは帰れないとは言って出てきたから大丈夫だけど」


「わかった。なら俺たちとしばらく臨時パーティを組んでくれないか?討伐したい魔物がいる。そっちの素材集めを手伝うから」


「なんの魔物?」


「一角幻獣だ」


魔物図鑑にも名前しか載っていない。


「近くにいるの?」


「ガイアとの境界にある山にいると思う。アクアとガイアを行き来する商人に被害が出てな。俺は一角幻獣の可能性が高いと睨んでいる」


「私は麻薬キノコじゃないかと思うんだけどねぇ」


「麻薬キノコが出る時期じゃないからな。それも含めて調査をしたい。いいか?」


「おれ冒険者じゃなくなってるけど?」


「別にいい。ポイントとかいらないんだろ?報酬は山分けか欲しい素材を分けよう」


「了解。なら明日に出ようか。宿も今日までしか取ってないし」


「どこに泊まってる?」


宿の名前をいうとリッチだなと言われた。そしてツバスとパールフの女性冒険者が部屋をみたいというので宿へ移動した。



ーギルド本部でのギルマス達の話ー


「どうだった?」


「子供達も一発で治った。手遅れだと思っていた子供ですらだ」


「すげぇなあのポーション。セイはなんて言ってた?」


「あいつは特別ランクなんて本当にどうでもいいと思っている。というかあいつから冒険者の資格を剥奪したのがアクアギルドとなったらエライことになるぞ」


「どういうことだ?」


「詳しくは言えんがあいつは特別だ。特別の中の特別だ。俺は総本部に今日、本部長がセイにやったことを告発する」


「おい、上手く行かなかったらお前ヤバいぞ」


「構わん。あいつは絶対に追い出しちゃいけねぇ」


「お前、何を見たんだ?」


「セイは神の使いだ」


「は?」


「というより神と同等かもしれん。神がどういうものか、神の加護とはどういうものか教えてくれた。あいつの言うことが本当ならアクアから神の加護が無くなる」


「なんだと?」


「今までより強い魔物が出る、もしくは増えるらしい。神は嘆いてもういいと言ったらしい。そしてセイに付いていくんだとよ」


「そんな話が信じられるか?」


「孤児院の子供たちが皆綺麗に洗われた。俺の目の前で一瞬に」


「は?」


「セイはウンディーネに綺麗にしてやってくれと言ったら綺麗になった」


「ウンディーネって、アーパス様の眷属と言われている・・・」


「大精霊のウンディーネだ。俺と話しているときもセイの身体に纏わりついていると言っていた。あいつは神の眷属ですら言うことを聞かせられるんだよ」


「俺たちの知らない魔法を使ったんじゃないのか?」


「もしそうだとしても、無詠唱で半日ほどで100人以上の子供を一瞬で洗える魔法を使えるやつなんているのか?」


「た、確かに・・・」


「俺は前からあの本部長のやり方は気に入らなかったんだ。あのポーションもさも自分が手配したかのように伝えたもんだから入手先をなんとか調べないといけなくなったツケをセイに回しやがったからな。俺はヤツを告発する。自身の利益と感情で特別ランクのセイを追い出したとな」


「よし、俺達もそれに乗る。一人よりアクア王都のギルマス全員の名前で出した方が効果的だろう」

 

こうして本部長はアクアのギルマスの連名で告発されることになったのだった。




「うわーっ、ひろーい。きれーい。ここ一泊いくら?」


「銀貨10枚だよ」


「シーズンオフでも高いねぇ」


「Sランクなら余裕で払えるだろ?」


「まぁ、そうかもしれないけど、貧乏性が染み付いちゃってるからねぇ。それに6人で分けたらまあしれてるわよ」


「そうなんだね。あの強壮剤とかいくらぐらいでの買い取り?」


「あれは銀貨80枚だ。通常のより大きくて高値が付いた」


「それは高い報酬?」


「そうだぞ」


「虫の魔物の素材って安めなんだね」


「他の国はどれくらいなんだ?」


「俺はあんまりギルドの依頼受けてないんだよ。ワイバーンの皮は金貨1枚だったけど、今は下がってるかも。指名依頼のも報酬受け取ってなかったり、なんか特殊な報酬だったりとかだよ」


「特殊な報酬?」


「領主の娘を嫁にしてその領地継げとか」


「はぁ?それは断ったのか?」


「結婚なんてする気もないし領地管理なんて無理だよ。代わりに美味しいワインもらった」


「なんてもったいないことを・・・」


女性二人はウェンディとヘスティアのアクセサリーに興味津々だった。


「あ、そういえばあの時は二人共寝てて皆に会ってなかったよね?こいつがウェンディでこっちがヘスティア。この子はぬーちゃん」


「あ、俺達フレッシャーズといいます」


とそれぞれが自己紹介していく。


「セイは嫁さん二人もいるのか?」


「どっちも嫁さんじゃないよ。仲間。指輪はその指にしか入らなかっただけ」


「へぇ、二人共神様と同じ名前なんだな」


「神様だからね。風の神様ウェンディと火の神様ヘスティアだよ」


「私もいる」


「うわぁぁぁぁっ。アーパス驚かすなよ」


「私もみんなから見られたい」


「無理だから我慢しろ。紹介はしてやるから。えー、皆には見えてないと思うけど水の神様アーパスもここにいます。あと精霊のウンディーネも」


「セイ、からかってるのか?」


「いや。本当。皆には見えてないだけ。ウェンディとヘスティアはいまちょっと力が落ちてるから皆にも見えてるけどね。ヘスティアはアクアに来るまで誰にも見えなかったから」


「本当のことなのか?」


「本当だよ。俺はウェンディの力を取戻すために冒険者になったんだ。まぁ、冒険者でなくてもやることは変わらないから別に特別ランクがどうのこうのとかどうでもいいんだよ」


「もっと詳しく話を聞かせてくれないか?」


「いいよ。じゃあ神の加護の事を話そうか」


と、フィッシャーズに説明することにしたのであった。








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