第43話~圧倒的実力差~
トイレを見つけ、スッキリしようとしたら、爆発して
消えた!? そんな不届きな犯人は思い知らせないとな!
第43話
刻蝋値「…………」
俺は今、赤髪で身長3mのハードゴリマッチョ、
尚且つ下手すりゃ男でも魅了される程の美形な
顔立ちをした男と出会った。
ソイツは…………俺が今まさに用をたそうとした
公衆便所を破壊しやがったんだ。許せねぇ!!!
赤髪「俺は神軍大将のアレス、戦いが生き甲斐だ。
先のアポフィス討伐作戦にて、不甲斐ない父親の
ゼウスが敗北した。噂ではアポフィスの懐刀と
される男に討たれたと聞いたが……お前、心当たり
は無いか?」
刻蝋値「…………俺だと言ったら?」
アレス「やはりかあぁぁっ! いくら一捻りで
殺せる雑魚とはいえ、周囲には更に雑魚しか
居なかったんだ。よって、親父を殺せるのは
お前とアポフィス位だと結論つけられるのだ!
何もかも繋がってスッキリしたわ」
刻蝋値(こいつ何1神ではしゃいでいるんだ??)
アレス「さてと、俺からすればラーの雑魚が
嫌っている奴を生かすも殺すも何一つとして
問題なしだが、お前はまだ生きたいか?」
刻蝋値「そんなもん俺が決めることだ。それよりも
ぶっ壊した便所を直してから帰れよ。う○この残骸
に触れたくないから逃げるの無しだからな」
アレス「ふん、そうしたくば……そして何より、
生きて帰りたければ、俺を満足させてみろぉ!!」
奴が言い終わる寸前に、俺の体は無意識に移動を
開始していた。そして言い終わるまでに体2つ分
動いたお陰で、奴の拳をかするだけで済んだ……
のだが
刻蝋値「おいおい……摩擦熱だけで俺の甲皮が
銀河系1つを消滅させるほどの爆発を起こした
ぞ??」
奴の拳がかすった甲皮が、摩擦熱だけで
体積膨張……そして信じられない規模の爆発を
起こしたのだ。
アレス「良いぞ。この初撃をかわせぬ奴、そして
この程度の爆発に耐えれぬ奴は生きる価値すら
無いと言えよう」
刻蝋値「さっきから聞いてりゃ、てめぇの価値観で
命を差別しやがって…………。あのな、力なんて無くた
って、誰かを救っている奴はそれだけで価値がある
んだよ。分かるか?」
アレス「フッ、それこそお前の価値観だろ?」
この返答を皮切りに、俺は攻撃を開始した。
刻蝋値「キネティック・ナックル!」
獣形態で最高速度に達し、瞬間的に大柄な
人馬形態に変身後、その勢い全てを伝えた
右ストレートをおみまいしたのだ。
アレス「親父を殺して余りある威力……もっと
もっと本気を見せてみな?」
既に幾つかのドーピングを施したフィジカルから
放った拳を軽く受け止めながら、少し楽しげに
話しかけてきた。
刻蝋値「まだまだまだぁ!!」
単純な全力ラッシュ。獣形態の最高速度による
タックル。巨蟲形態から放つ1ヶ月我慢した
特濃オナラ。最高速度状態から放つ亜人形態の
飛び蹴り……できる限りの攻撃を放ったが、
まるで効いていない様子だった。
アレス「終わりか? 屁がちと臭かった事以外は
何でも無かったな。じゃあ……死ね!!」
単調だが、速度が神音を超えている蹴りを放って
きた。
刻蝋値(そう来ると思っていたぜ)
だが、これくらいは予想済み。俺は全ての
ドーピング技を自身に施し、物理的能力系の
バブをかけるポーションも全て割った。そして、
亜人形態のまま4本全ての腕でガード体勢を
取りつつ、全身で蹴りを受けた。
刻蝋値「キネティック・パリィ!!」
その威力を自らの右中段回し蹴りの速度に変換し、
アレスの横腹にめり込ませたのだ。
アレス「おおっ?」
刻蝋値「一気に決める!!」
更に、俺の唯一無二の武器、アガートラームを
腕に纏わせ、4本腕からジェットブーストで
加速した連続突きをおみまいした。
刻蝋値「キネティック・ブレード!」
自らの意思により、分子構造を自在に変化させられる
特徴をフルに使い、今度は脚に纏わせ、足刀蹴り
を鳩尾に入れた。
アレス「リーチは俺が上だ!」
今度は長身を生かし、踵落としを繰り出してきた。
刻蝋値「キネティック・ペネトレイト!」
大槍に変化させ、更に上のリーチから一撃を
入れたのだ。アガートラームは分子の形状を
変化させる特性から、その時の質量も変えられる。
そのため、表面のみ最高硬度を維持しつつ、
奴に当てる直前で最重量まで加重する事で、
最高速度を乗せた最強の一撃を放てるのだ。
刻蝋値「キネティック・フレイル!」
今度はトゲ鉄球に変化させ、更にリーチ外からの
攻撃を浴びせていく。ゼウスを倒し、幾度もの
レベルアップを経た今でさえ、パンチやキック、
ダッシュ等ば霊速には後少し及ばないが、長物を
振るえば、先端部を超零速へ持っていくことが
可能である。
刻蝋値「キネティック・ノナ・クラブ!」
次は9節棍を具現化し、後方へ凄まじく加速して
いくアレスに絶え間ない連続攻撃を浴びせ続けた。
アレス「調子に乗るな」
そう言って、一節を掴もうとしてきたので、
掴んだ瞬間に一節を消滅させ、再び軌道が
重なった瞬間に再度具現化させることで、
絶対に避けられないように当て続けた。
刻蝋値(今でこそ何とか押してるけどよぉ……
コイツの速度はラーすら可愛いレベルだ。
となると、防御力も半端ねぇ筈……いつまで
持つか……!!)
一見すれば優位に見える状況だが、実力は明らかに
あちらが格上。こんな攻撃がいつまでも続く訳が
無いのだ。
アレス「フッフッ、アッハハハハハハッ!!
さっきまでは正直、ここまでやるとは思って
なかったぞ。パワーとスピードはギリギリ
及第点、合格だ! とすると、次は耐久テストを
しねぇとなぁ?」
刻蝋値(……!!!!!!)
奴の邪悪な笑みに、神格化して始めてゾッとする
感覚を覚えた。
アレス「行くぞ!」
真面目に頂上の身体能力を行使した拳は、
反射で動いた俺の体の中央から僅かだけ
ずれた腹部を消し飛ばした。
刻蝋値「うがっ……」
甲皮、筋肉、骨はよく欠損しがちなので、
再生しなれているが、流石に臓器を欠損
することは稀である為、極僅かに再生の
タイムラグが発生してしまう。
アレス「再生能力あり……当然だなぁ!!」
その後も幾度と無く俺の体は砕かれ、その度に
瞬間再生させるも、アレスは更に攻撃速度を
加速させ、手数も加速度的に増やしてきた。
刻蝋値(速度に慣れて回避力が上がっても、
奴はそれ以上に攻撃を加速させる……!! 体を
砕かれ続け、それに適応すべく再生速度を
上げようとも、手数増加で再生したそばから
砕かれる…………どうすりゃいい…………)
仮にこのまま極限状態を利用して身体能力や
体裁き技術、再生力を向上させても、もう1つ
の問題が発生する。
刻蝋値(……そろそろ無限肝臓の栄養在庫が切れ
ちまうな。当然だ、再生力が上がるってことは、
栄養の消費量も比例して上がるんだからな…………
1年ほど絶食出来るくらい貯めたのがパーだぜ)
問題定義こそ単純明快だったが、解決策が
浮かばないまま時だけが過ぎていく。
第44話に続く。
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