なにもいいことだけじゃないみたいです
ちょこっと戦闘パートを入れてみました。
うぅ…自分で読んでて下手くそさが滲み出てる…
水が流れる音…
風が草木を撫でる音…
…ギャオ……
…キャアアア……
鳥の鳴き声……
女の子の悲鳴……
「女の子の悲鳴!?」
目が覚めた。すぐさま周りを見渡す。
どこかの森の…河原でこの体は寝ていたらしい。
いや……この森をこの〘体〙は知っている。
〘ハールデルグの森〙……
比較的魔物は弱く、植物が豊富なため冒険初心者でも立ち寄りやすい盛りだ。
そんなことより女の子!!!!
僕は走り出す。
ぐんぐん加速していく……
「この体……すげぇ……」
まるで羽が生えたかのように軽い。
「見えた!」
女の子が2人……鳥系の動物らしきモノに襲われている……。
女の子の方は何故か見覚えがあったが今は無視。
あの鳥……
「……バブーン鳥か…」
この森では普通は出ない魔物らしく、そこそこ強いらしい。
「…武器は……あった」
太もものベルトに3本のナイフと腰に1本のブロードソード……
「…〘観察眼〙」
バブーン鳥
戦闘力 同等
説明 飛びかかり攻撃と鋭いくちばし、爪を武器に戦う残忍な鳥。自分より弱い生物を嬲り殺す習性がある。肉はすごく美味しい。
……数値が見れるわけじゃないと
グズグズしてる暇はこっちにはないけど。
「くらえ!!」
僕はバブーン鳥の背後からブロードソードで切りかかる。
「ギエッ!?」
相手の反応が遅れたみたいで運良くバブーン鳥の首を落とすことができた。
「ひっ……」
「……!!」
女の子たちは驚いているみたいだ……
1人は赤髪ショートでスレンダーな魔法使いっぽい人。……首からへそにかけて縦に割れてる如何にもえっちな服を着てる。顔もなかなか美形だし男が寄ってきそうだ。右目を前髪で隠してるな。オタク受けも良さそう。
もう1人は金髪ロングの小さい女の子。見た目を見ると僧侶さんかな?なんとも可愛らしい感じ。
何より僧侶さんの胸!おっぱい!!大きい!!!!なにそれロリ巨乳ってやつですかね!眼福です!!!
…冷静になれ僕、今僕は警戒されてるんだ。
そりゃこんな所で知らない男が鳥の魔物一撃で屠ったら怖いよね!うん!びっくりするよね!!
「ど……どうしてあなたが……」
「……?」
「だって……さっきバブーン鳥の攻撃で……」
「え?」
「怪我を………」
「……」
なにか違和感のある腹部を見る。
「わぁ……血がいっぱい出てるぅ〜」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!
「ガハッ」
僕は口から血を吐いて倒れる。
「きゃっ!?だ…大丈夫ですか!?」
「ちょっ……リリアン!?あなたじゃそんな怪我治せないわよ!!」
「スィーナ!この人はこんなに傷を追いながら助けてくれたんですよ!?私達もなにかしないと!!」
「でもっ……」
……女の子たちが何か言ってる…
僕を助けようとしてくれてるみたいだけど……
流石にこの傷は無理でしょ……
「〘ヒール〙!!」
暖かい光が流れる……痛みが和らぐ……
でも傷は治らない。深すぎるんだ。
「やっぱり……私たちじゃ無理なのよ……鉄等級の冒険者がこんな森に来るんじゃ無かったのよ……」
「スィーナ!諦めてはいけません!!何としても治してみせます!!ここで諦めたらもう二度と今日を……私を許せなくなる!!」
「リリアン……」
ふむ。いい友情だ……。痛たた……
でもさすがに無理だろうなぁ……あの神様……転移する体くらい整備しとけよダ女神!!
意識が朦朧としてきた……くそっ……絶対文句言ってやるからな……覚えて……ろ……よ………
sideリリアン
「ダメッ!!目を閉じないでください!!…私に……力があれば……」
「リリアン……」
この人は私たちを助けてくれたのに…〘ヒール〙じゃ足りない……このままだと……
ザッ
「誰!」
急に草むらから誰かが出てくる。その人は金色の鎧を身に纏う、2mは超えているであろう男の人……。
「……そいつか。……おう。わかった」
「??」
その人がなにか口ずさんだ後
「〘エクセント・ヒール〙」
そう唱えると、助けてくれた人の傷は瞬く間に癒えてなにもなかったかのようになりました。
「エッ……〘エクセント・ヒール〙!?」
「スィーナ?」
「リリアン、〘エクセント・ヒール〙はヒール呪文の中でも最上位クラスに値する呪文で、教会の教王様しか使えないハズの呪文なのよ!!」
「え……」
なんでそんなすごい呪文をこの人が……?
「そこの女の子たち」
「「ひゃっひゃい!」」
「……そんなに緊張しなくてもいい。そこの男の子を運んでくれるかな?俺が君たちを守るから、取り敢えず冒険者組合に行こうか」
「「わかりましゅた!!」」
「……」
私たちはその人のいうことを聞いて、無事元いた〘バウラの街〙につくことが出来ました。
この男の人が道中の魔物を全部一撃で倒してくれるからすごい移動が楽でした。
「なんなの…この人……」
スィーナも困惑しているみたいです。
私は凄い人だなぁとしか思えませんが、冒険者歴が私よりも長いスィーナは異常に感じているかも知れません。
「ここか。んじゃ入るか」
難なくバウラの冒険者組合に着きました。スィーナが美人さんだから街を歩いていると基本誰かに話しかけられるんですが……今日はそんなことは無かったです。皆さん忙しいんでしょうか?
男の人は2人で運べばそこまで大変では無かったです。鎧も装備していませんし……本当になんであの傷で動けたのか疑問です。
その人が冒険者組合に入るといつもは騒がしい中も、急に静かになりました。
「……あれって……」
「ああ……はじめてみた…」
「なんでこんな辺鄙な……」
……この人は有名なのかな?冒険者歴一ヶ月の私にはいまいちわかりませんでした。
その人はさっさと受付に行くと、受付嬢さんがびっくりした様子で何度もお辞儀をしています。
なにか話したようで男の人は職員さんが医務室に運んでいきました。
「……お前たちこれから暇か?」
「ひゃっ…ひゃい!」
急に話しかけられてスィーナがまた変な返事をしています。
「リリアンだってさっきまで緊張してたでしょ!」
「……あの男の子が起きるまで酒場にでも行かないか?」
「え……?でもあの人は……私たちのパーティでは無いですし……」
「んー……君たちが居てくれた方があの男の子も安心するだろうし、ね?運んできてくれたこともあるしお礼でおじさんに奢らせてよ」
「いや……それはおにいさんがずっと魔物を倒してくれてたお陰で……」
「まぁまぁ、おじさんの頼みっていうことで」
「あっ…ちょっ……」
無理やり酒場に連れて行かれてソフトドリンクまで奢ってもらいました。
「おにいさんもなにか飲まないんですか?」
「んー……おじさんはちょっといいかな?」
喉がかわいてないのかな?ここの飲み物美味しいんですけど。
「そういえばおにいさんも冒険者なんですか?」
スィーナだいぶ打ち解けてるなぁ……さっきまであれほど緊張してたのに
「うん。まだまだ現役だよ」
「おにいさんくらい強かったら〘異名〙がついてるんじゃないですか?」
「んー……。話しちゃってもいいか。」
おにいさんがなにか呟いたあと
「〘星砕〙って名前でやらせて貰ってるよ」
「ぶふぅっ!!」
「ちょっ……スィーナ汚いよ!!」
「だだだだって〘星砕〙って金等級冒険者……冒険者1位…冒険者で1番強いどころかこの大陸で1番強いって言われてるんだよ!?!?」
「……え?」
「いやー…照れるな」
このおにいさん……
とんでもない人でした