第15話~ブラックホールからの帰還~
ブラックホールから脱出すると、案の定
プルートが襲撃を受けており……
第15話
大勢の神々に囲まれ、瞬間移動で逃げ続けている
プルートさんを発見した。
刻蝋値「プルートさん! 後は俺たちに任せて
ください!」
はやみ「(神兵長未満なら!)ちょちょいの
ちょいでやっちゃうよ~!」
プルート「刻蝋値君! はやみちゃん!
ああああ、助かったよ~~!!」
刻蝋値「威張ってるアイツは俺が仕留める。
はやみは、その他を頼むぜ!」
はやみ「任せて! スプラッシュ・エクト!」
ステッキから大量の霊速弾が放たれ、プルートに
群がるラー軍兵士達を次々と仕留めていった。
二等兵「速度は言わずもがな、この威力……
そして詠唱速度! 近づけねぇ!!」
二等兵が言う通り、魔法を詠唱してから放たれる
までの時間が短く、直ぐに回避不能の霊速弾が
放たれるのだ。いくら身体能力で勝っていようと、
こうなってしまえば最早どうすることも出来ない。
刻蝋値「さっきは仕留め損なったが、今度は
仕留めてやるぜ!」
気絶したライトのそばを守るヴァルカンへ、
真面目な表情で宣言したのだが……
ヴァルカン「貴様! 何故そんな大荷物を
抱えて機敏に動ける!? それとせめて
アルバ大尉とロムルス少尉、レムス少尉
だけでも下ろせ! 愚か者!!」
巨神兵を含め、大勢の捕虜を抱えながらも
身軽そうに向かってくる刻蝋値に驚きつつも、
尊敬してやまない上司を乱暴に扱っている
ことを叱責する。
刻蝋値「おいおい……俺からしたら絶対に
逃がせない神物なのを抜きにしても、
テメーが大荷物って言っちゃダメだろ……」
ヴァルカン「ぬぉああぁ!!? 一生の不覚!!
許さんぞ! 刻蝋値!!」
刻蝋値「ブラックホールでの暴行はともかく、
今は俺、何もしてないからな?」
勝手に失言を放ち、勝手にショックを受け、
勝手に怒り出すヴァルカンに呆れる刻蝋値で
あった。
ヴァルカン「(チャンスは一度きり……)
エクト・バースト!!」
ブラックホールから放たれるガンマ・バーストを
思わせる太さの霊線を放ち、刻蝋値を荷m…上司や
同僚諸とも吹き飛ばした。
ヴァルカン「……これでよかった。アルバ様達
なら死ぬことは無いし、同僚達だって、
きっと」
刻蝋値「思いきりは最高だったが、見通しが
甘いんじゃねぇの?」
ヴァルカン「なっ……!どういう意味だ!!
(そして、何処にいる!?)」
刻蝋値「その尊敬するパイセン達を打ち倒した
俺に、パイセン達が耐えうる攻撃で殺せると
考えてるのが甘いって事だぜ」
ヴァルカン「隠れてないで……姿を見せろ!!」
刻蝋値「隠れる?……お前は何を……」
ヴァルカン「……グアッ!!!??」
不意に鳩尾へ想像を絶する衝撃が打ち込まれ、
ヴァルカンの意識はそこで途絶えた。
刻蝋値「言ってやがる。ずっと周りをくるくると
回っていたじゃねーか。なぁ、2神とも」
プルート「確かに、隠れてないことは
間違いないけど……」
はやみ「そんなに動いていたら、見つけられない
のも無理無いと思うよ?」
刻蝋値「ははは、よし、撤退準備だ! 俺は
アポフィス神に任務完了連絡を入れるから、
はやみは人質達を集めろ。プルートさんは
ワープの準備をお願いします」
はやみ「りょーかい!」
プルート「任せて!」
2神が動き出したので、俺も端末をとって
コールをかけた。
端末『アポフィスだ』
刻蝋値「アポフィス軍、無所属の刻蝋値です。
任務完了を報告します」
アポフィス『そうか、ご苦労だった。詳細は
基地で聞こう』
刻蝋値「ですが、至急1つだけお願いがあります」
アポフィス『?、言ってみろ』
刻蝋値「大尉1名、少尉2名を捕虜にしたので、
セン…アポフィス神に牢屋までお越しいただき
たいのです」
アポフィス『心得た。集合場所は刑務所だな』
刻蝋値「はい、では失礼します」
アポフィス『うむ』
通話はこれにて終了した。この通話では、
ワームホールを開け、電波をほぼゼロ距離
で飛ばしているため、基本的に盗聴の心配
は無い。
はやみ「終わったよー!」
刻蝋値「オッケー!」
プルート「じゃ、2神とも掴まって!」
差し出された手にそれぞれが片手を添える。
俺、プルートさん、はやみの順に、手のひらの
大きさが分かりやすく小さくなっていたので、
少し面白かった。
プルート「ハッ!!」
掛け声と共に、大勢の神々が一瞬で消えていった。
刻蝋値「お、アジトのまん前じゃないッスか。
この短期間でスゲー腕を上げましたねー!」
プルート「いいや、知ってる場所だから、
1発で移動できたんだよ。でも流石に
疲れた~」
はやみ「うふふ、お疲れさまです。それに
しても刻蝋値君。さっきは何でアポフィス
神に刑務所まで来てもらうことにしたの?」
刻蝋値「万が一にもアルバが目覚め、暴れ
られた時に、俺だけだと捕縛は出来ても、
務所に甚大な被害が出かねん。だから、
そうなったら一瞬で取り押さえられるように
来ていただいた」
はやみ「な、なるほど~……」
少し以前に見た、アポフィスと刻蝋値の
超神速な実戦練習を思いだし、説得力を
感じた。
~刑務所~
刻蝋値「これで、よし」
アポフィス「うむ、3神とも本当にご苦労だった。
期待以上の成果を深く感謝するぞ」
はやみ「そんな……! 勿体ないお言葉です!
ですが、今回の貢献は刻蝋値君がほぼ全てを
占めているので、報酬は彼中心にお願いします」
プルート「僕なんて、ろくに戦えないから、
お疲れの2神を更に疲れさせてしまいました」
刻蝋値「なーに言ってるんだ。今回の任務は
誰1神かけても出来なかったよ。プルートさん
のワープがなけりゃ、現場に行けなかったし、
はやみのコーティングがなけりゃ、採取すら
出来なかった。後、敵軍の女2神をどう倒すか
迷っていたときに、サクッと倒してくれたしな」
アポフィス「うむ、刻蝋値の言う通り、貴様達
3神が揃って初めて任務をこなせるようにした。
……が、水を刺すようだが、幾つかの反省点も
あるな」
刻蝋値「……まぁ、敵に見つかって戦闘になった
ことは、迂闊でしたね」
はやみ「わたしも……ステルス魔法をかけ忘れて
いました……」
プルート「僕も、しっかり気配を消さなかった
ことと、流石に自分が弱すぎると思いました」
はやみ「それはわたしも言えてます。刻蝋値君に
殆ど守られっぱなしで……」
刻蝋値「いや、そこは戦闘力を鼻にかけてた俺の
不甲斐なさだろ」
アポフィス「そこまでだ。各々よく分かって
いるな。加えると、作戦行動の基礎が分かって
いないと見た。それについては、今後勉強の
機会を設けよう。各自の戦闘力は、上の者や
刻蝋値に鍛えてもらうと良い。暇なときは
我も付き合うぞ」
刻蝋値「本当ですか!ッッシャァアアッッ!!」
狂喜する刻蝋値に対し……
はや・プル「あ、ありがたきお申し出です……」
2神は背筋が凍りついた。
アポフィス「では、解散だ。各自遊ぶなり
自由に過ごすと良い」
別れの挨拶を行い、はやみに引っ張られた
俺達は、ホークが筋トレしている姿と、
はやみに迫られて絶叫する姿を1時間
ほど見せられた。
クラウス「拷問が無くなったから、俺は
救われたが、アイツはこれから俺様の分を
受けねぇとな!」
刻蝋値「確かにな。差し入れ、おいとくぜ」
クラウス「おう、こないだのは美味かったよ。
今回のも期待してるぜ」
~街中~
刻蝋値「やっぱ俺もまだまだだなぁ~って
ことは、もっと強くなれるって事だ!」
はやみ「いつかはアポフィス神を超えそうだよね」
プルート「僕はいつでも応援しているよ」
刻蝋値「プルートさんには本当に感謝の
気持ちしか出てこないッス!」
はやみ「ねね、これから何する~? 私、
皆で買い物してみたい~!」
刻蝋値「俺は飯食ってから筋トレしてぇな」
プルート「僕は図書館で戦術書を読みたいかな?
2神とはこれからも組むと思うし、出来れば
3神で行きたいな」
刻蝋値「良いッスねー! 是非行きましょうよ!」
はやみ「でも、まずはご飯が食べたいです」
プルート「じゃあ、食べようか」
刻蝋値「よっしゃぁあ! 飯だぁ!!」
第16話に続く。
次回はキャラ紹介をします。
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