第50話~昇格式~
第50話
アポフィス「刻蝋値!」
刻蝋値「はい!」
名前を呼ばれたので、元気よく返事し、跳躍。6本腕の
猿形態に変身し、ブーメランのように回転しながら
ステージに向かい、6足の獣形態に変身して華麗に
着地した。
アポフィス「…………気持ちは分かるが、そう言うことは
程々n…」
刹那、4足2本腕の人馬形態に変身し、皆の方へ振り向く。
そして……
刻蝋値「はいっ、サイドチェストォ!!」
大胸筋をメインにアピールするボディビルのポーズを
取って魅せたのさ。
皆「………………」
アポフィス「……………………」
これには一同シーンとしている。
刻蝋値「あれ? お気に召さなかったのかな? じゃあ、
ダブルバイセップス!」
今度は誰でも分かるお馴染みのマッスルポーズを取り、
上腕筋、腹筋、大胸筋……そして、脇からはみ出る広~い
広背筋をアピールした。
「……………………」
「ブフッ…………」
「…………あはは」
「何やってんだか」
皆がそれぞれ失笑や呆れの反応を返すようになった。
そしてアポフィス神の表情は徐々に険しいものへと
変化していく。
刻蝋値「シメに迫力の、モストマスky…」
アポフィス「止めんか!」
アポフィスは殆ど手加減なしの尻叩きを、刻蝋値の馬の
お尻に加えた。途端に乾いた轟音が施設中に響きわたる。
刻蝋値「ヒッヒーーン!?!? ちょ!? いきなり
酷いですよ!!?」
アポフィス「どの口がほざく! ここはボディビル会場
ではない。いきなり筋肉を見せられる皆の気持ちを
考えろ!」
刻蝋値「決めポーズの参考にはなるでしょ!?
それすら許さず鉄拳制裁とか、パワハラにも
ほどが」
アポフィス「これはあくまで昇格の表彰式だ!
名を読み上げた途端にボディビル大会に
塗り替えられる我の立場を考えろ! ったく、
モンスター社員のパワハラにあった気分だ」
刻蝋値「す、すいませんでした……でも、お尻痛かった
です…………」
アポフィス「分かったから……ったく、全員大笑い
しているではないか」
尻叩きまでが2神によるパフォーマンスだと勘違いした
物達が多かったらしく、会場の雰囲気がお笑いショーの
ように明るくなっていたのだ。
刻蝋値「不用意すぎました。以後気をつけます…………」
アポフィス「ゴホン、では続きを読み上げる。プルート、
はやみ、スパーク、ラピス……」
と、あまり関わりが深くない奴等も含めた昇格決定の
見習い全てが壇上に上がり、表彰された。この表彰式は
階級の低かった者から呼ばれるしきたりだったので、
イザナミやクラウス、武死道は俺達の後から表彰された。
表彰後
刻蝋値「やー、ビックリしたぜ。いきなり大佐に
昇格しちまったもんなぁ」
刻蝋値 : 見習い→大佐
プルート「アポフィス神の元で過ごし初めて5年……
いきなり昇進出来たから驚いたよ」
プルート : 見習い→神兵長
はやみ「だけど刻蝋値君……表彰されてる時に
後背筋ピクピクさせたり鬼の顔をギョロギョロ
させたりしないでよ…………わたし吹き出しそうに
なったじゃない!」
はやみ : 見習い→大尉
スパーク「サポーターのプルートや魔力特化のはやみは
相応だが、刻蝋値。俺やお前の肩書き……過小評価だと
思わないか?」
スパーク : 見習い→少佐
イザナミ「確かに、"実力だけ"を見ればそうかも
しれないな」
イザナミ : 隊長→神兵長
クラウス「だが、1度に昇格可能な位には上限が
存在するんだ」
クラウス : 神兵長→少尉
武死道「アポフィス神は可能な限り我等の位を上げられた。
何処までも慈悲深きお方よ」
武死道 : 中佐→大佐
刻蝋値「んー、そう言うことなら精進していく
しかないッスね~。な、スパーク」
スパーク「フン、俺を少佐止まりにしたことを
後悔するほど成果を上げるまでだ」
ルシファー(そうやってやる気を出して貰うために
少佐止まりにしたと考えられるのは言わないで
おこうか)
ルシファー : 見習い→大尉
サタン : 見習い→少佐
インフィニティ : 見習い→中尉
バレット : 見習い→中尉
ファング : 見習い→中尉
ラピス : 見習い→大尉
コンドル : 少将(変化無し)
クラウス「そういえば、コンドル少将は変化が
ありませんでしたね。やっぱ在籍期間が短かった
のですかね?」
コンドル「んー、それもそうだが、俺の場合は
そもそも最高神様に認められなきゃ昇格出来ない
決まりだったはずだよ」
刻蝋値「え? それってどういうことだ?」
イザナミ「刻蝋値様、少将以上の昇格は、最高神様に
見て頂くという神々のルールがあるのです。それに
しても……神界に来て日が浅い刻蝋値様は兎も角と
して、クラウス。貴方はそんな常識も忘れていたの?」
クラウス「し、仕方ねぇだろ。ラー軍にいた頃は
馬車馬の如く働かされていたし、ここでも2ヶ月前
まで牢屋生活だったから、忘れてたんだよ!」
イザナミ「……私だってラー軍に居たけど、ちゃんと
覚えていたわよ」
コンドル「まぁ、まぁ、俺の事で喧嘩しないの」
2神「し、失礼しました……」
刻蝋値「やっぱコンドルは信頼されていたんだなぁ……。
俺に倒されてこちら側に着くって言った時も、不思議と
悪意の欠片すら感じなかったんだよな~」
コンドル「ああ……ラーのあの姿を見てしまったからには、
一刻も早く離れるべきだと思ったんだ」
はやみ「……ホーク様、洗脳されてしまったん
ですよね……!!」
半泣きになりながら尋ねている。
コンドル「うむ、残念ながら洗脳されてしまったよ。
恐ろしいのはラーもだが、アレス大将もだ」
刻蝋値「あのバトルジャンキーゴッドか」
コンドル「まさしく。あれは……もう知的生命体
とすら呼べるか怪しい戦闘狂だ。牢屋にいる
ゼウス君も親不孝だろうね」
刻蝋値「そういえば父子でしたね……」
弱い奴は生きる価値すらないと、アレスに
切り捨てられていた様子を思い出した。
プルート「いずれにせよ、我々が正しいことを神界中に
知らしめる以外に道はありません」
バレット「あたぼうよ! 男なら拳で語る! そうだろ、
ファング」
ファング「少し違うな。男は真剣勝負だぜ~」
刻蝋値「へへ、何にしたってアレスやラーを超える力で
捩じ伏せる事は必須条件だな」
第51話に続く。
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