絶望を希望に
冒頭予告
「月より地球を支配せんと企む、悪の権化ジャガン。 美優、由香、里奈、紗香、メディは四天王を倒し、月の本拠地の爆破に成功した。 しかし、ジャガンは邪神との融合を終えて、完全体へと進化していた。
絶対的な力を前に美優たちは最終兵器『エクスカリバー』を起動させる。 果たして、少女たちはジャガンの野望を打ち破ることができるのか」
最終話「絶望の始まり」
美優たちが巨大な剣『エクスカリバー』を構える。
その切っ先はまっすぐにジャガンをとらえる。
ジャガン「エクスカリバー… 旧人類の知恵か… 面白い、受けてやろう」
美優「私たちは地球を守る」
由香「平和な世界を取り戻すんだ」
里奈「みんなが笑って過ごせる未来」
紗香「あんたなんかに、奪われてたまるか」
メディ「いけええええ」
地球より、無数の光が月へ届く。
それは地球の人々の祈り。
美優たちはたった5人じゃない。
世界中の思いが、願いが彼女達の力になる。
エクスカリバーは全ての光を集め、神々しく輝く。
美優「はあああああああ」
由香「いけええええええ」
エクスカリバーから放たれる光は、ジャガンに直撃する。
反動で、美優たちの武装は粉々に砕ける。
煙があたり一帯を包み込む。
里奈「やった」
紗香「これで…」
メディ「…いや」
煙が晴れるや…そこには、先ほどと全く変わらない状態でジャガンが立っていた。
ジャガン「祈りが…足りなかったようだな? 残念ながら…傷一つ… ついていない」
ジャガン「最初から、こうすればよかったな… 四天王も組織も要らなかった… まあ、余興程度にはなったか…」
ジャガン「さて、えーと… なんだ? 残念だったな。 死ね」
ジャガンは満身創痍でたたずむ美優を見据える。
人差し指から、直径2センチ程度のエネルギーを弾き出す。
たった、それだけでも、美優の命を奪うのには十分であった。
弾がまっすぐ美優にめがけて飛ぶ。
美優(…あ… これ…ダメだ… 分かってても、身体が動かないや… 避けられない…)
美優は悔しかった… これまで戦ってきた日々が全て無為になることが… 最後の最後で力及ばなかったことが… みんなを残して先に死んでしまうことが… 自分を送り出してくれた地球の人々の思いに報いることができないことが… しかし、それ以上に死にたくないという気持ちが最も強いことが…
美優(…死にたくない)
美優はせめて最後に泣き叫びたかった。
弾はあと、1メートルまで迫る。
美優の口が開く。
美優の口に指が当たる。
「しっ」
人差し指で、美優の口が軽く抑えられる。
目の前には、何とも形容しがたい…何かがいた。
身体は大きいが、人間のよう。
顔は白い三角のマスクで覆われている。
目と口だけが書かれたマスク。
縦棒二本と横棒一本… 落書きのようなマスクである。
そのマスクマンは、美優と弾の間に入ると、マントでひらりと弾をはじく。
マスクマン「あきらめるな」
マスクマン「私はエクスカリバー。 もう一度私に力を集めてくれ」
美優「で、でも」
マスクマン「信じるんだ。 私を… そして自分たちの力を!」
由香「やりましょう美優」
メディ「当たって砕けろデス」
ジャガン「いくらやっても無駄だ。 消えろ」
ジャガンは何度も弾を打ち出す。
全てマスクマンに直撃するが、マスクマンには傷一つつかない。
美優たちはマスクマンに手をかざし、力を送る。
その間、ジャガンは何度も弾を放つ。
ジャガンに焦りが見える。
そのうち、マスクマンの身体が光り輝く。
ジャガンは、先ほどと状況が違うことに、脅威する。
ジャガン「くそー。 なめるなぁ」
ジャガンは巨大なエネルギーボールを作り、マスクマンめがけて投げつける。
マスクマンはエネルギーボールを一息で吸い込む。
エネルギーボールは、一瞬で消え失せた。
マスクマン「今だ!」
マスクマンから、光の矢が放たれ、ジャガンを貫き消し去った。
ジャガン「ばかなあああああ」
ジャガンの気配が完全に消え去る。
美優「やった… やったわ」
美優たちは手に手を取り合って、歓びを分かち合う。
マスクマン「良かった。 これで、私の役目も終わりだ」
マスクマン「少女たちよ。 平和に暮らすんだよ」
マスクマンの手から出た泡が、美優たちを包む。
マスクマン「さようなら。 幸せに」
美優「ありがとう。 『エクスカリバー』」
マスクマンの横棒の片方がわずかに上がる。
エンディング
OPテーマが流れる。
地球に帰った美優たちは、愛する家族の元へ帰る。
大切な人たちとの日常が戻ったのである。
笑顔の少女たちは、戦いの日々から解放された。
少女たちに幸あれ。
最終話「希望の始まり」
クレーターの陰に、ひっそりと二つに折れた『エクスカリバー』が残される。
マスクマンはマントを翻し、次の世界へ向かった。