第18話~宿敵との遭遇~
この話書いてたら、ヤ◯ー知◯◯の天才
物理学少年を思い出した…………
第18話
刻蝋値「じゃ、後は頼んだぜ。1トレーニーとして、
お前を応援している!」
転生者「はい!」
元気な返事と共に、筋骨粒々な若者は、異世界へと
旅立っていった。
~宇宙の外~
はやみ「刻蝋値君お疲れ!」
刻蝋値「おう、待たせたな」
プルート「夜ご飯、3神で食べにいこうよ」
刻蝋値「是非、行きましょう!」
はやみ「やったー!」
俺達は、いつもの転生者を転生させる業務を
完了し、3神で夜飯を食べに行くことにした。
はやみ「なんか刻蝋値君ってさ、この仕事の時も
戦闘の時くらい生き生きとしているよね~」
刻蝋値「いやー、だって、色んな連中の人生を
見れるじゃん。めっちゃ面白くね!?」
プルート「確かに、僕も20000年程この
業務を行っているけど、いつも小さな発見が
あるなぁ」
刻蝋値「俺、人間時代は他の奴らとあまりにも
かけ離れすぎてて、ろくに人間の考えを読めた
ためしが無かったけど、こうして人生経験詰んだ
奴、詰んでねぇ奴、分け隔てなく接していたら、
あの時のアイツはこんなことを考えていたの
かな?とか少しずつ分かるようになってくるんだ」
思い返せば人間時代……ゴキブリを飼育している。
ただそれだけで嫌われたことが多々あった。以前は
全く理解できなかったのだが、どうやら"人間"には
ゴキブリに対する嫌悪感が本能として備わっている
らしい。おそらく俺だけ例外的に嫌悪感が無かった
のだろう。逆に言えば、可愛い犬猫を嫌う人間の
一部は、生まれつき彼らに嫌悪感を抱く本能がある
のだろう。
はやみ「人の気持ち……わたしもこうして色々な
人達、動物達と話したことで、以前は全く理解
できなかった同級生の気持ちが理解だけは出来
たり、動物達が人間をどういう風に見ていたの
かがすごく分かったよ」
プルート「理解だけっていうのは、どういう事?」
はやみ「はい、今の言葉は、理解は出来たけど、
共感は全く出来なかったという意味です。誰か
と誰かを無理矢理くっつけようとするとか……
そんな感じの事が面白いという考えが全く共感
できないんですよ」
刻蝋値「分かるぜー。誰かと誰かがどう
なろうが知ったこっちゃねーよな!
そいつがダチなら幸福を祈り、クズなら
不幸を祈る! それだけだ!」
はやみ「クズなら不幸を祈る!って言いきれる
ところは本当に羨ましいなぁ……」
プルート「僕も、媚びへつらって彼らに救いを~
とか言う神より、刻蝋値君の方が信頼できるね」
刻蝋値「忖度とか媚びる関係なんて、結局誰も
幸せにならねぇ。言いたいこと言えねぇ関係
なんざ、他人も同義ッス!……まぁ、同級生に
1人しかマブダチが居なかった俺が言ったら
説得力皆無ですがね」
はやみ「1人でも居てくれたら十分楽しかった
んじゃないの?」
刻蝋値「へ? まぁ、アイツと居たときは
楽しかったけど……はやみも沢山ダチ居たん
じゃねーの? 陸上大会の時も、後ろで俺の
見た目をディスっていた連中とかさ」
はやみ「あの人達はわたしに媚びていただけよ。
普段はわたしの恩恵に群がるコバンザメ。そして
隙あらば、わたしを踏み台にしようとした
ハイエナ達よ」
刻蝋値「……そっか、そりゃあ嫌なこと無い奴
なんて、天文学的な数しか居ねぇよな。神も
知的生命体も野性動物も」
プルート「この話しはここでストップしよう。
僕達……既に友達じゃないか。……多分」
刻蝋値「多分じゃなくて確定ッスよ! そこは
言いきってください」
はやみ「そうですよね。2神に出会ってから、
すごく楽しくなりましたし!」
プルート「そうそう、昔の事は昔の事、今と
これからを楽しまなくちゃ!」
刻蝋値「いやー、プルート先輩には学びっ
ぱなしッスよ~!!」
はやみ「あっ、この店、パフェが美味しいん
だった! 2神とも、ここで良いかな?」
刻蝋値「良いぜ! 時にはカーボ・
ローディングだ!!」
プルート「楽しみだ。早速行こうか!」
そんなこんなで3日たったある日
~宇宙の近く~
刻蝋値「うーわ、もうこんな時間。無って
どうにも同じ明るさで同じ景色が続くから、
時間を忘れがちだぜ……」
既にほぼ全ての神々が帰宅しており、残って
いるのは俺みたいに業務が楽しいと思っている
者や、単にサボりすぎでノルマをこなすのに必死
こいてるサービス残業組だ。はやみ、プルートは
当然真面目組なので、流石に仲良くご飯を食べに
いったと思われる。
刻蝋値「時には1人で気ままに動くのも良いよ
なぁ。少しブラブラしてから帰るか」
この時俺がブラブラしていなかったら、残業して
いた神々がどうなっていたか…………考えただけで
震えてくるぜ。
刻蝋値「!!…………!!!……(なんだ……この気配!
………………懐かしく……それでいて腹ただしい!!)」
後ろから俺がすんでのところで感知した、ただ
ならぬ気配…………奴が口を開いた。
???「貴様、確か一億五百万六千二十宇宙付近で
さ迷っていた神外生物だな? 何故ここに居る?」
ヤベェ、勝てねぇぞこれ。
実力差は瞬時に理解した。
刻蝋値「……ボクチン、迷子なんデシュ」
自分でも下手くそだし、あからさまな嘘だったと
思う。相手もよく笑わなかったなと思ったし、
これ飲み会の一発芸に使えるんじゃね? とか
雑念まで湧いてきやがった…………。
???「そうかそうか。数ヵ月、迷子は辛かった
なぁ。私は神軍大将のラー。絶対的な正義の心が
取り柄だ。迷子で哀れな下等生物君。私が来たから
にはもう安心だ」
刻蝋値「ほっ、本当デシュか!」
似合わない演技をしつつ、内心では「嘘つけ!」
とか「どの口が言ってやがる!」とか「エマちゃん
の百無量大数倍苦しめてやる!!」とか「さりげに
ディスるなデシュ!」とか色々な悪口をボロクソに
思ってやった。
ラー「ああ、あるべき場所へ…………」
刻蝋値「!!」
ラー「戻るがよい!!」
分かりやすく冷酷な表情を浮かべ、極太の霊線を
放ってきたので、素早く回避 & アポフィス神の
隠れ街と逆方向へ全力で逃げることにした。
ラー「愚かな、下等生物ごときが私から逃げ
きれるとでも?」
刻蝋値(キネティック・シャドウ!!)
全力で影分身を作り、少しでも撹乱する時間を
作ろうとした。
ラー「終わりだ。無価値な存在よ」
無慈悲にも、刻蝋値の本体だけに、先程の霊線
よりも速い拳を放ってきた。
刻蝋値(万事……休すか…………??)
死の足音が全速力で近づいており、時間感覚が
超加速したことで、未だに到達できない霊速を
超えた速度の拳すら遅く見える。……しかし、
俺の体は動かないも同然の遅さであり、ダメージ
軽減すらままならない。……いいや、何をしても
死を免れるダメージ量を下回ることは無い。
…………ん?
見覚えのある漆黒の広背筋、頭からせりだした
両角、優しさと反比例するかのように放ち続ける
邪悪なオーラ。
アポフィス「無事か!! 刻蝋値!!!」
ラー「!!!!!……出たな、アポフィス!!!」
刻蝋値「セ、セン……パイ!!」
アポフィス「後は俺が引き受けた。貴様は絶対に
死なせないぞ」
第19話に続く。
ブクマ、評価や感想などを頂けると、モチベーションが
上がります。気軽にどうぞ!




