第5話~相性最悪との出会い~
思ったより書き悩んでしまった……
第5話
刻蝋値「あ?」
これは一体どう言うことだ? 誕生日は先月向かえた
ばかり、特に昇格もしていない、アポフィス神の記念日
関係はもう少し後だ。なのに……
刻蝋値「皆さん……これは一体、何のお祝いですか…………?」
いきなりパーティー用のクラッカーをあちこちで爆発
されたのだ。
二等兵「何って、そりゃねーだろ!」
三等兵「見習いのお前が神兵長クラスをあっという間に
倒していたんだぞ!」
軍曹「お祝いパーティと言うわけだ」
???「刻蝋値君。君は敵軍から味方を助け、更には
格上も甚だしい相手を倒すという、2つの偉業を成し
遂げたんだ。もっと自分を誇るべきだよ!」
刻蝋値「あ、プルートさん! そうですかね、絶対
食らったら駄目な攻撃以外は全く脅威じゃありません
でしたよ?」
プルート「そうか……君からすれば、クラウス神兵長も
脅威ではない……か。ゴキブリに転生したての頃から、
随分と強くなったんだね」
刻蝋値「へへへ、この程度で止まれるほど無欲じゃ
ないんですよ」
プルート神。人間だった頃、車に引き殺された俺の魂を、
異世界のゴキブリに移した見習い神様だ。今更だが、
何故ゴキブリに転生させられたのかと言うと、俺の
ゴキブリ愛が強かったことで、最も良く結合する肉体が、
ゴキブリになったかららしい。
刻蝋値「いやー、まさか俺のルーツとも言える神様に
再開するなんて思いませんでしたよ~~」
~回想~
プルート「やぁ!」
ずーーーっと以前に聞き覚えのある声を聞き、
振り返った。
プルート「刻蝋値君、君は僕の事を覚えているかな?」
しっかりと考えてみたが、小学生頃に『知らない人に
声をかけられても、ついていってはいけません』と、
言われたことしか浮かんでこなかった。
刻蝋値「…………すんません。わからないッス」
プルート「そうだよね。声だけじゃ分かるわけないよね。
じゃあ……君がその姿になったキッカケを覚えている
かい?」
刻蝋値「この姿……ヒューローチ……メタモルフォーゼ・
ヒューマン……そう言えばスキルポイント振って獲得
した技で……あ! あんたはその時の!」
初めてスキルを獲得し、変身したときの事を思い返すと、
天から語りかけてきた声があったことを思い出した。
プルート「その通り! あの時にナビゲーターとして
君に語りかけた声の主さ!」
刻蝋値「ナビゲーターさん! 俺がここまで強くなって、
色々と経験できたのはあなたのお陰です! お礼を
させてください!!」
プルート「礼ならラー神の討伐をしてくれたら嬉しいな。
それと、僕はプルートだよ」
刻蝋値「ナビゲーター……じゃなくてプルートさん。
あなたも俺やアポフィスセン…神と同じ志なのですね。
絶対にラーの悪行を奴ごと粉砕しましょう!」
プルート「うん、君を選んだ僕の目に狂いは無かった
みたいだ。まぁ、この話も大事だけど、これからは
公私共に仲良くしようね!」
刻蝋値「ええ、是非!」
と、その時
放送『レジスタンス諸君につぐ! ラー派第50特殊部隊
の接近を確認! 至急戦闘配備に取りかかれ!』
刻蝋値「っと、行かねぇと!」
館内放送が入り、俺は前衛の加勢へと向かわなくては
ならなくなった。
~回想終了~
プルート「いつかこうして対等に話したかったけど、
1つ目標が叶った気分だよ」
刻蝋値「折角なんで、食いまくりましょう!」
それからは大規模な宴が始まり、俺はその時作られた
全ての料理の内、半分を平らげてしまった。
大食漢な神「ギ、ギブ……」
刻蝋値「まだまだ俺には勝てなさそうですね。ともあれ
お疲れッス!」
大食漢な神「オ、オヴ」
そして1週間程がたったある日、俺に任務が与えられた。
アポフィス「お前が十分に強くなったと判断し、
ラー派第2特殊部隊の生け捕りを命じる」
刻蝋値「第2部隊……鉄板の強さ~とか言われている
奴等ですよね」
アポフィス「そうだ。それと、加減が効かず殺して
しまっても、咎めはしないぞ。自信を持って挑めば
良いが、油断して良い相手じゃない事は念頭に置いて
おけ」
刻蝋値「分かりました。行ってきまーす!」
部屋のドアを開け……
刻蝋値「失礼しました!」
退室時の挨拶を忘れずに行ってから、任地へと向かった。
アポフィス「物理攻撃の効かぬ相手に貴様はどう挑む?」
~白面巨大正方体の上~
神兵長「ふむ、奴等の財産が隠されているとの報告
だったが、見つからないな」
目にかかる黒髪を整えた、ケバすぎないビジュアル系
の男が何かを探している。
部下「お言葉ですが、デマ情報を掴まされた可能性が
考えられます」
部下の1人が進言をした。
神兵長「俺もそう思い始めたところだ。ホーク隊、
引き上げるぞ!」
全員が飛行姿勢になった瞬間だった。
刻蝋値「これでもくらえーーー!!」
突如2万光速で進撃してきた刻蝋値が、その勢いの
まま、ホーク神兵長に全体重が乗った拳をぶつけたのだ。
部下達「ギャアアアアッ!!」
ホーク「クッ、油断した! 全員無事か!!
…………息はあるが、意識は飛んだか」
刻蝋値「さっすが神兵長さん。2万光速の奇襲程度じゃ
ビクともしねーな」
ホーク「アポフィスの尖兵か。我が名はホーク!
ラー神第2特殊部隊の神兵長だ」
刻蝋値「俺は刻蝋値!アポフィス神の部下で見習いだ!」
ホーク「見習い……? 厄介な奴が生まれたものだ」
刻蝋値「さて、ガリガリなホークさん。反射神経は
スゲーらしいが、俺の動きはこんなものじゃねーぞ?」
ホーク「フッ、筋肉に栄養を吸われ、脳が萎縮した
愚か者、お前に勝ち筋が無いと言う絶望を教えてやる」
刻蝋値「じゃ、食らいな!!」
俺が直線的に3万光速で突っ込んだところ、ホークは
腕をクロスしてガード姿勢をとった。
刻蝋値「オラァ!!」
腕ごと顔面にダメージを入れるべく、あえてクロスした
腕の中央に拳を打ち込んだ。
刻蝋値「おおっ!? そりゃまた不思議な技だなぁ。
まるで俺の拳の運動エネルギーが倍になって返された
気分だぜ」
打ち込んだ腕に、拮抗する形で運動エネルギーが加わり、
反対方向に返されたのだ。
ホーク「知りたければ、萎縮した脳で考えてみることだ」
刻蝋値「ハッ! 俺は文系科目以外そんなにバカじゃ
ねーよ!!」
取り敢えず回り込んで蹴りを放ってみたが、やはり
運動エネルギーの倍返しを受けた。
刻蝋値「だったら!」
頭をフックで殴り、その時に食らう倍返しを利用した、
肘打ちを対面の顎にお見舞いした。
刻蝋値「うおおおおおっ!?!? 目が回る~~~~!」
ホークは攻撃を食らいながら後退していたらしく、
どっかのタイミングで肘打ちをスカしてしまい、
超高速回転をしてしまった。
刻蝋値「止まれ!!」
そこら中に存在する霊的物質を掴む技術を用い、
どうにか急制動をかけた……が
刻蝋値「ウゲエッ!! 酔ったぜ……」
不覚、リバースしてしまった。
ホーク「…………汚ぇな。本当に神を名乗る者なのか?」
全くだ。
ホーク「だが、お前もこれで分かっただろう。俺には
一切の物理攻撃を倍返し出来る。妙に素早い筋肉バカの
お前は、"絶対に俺に勝てない"んだ。分かったら降参
するか殺されるか選ぶんだな」
刻蝋値「ヘヘッ、どっちも御免だぜ。むしろ……
やる気が出てきたぜ!!」
第6話に続く。
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