第2話~任務完了報告~
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任務完了報告
果てしなく何もない真っ白な空間。ゴキブリを擬人化したかのような、ハードゴリマッチョとでも言うべき肉体を纏う若者は、光速の30万倍の速度で飛行していた。
刻蝋値「お、やっと見えてきた! 今日こそ暗澹魔獄酒を飲ませて頂くぜ!」
師事をしている神様の顔を浮かべながら、ポツリと浮かぶ星のような場所に降り立った。
刻蝋値「まずは牢屋だな」
背に抱えている敵対している神軍兵達を、牢屋へと運んでいった。
署長「……噂は本当だったのだな。一介の見習い神が、ラー様の1小隊相手に1歩も引けを取らぬとは、たまげたわい」
刻蝋値「いや~、俺に出来ることなんて、バトル位ですよ!」
署長「確かにこやつらの身柄は引き受けたぞ。ラー神については知らぬ可能性が高くて間違いないのだな?」
刻蝋値「はい、人質とか情報源としてはあまり宛に出来ないと思われます」
署長「そうか……では、もう下がってよいぞ」
刻蝋値「失礼しました!」
牢屋を後にし、星中央にある神殿へと向かった。
~アポフィス神の部屋~
アポフィス「……」
漆黒の肌に、頭から生える角が特徴的な神が、眼前に並び尽くす電子板を眺めながら、険しい表情をしている。
ドア『コン コン』
アポフィス「入れ」
一旦電子版を消し、ドアをノックした者を通すことにした。
刻蝋値「失礼します! ラー軍111小隊討伐任務の完了報告を行いに来ました!」
アポフィス「うむ、ご苦労だった。早速褒美の希望を聞こうか」
刻蝋値「はい! センパイがいっつも飲んでる暗澹魔獄酒を飲ませて下さい!」
アポフィス「…………前も言ったが、今の貴様には早すぎる」
刻蝋値「注いでくださいとは言いません! 飲みたいだけッス!」
アポフィス「やれやれ、ならば訓練所に行くぞ。稽古をつけてやる」
刻蝋値「お! センパイの顔面に一撃を入れたら、お酒を頂くというのはどうッスか?」
アポフィス「良いだろう。……まぁ、まだまだその域には達していないだろうが」
刻蝋値「へへ、稽古中に達して見せますぜ!」
~訓練所・戦闘用ドーム~
刻蝋値「先手必勝!! オラァ!!」
一撃で宇宙1つが丸々消し飛ぶほどの拳を打ち込む。
アポフィス「ほう……!! 更に強くなったか」
が、神速の拳は意図も容易く回避され、ドーム内にセットされた理想気体を全て核融合反応させるだけの結果に終わった。
刻蝋値「うおおおっ!!」
突き、蹴り、フェイントからの掴み、フック、手刀、蹴りあげ……実に1穣もの宇宙破壊スケール攻撃を0.000000001秒間に放ったが、全てを回避された。
アポフィス「次は我の番だ」
刻蝋値「うおあっ!!!(キネティック・パリィ!!)」
初撃の拳こそ受け流すことに成功したが、次の蹴りを諸に食らい、腹を砕き、血を吐きながら壁に激突した。
刻蝋値「負けるかぁ!!!」
当たり前のように瞬間再生しつつ、果敢に向かっていく。
~観戦場~
一等兵「あいつ……刻蝋値だったか? アポフィス様相手にどんだけ食らいついているんだよ!?」
二等兵「パワーだけで神に成り上がって来たらしいですけど、あれはお墨付きをもらいますよ……」
軍曹「ああ、俺も奴に勝てるか怪しいな。パワー、スピード、テクニックは遥か上。あの一撃を受けれる者はそうそう居ないだろう」
アポフィスの配下の兵達が、主神に食らいつけている刻蝋値の戦闘力に驚いている。
女性「……」
そのそばで、魔法使いを思わせる女性が2人のバトルを真剣に見ていた。
刻蝋値「キネティック・ストライク!!」
いつの間にか六足歩行の獣姿になっていた刻蝋値が、宇宙3つは破壊しかねない威力のタックルを繰り出した。
アポフィス「惜しかったな」
健闘虚しく、横腹に命中こそすれど、体の旋回で受け流され、ちょっと本気を出した連続攻撃により、粉々に砕かれて先頭不能に陥った。
アポフィス「(顔面こそ当てれずとも、腹に当ててきたか。わざと目標のハードルを上げているな……)酒はやれんが、頑張った褒美に高級肉を奢ってやろう」
刻蝋値「ギョッ…ジャー(よっしゃー)!」
再生不能に陥りつつも、大喜びしている。
とはいえ、まだまだ最強への道は遠そうである。
第3話に続く。
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