第44話~リバーブラッド~
おはようございます。早朝から血反吐溢れる
バトルをどうぞ!
第44話
刻蝋値(くそっ……栄養が無くなったら最後、俺の肉体は
再生が止まる…………)
即ち、アレスに命ごと砕かれることを意味する。
アレス「……良いぞ。俺の攻撃をここまで耐えられる
とは…………予定変更、同格を瞬殺する技でお前の限界を
測るぜ!!」
アレスの剥き出しの闘争心を感じ取り、次に来る
拳の速度が神音の10倍を超える速度になることが
ハッキリと予知できた。
刻蝋値(…………粒子だ。粒子さえあれば、身体は
いくらでも構築できる。例え砕かれようとも、
繋がりさえあれば…………まてよ!)
俺はあることを思いつき、賭けることにした。
アレス「砕けろぉ!!」
遠慮無く衝撃波を撒き散らした、まごうことなき
好奇心と闘争心が混ざった拳。刻蝋値を形作って
いた物質は、全て原型の霊的物質に分解された。
アレス「…………惜しい奴だった。これさえ
耐えられれば、お前は俺のライバルとして
楽しいバトルライフを送れたのに。どうして
生命体はこうも容易く死にゆくのだ。俺の
ライバルはいつになったら現れるのだ………………」
心底残念そうに、それでいて強さに酔いしれながら
独り言を呟き続けた。
アレス「さて、帰るk…お前、まさか…………」
身体の殆どが白銀の物質から為り、傷1つ無い
刻蝋値が佇んでいた。
刻蝋値『…………どうにか、生き延びたぜ』
アレス「どうやって…………耐えたのだ」
刻蝋値『自分で考えてみろっ!』
そういって、以前とは桁が違う速度の拳を
アレスの頬にめり込ませた。
アレス「身体能力も上がっただと…………??
考えても分からんが、これだけは確かだ」
刻蝋『何だ?』
聞き返しつつ連続攻撃を放ったが、流石に
基礎能力が高いアレスは全てガードしている。
アレス「お前は見込みがある。追試してやるぜぇ!」
反撃で螺旋回転の拳を放ってきた。
刻蝋値『甘いぜっ!』
速度こそえげつないが、わりと雑だったので、
勢いを利用して自身を同じ向きに回転させ、
空に放った拳を"腕を伸ばす"ことで命中させた。
アレス「!?……伸びた。まるで銀色の多節棍の
様だった」
刻蝋値(やっぱ勘が良いな)
そう、現在の刻蝋値はアガートラームの粒子生成
能力により、仮初めの粒子で構築されている状態
なのだ。この状態は、アガートラームを取り込む
等の方法でなれるのだが、当然自らの身体の粒子も
増減することが可能なのである。
アレス「フッ、さしずめ武器とシンクロしている
のだろう。お前、俺に攻撃する度に自壊しては
再生してるぜ」
粒子は無限に生成可能であるため、攻撃のための
エネルギーを際限無く作り出し、自らが粉砕しかね
ない威力の攻撃も気兼ね無く打ち出せる。
刻蝋値『単調な打撃じゃつまんねえだろ。
これでも食らいな』
刻蝋値が右上腕を突き出したかと思いきや、
アレスの側面から無数のトゲが刺さっていた。
アレス「変幻自在っ……!」
刻蝋値『爆ぜろ!』
刹那、アレスの全身から細長い鮮血が吹き出た。
アレス「粒子を埋め込み、爆発させたか。
自由すぎるだろ」
刻蝋値(うわ……殆ど効いてねぇ。けど、今の隙で
元の身体を構築するだけの粒子は集まった。
このままシンクロしまくって、アレスを撃退だ!)
先程と同様の技を放つと、アレスは軽々と最小限の
動きで回避し、そのまま接近してラッシュを繰り出し
てきた。
刻蝋値(読める!)
刻蝋値は半ば実態が無いことをよいことに、
アレスの拳が触れる少し手前でその部分の
粒子を消滅させ、拳を引いたら再生するという
プロセスを繰り返した。
アレス「っおいおい、当たってねぇぞこれ!」
当てるべく、拳を加速していくが、一向に当たる
気配が無い。
刻蝋値『そんなに喋っていて良いのか?』
アレス「どういう事だ?……そして消えた? あいつ
ごときの速度で俺の目を欺けるわけが」
刻蝋値『そうだな、今の俺はまだまだノロマだよ。
だからさ、文字通り消えたんだぜ』
刻蝋値が話終えると同時に、爆音と共にアレスが
吐血する様子が映った。
アレス「ガハッ……血? 俺は……血を吐いたのか」
刻蝋値『事実だぜ』
第45話に続く。
ブクマ、評価や感想などを頂けると、モチベーションが
上がります。気軽にどうぞ!




