服作ったりとか
翌日、ボッケーノへ移動。途中で一泊してまずはビビデとバビデの所へ。
「おう、どうした?」
「色々と魔物を狩ったんだけど何に使えるか相談に乗ってくれない?それとバビデにヘスティアの服も頼みたいんだよ」
ドラゴンの戦利品は売ると大騒ぎになるらしいので売らずに使うことにした。
「わたしのもっ!」
「あ、そうだウェンディの火吹きウサギのポンチョもダメになっちゃったんだよね」
「そうか、激しい戦闘をしてきてんじゃな。ならバビデの所で飲みながら話すか」
なぜ飲みながらなのだ?まだ昼間だぞ。
バビデの所にいくとサカキとクラマが出て来た。
「薄い酒ばっかでうんざりしてたとこだ。さ、飲もうぜっ」
「嘘つけっ、オーガ島でさんざん飲んで来ただろうが。仕事の話が先だ。」
「そんな昔の話は忘れちまったぜ」
「昨日一昨日のこと忘れるなんてボケて来たんじゃないのか?それともウェンディが感染ったんじゃねぇだろうな?」
「誰がウェンディが感染ったんだよっ」
「わたしが感染るってなんなのよーっ」
「あー、セイ。すまんが先に用事を話してくれ。そこそこ忙しいんだ」
「あ、ごめんごめん。先に渡さないとダメな物を渡すよ。はいこれ」
「ブッ、ブラックドラゴンの血じゃねーか。いくつあるんだこれ」
「いつか返しくてれと言ってたから捕ってきたんだよ。ひとつはヘスティア用の服を作るのに使って欲しいんだ」
「お前と同じワイバーンのか?」
「そうそう。あとさ、ウェンディのポンチョ焼かれちゃったんだよね。なんかいいの作れないかな?皮とかたくさんあるんだけど」
と、各種ドラゴンの皮、蛇皮、ドラゴンのウロコとかをだす。ビビデにはドラゴンの牙と爪を見せた。
「な、なんだこれは・・・」
「ドラゴン各種の戦利品。欲しいのある?」
「欲しいのってお前・・・」
ヒッヒッヒッフー
ヒッヒッヒッフー
バビデは深呼吸をして自分を落ち着ける。
「セイ、ヘスティア様の服はご自身の熱で服が燃えないようにお前と同じ物をということだったな?」
「そうだよ」
「なら、こいつの方がいい」
とバビデが選んだのはファイアドラゴンの赤い皮だった。
「だって、ヘスティアはこれでいいか?」
「おうっ、セイみたいなマントがいいぜ」
「じゃ、それでマントを作ってくれる?」
「サイズはどうする?」
「ウェンディ、ヘスティア、並んで立ってくれ」
二人を立たせる。
「えーっと、ウェンディの・・・こら、背伸びすんなっ。大体身長が150cmくらいでヘスティアは160cmってところかな」
セイは自分の背丈と比べてそうバビデに伝える。セイは180cmあるなしくらいの背丈で、この世界では普通サイズ。
「ちゃんと測ってくれ。俺には見えんから目測がつけられん。ポンチョならまだいいがマントならちゃんと測ってくれたほうがいい」
と言われて身長を測るやつとメジャーを持ってきた。
まずはウェンディを測定する。
ふぬぬぬぬっ
目一杯伸びて測定を受けるウェンディにセイは身長を測るバーを頭にゴスゴスゴスゴスと当てて背伸びをやめさせる。
149cm・・・
「ひゃ、150cmかな」
いまゴスゴスしたから縮んだっとか言いそうなので少し誤魔化した。
「嘘よっ155cmくらいあるもんっ」
「靴履いてだろそれ?」
図星を付かれてブーたれるウェンディ。次に肩幅や袖丈とか測る。
「胸は測るまでも無いね0cm」
そう言うとゴスッとアッパーカットをくらった。
「ちゃんと測ってやれ」
バビデも呆れている。
「いや、作ってもらうのはマントとかポンチョとかだから胸回りはいらないでしょ?」
「それなら構わんがな」
俺が胸やウエストを測るのはいくらウェンディのキュッ・キュッ・キュッ体型でも気が引けるのだ。
「次は俺様の番だな」
ブーツを解除させ身長のバーをくっと下ろすとヘスティアは156cmだった。髪の毛で目測を誤ってたな。
「前にも言ってた通りヘスティア様も小柄なんだな」
「そうだね、ブーツを脱ぐとよけいにそう思うよ。ヘスティア、高い高いしてやろうか?」
「なんだよそれ?」
「こうしてな、持ち上げるんだよ。ほーれ高い高ーい」
いきなり脇に手を突っ込まれて持ち上げられたヘスティア。
「キャハハハハハッ やっ、やめっ」
ヘスティアはくすぐったがっていきなり熱を発した。
「熱っ」
セイは思わず手を引っ込めた為、ヘスティアがセイの顔の上に落下する。
ジューーっ
セイはヘスティアの胸で顔を軽く火傷した。
「おっ、お前これが目的でやったんじゃねーだろうなっ」
胸を腕で隠して真っ赤になって怒るヘスティア。
「するかっ」
セイの顔が真っ赤なのは火傷のせいだけではなかった。
いい加減早くしてくれと言われて肩幅と袖丈、着丈を測って終了。
こそっとヘスティアの胸回りとウエストを聞かれた。前を止めるなら必要だそうらしいので、胸回りはこれぐらいと腰はウェンディぐらいと説明しておいた。
「ヘスティア様はファイアドラゴンの皮、セイはブラックドラゴンの皮だろ、ウェンディはどれがいいんだ?」
「え?俺のも?俺はワイバーンのこれがあるから別にいいよ」
「いや、防具ってのはその時に手に入る常に最高の物を身に付けておけ。ブラックドラゴンの皮は耐炎、耐熱、耐衝撃、耐斬撃はそいつより遥かに上だ。しかも軽さも備えている」
「なら作ってもらおうかな。ウェンディのもそれで作れるかな?」
「なんだよ〜、お前らお揃いで作んのかよっ」
お揃いとか言うな恥ずかしい。
「そんな黒くて可愛くないのいやっ」
「なら、この白い皮で作るか。これはドラゴンに比べたら劣るがなかなか高性能の防具になるぞ」
「これ白くて綺麗。何の皮なの?」
「蛇だ」
「いやーーーーーーっ!」
バビデはウェンディにガゼルパンチを食らっていた。
結局、また火吹きウサギでマントと防具を作ることに。しかし、防御性能が遥かに劣るのでどうしようかとなり、防具はウロコを加工することになった。
「これをどう加工するかだな」
「ヘスティアが力を込めると布みたいになるし、ウェンディは変形させる事が出来るよ」
「ならいい考えがあるから任せろ」
と、バビデが言うので任せた。このあとギルドとか宝石店に行くからここに二人共置いていこう。
「セイ、ドラゴンの牙で武器を作ってやろうか?メラウスまではいかんがかなりいいのが作れるぞ」
「ほんと?なら剣と短剣とナイフとか作れる?」
「もちろんじゃ」
というのでお願いした。剣はカント、短剣とナイフはケビンのお土産にしよう。ラーラにはドラゴンの涙でいいかな。綺麗なビー玉みたいだし。
「セイ、宝石頂戴」
「何に使うんだ?」
とザラザラと出してウェンディに好きなのを取らせる。
それをいくつか掴んで持っていく。どうやらマントのボタンにするらしい。
「待て待て待て、そんな風に使うな。どこの成金だおまえは?」
「たくさんあるからいいじゃない」
「ケチで言ったんじゃない。人目に付きすぎるわっ。変な奴に狙われたらどうすんだ。こっちにしとけ。これも可愛いと思うぞ」
「じゃあそれにする」
とドラゴンの涙と交換した。
「なんだそれは?」
「ドラゴンの涙」
「ドラゴンの涙とは何だ?」
「ドラゴンの涙はドラゴンの涙よ」
と、ウェンディは返答していた。確かにそれ以上説明が出来ない。
セイは後を任せてぬーちゃんとギルドにいく。
「来たぞ」
それだけで用件が伝わるボッケーノ王都ギルド。
「この前はすまなかった」
ギルマスのファインが謝った。
「本当だよ、いきなり人を犯罪者みたいに扱いやがって」
「王室に行ってくれるんだな?」
「しょうがないだろ。アネモスのギルドまで指名手配したくせに」
「いつだ?」
「早く帰りたいからなるはやで」
「解った。今から伝令を出すからここで待っててくれ」
「待ってても今日の今日で謁見とかにならんだろ?明日また来るよ」
「いーや、もう来ないかもしれんからここで待っててくれ。飯も奢るしここに泊めてやるから」
それ、監禁って言うんだぞ?
ということで一人宴会になってしまった。
スパイシーな物と炭酸水を頼んだ。ぬーちゃんは肉だ。なんたらブルという魔物肉をらしい。
皆は遠巻きに見て近寄って来ないから魔物図鑑とイラストを出してそのなんたらブルというのを探す。
「あ、これか。レッドブルだな。イラストがあるから狩ったなこれ」
その様子を見ていたファイン。
「セイ、何だそれは?」
「しばらく魔物狩りしてきたんだよ。魔物図鑑ってちょいちょい情報が間違ってたり、絵とか分かりにくかったりするだろ?改定出来るやつは改定したほうがいいと思ってね」
「まるで生き写しみたいな絵じゃねーか」
「仲間にこういうのを描ける奴がいるんだよ。もう載ってるやつも討伐したのは描き直してもらってるから、ある程度統一した絵で改定出来ると思うぞ」
「お前、そんなことをしているのか」
「まぁ、用事のついでにね。こういうのが充実していけば死ぬ馬鹿が減るだろ?ボッケーノはドラゴンを倒せるぐらいに強い奴が出てこないとまずいし」
「ドラゴンを倒すだと?」
「あれ?言わなかったけ?ドラゴンが出て倒せないと大噴火が起きるって」
「なんだとーーーっ!」
あれ?誰かにこの事を伝えたはずなんだけど、ここじゃなかったっけ?
詳しく聞かせろとギルマスのファインはピッタリと横に座った。せめて正面に座って欲しい。
空いたテーブルに恋人座りになったセイとファインであった。