第17話~見習い神のお仕事~
最初に出てくる転生者が胸糞ですが、
鬱憤は直ぐに吹っ飛ぶと思います。
第17話
転生者「へへっ、2度目の人生ねぇ……
また弱い奴をいじめれたら良いなぁ。
前世の人数じゃ、全然足りねぇんだよ」
刻蝋値「要約すると、お前は弱い者いじめを
するのが望みなんだな?」
転生者「ああ、いじめられて苦痛の表情を
浮かべる様を眺めるも良し、自殺に行き着く
までの苦悩を想像するも良し……俺はな、別に
インキャ達みてぇに魔王を一撃で葬り去る力
が欲しい訳じゃねぇ。あくまで雑魚に対して
圧倒できる程度の最低限の力があれば良い」
刻蝋値「ふむふむ」
転生者「頭の弱ぇ女共を侍らせてハーレム
なんてつまんねぇだろ? ちょっと上手く
いってる雑魚から寝取ってこそ、おもしれぇ
じゃねーか! 欲を言えば、雑魚といっても
ある程度活躍しているパーティーのメイン
アタッカーから、勇者の俺様が幼馴染みを
寝とるってのが最高のシチュエーションだな。
そのためには……見た目もまぁまぁ良い感じに
してもらいたいなぁ」
刻蝋値「見た目はそれなりのイケメンが
望みか……」
転生者「あんたみてぇに威圧感だけあっても
顔がっとっと……失礼。ほのかな強面を感じ
させつつ、幸薄な女位は振り返る程度の美形
を望みますぜ」
刻蝋値「話を纏めると、勇者の血を引く村長
の息子になり、幼少から村で地位の低い奴ら
をいじめ殺す。その後は最初こそ同程度の
実力だが、途中で伸び悩むアタッカーと幼
馴染みを含めたパーティーを結成し、途中で
寝取って追い出す」
転生者「そうそう、俺が復讐されねぇように
追い出した奴に絶望以外考えられなくする
スキルをくだせぇ」
刻蝋値「あいよ」
転生者「まー、永遠に続く幻覚を見せるスキル
的なので結構なんで」
刻蝋値「そうか、続きだ。1度だけでなく、
何度も寝とるために、幼馴染みペアのメンバー
を何度も勧誘しては寝取りまくりたい……だった
かな?」
転生者「ああ、勿論好みの4人以外は妊娠させた
上で棄てるいじめをやりてぇから、その辺の運命
操作もよろしく」
刻蝋値「で、魔王討伐を果たしたパーティー
メンバーの成果を横取りし、自らが国王になる」
転生者「そそ、その時勇者達は処刑するんだけど、
勇者の幼馴染みを引き抜いて、目の前で俺との
アレやコレやを見せつけてやるんだ! 絶望の中
で勇者を処刑した後は、俺のパラダイスタイム!!
始めは正妻にした勇者の幼馴染みを贔屓し、側室に
した俺のパーティーメンバーだった女共に十分に
イビらせる。そして俺からも見限ることで絶望に
落とす!! それからは……まぁ、戦争を起こしまくり、
世界統一でもしてから、人間とモンスターを殺し合わ
せる催しをやったり、義務教育を課した上で質の悪い
奴らを教師に取り立て、早くからガキ共にいじめを
覚えさせる。勿論重税を課し、世界中の民の余裕を
無くして絶望の縁に落とし、俺という存在が魔王なんか
とは比べ物にならねぇくらい恐ろしいってことをしら
しめて、頂点に立つのさ!! こんなことインキャ共
じゃ思いつきもしねぇ!! 俺ってやっぱ希代の天才~!
あったまいい~~! 俺の魂の損失は、全ての損失と同義
~~~!! あ、寿命迎えて幸せに死んだ後も、また俺の
望む人生を送らせろよ。分かったな?」
刻蝋値「フン、注文の多い奴だな。じゃ、早速
楽しい異世界ライフを送らせてやるから、楽しん
でこい。スキルは向こうでステェタスオォプンと
でも言えば開くぞ。じゃあな」
転生者「イャッフゥーー!!」
こうして悪質にも程がある転生者は
転生していった。
~異世界・とある村~
転生者「おおっ、予想通りのボロっちぃ
閉鎖的な村! 取り敢えず、手はず通りの
スキルを得られたか見てみよう。
ステェタスオォプン❗」
村人・A
職業 村の看板
レベル1 レベルアップまで残り -exp
ステータス
HP 9
MP 0
力 4
守備 4
敏捷 4
スタミナ 4
技 4
運 0
魔力 0
魔防 0
スキル
・身をもって味わう
ちょっとやそっとのダメージでは死なず、
身じろぎすらしないが、不快や疲れ、痛み
等を通常の10倍感じるようになる。
・悪意の伝染
自らの悪意は向けている対象と関係者に
伝わり、伝わったもの達の自身に対する
嫌悪感を発生・増大させる。
・生理的嫌悪増加
このスキルを持っている者に対する他者の
嫌悪が本来の10倍増加する。
・狙われ
攻撃対象、厄介毎の押し付け先等、悪い意味で
標的にされやすい。運が高いほど、スキルの
効果が弱まる。(現在の運0)
・懺悔の固定
現在保有しているスキルは、魂が浄化されるまで
『永遠』に保持され続ける。
称号
・不快感を与える存在
・汚らわしき魂
・ブサキング
・いじめこそ過去の栄光なり
・村人A
・存在価値が薄いNPC
・妄言ブレス
・永遠の雑魚
・償うためにM道を進む者
村人A「………………」
自身のステータスやスキル、称号を見終え、
この男は絶句した。
村人A(まって……何このステータス、スキル、
称号…………まるで虐められる為だけに存在する
ような奴じゃん。アイツは、俺の話を聞いて、
理解して、楽しめるようにしたんじゃ無かった
のか? 俺の弱い者虐めライフは始まっているん
だよな……??)
一抹の不安を抱えながら、自らの父親(の設定に
してもらった)、村長の元へと駆けていく。
村人A「親父ーー!!」
村長「失せろ、ゴミ。お前さん、またしても
人寄せをサボったな? その虚言癖と言い、
何度罰を受ければ気がすむのじゃ?」
村人A「へ?」
何がなんだか分からず、戸惑った。
と、そこへ
村一番の美女「村長さん、どうしましたか?」
村長「おおライカ、こやつがな…」
村人A「ちょうどよかった! なぁ、ライカ!
親父が俺を冷遇しやがったんだ! 知恵も
大したこと無い俺無しじゃ何も出来ねぇ老害が
だ! 癪だから、今から抱かせてくれ。この
老いぼれに俺達の愛を見せつけてやろう!」
幼馴染み婚約者美女設定のライカの胸に
飛び込もうとした村人Aだったが、ライカ
を抱くことは無かった。
村人A「いったあああっ!! ああああっ!!」
ビンタによって身じろぎ1つしなかったが、
直後の痛みで悶絶した。
ライカ「……気持ち悪。誰があんたなんか
抱かせるの? 自分の顔、池で見てきたら?」
村長「すまんのぉ。せがれとの婚姻前に、
その手を汚させてしもうて……」
ライカ「全くよ。あ、ルイン!」
ルインと呼ばれる本当の村長の息子が
近づいてきた。彼は地面でのたうち回る
村人Aを見るなり、謎の罪状らしきものを
長々と読み始めた。そして村人Aはとある
部屋に連れ込まれ、男5人から執拗な暴行
を一日中受けることとなった。
~翌朝・早朝~
村人A「うぅ……やっと………話せるまで痛みが
引いたか。…………この声は」
カーテンの奥から何やら興奮した声と、
イヤらしい音が聞こえてきたのだ。
村人A「ライカ……? っまさか! やめて!
やめてくれええぇぇえぇええ!!!」
ルインとの行為が、スキル効果によって鮮明に
浮かび上がり、精神的苦痛が耐えられないレベル
まで膨らんだのだ。
男達「なんだ!? うるせぇぞ!!
黙れオルゥア!!」
再び朝飯の時間までリンチされた。
村人A「……」
空腹が強すぎて、言葉も出ない。この日の
朝食は、抜きだった。
男「ほら、そこで人寄せの掛け声を続けろ。
ケガ直すための薬草5つ、100ゴールドは
10倍増しの1000ゴールドで返済だからな。
期限に遅れれば、その都度残金を倍増だ。
精々頑張れ」
普通の村人では、月に200ゴールド稼げれば
良い方だ。つまり、永遠に返しきれない。
村人A「ルーイン村へようこそ! ゆっくり
していってください!!」
あからさまな過剰声量だが、こうしなければ、
村の誰かにぶたれる。
余所者「るせぇ!!」
腹を蹴られ、内容物が込み上げてくるが、
スキルの効果で吐けないし、直立も維持
される。痛みだけが、身体中を駆け巡るのだ。
村人A(あの野郎、笑ったからってここまで
するか? 絶対にいじめ殺してやる!)
こんな目に合わせたのは刻蝋値以外にいない。
彼の心当たりは、初対面の時にゴキブリの神で
あることを笑ったくらいだ。しかし、この処遇
の真の理由がそれでないという事実には、気づく
気配すらなさそうだ。
~ある日~
リーゼント男「おい、あの看板オヤジの金的を
蹴ってこい」
気弱そうな男「は、はい……」
3人組の余所者の内、気弱そうな男が
急かされて来た。
村人A(俺は若い男だ。オヤジじゃねぇ!
っくそっ!!あんな雑魚にノーガードで
蹴られ…)
考えている内に、全力で蹴られた。
村人A「グワアアアッ!!(こいつ!
一瞬謝ろうとしたのに取り消し
やがった!!)」
スキル効果により、男の村人Aに対する
罪悪感が消え失せたらしい。
男「……オラオラどうしたぁ!! やり返せる
もんならやり返してみろぉ!!!」
ストレスまみれの男の何かが途切れたらしく、
突如狂ったように村人Aへ暴行を加速させた。
当然普段この男をいじめていると思われる
2人は湧いており、しばらくは苦しむことに
なりそうだ。
村人A(どうしてこんなことになったんだ
……俺は悪くない! 俺は悪くない!)
転生以前にいじめ殺した数々の人物を
浮かべながら、自分は関係ないと自分に
言い聞かせ続けた。
~宇宙の外側~
刻蝋値「ふぅ、一件落着……かな?」
俺は転生者に適切なスキルを与え、転生させる
業務を完了させた。
この転生者は、転生前に、自身より弱い人物を
片っ端からいじめ抜き、彼女を寝とり、寝取った
彼女を無責任に妊娠させて、借金を押し付けて
から捨て……自殺や復讐(当然実は結ばれない)、
破滅へ追い込んだ悪人だった。死の原因も、当然
のように行った信号無視(飛び出し)による交通
事故であり、加害者が可哀想な位である。
したがって、これくらい苦しむように仕向けたのさ。
アポフィス達「…………」
刻蝋値「あれ? 俺、何かおかしな事でも
しましたか?」
アポフィス神、はやみ、プルートの呆然と
した表情を見て、変なことをしたのかなと
思った。
アポフィス「いや……間違ったことは1つも
していないが」
はやみ「なんかやり方が少しえげつなさ
過ぎて……」
プルート「ラー神のように、1つの魂を執拗に
苦しめるための行動ではないんだよね……?」
刻蝋値「ええ、そこはちゃんと加減しています。
彼には今まで苦しめた人々の気持ちから知って
貰う必要がある。ラーがエマちゃんを無意味に
苦しめたようにするのではなく、苦しみを通して
自身の罪を認識させているだけです」
エマちゃん……転生後の俺が出会った1人の
少女だが、俺がラーを滅しようとするように
なった切っ掛けであり、宇宙に残してきた
かけがえのない仲間の1人でもある。彼女は
ラーの魂耐久実験の被験体にされ、延々と
無意味に苦痛を味わう人生……いや、ゴキ生を
味合わされてきたのだ。俺はそれを許せなく、
自ら強くなり、神格化し、ラーを倒すことを
勝手に志し、エマちゃんも同意してくれたので、
こうして修行を重ねているのだ。
アポフィス「フッ、加減を理解しているなら、
何も言うことはない。ラーとは違って責任を
持ち、とことん浄化を進めるのだな」
刻蝋値「はい!」
はやみ「次はわたしかぁ」
若干緊張している様子だ。
アポフィス「プルート、刻蝋値の例を見て
大体やることは分かったか?」
はやみ「はい! マリア様もこうやってわたしを
転生させてくださったんだと知れて、光栄です!」
プルート「僕たち神々の、特に見習いは魂の
転生を手伝うことが、業務のメインなんだ。
2神も見習いの内は沢山こなすことになる
から、覚えるんだよ」
刻蝋値「あたぼうッス! じゃ、俺ははやみ
の初仕事を見届けてから次の仕事をこなすと
しようか」
今回話題に上がった悪神(俺達の認識)ラー。
まさか、直ぐに会うことになるとはなぁ…………
ブクマ、評価や感想などを頂けると、モチベーションが
上がります。気軽にどうぞ!




