第11話~見えない穴の中を見ようか~
少し前に発表されたブラックホール理論を組み込みつつ、
本作のブラックホールの設定を作ってみました。(・∀・)v
第11話
とある宇宙に佇む1つの中間質量ブラックホール。
刻蝋値「お、目の前! いやー、瞬間移動って本当に
便利ッスね~!」
プルート「ああ、戦闘が苦手でも、唯一役に立てる
分野がこれなんだよ」
はやみ「空間転送するにしても……この距離は
えげつないわね」
突如3体の神が現れ、何やら会話をしている。
はやみ「と言うわけで、わたしたち2神で偵察・回収を
行うので、プルートさんはここで待機していて下さい」
プルート「気をつけて行ってらっしゃい」
刻蝋値「頑張ってきまーす!」
2神はブラックホール内部へと向かっていった。
~ブラックホール内~
刻蝋値「不思議なものだぜ」
はやみ「何が?」
刻蝋値「普通、ここまで強大な重力が働いていたら、
俺たちの時の流れが無限に引き伸ばされちまうんだ」
はやみ「そしたらどうなるの?」
刻蝋値「外部の宇宙が一気に終焉の時を迎え、
俺達の知ってる連中が老衰死するのさ」
はやみ「何か浦島太郎みたいね~」
刻蝋値「そそ、実際前世じゃ浦島効果って名前で
説明されてたな。だが……」
はやみ「わたしたち神様だからか、時間の伸縮効果を
受けてないみたいだね」
そう、神格化を経由した生物は、時空の歪みを
無効化する事が出来るようだ。
刻蝋値「因みに、今回のブラックホールは事象の
地平線が存在するけど、中性子やクォークから成る、
やっとこさ質量の条件を満たしたブラックホールは、
事象の地平線が無いぜ」
はやみ「え? 惑星みたいに降り立てるってこと?」
刻蝋値「その通り! お、見えてきた、霊的物質の
地表。ここから先、頭と爪先にかかる重力の差が
えげつなくなるから、低減魔法でもかけときな」
はやみ「うん。……刻蝋値君は要らないの?」
刻蝋値「俺は既にブラックホール内部で筋トレ経験
ありだ! 最早庭みたいなものだぜ」
はやみ「好奇心で中に潜っても、普通、
そこで鍛えようとは思わないよね…………」
刻蝋値「あっ……」
俺は地平線の彼方とでも言うべき場所に、複数の
神が居ることを認識した。
はやみ「何か見つけたの?」
刻蝋値「奴等だ。オーラからして……おいおい、殆ど全員がホークやクラウス並の強さだぞ」
はやみ「うそ……神兵長クラスがあんなに………」
向こうは全員で20神程。内、14神は神兵長レベル、
3神は武闘派の隊長格、そして2神に至っては、少尉
レベルであり……
はやみ「あ……あの神…………」
刻蝋値「ああ、大尉クラスだな。これは見つかったら
ヤベェわ」
そう言いながら、奴等の動きをメモし続けた。
はやみ「やっぱり肉体派の神々が星を削っているね」
刻蝋値「そして魔術系の神々がコーティングして、
どんな環境下でも形状維持するようにしているな」
はやみ「あっ、隊長クラスの3神もピッケル振ってる……」
しかし、ただ弾かれるだけで、破壊には至らなかった
ようだ。
刻蝋値「まだまだ修行が足りてねぇが、経験させるのが
目的なんかな? ラー軍の癖してしっかりしてやがるぜ。
俺達も奴等が消えてから、サンプルの採取をするぜ」
はやみ「うん!……へ!?」
はやみが返事した瞬間、刻蝋値が一瞬で背後に
回り込んだことで、とても驚いたようだ。
神兵長「貴様達、何者だ?」
赤髪で、攻撃的な見た目の神兵長が、語りかけてきた。
刻蝋値「名乗って欲しけりゃテメェから名乗りな!
神兵長の癖して失礼だぜぇ?」
神兵長「チッ! 俺は第1特殊部隊隊長のヴァールだ。
お前も名乗れよ」
刻蝋値「良いぜ、俺は刻蝋値。しがないゴキブリだぜ!」
ヴァール「そっちの面食いそうなのは?」
はやみ「だっ、誰が面食いよ! わたしははやみ!
ちょっとイケメンだからってっ!……許さないわよ」
ヴァール「ははっ、お前に何が出来るんだよ。ま、
それはさておき、貴様らここに何用だ? 用事次第
じゃ生かしておけないのでな」
刻蝋値「筋トレ観光デートだ!ブラックホール内部で
地盤を砕き、それを持ち上げてスクワットできる男なら、
誰だって惚れるだろう?」
はやみ「ぇえ………???」
ヴァール「嘘は要らん。……というか、何だそれは
……本気で思ってるのか?????」
刻蝋値「おいおい、少しは信じたふりしろよ。
嘘ついたけど思いはマジだぜ」
はやみ「えぇ……???」
ヴァール「……要するに、お前達は馬鹿であり、無能な
だけの人畜無害なバカップルとでも言いたいのだな?」
刻蝋値「おうよ! だからお互い見なかったということで」
はやみ「そそ、あんたみたいな糞イケメン野郎は
二度と見たくもないし」
ヴァール「ふ、これ以上話しても互いに不利益だな。
大尉!この2人は我々にとって驚異ではありません!」
そう言うと、少し口角を上げ…
ヴァール「何故なら……!!!」
11万光速で、こちらを見ずに腕を横凪に振ってきた。
ヴァール「既に死んでいますからぁ!!」
ヴァールにとって、こうして疑わしきを滅することは
日常であった。しかし、皆の表情がやけに驚いている。
ヴァール「?、男の首でも面白k…」
神兵長「避けろ! ヴァール!!」
ヴァール「!!……ガッ!」
ヴァールの右肩に、刻蝋値の踵が命中して脱臼させたのだ。
刻蝋値「まー、邪魔くらい入るよなー」
神兵長の肩を脱臼させる踵落としであったが、
実際には、もう1神の邪魔によって、蹴りの
威力を弱めざるおえなかった結果である。
ヴァール「ライト!」
ライト「気を付けろ。瞬間移動からの霊速弾を
空中で普通に避けやがった! こいつはただの
チンピラゴキブリじゃねーぞ!」
逆立った金髪男が一瞬で刻蝋値の驚異度を分析した。
ヴァール「分かった。が、お前もお前で何故そこの女を
狙わなかった! もしかしたらこいつが庇って当たりに
行ったかも知れねぇだろ!!」
ヴァールなりに今までの会話から、刻蝋値が
仲間を大切にするタイプだと感じたらしい。
ライト「恥ずかしいだろ!っそうじゃなくても、
このゴキブリだって、善人のふりした悪人で、
この娘を見捨てて攻撃に専念したかもしれない
だろう!!」
刻蝋値「はいはい、2神とも喧嘩しない!
敵前だぜ? 特にヴァール、テメェは結構
凝らしめてやるから、覚悟しなよ?」
ヴァール「はっ、閃撃の第1部隊……その隊長である
俺の速度とパワーにひれ伏せ虫けら!」
ライト「こいつ程自己主張はしねぇが、
俺も甘く見ないことだ」
刻蝋値「おう!やってやらぁ!!
(閃撃……ライト……うっ、頭が!!)」
神格化以前に聞き覚えのあることを思い出しつつ、
本格的に戦闘体制に入った。
第12話に続く。
ブクマ、評価や感想などを頂けると、モチベーションが
上がります。気軽にどうぞ!




